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他法令との関係

保健及び社会ケア

  1. 地方保健機関と自治体は、継続的な保健及び社会サービスについて、2002年3月1日までにそれぞれの責任に関する合意を形成するよう求められている(HSC 2001/015; LAC (2001)18)。国民保健サービス(NHS)と社会ケアの責任についての合意ができたら、自治体は本ガイダンスを使って、自分たちの責任とされるサービスの受給資格を、できれば2002年10月1日までに、しかし遅くとも2003年4月7日までに、決めなければならない。「戦略的保健機関」(Strategic Health Authority)のレベルでは、2002年10月1日までに、継続的ケアの基準の合意を形成しなければならない。受給資格を決める本枠組みは健康上のリスクを含めた自立のリスクに焦点を当てているので、本ガイダンスは、継続的な保健・社会ケアパッケージの受給資格基準の出発点としても活用することができる。
  2. 同様な理由で、1999年保健法の第31条により地方保健機関と自治体がパートナーシップ協定を結んでいる場合には、合同の受給資格を決めるための出発点として本ガイダンスがこれらの機関によって使われるべきである。

児童と家族

  1. 個々人のニーズを査定する過程で、自治体は、18歳未満の児童の養育責任を持っている成人が、その責任を遂行するのに援助を必要としているかもしれないということを認識すべきである。この点で、成人ケアの査定と支援を提供することに加えて、自治体には、1989年児童法のもとでその所轄地域の児童を守り、その福祉を推進する義務を遂行する用意がなければならない。
    それが適切である場合には、支援を要する児童とその養育に何らかの問題があるか否かを検討するために、自治体は、「支援を要する児童とその家族の査定の枠組み」(「査定枠組み」)(保健省、2000年)を活用することを考えるべきである。支援を要する児童がいるように見える場合には、この「査定枠組み」を活用すべきである。時々、一家族の中で、成人の査定のための適切な様式を使って成人である両親を査定し、並行して、「査定枠組み」を使って児童のニーズと関連する養育問題を査定することが、必要となるかもしれない。

介護者

  1. この公正なアクセスガイダンスは、社会サービスを使っている、あるいは使おうとしている成人に焦点を当てている。しかし、多くの人にとって、家族や他の介護者による援助は、彼らの自立を維持する上で非常に重要である。介護者は、個人に対する査定とそれに続く支援の決定に頻繁に参加すべきであり、参加する必要がある。介護者自身のニーズは、「2000年介護者及び障害児法:介護者の査定のための実践家へのガイド」(保健省、2001年)の枠組みの中で査定されよう。そこでは介護者のニーズと、介護役割の持続可能性に焦点が当てられている。

道路交通法2000年

  1. 運賃割引や障害者の自動車の駐車証などのサービス提供は、2000年道路交通法のもとの規則やガイダンスによってカバーされ、それらのサービスを受けることのできる障害者に関して、受給資格を決めるカテゴリーと記述があらかじめ示されている。したがってそれらのサービスは、この公正アクセスガイダンスの取り扱い範囲外である。

権利及び差別

  1. 成人の社会ケアの受給資格基準を作成するときに、自治体は、1975年性差別禁止法、1995年障害者差別禁止法、1998年人権法、および2000年人種関係(修正)法を考慮すべきである。

説明(定義)

  1. 本ガイダンスでは、個人が社会ケア支援を求めて自治体を訪れたり自治体に紹介されたりしたときに、確認される課題や問題のことを「表明しているニーズ」(presenting needs)と定義する。「表明しているニーズ」の中で、自治体が定めた受給資格基準に該当するため支援の対象となるニーズを、「適格と認められたニーズ」(eligible needs)と定義する。「受給資格基準」(Eligibility criteria)は、その予算状況を考慮に入れた上で、自治体が支援対象とする「適格と認められたニーズ」の全範囲を記述する。

