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他法令との関係

ケアプランづくり

  1. その人が援助の受給資格がある場合は、自治体はその人とともに、ケアプランを作成すべきである。ケアプランの文書記録には最低次の事柄が含まれるべきである。
    • 適格と認められたニーズおよび関連するリスクの記載
    • サービス提供により期待される効果
    • 緊急的な変化に対応するための事故対策
    • 提供されるべきサービスの詳細、査定された利用料負担、あるいはダイレクトペイメントが合意されたか否かということ。
    • 介護者やその他の人が快く行おうとしていてかつ実行可能な貢献
    • 見直しの時期。
  2. 適切なサービスが確定されるべきである。その際、サービス提供者が記述を求められているサービスの目的を紹介し、また適切な場合には地域の継続ケア合意についてもふれる。また該当する場合にはダイレクトペイメントの利用が考慮されるべきであり、その利用についての決定もなされるべきである。
  3. 自治体は、利用者とのケアプランの合意をめざすべきであり、ケアプランのコピーを提供すべきである。サービス利用者には、見直しの制度について理解させるとともに、適切な場合には見直しによってサービスが停止されたり変更されたりすることがあると助言するべきである。
  4. 特別なサービス利用者はケアプランについての特別な対応の対象となる。第32項にリストされている文書を参照すべきである。
  5. 自治体は、個々人について起こりえる効果とそれらのケア提供の費用対効果を、それぞれのケースのメリットをベースに考慮すべきであることに留意すべきである。その際自治体は、個々人の状況に応じたサービス調整をすべきであり、ケアパッケージの上位費用数値のみを指針として使うべきである。ある年齢層など特別の成人グループにのみ特定のサービスを提供している自治体、あるいは、予防のためのものなどその他のサービスを提供しないとする一括的な政策を持っている自治体 (LAC(99)13およびLAC(99)14参照)は、その政策を見直すべきである。
  6. 自治体はまた、個々人のニーズを査定する基準となる受給資格基準を作成する際に、また、そのニーズを満たすためにどのサービスを提供するかを決定する際に、その自治体の予算を考慮に入れることができることについても留意すべきである。しかしこのことは、予算状況のみから上記決定をすることができるということを意味しない。ひとたび自治体がその人の適格と認められたニーズを満たすためにサービス提供が必要だと決定したならば、それらのサービス提供は義務となる。より詳しくはLASSL(97)13の「自治体の社会サービス部の責任:最近の判例の意味」を参照のこと。
  7. 自治体は、サービスの提供を決めたら迅速にそれを実施すべきであるが、待機せざるを得ない場合、その適格と認められたニーズを満たすために代替的サービスを確保しなければならない。
  8. 自治体は、同じような適格と認められたニーズをもつ所管地域内のすべてのサービス利用者が、たとえ個々の利用者に合わせた独特の援助をする場合でも、おおむね同じような効果を生み出すケアのパッケージを受け取れるようにしなければならない。

移行(Transitions)

  1. 自治体は、青年期から成人期、および成人期から高齢期へと移行するときに異なった種類のサービスを必要とするようになるかもしれない個々人を特定する仕組みを設けるべきである。このような場合自治体は彼らのニーズを再査定したいと考えるかもしれないが、その対応に当たって、サポートの種類、程度、場所の大きな変更は普通は利用者の最大の利益とはならないということに留意すべきである。
  2. サービス利用者が永続的に自治体を移転する場合、「転入自治体」は、査定を保留して提供するサービスの仮決定を行う際に、従来受けてきたサービスおよびそのサービスの大きな変更による利用者への影響について配慮しなければならない。「転入自治体」は、査定を行い、どのようなサービスが提供されるべきか長期的な決定を行う際に、それらの点に配慮するとともに、従来追求されてきた目標についても配慮すべきである。「転入自治体」が大きく異なる目標を追求しようとしたり、大きく異なるサービスを提供しようとする場合には、サービス利用者に文書による明確な説明を行うべきである。

見直し(Reviews)

