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盲ろう者実態調査報告書 No.1

社会福祉法人 全国盲ろう者協会

項目 内容
備考 平成7年度社会福祉・医療事業団助成事業

目次

はじめに

第1章 調査の概要
1 目的
2 調査の客体と調査対象者
3 調査の時期
4 調査の事項
5 調査の実施協力者
6 調査の方法
7 調査票の回収状況
第2章 盲ろう者実態調査 調査票
実態調査質問事項
第3章 調査結果の概要
1 盲ろう者の性別の状況
2 年齢階層別の状況
3 家族構成の状況
4 感覚機能障害の状況
5 障害の発生時期の状況
6 視覚機能の状況
7 聴覚機能の状況
8 盲ろう以外の身体障害の状況
9 身体障害以外の障害の状況
10 コミュニケーション方法の状況
11 コミュニケーション手段の獲得方法
12 訪問相談員派遣制度への意見
13 食事の状況
14 外出の状況
15 電話とファックスの利用状況
16 新聞の利用方法の状況
17 最終学歴の状況
18 過去の仕事の状況
19 現在の仕事の状況
20 所得・収入の状況
21 住民税の状況
22 生活訓練・職業訓練の経験の状況
23 今後受けたいリハビリテーション科目の状況
24 訓練を受ける際の施設の希望地
25 点字本等無料貸出制度(社会資源)の活用状況
26 会話する友達の状況
27 地域の在宅福祉関係者の知名度の状況
第4章 盲ろう者実態調査質問別・男女別回答集計表
盲ろう者実態調査質問別・男女別回答集計表

附録 都道府県(市)別・盲ろう者数並びに通訳者数

はじめに

 視覚と聴覚の両方に障害をもつ盲ろう者は、コミュニケーションや外出に大きな困難を伴うこともあって、社会に知られることが極めて少なかった。
 盲ろう者を主体とする盲重複障害者が点字回覧誌を編集して、自分達の生活の改善と教育の向上の声を挙げはじめたのが、ようやく30年ほど前になってからである。
 しかし、このグループも大きく成長することができなかった。
 あまりにも重い障害、機が熟さなかったともいえよう。社会各層や行政からの支援も薄かったのである。いわば、社会の谷間におかれていたといってよい。
 10数年前になって、盲ろう青年二人が相次いで大学入学を果たし、大きく報道されたことがきっかけとなって、全国ばらばらの盲ろう者がお互いの存在を知るチャンスが少しずつ増えはじめた。
 この気運に乗じ、上記の盲ろう大学生を囲む会が中心となって、5年前の平成3年3月、当全国盲ろう者協会が発足、盲ろう者の自立を目指して活動が開始することができるようになったわけである。 
 協会がスタートしたときの事業のひとつに、盲ろう者実態調査もあった。
 だが、1年を費やして、種々の可能性の検討と設問事項案を作成したのみで終ってしまった。
 それまでに協会で把握できた盲ろう者の数があまりにも少なかったこと、プライバシーの問題、調査人員の不足、なによりも協会の財源が乏しかったため、次の年度の実施に移すことができなかったのである。
 平成7年度になって、協会の盲ろう者把握数もようやく300人を超えたが、この数は全国の推定盲ろう者数1.3万人に比べれば少ない人数とはいえ、一歩前進に踏みだす情勢にはなってきた。
 幸い厚生省、社会福祉・医療事業団のご理解のもとに助成金を得て、ここに第1回盲ろう者実態調査を実現することができたわけである。
 実際の実施にあたっては、予想以上の労苦を伴ったが、結果は新鮮で率直な盲ろう者の声に接し、私自身大変勉強になった。
 今回の実態調査にご協力をいただいた多くの方に感謝する。
 盲ろう者福祉は、いろいろ未解決の問題が山積しており、それを一つひとつ解いていく上でも、この調査報告は強力な援軍になってくれるものと思う。
 ご活用される方の多からんことを切に願いつつ。

 平成8年3月

社会福祉法人 全国盲ろう者協会
理事長 小島純郎

第1章 調査の概要

1 目的
 我が国に於いて、在宅の盲ろう者の実態についての実際に調査されたデータは、皆無に等しい。
 盲ろう者の福祉の先端を担っている当協会においても、把握している盲ろう者数は僅かに300人程度である。
 特に、重度の盲ろう者の「障害の程度・家族の状況・盲ろう者となった経過・職業の状況・所得の状況等の状況は把握をしていない。
 ついては、今後、盲ろう者福祉増進対策を策定する際の基礎データとするため、重度の盲ろう者の実態調査をすることを目的とする。
2 調査の客体と調査対象者
 視覚機能と聴覚機能の重複障害者とし、平成7年6月現在、当協会に登録されている盲ろう者(310人)のうち、単独では移動とコミュニケーションが極めて困難な重度の盲ろう者を優先して調査対象者(150人)とした。
3 調査の時期
 平成7年10月1日現在の状況について調査を実施した。
4 調査の事項
 第2章の盲ろう者実態調査調査票(以下「調査票」という)に掲げた事項。
5 調査の実施協力者
 調査の対象者のほとんどの者が、単独では「調査票」を読むことができない。
 従って、平成6年度及び7年度に、家庭訪問をした通訳・介助者(訪問相談員)及び家族、並びに各盲ろう者友の会の事務局員等に調査の実施協力を依頼して実施した。
6 調査の方法
(1) あらかじめ、調査対象者(盲ろう者)と調査の実施協力者(通訳者等)をセットし、それぞれ 150組の「調査対象並びに調査の協力者」に対して、平成7年6月30日、理事長名で「実態調査の目的等の説明と実施の協力依頼について」文書を発送、依頼した。
(2) 協力の承諾を得た「調査対象者並びに調査の協力者」に対しては、それぞれの相手の紹介文及び、調査の協力者に対しては、調査票と返信用封筒を同封して、平成7年9月14日、理事長名で送付した。
   なお、調査の実施協力者(通訳者)の中には全盲の方(5名)がおり、この協力者には、点字の「調査票」で協力を頂した。
7 調査票の回収状況
(1) 調査票の送付後、調査対象者又は調査の協力者から、実態調査の拒否があり、協会は改めて、調査対象者又は調査の協力者のセットのし直し等の調整をしたが、ついに3件は、調査をすることができなかった。
(2) この他、6月の協力承諾時以降に「死亡した者」1名、「入院中」2名、「実際調査に行ったが、対象者の障害受容が確立されていないため調査不能」3人に対しては調査ができなかった。
(3) 実態調査の困難性から、回収期限を10月30日としていたが、期限内に調査票が回収されたのは、 117調査票であった。
   ついては、残りの24件の調査の協力者(通訳者)に対して、FAX・電話・手紙を以て数回調査票の返信の催促を実施した結果、12月11日までに10件の回収ができた。
(4) この結果、総回収数は、127件、回収率は84.7%であった。

第2章 盲ろう者実態調査 調査票

実態調査質問事項

問1 あなたの性別についてお聞きします。
   どちらか一つを選んで番号を○で囲んでください。

1 男
2 女

問2 平成7年10月1日現在、あなたの年齢階層についてお聞きします。
   どれか一つを選んで番号を○で囲んでください。

1 17歳以下
2 17歳から18歳
3 20歳から39歳
4 40歳から59歳
5 60歳から79歳
6 80歳以上
7 わからない

問3 あなたのご家族についてお聞きします。
   どれか一つを選んで番号を○で囲んでください。

1 一人で生活している
2 配偶者と生活している(配偶者以外の家族がいる場合も含む)
3 配偶者以外の家族と生活している
4 現在、施設で生活している
5 その他( )
6 わからない

問4 あなたの感覚機能障害は、だいたい次のどれに当たりますか?
   どれか一つを選んで番号を○で囲んでください。

1 全盲、全ろう
2 弱視、全ろう
3 全盲、難聴
4 弱視、難聴
5 その他( )
6 わからない

問5 障害の発生の時期についてお聞きします。( )の中に数字をご記入ください。

1 視覚障害は何歳ごろから始まりましたか ( )歳ごろ
2 聴覚障害は何歳ごろから始まりましたか ( )歳ごろ
3 わからない

問6 視覚機能についてお聞きします。(複数回答可)

1 全盲
2 弱視
3 点字を使用中
4 普通の大きさの墨字を使用中
5 拡大した墨字を使用中
6 一人で外出ができる
7 外出・移動の時には、介助が必要
8 移動の時には白杖を使用中
9 盲導犬を使用中
10 その他( )
11 わからない