受給資格基準の設定

  1. 一般に自治体は、身体的、感覚的、あるいは学習上または認知的な障害や機能障害(disabilities and impairments)、あるいは精神保健上の困難に起因するニーズをもつ個々の成人に地域ケアサービスを提供する。この点で、そのようなサービスを提供する自治体の責任は主に次の法令で規定されている。
    • 1948年国民援助法 National Assistance Act 1948.
    • 1968年保健サービス及び公共保健法 Health Services and Public Health Act 1968.
    • 1970年慢性疾患・障害者法 Chronically Sick and Disabled Persons Act 1970.
    • 1977年国民保健サービス法 National Health Service Act 1977.
    • 1983年精神保健法 Mental Health Act 1983.
    • 1986年障害者(サービス、協議、参画)法 Disabled Persons (Services, Consultation and Representation) Act 1986.
  2. 自治体は、その受給資格基準を確定するために次項の受給資格枠組みを使うべきである。別の表現を用いれば、第14項に記した障害、機能障害、困難をもつ個々人に支援を受ける資格を与える状況を記述するために、この枠組みを使うべきである。この受給資格枠組みは、個々人の自立を一定期間維持する上で重要な要素に対するニーズの影響に基づいている。
    この枠組みは、年齢、性、人種、宗教、障害、機能障害あるいは同様な困難、個人的な関係、場所、住宅および介護状況、その他同様な要素について触れていない。これらの要素はそれ自体自立を脅かすものではない。しかし、ニーズ査定時やサービスを検討する際にはこれらは考慮されるべきかもしれない。
  3. 受給資格枠組みは4つに段階分けされ、もしニーズが支援されない場合の自立へのリスクの深刻さあるいはその他の結果を記述している。その4段階は次の通り。

    危機的(Critical)次の時。

    • 生命が脅かされているか、脅かされようとしている。および/または
    • 重要な健康問題が発生した、あるいは発生するおそれがある。および/または
    • 身辺環境の重要部分への選択や制御がほとんどあるいは全くできないか、そうなるおそれがある。および/または
    • 深刻な虐待または放置がなされたか、そうなるおそれがある。および/または
    • 基本的な身辺処理または家事が遂行できないか、そうなるおそれがある。および/または
    • 労働、教育や学習への生き生きとした参加がなされていない、あるいはそうなるおそれがある。および/または
    • 重要な社会的支援システムや関係が保持されていない、あるいはそうなるおそれがある。および/または
    • 重要な家族内あるいはその他の社会的役割や責任が果たせない、あるいはそうなるおそれがある。

    重度(Substantial)次の時。

    • 身辺環境への選択や制御が部分的にしかできないか、そうなるおそれがある。および/または
    • 虐待または放置がなされたか、そうなるおそれがある。および/または
    • 身辺処理または家事の大多数が遂行できないか、そうなるおそれがある。および/または
    • 労働、教育や学習の多くの部分への参加がなされていない、あるいはそうなるおそれがある。および/または
    • 社会的支援システムや関係の大部分が保持されていない、あるいはそうなるおそれがある。および/または
    • 家族内あるいはその他の社会的役割や責任の大部分が果たせない、あるいはそうなるおそれがある。

    中等度(Moderate)次の時。

    • 身辺処理または家事のいくつかが遂行できないか、そうなるおそれがある。および/または
    • 労働、教育や学習のいくつかの部分への参加がなされていない、あるいはそうなるおそれがある。および/または
    • 社会的支援システムや関係のいくつかが保持されていない、あるいはそうなるおそれがある。および/または
    • 家族内あるいはその他の社会的役割や責任のいくつかが果たせない、あるいはそうなるおそれがある。

    軽度(Low)次の時。

    • 身辺処理または家事の一つ二つが遂行できないか、そうなるおそれがある。および/または
    • 労働、教育や学習の一つ二つの部分への参加がなされていない、あるいはそうなるおそれがある。および/または
    • 社会的支援システムや関係の一つ二つが保持されていない、あるいはそうなるおそれがある。および/または
    • 家族内あるいはその他の社会的役割や責任の一つ二つが果たせない、あるいはそうなるおそれがある。
  4. 受給資格基準の作成と活用において、また、個々人への受給資格の決定において、自治体は、自立に対する重度の結果をもたらすニーズよりも先に、当面のおよび長期の危機的な結果をもたらすニーズを優先すべきである。同様に、中等度の結果をもたらすニーズよりも、重度の結果をもたらすニーズを先に位置づけるべきである。以下同様である。
  5. 受給資格基準の設定に際して、自治体は、その予算、地方の期待、および地方のコストを考慮すべきである。自治体は、ケアの移転および病院からの退院を含む国民保健サービス(NHS)との合意を考慮すべきである。自治体はまた、その他の機関との合意や、地域的あるいは全国的な要素を考慮すべきである。
  6. 自治体は、通常の予算サイクルに歩調を合わせて、受給資格基準を見直すべきである。この見直しは、大きな予算状況の変化を含めた重大なあるいは予期せぬ変化があった場合には、前倒しで行われるべきである。
  7. 最終決定は自治体が行うものであるが、自治体は、受給資格基準について、およびその基準に関する情報がどのように開示され利用されるかについて、サービス利用者、介護者、および地域の適切な機関や組織と協議すべきである。受給資格基準は、地域の「よりよいケア、より高い水準」憲章の中で刊行され、まえもってサービス利用者にとって、より一般的には市民全体にとって、そして関連する他の地域機関にとって、利用でき入手できるようにすべきである。