  1. 2003年4月7日以降自治体は、自治体による直接提供、委託による提供、あるいはダイレクトペイメントによる購入も含め、社会ケアサービスを受けているすべての人の状況について見直しを開始すべきである。2003年4月7日時点でのすべてのサービス利用者は、利用終結となったとしても、2004年4月はじめまでにその状況の見直しが少なくとも1回は行われ、その後の見直しは本ガイダンスにしたがって計画されるべきである。
  2. 見直しでは次のことが行われるべきである。
    • ケアプランに書かれている目標がどの程度達成されたかの確認
    • 個々のサービス利用者のニーズと状況の再査定
    • サポートの受給資格の継続の決定を助けること
    • 現行のケアプランの再確認または修正、あるいはサービスの終結
    • 適切な場合には、ダイレクトペイメントの効果についてのコメント
  3. 精神保健と高齢者への全国サービス枠組み(NSFs for Mental Health and Older People)その他のガイダンスに書かれていない場合、見直しにおける再査定の部分は、本ガイダンスに書かれている一般的な原則に従うべきである。
  4. 最初のサービス提供あるいはサービスの大きな変更から3ヶ月以内に最初の見直しが行われるべきである。その後は、見直しは少なくとも年に1回、そして個々人の状況が悪化すると見込まれる場合にはより高い頻度で、計画されるべきである。サービス利用者、提供者、その他の適切な個人や機関からの要請によって、見直しの実施が配慮されるかもしれない。
  5. 見直しは、査定の能力がありサービス受給資格とケアプランを決定する役職にある自治体の専門職によって調整されるべきである。自治体は、特定の居住施設ケアまたはコミュニテイケアサービス提供に関わっている自治体の専門職はこれらの見直しの機能を遂行する役職としてもっともふさわしくはないこと、そして、多くの利用者は実際にケアを提供している人らか独立した見直しを望むであろうということに、留意すべきである。しかしこれらの提供者は、独立領域の提供者同様、見直しに有用な情報を提供してくれる。
  6. 見直しには、サービス利用者に加えて、介護者と適切な場合には利用者の代弁者、利用者のためにサービスを購入した機関、およびこれらのサービスの主要な提供者を含めるべきである。見直しには、個々のサービス利用者と見直しに責任をもつ自治体の専門職との面接が含まれるべきで、そこには上記の主要な人々の参加もあり得る。例外的な状況の下では見直しは直接面と向かってではなく行われることもあり得るが、しかし自治体は、面接が行われ得ること、とくに見直しの再査定部分について行われ得ることを、保証されねばならない。<訳者注:この最後の文章の「自治体」は「利用者」の間違いと思われる。>
  7. 身辺ケアのための、適格と認められたニーズを満たすために提供された一回限りの福祉用具、あるいは環境制御用の用具は、最初に適切であると確認されれば後の見直しは必要ない。主要な用具については年1回のペースで適切性と安全性を見直すべきである。短期息抜きサービスのような定期的なサービスについては、最初の期間のすぐ後に適切さと効果の見直しを行い、その後は年1回のペースで行われるべきである。
  8. 自治体は、第58項の機能項目に従って見直しの結果を記録すべきである。利用者が引き続き受給資格を持つサービスについては、自治体はケアプランを更新すべきである。すでに受給資格がなくなった人については、自治体は理由を記録し、それを利用者に見せるべきである。

ニーズが適格ではなく援助対象ではないとされた人々へのサポート(Supporting individuals whose needs are not eligible for help)