問7 聴覚機能についてお聞きします。(複数回答可)

1 全ろう
2 難聴
3 中途失聴
4 通常、補聴器を装用すると周囲の物音の区別ができる
5 通常、補聴器を装用すると話の内容がわかる
6 通常、補聴器を装用すると日常会話ができる
7 ループ装置を備えた部屋では補聴器を装用すると日常会話ができる
8 その他( )
9 わからない

問8 あなたの、身体障害者手帳についてお聞きします。
   視覚障害・聴覚障害の他に次のどの身体障害を負っていますか。(複数回答可)

1 肢体不自由
2 内部障害
3 その他( )
4 わからない

問9 あなたは、身体障害の他に次のどの障害を負っていますか。(複数回答可)

1 知的障害
2 情緒障害
3 その他( )
4 わからない
問10 コミュニケーション方法についてお聞きします。
a 現在、あなたが話すときの方法はなんですか。(複数回答可)
1 音声
2 指文字(日本語50音式)
3 指文字(ローマ字式)
4 手話
5 手書き文字(相手の掌等に文字を書く)
6 指点字
7 ブリスタ
8 発音は明瞭
9 発音は不明瞭
10 キュードスピーチ
11 筆談(点字・墨字)
12 その他( )
13 わからない
 
b 現在、あなたが話を聞くときの方法はなんですか。(複数回答可)
1 指点字(パーキンス型)
2 指点字(ライトブレーラー型)
3 指文字(日本語50音式)に触れる
4 指文字(日本語50音式)を見る
5 指文字(ローマ字式)に触れる
6 指文字(ローマ字式)を見る
7 手話に触れる
8 手話を近くで見る
9 手話を遠くで見る
10 手書き文字(自分の掌にひらがなで書いてもらう)
11 手書き文字(自分の掌にカタカナで書いてもらう)
12 手書き文字(自分の掌に漢字かな交じりで書いてもらう)
13 音声・口話
14 キュードスピーチ
15 筆談(点字・墨字を紙に書いてもらう)
16 補聴器使用
17 プリスタ
18 その他( )
19 わからない

問11 あなたはコミュニケーション手段をどうやって獲得しましたか(複数回答可)

1 盲学校で点字を学習した
2 盲学校でローマ字式指文字を学習した
3 ろう学校で手話や指文字を学習した
4 地域の点字サークル等で点字を学習した
5 地域の手話サークル等で手話を学習した
6 盲ろう者の交流会に出て、コミュニケーション手段を学習した
7 独学で覚えた
8 友人と練習した
9 その他( )
10 わからない

問12 盲ろう者協会は、試行的に訪問相談員(通訳・介助者)派遣事業を実施していますが、将来はホームヘルパー制度と同じようになるように努力しています。

a 訪問相談員が派遣されてよかったことについてお聞きします。(複数回答可)
1 まだ訪問相談員の派遣を受けていないのでわからない
2 家族以外の人と会話ができたこと
3 コミュニケーション手段が増えたこと
4 ことばの数が増えたこと
5 家族に対する気兼ねが少なくなったこと
6 外出する機会が多くなったこと
7 友達が増えたこと
8 交流会等集団社会に参加できるようになったこと
9 この世の中に自分と同じ障害を持つ人に会って会話ができたこと
10 情報が多くなったこと
11 その他( )
12 わからない
 
b 訪問相談員が派遣されての感想をお聞きします。(複数回答可)
1 まだ訪問相談員の派遣を受けていないのでわからない
2 もっと地域に訪問相談員を増やしてほしい
3 早く市町村の「盲ろう者向け通訳者派遣制度」にしてほしい
4 訪問相談員の訪問をもっと多く公費負担でみてほしい
5 ホームヘルパーに盲ろう者向け通訳の技術を身につけてほしい
6 ガイドヘルパーに盲ろう者向け通訳の技術を身につけてほしい
7 身体障害者福祉センターに盲ろう者向け通訳者を配置してほしい
8 市役所や役場に盲ろう者向け通訳者を配置してほしい
9 病院に盲ろう者向け通訳者を手配してほしい
10 盲ろう者協会は、家族も訪問相談員と認めてほしい
11 その他( )
12 わからない

問13 あなたは、毎日、食事をどうしていますか。
   多いところから二つを選んで番号を○で囲んでください。(複数回答可)

1 ほとんど自分で食事の準備をする
2 主に家族が食事の準備をする
3 ディサービスを受けている。
4 近所の親・兄弟・子等の身内が準備をする
5 自分で料金を支払い、だれかに準備を依頼している
6 ほとんど外食で済ましている
7 その他( )
8 わからない

問14 外出についてお聞きします。どれか一つを選んで番号を○で囲んでください。

1 外出はほとんど一人でできる
2 慣れた場所であれば一人でできる
3 日中なら一人でできる
4 外出はいつも誰かと一緒
5 その他( )
6 わからない
 
a 4の「外出はいつも誰かと一緒」と答えた方にお聞きします。
  どれか一つを選んで番号を○で囲んでください。
1 訪問相談員の通訳・介助者が一番安心して外出ができる
2 ガイドヘルパーが一番安心して外出できる
3 家族が一番安心して外出できる
4 その他( )
5 わからない

問15 電話とファックスの利用法についてお聞きします。(複数回答可)

1 電話は一人でできる
2 ファックスの操作が一人でできる
3 留守番電話を利用している
4 通訳者がいる時間帯のみ電話連絡をとっている
5 福祉事務所を通じて電話連絡をとる
6 電話は必要でない
7 ファックスは必要でない
8 その他( )
9 わからない

問16 新聞の利用方法についてお聞きします。(複数回答可)

1 定期的に墨字の新聞を購読している
2 定期的に点字の新聞を購読している
3 新聞や雑誌の抜粋を点訳したものを読んでいる
4 「点字JBニュース」(日本盲人会連合発刊)等の新聞を読んでいる
5 新聞などは読めないのでニュースは家族や友達から聞く程度
6 特に新聞や雑誌は必要とは思わない
7 その他( )
8 わからない

問17 あなたの最終学歴についてお聞きします。
   どれか一つを選んで番号を○で囲んでください。

1 通学経験なし
2 小学校・国民学校・特殊学校小学部
3 中学校・旧小学校高等科・特殊学校中学部
4 旧制中学校・高等学校・特殊学校高等部
5 特殊学校専攻科・専門学校・各種学校
6 短期大学
7 四年生大学
8 大学院
9 その他( )
10 わからない

問18 あなたの過去の仕事(就職等)についてお聞きします。(複数回答可

1 三療法(治療師の免許があって、治療院開業・治療院勤務・病院勤務等)
2 会社員・公務員・団体職員等のサラリーマン
3 農林漁業・サービス業の開業(治療院を除く)・企業の経営等の自営
4 芸術・芸能、その他の自由業5 社会福祉施設(授産施設・福祉作業所等)に入所・通所していた
6 その他( )
7 従来から、現在の仕事を継続している
8 仕事をしていなかった(通学中・リハビリ訓練中・仕事ができなかった等)
9 わからない

問19 あなたの平成7年10月1日現在の仕事(就職等)についてお聞きします。
   どれか一つを選んで番号を○で囲んでください。

1 三療法(治療師の免許があって、治療院開業・治療院勤務・病院勤務等)
2 会社員・公務員・団体職員等のサラリーマン
3 農林漁業・サービス業の開業(治療院を除く)・企業の経営等の自営
4 芸術・芸能、その他、自由業
5 社会福祉施設(授産施設・福祉作業所等)に入所・通所中
6 その他( )
7 仕事をしていない(通学中・リハビリ訓練中・仕事ができない等)
8 わからない

問20 あなたの所得・収入についてお聞きします。(複数回答可)

1 障害基礎年金
2 障害基礎年金と加給年金
3 老齢年金等障害年金以外の年金
4 稼働収入
5 財産収入
6 年金以外の福祉手当等
7 仕送り等その他収入
8 公的扶助(生活保護)
9 所得・収入なし
10 その他( )
11 わからない

問21 あなたの今年度の住民税についてお聞きします。
   どれか一つを選んで番号を○で囲んでください。

1 市(区)町村民税の所得割りが課税されている
2 市(区)町村民税の均等割のみが課税されている
3 非課税となっている
4 わからない

問22 これまでに生活訓練や職業訓練を受けたことがありますか。(複数回答可)