予防的取り組み

  1. 予防に関して、
    • 自治体は、自立へのリスクは比較的低いように見られるものの時の経過とともにより深刻になりそうな個々人を同定する助けになるリスク査定方法を開発すべきである。その際自治体は、予防特別補助(その後自立促進補助)を支援すべく発行されたLAC(99)13 とLAC(99)14を参照すべきである。また自治体は、介護者を支援するための予防的行動のメリットも考慮すべきで、この点で2000年介護者および障害児法を参照すべきである。
    • 自治体は、広汎な社会的不利益、あるいはある特定のグループの人々が社会的に排斥されたり地理的に孤立していたりする事実がある場合、他の機関とともに広域地域開発、「人々の支援」あるいは健康増進活動に参加するかもしれない。特定の個人に予想される利益を推定することが困難な場合でも、ある人口やグループを対象とした非集中的あるいはその他の支援によって予防的な利益を予想させる証拠がある場合には、自治体はそうした取り組みを用意すべきである。
  2. 自治体が刊行する受給資格基準は、上記の予防問題についてどのように取り組むのかを明確に述べるべきである。

サービスの委託(Commissioning services)

  1. ある特定の期間の受給資格基準を決定するときに、自治体はその受給資格に対応するサービスを確保しておかねばならない。必要な場合、自治体は、特定のサービスのための予算項目に厳格に固執してある項目から他の項目に予算を動かせないということはすべきではない。また特定のサービスを提供しないという一括的な政策をとるべきでもない。とくに、高齢者への全国サービス枠組みに記しているように、成人用の年齢区分サービスがサービス利用者にとって最大の利益となるかどうかを考慮し、また例えば高齢利用者をその他の成人から分けるなどのサービスの委託や提供が正しいかどうかを考慮しなければならない。
  2. サービスが利用者の文化や信念、そしてコミュニケーションや感覚機能の特性を確実に配慮し尊重するものとなるよう、自治体は、現在のサービスの選択肢のギャップを埋め、その範囲、利用しやすさ、および効果を向上させる方策を設けるべきである。サービスはまた、遠隔地や孤立した農村地域に住む人々にも利用できるものでなければならない。委託事業の助けとするために、自治体は「ケアの容量と連携の形成」(保健省、2001年)に述べられているよい実践例を使うべきである。
  3. 自治体が直接または他への委託によって提供するそれぞれのサービスには、目的の記述があるべきである。登録サービスについては、目的記述は全国ケア基準委員会が定めている。登録サービス以外については、自治体は、契約またはサービス合意を取り結ぶときには同様な目的記述を設けていなければならない。そこでは、ケアの目的と理念、サービスの性質、便宜、物理的および立地上の利用しやすさ、そしておそらく利用者負担が記述されるべきである。またそのサービスが対象とする状況の種類や対象とする人々についても記述すべきである。目的記述は、適格と認められたニーズおよび望まれる結果にサービスをマッチさせるケアプラン段階で使われるべきである。
  4. サービスが、費用対効果、公正さ、透明性という面で見直され、発展させられるために、「最良の価値」枠組みが使われるべきである。自治体は、第73項に記した自己監査とモニターの目的で行われる情報収集と分析を、この見直しに生かすことができる。
  5. 自治体は、委託協定がダイレクトペイメントを推進する目的と一貫性を保つようにしなければならない。自治体が、ダイレクトペイメントの予算を居住施設以外のケアのための他の予算とは別枠とする場合、個々人のニーズに対応する上でダイレクトペイメントが予期したよりも人気の高い方法であることがわかったときには、予算運用を柔軟にすべきである。さらに自治体は、硬直的な内部財政管理規定によって、ダイレクトペイメントのパッケージの発足を妨げることがないようにしなければならない。

査定の一般的原則(General principles of assessment)