  1. 査定の後、自治体は個々人のニーズが援助対象としては適格でないために支援を提供しないと決定するかもしれない。この結論に到達するに当たって自治体は、援助を欠くことによって近い将来にはニーズが大きく深刻化したり増加したりしないであろうということ、したがって雇用・訓練・教育・子育てへの参加など上記第40項でリストした自立の主要な側面を危うくすることがないであろうこと、を確認しなければならない。同様に、見直しの後で利用者へのサービスを停止しようとするときに、ニーズが悪化または増加し、自立が損なわれるために近い将来再び受給資格を持つようになるということがないであろうと確認しなければならない。(このようなニーズ評価に役立てるために上記の第21項を参照のこと。)この文脈でニーズを考える際に、自治体は、家族員や近い友人がサポートを提供する能力を仮定してはならない。その他の重要な決定においても同様だが、自治体がサービスを大きく減らしたり停止しようと考えるときには、サービス利用者が何が起きつつあるのか、その結果がどうなるのか完全に理解していることがとりわけ重要である。
    この点で、適切な場合には通訳者、翻訳者、権利擁護者、支援者の活用はきわめて重要である。
  2. ある程度の期間ニーズとサービスの見直しが行われなかった場合、この「公正なアクセス」ガイダンスに従ってサービスの停止を考慮する際には、自治体は高度の注意と感受性をもって進めなければならない。ニーズとそれに関連するリスクが最初には受給資格基準に外れるように見える場合であっても、いくつかの個々のケースの場合には、サービスを停止することは実際的でも安全でもないことがある。加えて、終結を進める前に自治体は、サービス開始時にサービス受給期間について利用者に何か約束をしたことがないかどうかチェックするべきである。
  3. 自治体が査定の後に直接的な援助を提供しない場合、あるいは見直し後にサービスの停止ができると感じる場合、その決定と理由を文書にし、その利用者が読めるようにするべきである。自治体は、未解決の課題や問題を取り扱うそのほかの(自治体が提供する社会サービス以外の)援助資源についての便利な情報や助言を個々人に提供する用意をしなければならない。自治体は、サービスの保留や停止という決定に異議を唱えるための審査請求手続きを利用できることについて、個々人に理解させなければならない。自治体は、援助の受給資格のない個々人に、もし状況が変化したら再度訪れ、そこでニーズが再査定されることができると、伝えるべきである。自治体の連絡先電話番号が知らされるべきである。
  4. もし個々人が他のサービスを必要としていたら、自治体の職員は関係機関や組織のなかで適切な人を探し出し、利用者に代わってコンタクトをとるべきである(「よりよいケア、より高い基準」参照)。自治体はまた、特定の個々人によっては、より広い地域開発のための自治体間協力や機関間協力、「人々を援助する」(Supporting People)、または健康増進を考慮すべきであり、それらのサービス利用を促すべきである。

緊急時および危機状況

  1. 自治体は、緊急または危機状況で社会的ケアの支援を求めて自治体にやってきたか紹介された個々人に対して、直ちに対応すべきである。この初期対応の後に、自治体はその人に、より総合的な査定が引き続いて行われること、小野査定の結果サービスが停止されるか変更されるかもしれないこと、を知らせるべきである。

個々人の資産と(支払い)能力(Individuals' resources and capacity)

  1. 自治体がコミュニテイケアの査定を行うか否かに関して、個々人の経済的状況を関わらせるべきではない。また、個々人の経済的状況を査定プロセスの水準や詳しさに影響させるべきでもない。ひとたび個々人のケアニーズが査定され、提供されるべきケアの決定がなされたら、利用料負担を支払う能力についての査定を迅速に行い、払える利用料の額とどのようにそれが計算されたかについて文書でその人に伝えられるべきである。

ケアホーム居住者(Care home residents)

  1. ケアホーム居住者は重要なサービス消費者である。ケアホームへの転入を計画する場合、自治体は個々人に適切なホームの情報提供をし、それらのホームの設備、利用料、利用者負担の対応、そして適切な場合にはNHS(国民保健サービス)の看護ケアを含め、その目的の記述を紹介すべきである。居住期間中は、ケアホームの居住者は、彼らに影響する変化と発展について常に知らされているべきである。(より詳しくは、「高齢者のケアホーム:全国最低基準」(保健省、2001年)を参照。)
  2. 個々人が居住施設に移動する場合で、精神的な能力をそなえ、そのサービスに支払える財政的な資源をもつ場合、自治体は求められれば、その人が適切なケアホームを見いだせるように、情報とアドバイスを提供すべきである。しかし、一般的にはこのような状況では、居住施設を求める契約はその人とサービス提供者の間でのものである。(例外もある。例えば12週間の資産度外視期間では契約は自治体とケアホームの間で合意されるべきである。)

自己監査および管理情報(Self-audit and management information)

  1. 自治体は、公正なアクセスに関して実施状況を確実に監査(audit)し、モニター(monitor)するべきである。特に次のことができなければならない。
    • どの程度異なるグループに対応したか、どのグループが査定を受けたか、査定後にどのグループがサービス受給に進んだかのモニター
    • 職員による査定と受給資格決定の質のモニター
    • どの表明しているニーズが適格と認められたニーズとして評価され、どれはそう評価されなかったかのモニター
    • ケアプランやその見直しに照らしてのサービスの効果の監査
    • その地方の「よりよいケア、より高い水準」憲章に照らしての、査定とその後のサービス提供の時間のモニター
    • 見直しの時期と頻度のモニター
    • 自治体の管轄地域の中での異なる地区ごとの住民の査定とその後のサービス利用の程度のモニター
  2. 情報が収集され分析されたら、上記のすべての分析結果はサービス利用者、議員、その他の地域の機関を含む関心のある人々の間に紹介されるべきである。

