ファシリテーターより
岩井 和彦
(特)全国視覚障害者情報提供施設協会 理事長
●岩井 ファシリテーターの岩井です。
皆さんは「ファシリテーター」という言葉を耳にしたことがありますか。申し訳ないのですが、私自身よくわかっていません。
facilitate(ファシリテート)という英語があります。これは、「促進する」という意味の動詞です。つまり「ファシリテーター」は、「促進させる役割の人」というような意味の言葉でしょうか。最近は教育や街づくり、ビジネスの世界でもよく使われるようになっているみたいですね。
さて、本日は何を促進するのか、障害者放送協議会災害時情報保障委員会の矢澤委員長に助けていただきながら、4本の興味ある事例報告を受けて、会場の皆様と一緒に、誰もが安心、安全が保障される仕組み作りの具体化に向けて、一つでも合意形成を促進できればと存じます。矢澤委員長、よろしくお願いします。
先ほど、委員長から趣旨説明がありました。資料にも、本日のシンポジウムに5つの柱を立てて趣旨が位置づけられております。
- この防災マニュアルの普及と啓発
- 障害者の特徴・困難性の理解
- 国の防災政策の理解
- 地域での経験と実践からの学び
- 防災マニュアルの評価と更なる改良に向けて
そのうち、「国の防災政策の理解」と「地域での経験と実践からの学び」については、山崎参事官からお話をいただきました。災害時要援護者避難支援計画の策定が市町村で進んでいる、というご報告もありました。確かに、昨年末の共同通信のニュースにありましたが、この3月までに全体計画を策定することが国から通知されており、6府県17市町村を除いて策定しているとのことでした。
片桐さんがお住まいの新潟県は、100%の策定率とのことです。私は奈良出身ですが、名簿への登載はお願いしたのですが、その後、何ら具体的な話はありませんし、実際にどの程度進んでいるか、気になっているところです。
被災地からの報告では、新潟の片桐さんのお話がありました。地震は「一瞬・同時・広範地域・多分野での破壊と喪失・日常性の破壊」ということを実感する報告でした。避難支援ガイドラインの検討が進められていることもわかりました。新潟の教訓を、我々はどのように活かせるのか。その具体化を、地域の実践事例を通じて考えていきたいと思います。
さてここからは、障害者自らが関わる各地の取り組み事例の報告を受けて、委員長の課題提起のうち「障害者の特徴・困難性の理解」と「防災マニュアルの評価と更なる改良に向けて」を確認することになります。
すでに皆様にはご覧いただいているかと思いますが、当協議会が作成した防災マニュアルは、障害種別ごとに、災害の発生前、発生時、発生後にどのように対応すべきかを整理して述べています。また、共通する事項として、緊急情報の入手と情報発信についても述べています。
緊急情報は"いのち"に直結する問題で、障害に応じたキメの細かな情報保障が大切です。人と人のつながりが大切で、地域の結びつきが災害時に助けになります。
また、新しくできた「避難準備情報」についても、どのようにすべての市民にわかりやすく伝えるか、表現方法など日常的な学習が必要です。
障害者関係団体として、情報の収集方法、発信の方法についても検討が必要です。
避難所での情報保障も、それぞれの障害における課題を考慮しなければなりません。
よりよい防災マニュアルの構築を目指し、その普及に努めることを目指す手がかりを探してまいりましょう。
当協議会が作成した防災マニュアルも、今後よりよいものにしたいと思っていますし、その参考ともなるよう、皆さんの大いなる議論をお願いしたいと考えています。
これから事例報告をお願いするわけですが、後半にはフロアからの質問もお受けします。また指定発言として、お三方からの発言もいただきます。
4つの事例報告は、恐れ入りますが、25分~30分でまとめていただき、指定発言の方は5分以内で発表をしていただくよう、よろしくお願い申し上げます。
少し長くなりましたが、早速、最初の事例報告をお願いします。