1 受けたことはない(ここの番号を○で囲んだ方は、複数回答はしないでください)
2 学校で受けた
3 医療機関で受けた
4 身体障害者リハビリテーション施設等で受けた
5 職業訓練校で受けた
6 講習会に参加して受けた
7 その他( )
8 わからない

問23 今後、リハビリテーション施設等に入所又は通所して、どんな訓練を受けたいかをお聞かせ下さい。(複数回答可)

1 一般の勉強をしたい
2 コミュニケーションの訓練を受けたい
3 歩行等の生活訓練を受けたい
4 福祉作業所で作業をしたい 又は授産施設で訓練を受けながら仕事をしたい
5 職業訓練を受けたい
6 勉強や訓練は受けたくない
7 その他( )
8 わからない

問24 福祉施設等で訓練を受ける場合、あなたはどこで訓練を受けたいと思いますか?
   どれか一つを選んで番号を○で囲んでください。

1 今、住んでいる市町村内が良い
2 今、住んでいる県内であれば良い
3 近県でも良い
4 日本の全国どこでも良い
5 その他( )
6 わからない

問25 現在、次のものが、無料貸し出されていますが、あなたが次の中で利用したことのあるものはなんですか。(複数回答可)

1 点字本 (点字図書館、公共図書館)
2 テープの図書 (点字図書館、公共図書館)
3 ブリスタ (全国盲ろう者協会)
4 補聴器 (全国盲ろう者協会、その他)
5 字幕入りビデオ (聴覚障害者情報文化センター、その他)
6 その他( )
7 わからない

問26 あなたが現在、よく会話をするお友達についてお聞きします。(複数回答可)

1 近所の幼な友達
3 学校時代の友達
3 盲ろう者交流会の友達
4 訪問相談員の通訳・介助者
5 その他( )
6 家族以外とは会話をしていない
7 わからない

問27 あなたのお住まいの市(区)町村の次の職名中、お名前の知っている方はいますか。「知っている」・「知らない」のどちらかを○で囲んでください。

1 市(区)町村役場(所)の障害者担当係員 知っている・知らない
2 地区の民生委員又は児童委員 知っている・知らない
3 ホームヘルパー 知っている・知らない
4 ガイドヘルパー 知っている・知らない
5 盲ろう者向け通訳・介助者(訪問相談員) 知っている・知らない
6 身体障害者相談員(知事の委嘱の方です) 知っている・知らない

ご協力ありがとうございました。

第3章 調査結果の概要

1 盲ろう者の性別の状況
 問1で性別について質問した結果は次のとおりである。

表1 性別の状況 (単位 人)
区分
実数 69 58 127
構成比% 54.3 45.7 100.0
(コメント)
今回の調査において回収できた数の男・女別内訳で、以下の調査結果の基礎となるものである。

2 年齢階層別の状況
 問2で年齢階層別区分について質問した結果は次のとおりである。

表2 年齢階層別の状況 (単位 人)
区分 17歳以下 18歳~19歳 20歳~39歳 40歳~59歳 60歳~79歳 80歳以上 わからない
実数 3 2 19 31 14     69
構成比% 4.3 2.9 27.6 44.9 20.3     100.0
実数   1 16 27 13 1   58
構成比%   1.7 27.6 46.6 22.4 1.7   100.0
実数 3 3 35 58 27 1   127
構成比% 2.4 2.4 27.5 45.6 21.3 0.8   100.0
(コメント)
今回の調査において回収できた数の男・女別、年齢階層別の内訳で、以下調査結果の基礎数となるもので、男女とも40歳から59歳の階層の者が多くなっている。

3 家族構成の状況
 問3で家族構成について質問した結果は次のとおりである。

表3-1 家族構成の状況 (単位 人)
区分 一人で生活している 配偶者と生活している 配偶者以外の家族と生活 現在施設生活している その他 わからない
実数 8 29 24 7 1   69
構成比% 11.6 42.0 34.8 10.1 1.5   100.0
実数 10 27 17 3 1   58
構成比% 17.2 46.6 29.3 5.2 1.7   100.0
実数 18 56 41 10 2   127
構成比% 14.2 44.1 32.2 7.9 1.6   100.0
(コメント)
1 盲ろう者の家族構成の状況は本表のとおりであるが、配偶者と生活しているが男女共40%を超えている。
2 その他の男は、「会社の寮に入っている者」である。
3 その他の女は、「配偶者と施設で生活している者」であり、問の2か所に該当するため「その他」に記入した。
4 集計対象者は男性の数が多くなっているにもかかわらず、一人で生活している女性の数(10)は男性の数(8)を超えている。
5 その他2名の内訳は次のとおりである。
(1) 学校の寮で生活している。(男)
(2) 施設で配偶者と生活している。
表3-2 年齢階層別・家族構成の状況 (単位 人)
区分 1 一人で生活している 2 配偶者と生活している 3 配偶者以外の家族と生活 4 現在施設生活している その他
実数 構成比% 実数 構成比% 実数 構成比% 実数 構成比% 実数 構成比% 実数 構成比%
17歳以下         2 66.7     1 33.3 3 100.0
18~19         3 100.0         3 100.0
20~39 4 11.4 10 28.6 19 54.3 2 5.7     35 100.0
40~59 9 15.5 31 53.5 13 22.4 5 8.6     58 100.0
60~79 5 18.5 15 55.6 4 14.8 3 11.1     27 100.0
80歳以上                 1 100.0 1 100.0
18 14.2 56 44.1 41 32.2 10 7.9 2 1.6 127 100.0
(コメント)
1 未成年者6人のうち、5人が配偶者以外の家族との生活、1人が会社の寮に入居していることは、一般健常者と同様と思われる。
2 問題は、障害の程度によって異なるが、単身世帯の盲ろう者であろう。
3 「その他」で「80歳以上」とは、表3-1でコメントした3である。

4 感覚機能障害の状況
 問4で感覚機能障害の状況について質問した結果は次のとおりである。

表4-1 感覚機能障害(盲ろうの障害程度)の状況 (単位 人)
区分 全盲全ろう 弱視全ろう 全盲 難聴 弱視 難聴 その他 わからない
実数 25 18 17 9     69
構成比% 36.2 26.1 24.7 13.0     100.0
実数 20 20 10 8     58
構成比% 34.5 34.5 17.2 13.8     100.0
実数 45 38 27 17     127
構成比% 35.4 29.9 21.3 13.4     100.0
(コメント)
調査対象者を重度の盲ろう者としたため、全盲全ろうの者数が35.4%と最も多く、弱視難聴の者数が少なくなっている。
表4-2 年齢階層別・感覚機能障害の状況 (単位 人)
区分 1 全盲 全ろう 2 弱視 全ろう 3 全盲 難聴 4 弱視 難聴 その他
実数 構成比% 実数 構成比% 実数 構成比% 実数 構成比% 実数 構成比% 実数 構成比%
17歳以下 1 33.3     2 66.7         3 100.0
18~19 1 33.3     2 66.7         3 100.0
20~39 7 20.0 15 42.9 9 25.7 4 11.4     35 100.0
40~59 24 41.4 17 29.3 9 15.5 8 13.8     58 100.0
60~79 11 40.8 6 22.2 5 18.5 5 18.5     27 100.0
80歳以上 1 100.0                 1 100.0
45 35.4 38 29.9 27 21.3 17 13.4     127 100.0
(コメント)
1 未成年者の場合、絶対数が6人と少数ではあるが、いずれも全盲者で占められていることは注目に価いする。
2 上記のうち、単身盲ろう者は表4-3の通りである。
表4-3 単身盲ろう者の感覚機能障害の状況 (単位 人)
区分 全盲・全ろう 弱視・全ろう 全盲・難聴 弱視・難聴
2 3 1 2 8
3 5 1 1 10
5 8 2 3 18

