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ケアサービスへの公正なアクセス:実際的ガイダンス---実施に関するQアンドA


ケアニーズのある親


Q4.1 「政策ガイダンス」はすべてケアニーズのある成人を対象としていますか?


A そうです。さらにFACSは、どう自治体が成人向けサービスを提供するかなどの一般的なサービス事項ではなく、受給資格基準に焦点を当てています。しかし、政策ガイダンスの施行と活用に当たって、自治体は、すべてのサービス利用者グループに対するいろいろなソーシャルサービスチームやユニットがいかに協力すべきかを明確にする必要があるでしょう。これは成人である親が支援を求めて自治体を訪れる際に特に当てはまります。

あるケースでは親のケアニーズのためにその子供に困難が生まれているかもしれません。ほかの例では親と子供の両方がそれぞれ自身のケアニーズを持っているかもしれません。児童・家族チームにとって重要なことは、成人チームとの間でこのようなケースの取り扱いに関して政策や手順の合意を得ておくことです。同様に、自治体の受給資格決定、ケアマネージメント、サービス提供の各チームの間で、青年期から成人期へ、および労働年齢から高齢期へと年齢区分をまたぐ人に対する政策や手順の合意を得ておくべきです。政策ガイダンスが言うように、ケア調整やサービス提供における計画にない劇的な変更は、利用者の自立と自信を傷つけることがあります。


Q4.2 政策ガイダンスでは、親で子育てのニーズがあると思われる成人についてあまり触れられていません。そのような人の受給資格をどう決定すべきですか?


A 社会ケアサポートを求める多くの成人は18歳未満の子供の親です。もし成人である親が、親であることによるのでないケアニーズを持つ場合、そしてそのニーズは子供に影響しないものである場合、その査定は成人の査定枠組みの中で行われるべきであり、受給資格はFACSガイダンスにしたがって決定されるべきです。

もし成人である親が、子育て能力に影響するようなケアニーズを持ち、そのニーズが子供の安寧(well-being)に影響する可能性がある場合、自治体は1989年児童法による義務と「ニーズのある児童とその家族の査定枠組み」の活用を考慮すべきです。

取り上げられるべき子供のニーズがある場合であっても、親のニーズの側面を分離して、適切な成人査定枠組みとFACSによって取り扱うことは、完全に可能です。そのようなケースをどう取り扱うかはしばしば、専門職の判断の問題となるでしょう。その判断をするときに専門職は、子育てに支援を要する障害のある親を支えるサービスの提供は、しばしば子供の福祉の推進にとってもっとも効果的な手段であるということに留意すべきです。家庭内で子供がよくケアを受けているかもしれなくても、その親が望む子育てが遂行できていない場合、親の安寧は損なわれ問題が悪化していることがあります。このため、第16項の受給資格枠組みの家庭その他の社会的役割と責任を取り扱っている要素に「子育ての役割と責任」が含まれます。


その他のグループ

Q5.1 (新規)  自治体は査定されたニーズのレベルにかかわらず1983年精神保健法第117条の対象となる人を支援すべきでしょうか?


A 国民保健サービス(NHS)との密接な協力の下で自治体は、1983年精神保健法第117条の対象となる人にどのような援助が必要かを決めるため、コミュニテイケアについての査定を行うべきです。その人にサービスが提供された場合には、自治体は利用料を課すべきではありません。実際的に言えば、第117条の対象となる人は自治体の受給資格基準に該当するリスクを生み出すニーズを持っているといえるでしょう。


Q5.2 (新規) 自治体はケアニーズの査定のレベルにかかわらず成人で救護所(asylum)を求めている人はすべて支援すべきですか?


A 救護所を求めている成人が困窮している場合、全国救護所支援サービス(National Asylum Support Service, NASS)によって配慮されるべきです。1999年移民および救護所法(Immigration and Asylum Act 1999)の第116条および117条によって、1948年国民扶助法(National Assistance Act 1948)第21条の住居を含め多くの形態の社会ケアサポートが、そのような救護所をもとめる人には提供されません。しかし救護所を求めている困窮した人が自治体がコミュニテイケアサービスを提供できる査定されたケアニーズを持っている場合、それらのケアニーズが自治体の受給資格基準に該当するか否かにかかわりなく、自治体はその人に1948年法の第21条による保護を提供すべきです。その他のすべてのサービスが停止されるため、提供されるサービスは彼らのニーズに十分対応できるものでなければなりません。この考え方はウエストミンスター市対NASS訴訟の2002年の上院司法(Law Lords)判決で確認されています。


公正


Q6.1 「ケアサービスへの公正なアクセス」ガイダンスのなにが公正なのですか?


A このガイダンスは、自治体に対して社会サービスを求めるすべての成人に対して単一の受給資格基準を運用するよう求めている点で、そしてその受給資格基準は自立へのニーズとそれに関連するリスクによって作られている全国的な枠組みに基づくものとすることを求めている点で、公正です。

このガイダンスの実施によって、年齢、性別、人種、居住の形態と場所はそれ自体では成人のケアサービスの受給資格の決定に関係しないということが保証されるでしょう。


Q6.2 成人社会ケアの受給資格への自治体の取り組みの問題点は何ですか?