  1. 保健および社会ケアサービスの全分野を通じて、適切な査定は効果的サービス提供の中心に位置する。その目的は、個々人の表明しているニーズと、それが充実した自立的な生活を送る能力をどのように制約したり支えたりしているかについて、同定し評価することである。自治体は、個々人はそのニーズの査定における積極的なパートナーであることを保証しなければならない。
    その上で、自立の推進や維持のため、適切なサービス提供が当面および長期の両面にわたって計画される。個々人の査定を通じて得られた情報は、受給資格と提供されるべきサービスの決定のために使われるべきである。
  2. 自治体は、利用方法、受給資格、およびサービスに関する情報を、いろいろな言語や様式で出版・普及し、支援を求めて自治体を訪れようとする個々人を支援すべきである。この情報ではまた、査定やケアメネージメント過程では通常どのようなことがなされるのか、これらに要する時間、そしてどのようにダイレクトペイメントが利用できるかを、述べるべきである。地方の「よりよいケア、より高い基準」憲章がこの情報を提供し、基準と目標を示す手段となろう。自治体は、個々人が査定プロセスにアクセスし、それをもっともよく使えるようにするための、通訳者、翻訳者、権利擁護者、支援者を提供するサービスの開発を進めるべきである。
  3. 1990年国民保健サービス(NHS)およびコミュニテイケア法の第47条1項を参照し、コミュニテイケアの査定を始める前に、自治体は、その人がコミュニテイケアサービスを必要としていると思われるかどうか、確認しなければならない。この判断を行うに当たって、自治体は低いハードルを設け、十分な情報がないうちに査定過程から排除してしまうことをさけなければならない。
  4. 成人の表明しているニーズと状況は、保健省の社会サービス監督官(SSI)とスコットランド事務所のソーシャルワークサービスグループが1991年に発行した「ケアマネージメントと査定:実践家向けガイド」をふまえて書かれたこの一般的な査定ガイダンスを参照して査定されるべきである。
  5. さらに、特定のグループの査定とケアプランのために作成されたそれぞれの政策と実践のガイダンスも参照すべきである。それらは、
    • 精神保健のための全国サービス枠組み(保健省1999)と「精神保健サービスにおける効果的なケアコーデイネーション----ケアプログラム方法の近代化」(保健省1999)
    • 高齢者のための全国サービス枠組みおよび個々の査定プロセスについての詳細なガイダンス(保健省2002)
    • 「人々の価値を尊重して:知的障害のための21世紀の新しいアプローチ」(保健省2001)
    • 「2000年介護者及び障害児法:介護者の査定のための実践家へのガイド」(保健省、2001年)
  6. 労働年齢にある人が査定対象である場合には、自治体は、障害者の「福祉から労働へ」のその地域の共同投資計画を反映した実践と手順が確実に作成されるようにしなければならない。
  7. どの査定枠組みが利用されるにせよ、受給資格の基準を使って提供される複雑なサービスの査定を行ってはならない。サービス査定の深さと広さは、個々人の表明しているニーズと状況に釣り合ったものであるべきである。専門職は、その判断に従って、初期査定、広いニーズを調べるための査定、特定のニーズを調べる専門査定、あるいはすべての可能性のあるニーズをカバーする総合的な査定など、を行いたいと考えるであろう。多くのケースでは、これらの査定タイプが組み合わされて活用されるであろう。
  8. 査定は率直で人間中心のものであることが重要で、査定した情報の評価を通じて適切な受給資格と自立を推進するサービスの決定がなされることが重要である。適切な場合には、社会的ケアの問題に加えて、健康問題や住宅などその他の問題を考慮した査定がなされるべきである。ただし同時に、できるだけ簡潔でタイムリーなものであるべきである。自治体は、個々人は自らの状況についての専門家であることを認識すべきであり、査定に当たっては協働作業を奨励すべきである。自治体は個々人が査定プロセスのために準備することを支援し、自らの考えを述べるもっとも良い方法を見いだすべきである。通訳者、翻訳者、権利擁護者または支援者の活用は、この点で非常に重要である。
  9. 査定は次のような方法で行われ、個々人にとって十分にわかりやすいものでなければならない。
    • 自分の状況についてのよりよい理解を得られる
    • 自分の生活をやりくりするために利用できる選択肢を明らかにする
    • 提供される援助によってどんな結果を求めているのかを明らかにする
    • どのような基準に基づいて決定がなされるのかを理解する
  10. 表明しているニーズについての個々人の報告に対応しつつ、専門職は、身体的な痛み、そのための苦痛や支障、日々の状況とより長期の両方の視点でのの問題の不安定性や予測可能性などを探るべきである。自治体は、その人が経験している困難を生み出したり、悪化させたりする外的、環境的な因子についてその人とともに検討すべきである。その人が直面しているニーズの数、それらのニーズの間の相互作用、直面するニーズに対してその人がどのように対応しているか、もまた重要なことである。個々人と専門職とはともに、その表明しているニーズに対応するためにその人が動員できる強さや能力を見つめるべきである。
  11. 査定は、サービス利用者グループが関係するその地方の機関の間で調整・統合されて行われるべきである。各機関は査定とケアプランニングの活動を支える価値観を共有し、合意しているべきである。各機関は、サービス利用者にとっても専門職にとっても査定の重複が最小になるようにするために、査定とその関連活動による情報が、説明に基づく同意に適切に配慮された上で専門職の間で確実に共有されるべきである。査定プロセスの内容や各機関がどのように他の機関と関わるのかに関するシステムや手順について、合意がなされる必要がある。その結果、各個人が一貫してタイムリーなものだと体験できる査定となる。
  12. 査定において、年齢、性別、人種、宗教、障害、対人関係、住宅や介護の状況、あるいは都市部に住んでいるか農村部に住んでいるかということを理由にして個々人を不公正に差別してはならない。しかし自治体は、これらが、表明しているニーズや提供されるケアの種類や量に関係する範囲で、考慮に入れるべきである。
  13. 表明しているニーズが完全に記述され探求されるときに、各個人と専門職は、当面と長期の両視点で、そのニーズから生じる自立へのリスクについて、考慮し評価しなければならない。この評価では、ニーズやリスクがどのように時間とともに変化する可能性があるか、またもし援助がなされない場合に予想される結果は何かについて、十分に考慮するべきである。リスク評価は、個々人の自立にとって中心的である次の側面に焦点を当てるべきである。
    • 選択する自律と自由。
    • 健康と安全。ここには、傷害・虐待・ネグレクトからの自由が含まれ、住宅や地域の安全などのより広い問題も考慮する。
    • 身辺の処理やその他の日常生活の課題を遂行する能力
    • 家族生活やより広い地域社会の生活への参加。ここには、レジャー、趣味、有給または無給の仕事、学習、ボランテイアが含まれる。
  14. 個々人と専門職は、その人が直面しているリスクだけでなく、介護者など身近な人が直面しているリスクも考慮すべきである。個々人と専門職は、どのリスクが深刻な問題を引き起こすか、どのリスクは許容範囲内か、あるいは自立生活の自然で健康的な部分と見なされるか、考慮すべきである。