5 障害の発生時期の状況
 問5で障害の発生の時期について質問した結果は次のとおりである。

表5-1 視覚障害の発生時期の状況 (単位 人)
区分 0歳~5歳 6歳~12歳 13歳~17歳 18歳~19歳 20歳~39歳 40歳~59歳 60歳~79歳 80歳以上 わからない
実数 26 15 4 1 15 7 1     69
構成比% 37.7 21.7 5.8 1.5 21.7 10.1 1.5     100.0
実数 12 10 4 1 15 16       58
構成比% 20.7 17.2 6.9 1.7 25.9 27.6       100.0
実数 38 25 8 2 30 23 1     127
構成比% 29.9 19.7 6.3 1.6 23.6 18.1 0.8     100.0
(コメント)
1 視覚障害の発生時期をみると最も多いのは、0歳~5歳の幼少時で38名(29.9%)となっている。
2 次いで20歳から39歳までの30名(23.6%)となっている。
3 6歳から12歳までの6年間(主に小学生時代)に障害を受けた者は25名(19.7%)となっている。
表5-2 聴覚障害の発生時期の状況 (単位 人)
区分 0歳~5歳 6歳~12歳 13歳~17歳 18歳~19歳 20歳~39歳 40歳~59歳 60歳~79歳 80歳以上 わからない
実数 36 11 4 2 7 8 1     69
構成比% 52.2 15.9 5.8 2.9 10.1 11.6 1.5     100.0
実数 27 10 7 1 7 6       58
構成比% 46.6 17.2 12.1 1.7 12.1 10.3       100.0
実数 63 21 11 3 14 14 1     127
構成比% 49.6 16.5 8.7 2.4 11.0 11.0 0.8     100.0
(コメント)
1 聴覚障害の発生時期をみると最も多いのは、0歳~5歳の幼少時で63名(49.6%)となっている。
2 次いで6歳から12歳までの21名(16.5%)となっており、本調査集計対象盲ろう者127名中98名(77.2%)は、未成年時において耳が不自由であったことがわかる。
3 20歳以後に聴覚障害を受けた者は、25名(19.7%)となっており、視覚障害の発生時期とは異っている。
表5-3 盲ろう者になった時期の状況 (単位 人)
区分 0歳~5歳 6歳~12歳 13歳~17歳 18歳~19歳 20歳~39歳 40歳~59歳 60歳~79歳 80歳以上 わからない
実数 15 16 4 1 18 13 2     69
構成比% 21.7 23.2 5.8 1.4 26.1 18.8 2.9     100.0
実数 6 10 6   17 19       58
構成比% 10.3 17.4 10.3   29.3 32.8       100.0
実数 21 26 10 1 35 32 2     127
構成比% 16.5 20.5 7.9 0.8 27.6 25.2 1.6     100.0

 本表は、表5-1 視覚障害の発生の原票と表5-2 聴覚障害の発生の原票をクロスして作成したものである。

(コメント)
1 未成年時に盲ろう者になった者は58名(45.7%)、成人してから盲ろう者になった者は69名(54.3%)である。
2 一般的に未成年時代とは「学び」の時代であるが、幼児期・義務教育を受けるべき時期に「光と音」に不自由になっている者が約半数を占めており、コミュニケーション教育の重要性が読みとれる。
3 20歳~59歳は、結婚、家庭では子育て、社会にあっては最も活躍が期待される時代、この時期に「光と音」に不自由になっている者(35+32)が約半数を占めている。
4 男女別にみると男性は、20歳未満で盲ろう者になっている者が過半数を占めているが、女性の場合は、20歳以上になってから盲ろう者になっている者が過半数を占めている。
表5-4 盲ろう者になった順序の状況 (単位 人)
区分 目と耳がほぼ同時に障害を受けた時期 聴覚障害者が視覚障害者にもなった時期 視覚障害者が聴覚障害者にもなった時期 合計
(%)
0歳~5歳 15 6 21             15 6 21 (16.5)
6歳~12歳 3 1 4 6 4 10 7 5 12 16 10 26 (20.5)
13歳~17歳 2 1 3 2 2 4   3 3 4 6 10 (7.9)
18歳~19歳             1   1 1   1 (0.8)
20歳~39歳 3 3 6 11 11 22 4 3 7 18 17 35 (27.6)
40歳~59歳 1 3 4 5 13 18 7 3 10 13 19 32 (25.2)
60歳~79歳       1   1 1   1 2   2 (1.6)

(%)
24
(34.8)
14
(24.1)
38
(29.9)
25
(36.2)
30
(51.7)
55
(43.3)
20
(29.0)
14
(24.1)
34
(26.8)
69
(100.0)
58
(100.0)
127
(100.0)
(100.0)

 本表は、表5-1 視覚障害発生の原票と表5-2 聴覚障害の発生の原票をクロスして作成したものである。

(コメント)
 盲ろう者になった経過をみると
(1) 先ず耳に障害があって、後で目にも障害が発生した者が55名(43.3%)で男女とも1位になっている。
(2) 目と耳にほぼ同時に障害が発生した者は38名(29.9%)となっている。
(3) 先に目に障害があって、後で耳にも障害が発生した者は34名(26.8%)になっている。

6 視覚機能の状況
 問6で視覚の残存機能について質問した結果は次のとおりである。

表6 視覚機能の状況(複数回答) (単位 人)
区分 全盲 弱視 点字を使用中 普通の大きさの墨字を使用中 拡大した墨字を使用中 一人で外出ができる 外出・移動の時には介助が必要 移動の時には白杖を使用中 盲導犬を使用中 その他 わからない 回答者数
実数 42 27 41 9 15 25 44 39   4   246 69
構成比% 17.1 11.0 16.7 3.6 6.1 10.1 17.9 15.9   1.6   100.0
実数 30 28 31 9 17 18 37 32   2   204 58
構成比% 14.7 13.7 15.2 4.4 8.4 8.8 18.1 15.7   1.0   100.0
実数 72 55 72 18 32 43 81 71   6   450 127
構成比% 16.0 12.2 16.0 4.0 7.1 9.6 18.0 15.8   1.3   100.0
(コメント)
 問6は、盲ろう者の視覚機能の活用状況等を文字と移動方法について調査したものである。
(1) 文字の状況をみると
点字を使用中72名(回答者の56.7%)、普通の大きさの墨字を使用中が18名(回答者の14.2%)、拡大した墨字を使用中が32名(回答者の25.2%)、その他1名(点字を勉強中)、回答なし4名となっている。
(2) 外出の状況を多い順にみると
外出移動の時には介助が必要 81名(回答者の63.8%)
移動の時は白杖を使用中 71名(回答者の55.9%)
一人で外出ができる 32名(回答者の25.2%)
(3) その他には、「不案内のところは介助が必要」「時と場合によって介助が必要」「夜間は白杖を使用」「夜間外出は介助が必要」「近所は飼犬が案内する」「盲導犬が欲しいが家が狭い」があった。
表6-2 年齢階層別・視覚機能の状況(複数回答) (単位 人)
区分 全盲 弱視 点字を使用中 普通の大きさの墨字を使用中 拡大した墨字を使用中 一人で外出ができる 外出・移動の時には介助が必要 移動の時には白杖を使用中 盲導犬を使用中 その他 回答者数
17歳以下 実数 3   2       3 2     10 3
構成比% 30.0   20.0       30.0 20.0     100.0
18~19 実数 3   3       3 1     10 3
構成比% 30.0   30.0       30.0 10.0     100.0
20~39 実数 16 19 20 10 13 19 16 16   2 131 35
構成比% 12.2 14.5 15.3 7.6 9.9 14.5 12.2 12.2   1.6 100.0
40~59 実数 34 24 27 7 15 16 37 32   2 194 58
構成比% 17.5 12.4 13.9 3.6 7.7 8.2 19.1 16.5   1.1 100.0
60~79 実数 15 12 19 1 4 8 21 20   2 102 27
構成比% 14.7 11.8 18.6 1.0 3.9 7.8 20.6 19.0   2.0 100.0
80歳以上 実数 1   1       1       3 1
構成比% 33.7   33.3       33.3       100.0
実数 72 55 72 18 32 43 81 71   6 450 127
構成比% 16.0 12.2 16.0 4.0 7.1 9.6 18.0 15.8   1.3 100.0
(コメント)
1 17歳以下の者及び80歳以上の者は、ほとんど点字を使用中、外出・移動の時には介助者が必要となっている。
2 今回の調査では、盲導犬といえるものの使用者はいなかった。

