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指定発言

色部 陽(東京都民生児童委員連合会)

東京都民生児童委員連合会事務局の色部です。先程来、皆さんの発表のなかに、民生委員という言葉が出てきました。私は、都内の民生児童委員の団体の職員としてお話いたします。

民生委員という制度は、できてから90年経っておりまして、古い制度です。民生委員の90周年を記念し、「民生委員児童委員発 災害時一人も見逃さない運動」として、全国一斉に災害対策に取り組み、要援護者支援の名簿づくりや災害マップ作りなどの取り組みをしています。災害時要援護者として、障害をもつ当事者はもちろん、高齢者、乳幼児を抱えたご家庭を災害に備えて支援するために活動しています。

災害対策に取り組むにあたり、個人情報が得られないので難しい部分があります。特に障害をもつ方の情報については、どうも行政や関係機関からの情報が得られないところがありまして、民生委員も苦労しています。今、各地区で取り組みが進められています。

もう一つご紹介したいのは、東京都民生児童委員連合会として取り組んでいる、自主研修のグループについてです。そのうちの1つとして、「障がい福祉部会」というのがあります。障害をもつ方の地域生活を中心に、民生委員の立場から勉強しようという自主研修グループです。

このグループでは、障害者と災害の取り組みをテーマとして取り上げ、災害に備えて障がいを持った方に対してどのような支援が民生委員の立場からできるかを考えています。その関係で、今回はこのシンポジウムに事務局の立場で参加し、お話を聞かせていただきました。

私どもは、部会の中で、災害に備えて障害をもった方がどういう不安を抱えているのか、個人情報が必要なときにどの程度の範囲なら得ることが出来るのか、そういったことを作業してきました。この作業の中では、民生委員の部会で検討したものが、どれほど障害当事者のお気持ちに沿ったものなのかを勉強したいと考え、矢澤さん、事務局の原田さんにも協力いただきました。その結果、東京都民生児童委員連合会の障がい福祉部会としては、ぜひ障害をもった当事者の方々、また当事者を支援される団体の方々、そして民生委員の間で、災害の取り組みを1つのテーマにして話し合い、交流を深めていこうと取り組んでいます。

今後ともこのような取り組みを、ぜひ部会として検討しつつ、進めていきたいと思います。

今日は本当に参考になりました。ありがとうございました。

赤崎 倫夫(伊勢湾台風物語バリアフリー上演実行委員会)

「伊勢湾台風物語」バリアフリー上映実行委員会の赤崎と申します。よろしくお願いします。

アニメ「伊勢湾台風物語」を実際にスクリーンに映しながらご説明します。

「伊勢湾台風物語」は20年前の作品です。20年も前のものですから、字幕も音声解説もなかったのですが、先ほど岐阜アソシアの方も言われたように、昨年が伊勢湾台風50年の節目でしたので、ちょうど1年前に、この映画に字幕と音声解説をつけて、50年の節目で振り返っていただけたらと思い、日本ライトハウスさんの協力を得て作成しました。

映画に字幕と副音声をつけるというのは、直接的には情報バリアフリーという目的があります。同時に、今回お配りした資料にありますように、この1年間、いろんなところで上映をしていただきました。先週の土曜日は、岡山県立聴覚障害者センターで、災害支援専門ボランティア研修会の中で上映していただきました。

それから昨年の9月には名古屋市の大同大学で「伊勢湾台風50年 市民防災の集い」があったのですが、そこでも上映してもらいました。

今この会場で流しているものは、音声をマイクで拾っているため聞きづらいのですが、副音声が重ねて出ています。実際のバリアフリー上映のときには、FMを使って、必要な人だけ音声解説を聞く形にもできるのですが、今までの上映会では全部、副音声もあえて目の不自由でない方にも聞こえる状態で流してきました。

それは先程来、まさに皆さんが何度もおっしゃっていたように、地域コミュニティの力が一番大切であることと、もう1つ、災害時・非常時だけでなく日常が大事である、ということが背景にあります。副音声を重ねて流すのはうっとうしい、うるさいという感想も実は聞かれたのですが、なぜうっとうしい、うるさいものが流れているのか。それからなぜ日本の映画なのに字幕がついているのかも含めて、地域の方に日常の中で接していただくことを目的としてやってきました。