A いくつかの自治体では異なるタイプの現在のあるいは将来予想されるサービス利用者に対して、ことなる受給資格基準を適用しています。これはある人々は、ニーズが同じでもほかの人よりサービスを利用することが難しいと見ることを意味します。いくつかの自治体では、その受給資格基準に個々人のニーズに関して仮定をするような要素を含めています。たとえば、いくつかの自治体では、実際のニーズに基づくのではなくほかの人と同居している人の優先順位を低くしています。いくつかの自治体の受給資格基準では、当面の明白なニーズに焦点を当て、タイムリーな支援により悪化を防止できるであろう生まれつつあるニーズを軽視しています。

いくつかの自治体は、査定とサービスのための資格基準を一般的な受給資格基準とは別に設け、そのためサービス利用が非常に複雑で混乱しています。<訳者注:受給資格の査定を受けられるかどうかの査定をする基準を設けて使っている自治体もある、と批判している。Q8-2も参照。>

いくつかの自治体は、個々のサービス利用者のニーズを時間経過に従って一貫して見直していません。そのためある人々はもはや支援の受給資格を欠いているのに受給し続けることがありえます。また、ほかのサービス利用者は時間の経過と共により多くのサービスを必要とするかもしれません。

これらすべてを合計すると、ある人々にとって、また自治体の内部または自治体の間で、相当な不公正となりえる。


Q6.3 もし個々の自治体がその地域の予算によって多少厳しい受給資格基準を持ち続けることができるなら、このガイダンスの公平さはどうなるのでしょう?


A 受給資格基準の設定に当たって自治体は、その自治体で成人社会ケアに配分されてきた予算を考慮すべきです。自治体は、もしそのための予算がないなら、あれこれの状況のニーズを満たす予定であると公示すべきではありません。これは常識です。自治体がある人のニーズがその受給資格基準に該当すると査定したら、そのニーズを満たさねばなりません。

自治体が決定することの影響によって、国のいろいろなところに住んでいる人で、似たニーズをもつ人々に対して似た受給資格認定がなされるという状況を、FACSガイダンスはもたらしません。FACSが行うことは、受給資格の決定が正しい理由によって、また、当面のニーズと発展しつつあるニーズを完全に考慮する方法で、遂行されることを確保することです。その自治体の管轄区域内では、FACSの実施は社会ケアの受給資格については似たニーズをもつ人は似た決定を受けるであろうことを意味します。


Q6.4 ガイダンスが言うように在宅ケアのパッケージの費用上限を設定すべきでないとすると、自治体はどのように予算をコントロールし、ケースバイケースでの公正さを確保したらよいでしょうか?


A もしある人が支援の受給資格がある場合、自治体は費用対効果を考え、かつ適切な、サービスを提供すべきです。費用上限はガイドとして使うことはあるでしょうが、厳格に使われるべきではありません。自治体はつねにその決定を、特定の個人のニーズの査定に基づいて行うべきで、もし費用上限を超えて支出することでその人に大きな変化を生み出すことができるのであれば、自治体はそうすることを考えるべきです。

自治体はまた、サービス提供コストがより高いために、ある種のサービス利用者には他のグループに比べて多くの費用がかかることがあることを考慮すべきです。例えば、より高い費用は、人々の自宅、デイケア、居住施設で文化的に気を配ったサービスを提供する際にしばしばともないます。

費用上限をこのように賢明に使うことによって、特別な支援を要するニーズをもつ人やより高いサービスコストのかかる人と、その他のサービス利用者との間の公平性を保つことができます。


Q6.5 政策ガイダンスが言うように、もしもっともニーズの高い人々を優先しなければならないとしたら、自治体はどのように予防的なサービスを開発したらよいでしょうか?


A もちろん自治体はそのサービスをもっともニーズの高い人々に向けるべきです。もしある人が軽度のニーズをもち、当分の間は軽度のままであると予測される場合、当面または発展しつつあるより大きなニーズをもつ人を犠牲にしてその人にサービスを提供することは道理に反します。

FACSガイダンスは、自治体は受給資格基準を設定し、個々のケ―スの受給資格を決定する際に、もっとも大きなニーズをもつ人々だけでなく、タイムリーな支援を欠くことによって相当程度悪化するであろうニーズをもつ人々も優先的に扱うべきだといっています。

現行では多くの自治体は、予防をないがしろにして、当面する明白なニーズのある人に焦点を当ててサービスを提供しています。FACSはこの視野の狭いアプローチを治すのに役立つでしょう。

ガイダンスはまた自治体に、不利益の広汎な証拠がある場合にはある地域社会やグループの人々に、しばしば地域開発、「人々を支える」(Supporting People)、健康増進、あるいは社会サービス予防戦略の一部として、予防的サービスを提供すべきであるとしています。