7 聴覚機能の状況
 問7で聴覚の残存機能等について質問した調査は次のとおりである。

表7-1 聴覚機能の状況(複数回答) (単位 人)
区分 全ろう 難聴 中途失聴 補聴器を装用すると周囲の物音の区別ができる 補聴器を装用すると話の内容がわかる 補聴器を装用すると日常会話ができる ループ装置の部屋で補聴器の装用で日常会話できる その他 わからない 回答者数
実数 43 26 23 18 8 15   4 2 139 69
構成比% 30.9 18.7 16.5 12.9 5.8 10.8   2.9 1.5 100.0
実数 40 18 23 11 7 10 2 3   114 58
構成比% 35.1 15.8 20.2 9.6 6.1 8.8 1.8 2.6   100.0
実数 83 44 46 29 15 25 2 7 2 253 127
構成比% 32.8 17.4 18.2 11.5 5.9 9.9 0.8 2.7 0.8 100.0
(コメント)
 問7は、盲ろう者の聴覚障害の状況、聴覚機能を調査したものである。
(1) 聴覚障害の状況をみると
全ろう者(幼小児から聴覚と言語に障害のあった者)が83名(回答者の65.4%)で圧倒的に多くなっている。
 難聴者は44名  (回答者の34.6%)
 中途失聴は46名 (回答者の36.2%)
(2) 聴力の状況をみると
補聴器を装用すると周囲の物音の区別ができる  29名(回答者の22.8%)
補聴器を装用すると話の内容がわかる  15名(回答者の11.8%)
補聴器を装用すると日常会話ができる  25名(回答者の19.7%)
ループ装置の部屋では補聴器の装用で日常会話できる  2名(回答者の1.6%)
その他7名の内訳は次のとおりである。
「ここ1年位は音声が聞える事も少なくほとんどわからない」 1名(男)
「補聴器を装用すると物音が伝わるが、区別は不能」 1名(男)
「補聴器を装用しているが効果は不明、しかし補聴器に期待している」 1名(男)
「補聴器を装用中。大きな音はわかる、自分の声を確認するため」 1名(女)
「補聴器を装用中。音だけはわかる」 1名(女)
「難聴気味ということで、現在は問題ない」 1名(男)
「肢体障害」 1名(女)
表7-2 年齢階層別・聴覚機能の状況(複数回答) (単位 人)
区分 全ろう 難聴 中途失聴 補聴器を装用すると周囲の物音の区別ができる 補聴器を装用すると話の内容がわかる 補聴器を装用すると日常会話ができる ループ装置の部屋で補聴器の装用で日常会話できる その他 わからない 回答者数
17歳以下 実数 1 2   1   2       6 3
構成比% 16.7 33.3   16.7   33.3       100.0
18~19 実数 1 2   2   1       6 3
構成比% 16.7 33.3   33.3   16.7       100.0
20~39 実数 23 12 8 7 3 5 1 3   62 35
構成比% 37.1 19.4 12.9 11.3 4.8 8.1 1.6 4.8   100.0
40~59 実数 40 18 19 12 9 13 1 4 1 117 58
構成比% 34.1 15.4 16.2 10.2 7.8 11.1 0.9 3.4 0.9 100.0
60~79 実数 17 10 18 7 3 4     1 60 27
構成比% 28.3 16.7 30.0 11.7 5.0 6.7     1.6 100.0
80歳以上 実数 1   1             2 1
構成比% 50.0   50.0             100.0
実数 83 44 46 29 15 25 2 7 2 253 127
構成比% 32.8 17.4 18.2 11.5 5.9 9.9 0.8 2.7 0.8 100.0
(コメント)
1 難聴者数は若い年齢階層者にウェイトが高くなっているに対し、中途失聴数は高い年齢階層の者になるにつれてウェイトが高くなっている。
2 補聴器は若い年齢階層の者に活用されている傾向が認められる。

8 盲ろう以外の身体障害の状況
 問8で盲ろう以外の身体障害の状況について質問した結果は次のとおりである。

表8 身体障害手帳(視覚障害・聴覚障害)以外の障害の状況 (単位 人)
区分 肢体不自由 内部障害 その他 わからない
実数 4 4   61 69
構成比% 5.8 5.8   88.4 100.0
実数 6     52 58
構成比% 10.3     89.7 100.0
実数 10 4   113 127
構成比% 7.8 3.2   89.0 100.0
(コメント)
1 問8は、盲ろう者の盲ろう以外の身体障害の保有の状況を把握しようとしたが、「なし」の欄がなかったためか「わからない」の欄に回答が集中した。(反省)
2 盲ろうという二重障害のほかに
肢体不自由の三重障害者 10名(7.8%)
内部障害の三重障害者 4名(3.2%)
3 以上のことから回答のあった盲ろう者の約1割は三重障害者であることが分かる。

9 身体障害以外の障害の状況
 問9で身体障害以外の障害の状況について質問した結果は次のとおりである。

表9 身体障害以外の障害の状況 (単位 人)
区分 知的障害 情緒障害 その他 わからない
実数 1 3 3 62 69
構成比% 1.5 4.3 4.3 89.9 100.0
実数 1 1 4 52 58
構成比% 1.7 1.7 6.9 89.7 100.0
実数 2 4 7 114 127
構成比% 1.6 3.2 5.5 89.7 100.0
(コメント)
1 問9は、身体障害以外の障害の保有状況を把握しようとしたが、問8の場合と同様「なし」欄がなかったため「わからない」欄に回答が集中したものと思われる。
2 本人に対して「知的障害(精神薄弱)等」を質問することは、現在の日本においてふさわしくなかったのではないかと反省している。
3 その他の内容は次のとおりであった。
ア スティックナー症侯群 1名
イ 精神科通院中 1名
ウ 言語機能障害 2名(これは身体障害です)
エ 平衝機能障害 2名(〃)
オ 関節異常 1名(〃)