今後も機会があればこの映画をどんどん活用していただき、そういう地域コミュニティの力を高めるのに使っていただければと思います。

大竹 博(東京都盲人福祉協会/世田谷区視力障害者福祉協会)

私も防災に関しては全盲の立場でまだまだ実現できないことがたくさんあり、今日は各地の取り組みを勉強させていただいたことを感謝します。主催者の皆様ありがとうございました。

今日は、世田谷で今から4年前、2006年(平成18年)に実現できた取り組みについて、まだまだ残された課題はありますが、話をさせていただきたいと思います。

世田谷区から提供されました災害のマニュアルは、当初は墨字の形しかなく、視覚障害の私どもには単なる紙切れ同然で、情報が届きませんでした。不安を解消するため、私たち視力障害者協会で声を上げて、災害時の情報を届けてほしいとアクションを起こし、なんとか点字版、音声版、音声コードの取り組みを実現しました。入り口のところにその3つを資料として展示してありますので、お帰りの際にお手にとってご覧ください。

このきっかけとなったのは、2006年当時、東京都内では自治体の災害マニュアルはまったくないと耳にしたことが、不思議であり怖くてならなかったことです。私自身も点字を学び、自分でなんとかしなくてはと、多くの方の支援のもとに実現しました。

60冊の点字版を、各福祉施設、盲学校、点字図書館、消防署などに寄贈し設置しました。日頃、多くの方が消防署の前を通っても中に入ったことがありません。先ほどお話しがあったように、警察や消防署の方が私たちと接したことがないのが大きな不安でした。私ども自らが参加しなければならないとアクションを起こし、これが実ったわけです。

音声版の作成は私どもの協会が関わり、就労支援にも結び付き本当によかったと思います。

平成18年度に作成した内容が、現在では新しく変わってきていて、これをいかにバージョンアップするかが大きな課題だと思います。

このマニュアルに書かれている内容の例を挙げますと、自分でもできることとして、例えば病人、当事者が常備薬を準備すること、水は最低2リットルを重いですが準備すること、視覚障害者であればラジオや白杖も準備することなどがあります。

世田谷区では、ありがたいことに私ども障害者との連絡協議会を通じて、いろんな協定を進めてくれています。

この災害マニュアルをきっかけに、世田谷区ではメール配信サービスの登録を実現しました。また伝言ダイヤル的なものも設けました。一度皆さんもお試しいただきたいのですが、番号は「0180993151」つまり、「きゅうきゅうさいがい」という分かりやすい番号をダイヤルしてただけると、世田谷区に通じて誰でも聞くことができます。。

世田谷区では障害者も高齢者も多く、ハード面では課題をクリアすることができましたが、まだまだ不安もございます。先ほど話の出た災害時の登録体制については、約200ぐらいの町会があるうち、実際はまだ30くらいしかなされていません。

世田谷には特別支援学校が3つもあります。久我山の盲学校を中心に、本当に障害の方が多い町です。お互いが支え合っていくためには、まずは自らが地域に関わって、自分ができることを行い、障害の立場から言えることを言う、自助・共助が大切だと思います。この会場にも多くの障害の方が参加されていると思います。

私たちも視覚障害者の立場から、行政や世の中に訴えています。各団体の当事者の方も、地域との連携はいろいろ大変だと思いますが、あきらめずにやっていかなければなりません。災害は待ったなしの問題だと思います。世田谷だけでなく、全地域で災害に備える必要があります。

これをいかに実現できるかが課題ですが、岐阜アソシアの災害運動会という素晴らしい取り組みについて、私も区の人に話してみたいと思います。

浦河でDAISYなどの取り組みをされている、河村先生にも世田谷に来ていただいたことがあります。

今日はとてもためになりました。ぜひみんなで取り組む必要性を訴えたくて、お時間を頂戴しました。ありがとうございました。