(政府による)進捗状況モニタリング(Monitoring progress)

  1. サービスへの公正なアクセスのモニターの主要な責任は自治体にあるが、保健省はSSIモニター・観察制度その他の方法を通じてこの公正アクセスガイダンスの実施状況をチェックする。受給資格基準がこの線から大きく外れている自治体は、その立場を正当化することが求められよう。

職員の学習と理解(Staff learning and understanding)

  1. 自治体は、人間中心のケアと自立を推進するような自治体文化を可能にする訓練と開発活動を設けるべきである。特に、査定過程の訓練は個人状況の長期にわたる結果を明らかにするためのリスクの査定に焦点を当てるべきである。訓練は、その自治体のこの分野での成果をふまえ、サービス利用者と専門家のグループの専門性と経験、差別禁止の取り組み、および効果的な学際的活動をくみ上げるべきである。訓練には、社会ケアの査定に参加し、受給資格決定に貢献するかもしれない他機関のスタッフを含めるべきである。受給資格基準が他の機関といっしょに開発され、機関の違いを越えて運用される場合には、他の機関とともに行う訓練はきわめて重要である。

施行にかかる費用(Cost of implementation)

  1. 本ガイダンスは大部分、1990年の「人々へのケア政策ガイダンス」と1991年の「ケアマネージメントおよび査定:実践家へのガイド」を確認し統合したものである。そのため本ガイダンスは費用面では大きな影響を生まない。本ガイダンスは、2000年および2002年の「政府支出見直し」の結果の「対人社会サービス」分野の財政的決着と完全に一致するものである。この決着のどの部分も、それぞれの自治体の、成人への社会ケアに向けられる予算の水準を決める責任を変更するものではない。

施行の要約(Summary of implementation)

  1. 自治体は、本ガイダンスを用いて成人社会ケアの受給資格基準とケース見直しなどの関連手続きを見直したり改定したりすべきである。2003年4月7日までに、本「公正アクセス」ガイダンスに沿って成人社会ケアの受給資格基準を見直し、協議すべきである。2003年4月7日以降は、本ガイダンスに基づく受給資格基準を支援を求めるすべての新規の紹介や請求に適用し、適切な場合には見直しを計画し実施すべきである。2003年4月7日に対象としているすべてのケースは2004年4月はじめまでに見直され、再査定がなされるべきである。またそれ以降は継続的に支援対象となるケースの見直しを計画するべきである。

年齢差別の根絶(Rooting out age discrimination)

  1. 本「公正アクセス」ガイダンスの施行を通じて自治体は、「高齢者のための全国サービス枠組みの基準1」(Standard One of the NSF for Older People)の第1段階要請を、年齢差別の根絶に関して満足させることになる。すなわち自治体は、当初2002年4月に設定されていた行程段階「成人の社会ケアの受給資格基準を見直して、それが高齢者を差別しないものとすること」、を達成することになる。本ガイダンスの施行はまた、「基準1」の遂行に関して、成人社会ケアのより広い政策やその利用を見直すのに役立つ。
  2. 高齢者差別克服に関して「高齢者のための全国サービス枠組み」の次の行程段階は2002年10月に設定されており、サービス、とくに国民保健サービス(NHS)の水準とパターンの分析に関係している。より詳細なガイダンスは2002年に発行される。自治体が、地域の「高齢者のための全国サービス枠組み」実行チームを通じてこの過程に参加すること、またこの枠組みを自らのサービスに適用すること、を奨励したい。

コピーと問い合わせ(Copies and enquiries)

  1. 本ガイダンスはインターネットwww.doh.gov.uk/scg/facsで入手できる。
    さらに保健省(PO Box 777, London SE1 6XH, 電話0870 155 5455、ファックス01623 724 524)からも入手できる。
  2. コピーの入手以外の本ガイダンスに関する問い合わせは:、
    Department of Health (FACS), Older Peoples Services CC3, Area 221, Wellington House, 133 - 155 Waterloo Road, London SE1 8UG