10 コミュニケーション方法の状況
 問10で現在使用されているコミュニケーション方法を質問した結果は次のとおりである。

表10-a-1 話すときの方法(複数回答) (単位 人)
区分 音声 指文字
日本語50音式
指文字
ローマ字式
手話 手書き文字
相手の掌等に書く
指点字 ブリスタ 発音は明瞭 発音は不明瞭 キュード
スピーチ
筆談
点字または墨字
その他 わからない 回答者数
実数 41 24 12 24 34 23 17 31 12 3 28     249 69
構成比% 16.5 9.6 4.8 9.6 13.7 9.2 6.8 12.4 4.8 1.2 11.2     100.0
実数 36 20 5 28 33 14 12 29 14   22     213 58
構成比% 16.9 9.4 2.3 13.2 15.5 6.6 5.6 13.6 6.6   10.3     100.0
実数 77 44 17 52 67 37 29 60 26 3 50     462 127
構成比% 16.7 9.5 3.7 11.3 14.5 8.0 6.3 13.0 5.6 0.6 10.8     100.0
(コメント)
1 盲ろう者のコミュニケーション方法は、盲ろう者になった経過、成育環境、就学した学校環境、本人の障害の程度、努力等によりさまざまであると考えられる。
2 話すときの方法で多いのは
音声・手書き文字(相手の掌等に書く)・発音は不明瞭・手話・筆談等になっている。
3 話すときの方法で1か所にだけ○をつけた者は8名で次のとおりである。
(1) 音声 4名(男2・女2)
(2) 手話 2名(男2)
(3) 手書き 2名(男2)
表10-a-2 障害者程度別・話すときの方法(複数回答) (単位 人)
区分 音声 指文字日本語50音式 指文字ローマ字式 手話 手書き文字
相手の掌等に書く
指点字 ブリスタ 発音は明瞭 発音は不明瞭 キュード
スピーチ
筆談
点字または墨字
その他 わからない 計 B 回答者数 A
全盲・全ろう 実数 19 14 8 20 28 16 12 13 8 1 17     156 45
構成比% 12.2 9.0 5.1 12.8 17.9 10.3 7.7 8.3 5.1 0.7 10.9     100.0
弱視・全ろう 実数 22 21 5 24 23 12 11 14 14 2 18     166 38
構成比% 13.3 12.7 3.0 14.5 13.9 7.2 6.7 8.4 8.4 1.2 10.8     100.0
全盲・難聴 実数 21 5 2 3 9 6 4 19 3   7     79 27
構成比% 26.6 6.3 2.5 3.8 11.4 7.6 5.1 24.1 3.8   8.8     100.0
弱視・難聴 実数 15 4 2 5 7 3 2 14 1   8     61 17
構成比% 24.6 6.6 3.3 8.2 11.5 4.9 3.3 22.9 1.6   13.1     100.0
実数 77 44 17 52 67 37 29 60 26 3 50     462 127
構成比% 16.7 9.5 3.7 11.3 14.5 8.0 6.3 13.0 5.6 0.7 10.8     100.0
(コメント)
1 音声・筆談は難聴者に多く用いられている。
2 指文字・手話・手書き文字・ブリスタ(点字タイプライター)・キュードスピーチは全ろう者に多く用いられている。
3 指点字は全盲者に多く用いられている。
表10-a-3 年齢階層別・話すときの方法(複数回答) (単位 人)
区分 音声 指文字
日本語50音式
指文字
ローマ字式
手話 手書き文字
相手の掌等に書く
指点字 ブリスタ 発音は明瞭 発音は不明瞭 キュード
スピーチ
筆談
点字または墨字
その他 わからない 回答者数
17歳以下 実数 2         1   1 1         5 3
構成比% 40.0         20.0   20.0 20.0         100.0
18~19 実数 2   1     1 2 2 1         9 3
構成比% 22.2   11.1     11.1 22.2 22.2 11.1         100.0
20~39 実数 18 20 9 18 17 15 14 11 15 3 15     155 35
構成比% 11.6 12.9 5.8 11.6 11.0 9.7 9.0 7.1 9.7 1.9 9.7     100.0
40~59 実数 32 23 7 30 35 16 9 28 7   22     209 58
構成比% 15.4 10.6 3.4 14.4 16.8 7.7 4.3 13.4 3.4   10.6     100.0
60~79 実数 22 1   3 14 4 4 18 2   12     80 27
構成比% 27.5 1.2   3.8 17.5 5.0 5.0 22.5 2.5   15.0     100.0
80歳以上 実数 1     1 1           1     4 1
構成比% 25.0     25.0 25.0           25.0     100.0
実数 77 44 17 52 67 37 29 60 26 3 50     462 127
構成比% 16.7 9.5 3.7 11.3 14.5 8.0 6.3 13.0 5.6 0.6 10.8     100.0
(コメント)
1 「指文字・指点字・ブリスタ」は年齢が低い者に多く用いられている。
2 「手書き文字・筆談」は年齢の高い者にほど用いられている。
3 「発音は不明瞭」は年齢の低い者に多い。
表10-a-4 盲ろう者になった経過別・話すときの方法(複数回答) (単位 人)
区分 1 音声 2 指文字
50音
3 指文字
ローマ字
4 手話 5 手書き文字掌 6 指点字 7 ブリスタ 8 発音は明瞭 9 発音は不明瞭 10 キュード
スピーチ
11 筆談点字・墨字 12 その他 13 わからない 回答者数
幼児(0~5歳)期にほぼ同時に目と耳に障害を受けた者 実数 11 8 7 8 9 5 5 3 10 1 8     75 21
構成比% 14.7 10.7 9.3 10.7 12.0 6.6 6.6 4.0 13.3 1.3 10.7     100.0
6歳以上になってほぼ同時に目と耳に障害を受けた者 実数 13 4 5 4 11 9 5 11 1   8     71 17
構成比% 18.3 5.6 7.0 5.6 15.5 12.7 7.0 15.4 1.4   11.3     100.0
はじめ耳に障害を受けていて、のちに目も障害を受けた者 実数 22 26 4 37 35 12 9 19 14 2 19     199 55
構成比% 11.1 13.1 2.0 18.6 17.6 6.0 4.5 9.5 7.0 1.0 9.5     100.0
はじめ目に障害を受けていて、のちに耳も障害を受けた者 実数 31 6 1 3 12 11 10 27 1   15     117 34
構成比% 26.5 5.1 0.9 2.6 10.3 9.4 8.5 23.1 0.9   12.8     100.0
合計 実数 77 44 17 52 67 37 29 60 26 3 50     462 127
構成比% 16.7 9.5 3.7 11.3 14.5 8.0 6.3 13.0 5.6 0.7 10.8     100.0
(コメント)
1 「指文字50音」・「発音は不明瞭」は幼児期に目と耳にほぼ同時に障害を受けた者に多い。
2 「指文字」は、6歳以上になって目と耳にほぼ同時に障害を受けた者に用いられている率が高い。
3 「指文字50音」・「手話」・「手書き文字掌」は、はじめ耳に障害を受けて後に目にも障害を受けた者に用いられている率が高い。
4 「音声」・「ブリスタ」・「発音は明瞭」・「筆談点字・墨字」は、はじめ目に障害を受けて後に耳にも障害を受けた者に用いられている率が高い。
表10-b-1 聞くときの方法(複数回答) (単位 人)
区分 指点字
パーキンス型
指点字
ライトブレーラー
指文字
50音式触れる
指文字
50音式を見る
指文字
ローマ字式触れる
指文字
ローマ字式見る
手話に触れる 手話を近くで見る 手話を遠くで見る 手書き文字
掌にひらがな
手書き文字
掌にカタカナ
手書き文字
掌に漢字まじり
音声・口話 キュード
スピーチ
筆談
点字墨字紙に書く
補聴器使用 ブリスタ その他 わからない
実数 13 7 18 4 10 2 22 4 2 31 21 12 17 1 25 16 19 1 1 226
構成比% 5.8 3.1 8.0 1.8 4.4 0.9 9.7 1.8 0.9 13.7 9.3 5.3 7.5 0.4 11.1 7.1 8.4 0.4 0.4 100.0
実数 11 2 11 8 4 2 18 14 0 29 15 15 14 0 22 10 13 2 0 190
構成比% 5.8 1.1 5.8 4.2 2.1 1.1 9.5 7.4   15.2 7.9 7.9 7.4   11.5 5.2 6.8 1.1   100.0
実数 24 9 29 12 14 4 40 18 2 60 36 27 31 1 47 26 32 3 1 416
構成比% 5.8 2.2 7.0 2.9 3.4 1.0 9.6 4.3 0.5 14.4 8.6 6.5 7.5 0.2 11.3 6.2 7.7 0.7 0.2 100.0
回答者 実数 24 9 29 12 14 4 40 18 2 60 36 27 31 1 47 26 32 3 1 127
18.9 7.1 22.8 9.4 11.0 3.1 31.5 14.2 1.6 47.2 28.3 21.3 24.4 0.8 37.0 20.5 25.2 2.4 0.8 100.0
(コメント)
1 盲ろう者にとって情報を得ることは情報を伝えることと同様、困難を伴うことが察せられる。表頭の数種の手段を用いるため話すことと同様に困難である。
2 聞くときの方法で多く用いられているのは、手書き文字・手話に触れる(触読)・ブリスタ(点字タイプライター)・指文字・筆談等である。
3 聞くときの方法で1カ所にだけ○をつけた者は22名で次の通りである。
(1) 手書き文字8名(男4・女4)
(2) 音声・口話4名(男2・女2)
(3) 指文字3名(男2・女2)
(4) 補聴器使用2名(男2)
(5) 手話をてに触れる2名(男2)
(6) 手話を遠くで見る1名(男)
(7) 手話を近くで見る1名(女)
(8) 不明1名
4 その他3名の内訳は、次のとおりである。
(1) 文字板(男)
(2) 手書き文字(漢字だけ)(女)
(3) 手書き文字(自分の掌にひらがな、簡単なカタカナ、漢字まじりで)(女)
表10-b-2 障害程度別・聞くときの方法(複数回答) (単位 人)
区分 指点字
パーキンス型
指点字
ライトブレーラー
指文字
50に音式触れる
指文字
50音式を見る
指文字
ローマ字式触れる
指文字
ローマ字式見る
手話に触れる 手話を近くで見る 手話を遠くで見る 手書き文字
掌にひらがなを書く
手書き文字
掌にカタカナを書く
手書き文字
掌に漢字まじりで書く
音声・口話 キュード
スピーチ
筆談
点字・漢字を紙に書く
補聴器使用 ブリスタ その他 わからない 回答者数
全盲・全ろう 実数 11 4 8   7   17     27 16 12 2   14 2 16 1   137 45
構成比% 8.0 2.9 5.8   5.1   12.4     19.7 11.7 8.8 1.5   10.2 1.5 11.7 0.7   100.0
弱視・全ろう 実数 7 2 13 9 3 3 20 14 2 23 12 12 3 1 16 3 9 1   153 38
構成比% 4.5 1.3 8.5 5.9 2.0 2.0 13.1 9.2 1.3 15.0 7.8 7.8 2.0 0.6 10.5 2.0 5.9 0.6   100.0
全盲・難聴 実数 5 3 5 1 3   1 2   4 2 1 16   7 16 5 1 1 73 27
構成比% 6.9 4.1 6.8 1.4 4.1   1.4 2.7   5.5 2.7 1.4 21.9   9.6 21.9 6.8 1.4 1.4 100.0
弱視・難聴 実数 1   3 2 1 1 2 2   6 6 2 10   10 5 2     53 17
構成比% 1.9   5.7 3.8 1.9 1.9 3.8 3.8   11.3 11.3 3.8 18.8   18.8 9.4 3.8     100.0
実数 24 9 29 12 14 4 40 18 2 60 36 27 31 1 47 26 32 3 1 416 127
構成比% 5.8 2.2 7.0 2.9 3.4 1.0 9.6 4.3 0.4 14.4 8.7 6.4 7.5 0.2 11.3 6.3 7.7 0.7 0.2 100.0
(コメント)
1 指文字・手話・手書き文字等は全ろう者に多く用いられている。
2 音声・補聴器は難聴者に多く用いられている。
3 ブリスタ(点字タイプライター)は、全盲者に多く用いられている。
表10-b-3 年齢階層別・聞くときの方法(複数回答) (単位 人)
区分 指点字
パーキンス型
指点字
ライトブレーラー
指文字
50音式に触れる
指文字
50音式を見る
指文字
ローマ字式触れる
指文字
ローマ字式見る
手話に触れる 手話を近くで見る 手話を遠くで見る 手書き文字
掌にひらがなを書く
手書き文字
掌にカタカナを書く
手書き文字
掌に漢字まじりで書く
音声・口話 キュード
スピーチ
筆談
点字・漢字を紙に書く
補聴器使用 ブリスタ その他 わからない 回答者数
17歳以下 実数 1 1 1                    2     3       8 3
構成比% 12.5 12.5 12.5                   25.0     37.5       100.0
18~19 実数 1       1               1     2 2     7 3
構成比% 14.3       14.3               14.3     28.5 28.5     100.0
20~39 実数 11 4 15 10 7 3 9 11 2 20 9 6 9 1 17 7 12 1   154 35
構成比% 7.1 2.6 9.7 6.5 4.5 1.9 5.9 7.1 1.3 13.0 5.9 3.9 5.9 0.7 11.0 4.5 7.8 0.7   100.0
40~59 実数 9 4 13 2 6 1 30 5   28 14 17 12   16 10 12 2 1 182 58
構成比% 5.0 2.2 7.2 1.1 3.3 0.5 16.5 2.7   15.4 7.7 9.3 6.6   8.8 5.5 6.6 1.1 0.5 100.0
60~79 実数 2           1 2   12 12 4 7   13 4 6     63 27
構成比% 3.2           1.6 3.2   19.0 19.0 6.4 11.1   20.6 6.4 9.5     100.0
80歳以上 実数                     1       1         2 1
構成比%                     50.0       50.0         100.0
実数 24 9 29 12 1 4 40 18 2 60 36 27 31 1 47 26 32 3 1 416 127
構成比% 5.8 2.2 7.0 2.9 3.4 1.0 9.6 4.3 0.4 14.4 8.6 6.5 7.5 0.2 11.3 6.2 7.7 0.7 0.2 100.0
(コメント)
1.「手書き文字・筆談」は、年齢の高い者に多く使用されている。
2.指文字・補聴器・ブリスタは年齢の低い者に多く使用されている。
表10-b-4 盲ろう者になった経過別・聞くときの方法(複数回答) (単位 人)
区分
指点字パーキンス型