個々人に関しての受給資格の決定(Determining eligibility in respect of individuals)

  1. 個々人の受給資格は査定の後で決定される。査定の一部として、個々人の表明しているニーズとその関連状況についての情報が確定され、記録される。ついでこの情報は、その人の自律、健康と安全、日常生活課題遂行能力、家族・地域社会生活への参加へのリスクを基準にして評価される。自治体は、リスク評価を推進するため、上記第16項の枠組みを使ってのリスクの確定を専門家に頼むことができる。こうして確認された自立に対するリスクは、次にその自治体の受給資格基準と比較される。リスクがその受給資格基準の範囲内にあることの確認を経て、専門職は適格と認められたニーズを確定すべきである。
  2. 適格と認められたニーズが確定されたら、自治体はそれを満たさなければならない。しかしながら、適格と認められたニーズがみたされる結果として、あるいは適格と認められたニーズの解決を促進するため、ある種の表明しているニーズを満たすためのサービスもまた、提供することができる。
  3. 個々のケースでの受給資格の決定に際して、表明しているニーズを満たすためにその人が活用できる介護者、家族、友人および近隣の人のサポートが考慮に入れられるべきである。例えば、ある個人がいくつかの身辺処理活動を遂行することができないが、しかし、介護者の援助があれば困難なく遂行でき、介護者はそのようなケアを、当面も長期的にも喜んで持続するという場合、その人はコミュニテイケアサービスを必要とするようなニーズを持っているとは考えられるべきではない。つまり、このような人々は、適格と認められたニーズをもつと認識されるべきではない。しかしながら実際の査定では、そのようなサポートの量や質について、関係者の合意がない場合には、いっさいの仮定を設けてはいけない。介護者やその他がその人にサポートを提供している場合でも、その人のニーズの性質やケアのレベルからみて、コミュニテイケアサービスの受給資格があるとすべきことがある。
  4. 自治体はまた、必要かつ適切な場合には、介護者やその他の人をサポートする用意がなければならない。その際、それらの人々の状況に対する独立した査定を考慮すべきである。
  5. 適格と認められたニーズとそれに関連する自立へのリスクが、その個人について確定された場合、それらは記録され、可能な場合には利用者またはその代理人によって合意されるべきである。最初の査定あるいはその後の見直しの結果、コミュニテイケアサービスを提供しないという決定がなされた場合に、自治体はその後行うべき活動のために、第65から68項までを参照すべきである。