指点字ライドブレーラー型

指文字50音式触れる

指文字50音式を見る

ローマ字式触れる

ローマ字式見る

手話に触れる

手話を近くで見る

手話を遠くで見る
10
手書き文字掌にひらがな
11
手書き文字掌にカタカナ
12
手書き文字掌に漢字まじり
13
音声・口話
14
キュードスピーチ
15
筆談 点字墨字紙に書く
16
補聴器使用
17
ブリスタ
18
その他
19
わからない
回答者数
幼児(0~5歳)期にほぼ同時に目と耳に障害を受けた者 実数 2 1 5 3 6 1 7 3   10 5 5 5 1 8 4 5 1   72 21
構成比% 2.8 1.4 6.9 4.2 8.3 1.4 9.7 4.2   13.9 6.9 6.9 6.9 1.4 11.1 5.6 6.9 1.4   100.0
6歳以上になってほぼ同時に目と耳に障害を受けた者 実数 4 1 2 2 2 1 2 1   10 7 1 5   9 4 6     57 17
構成比% 7.0 1.8 3.5 3.5 3.5 1.8 3.5 1.8   17.5 12.3 1.8 8.8   15.8 7.0 10.5     100.0
はじめ耳に障害を受け、のち目にも障害を受けた者 実数 9 1 16 7 5 2 30 13 2 32 18 20 6   13 6 9 1   190 55
構成比% 4.7 0.5 8.4 3.7 2.6 1.1 15.8 6.8 1.1 16.8 9.5 10.5 3.2   6.8 3.2 4.7 0.5   100.0
はじめ目に障害を受け、のち耳にも障害を受けた者 実数 9 6 6   1   1 1   8 6 1 15   17 12 12 1 1 97 34
構成比% 9.3 6.2 6.2   1.0   1.0 1.0   8.2 6.2 0.1 15.5   17.5 12.4 12.4 1.0 1.0 100.0
合計 実数 24 9 29 12 14 4 40 18 2 60 36 27 31 1 47 26 32 3 1 416 127
構成比% 5.8 2.2 7.0 2.9 3.4 1.0 9.6 4.3 0.5 14.4 8.7 6.5 7.5 0.2 11.3 6.3 7.7 0.7 0.2 100.0
(コメント)
1. 幼児期にほぼ同時に目と耳に障害を受けた者は、「手書き文字掌にひらがな」「筆談 点字・墨字を紙に書く」を用いている者が多い。
2. 6歳以上になってほぼ同時に目と耳に障害を受けた者は、「手書き文字掌にひらがな」「筆談点字・墨字を紙に書く」「ブリスタ」を用いている者が多い。
3. はじめ耳に障害を受け、のちに目も障害を受けた者は「手話に触れる」「手書き文字」を用いている者が多い。
4. はじめ目に障害を受け、のちに耳も障害を受けた者は「音声・口話」「筆談点字・墨字を紙に書く」「補聴器使用」「ブリスタ」を使用している者が多い。
5. 現在盲ろう者が一番多く使用しているのは「手書き文字」「筆談(点字・墨字)」があげられる。

11 コミュニケーション手段の獲得方法
 問11で現在使用しているコミュニケーション手段の獲得方法について質問した結果は次のとおりである。

表11-1 コミュニケーション手段の獲得方法(複数回答) (単位 人)
区分 盲学校で点字を学習した 盲学校でローマ字式指文字を学習した ろう学校で手話や指文字を学習した 地域の点字サークル等で点字を学習した 地域の手話サークル等で手話を学習した 盲ろう者の交流会でコミュニケーション手段を学習した 独学で覚えた 友人と練習した その他 わからない 回答者数
実数 28 2 14 4 10 22 12 14 13 3 122 69
構成比% 23.0 1.7 11.5 3.4 8.2 18.1 9.4 11.5 10.7 2.5 100.0
実数 6 2 16 2 11 13 15 12 13 7 97 58
構成比% 6.1 2.1 16.5 2.1 11.3 13.4 15.5 12.4 13.4 7.2 100.0
実数 34 4 30 6 21 35 27 26 26 10 219 127
構成比% 15.5 1.8 13.7 2.7 9.6 16.0 12.3 11.9 11.9 4.6 100.0
(コメント)
1 盲ろう者にとってコミュニケーション獲得は極めて大切なことである。
2 コミュニケーション手段と獲得(学習)した方法の多い順にみると
(1) 盲ろう者の交流会でコミュニケーション手段を学習した 35名(16.0%)
(2) 盲学校で点字を学習した 34名(15.5%)
(3) ろう学校で手話や指文字を学習した 30名(13.7%)
(4) 独学で覚えた 27名(12.3%)
(5) 友人と練習した 26名(11.9%)となっている。
3 「その他」と回答した26名の内訳は、次のとおりであった。
(1) 国・地方公共団体・民間の社会福祉・リハビリテーション施設で学習した 18名(11.0%)
(2) 個人ボランティアに指導していただいた 5名(3.9%)
(3) 家族に習った 2名(1.6%)
(4) 特別他人から教えてもらわなかった 1名(0.8%)
 以上のことから盲ろう者のコミュニケーション手段は、盲ろう者になって初めて新しいコミュニケーション手段を獲得しなければならなくなったことが想像でき、地域社会において、盲ろう者向けコミュニケーション手段獲得の機会を提供することが必要であることがわかる。
 この意味で、本調査で盲ろう者のコミュニケーション手段獲得の場が、地域の盲ろう者友の会が実施している「盲ろう者交流会」を35名と一番多く挙げていることは意義深いことと思われる。
表11-2 年齢階層別・コミュニケーション手段獲得の状況(複数回答) (単位 人)
区分 盲学校で点字を学習した 盲学校でローマ字式指文字を学習した ろう学校で手話・指文字を学習した 地域の点字サークル等で点字を学習した 地域の手話サークル等で手話を学習した 盲ろう者の交流会でコミュニケーション手段を学習した 独学で覚えた 友人と練習した その他 わからない 回答者数
17歳以下 実数 2         1     1 1 5 3
構成比% 40.0         20.0     20.0 20.0 100.0
18~19 実数 3 1                 4 3
構成比% 75.0 25.0                 100.0
20~39 実数 11 2 10 1 8 10 9 9 8 3 71 35
構成比% 15.5 2.8 14.1 1.4 11.2 14.1 12.7 12.7 11.3 4.2 100.0
40~59 実数 9 1 17 4 12 17 12 14 13 3 102 58
構成比% 8.8 1.0 16.7 3.9 11.8 16.7 11.8 13.7 12.7 2.9 100.0
60~79 実数 9   2 1 1 7 6 2 4 3 35 27
構成比% 25.7   5.7 2.9 2.9 20.0 17.1 5.7 11.4 8.6 100.0
80歳以上 実数     1         2     3 1
構成比%     33.3         66.7     100.0
実数 34 4 30 6 21 35 27 27 26 10 220 127
構成比% 15.5 1.8 13.6 2.7 9.5 16.0 12.3 12.3 11.8 4.5 100.0
(コメント)
 コミュニケーション手段獲得上、20歳から79歳の盲ろう者にとって、各地の盲ろう者友の会が中心になって実施している「盲ろう者の友の会」が重要であることが一層明確になっている。

12 訪問相談員派遣制度への意見
 問12で当協会が初めて試行的に実施している訪問相談員(盲ろう者向け通訳・介助者)の派遣について質問した結果は、次のとおりである。

表12-a 派遣を受けて「よかったこと」(複数回答) (単位 人)
区分 まだ派遣を受けていないのでわからない 家族以外の人と会話ができたこと コミュニケーション手段が増えたこと コミュニケーション手段が増えたこと ことばの数が増えたこと 家族に対する気兼が少なくなったこと 外出する機会が多くなったこと 友達が増えたこと 交流会等集団社会に参加ができたこと この世の中に自分と同じ障害をもった人と会話ができたこと 情報が多くなったこと その他 わからない
実数 22 27 26 10 18 33 26 31 24 29 1 2 47
構成比%   67.4 55.3 21.3 38.2 70.2 55.3 66.0 51.0 61.7 2.1 4.2 100.0
実数 9 17 16 11 13 29 20 26 22 22 6 6 49
構成比%   34.7 32.7 22.4 56.5 61.7 40.8 53.1 44.9 44.9 12.2 12.2 100.0
実数 31 44 42 21 31 62 46 57 46 51 7 8 96
構成比%   15.8 43.8 21.9 32.3 64.6 47.9 59.4 47.9 53.1 7.3 8.3 100.0
(コメント)
1 現在、盲ろう者は、視覚障害者福祉対策と聴覚障害者福祉対策等身体障害者福祉対策を享受することはできるが、盲ろう者福祉対策として盲ろう者に対する独立した制度は、一部地方公共団体を除いては見当らない。
2 当協会は、平成2年度(1990)から社会福祉医療事業団の長寿社会福祉基金の助成金を受けて、重度の盲ろう者に試行的に「盲ろう者向け通訳介助者(訪問相談員)」を派遣している。本調査はこの訪問相談員の派遣を受けた者の意見を求めたものである。
3 本調査回答者数127名(100.0%)のうち、訪問相談員の派遣を受けた者は96名(75.6%)、訪問相談員の派遣を受けていないが31名(24.4%)であった。
4 訪問相談員の派遣を受けて過半数の者が「よかった」をあげ
(1) 外出する機会が多くなったこと 62名(64.6%)
(2) 交流会等集団社会に参加できたこと 57名(59.4%)
(3) 情報が多くなったこと 51名(53.1%)と答えている。
5 「その他」7名の内訳は次のとおりである。
(1) 訪問相談員の訪問を受けて「生きていてよかったと思うようになった」(男)
(2) 問題解決がスムーズになった(女)
(3) 社会参加活動の情報が多くなった。但し、生活面での情報はまだまだ少ない。(女)
(4) 訪問相談員の訪問はとても良いが、内容について十分通じない為に調査不可能(女)・・・?
(5) 訪問相談員の介助によって外出の行動が楽で安心(女)
(6) 会話に慣れて読みとり易くなった。(女)
(7) 特に変わりはない。(女)
6 男女別にみると「家族に対する気兼が少なくなったこと」・「ことばの数が増えたこと」以外は男性に多く喜ばれている。
表12-b 派遣を受けての「感想」(複数回答) (単位 人)
区分 まだ派遣を受けていないのでわからない もっと地域に相談員を増やして欲しい 早く市町村の「制度」にして欲しい 訪問相談員の訪問をもっと多く公費負担でみてほしい ホームヘルパーに通訳技術を身につけてほしい ガイドヘルパーに通訳技術を身につけてほしい 身障福祉センターに通訳者を配置してほしい 市役所や役場に通訳者を配置してほしい 病院に盲ろう者向け通訳者を配置してほしい 盲ろう者協会は家族も訪問相談員と認めてほしい その他 わからない 派遣を受けた者数
実数 22 36 33 30 25 26 28 30 24 24 5 6 47
構成比%   76.6 70.2 63.8 53.2 55.3 59.6 63.8 51.1 51.1 10.6 12.8 100.0
実数 9 29 28 23 22 22 25 31 28 20 2 5 49
構成比%   59.1 57.1 46.9 44.9 44.9 51.0 63.3 57.1 40.8 4.1 10.2 100.0
実数 31 65 61 53 47 48 53 61 52 44 7 11 96
構成比%   67.7 63.5 55.2 49.0 50.0 55.2 63.5 54.2 45.8 7.3 11.5 100.0
(コメント)
1 訪問相談員の派遣を受けた者の感想は上記の通りである。
(1) もっと地域に訪問相談員を増やして欲しい 65名(67.7%)
(2) 早く市町村の「制度」にして欲しい 61名(63.5%)
(3) 市役所や役場に「盲ろう者向け「通訳者」を配置して欲しい 61名(63.5%)
(4) 訪問相談員の訪問をもっと多く公費負担でみて欲しい 53名(55.2%)
(5) 身体障害者福祉センターに「盲ろう者向け通訳者」を配置して欲しい 53名(55.2%)
(6) 病院に「盲ろう者向け通訳者」を配置して欲しい 52名(54.2%)
(7) ガイドヘルパーに盲ろう者向け通訳技術を身につけてほしい 48名(50.0%)
  が回答者の過半数を超えている。
2 「その他」7名の感想は次のとおりである。
(1) 訪問相談員は、最低限の勉強をして欲しい
   ガイドヘルパーの技術を身につけてして欲しい(男)
(2) 買物に行くとき、店員さんに通訳できる人がいて欲しい(男)
(3) 訪問相談員では、ろう者の方が、自分の悩みなどをよく理解してくれる(男)
(4) 盲ろう者向け通訳介助者(訪問相談員)の養成が必要であるが、同時に既存の制度「ホームヘルパーやガイドヘルパー」に盲ろう者の対応技術を取得させることも必要(男)
(5) 市町村の前に都道府県が「盲ろう者向け通訳者派遣制度」を設置すべきだ(男)
(6) 訪問相談員は病院等の大切な内容についてはきちんと通訳して欲しい(女)
(7) 慣れた訪問相談員でないと不安で外出できない(女)

主題:
盲ろう者実体調査報告書 1頁~47頁

発行者:
社会福祉法人 全国盲ろう者協会

発行年月:
1996年3月

文献に関する問い合わせ先:
社会福祉法人 全国盲ろう者協会
〒162 東京都新宿区西早稲田2-2-8
(財)全国心身障害児福祉財団ビルB1F
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FAX 03-5272-1692