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ケアサービスへの公正なアクセス:実際的ガイダンス---実施に関するQアンドA


保健医療関連事項


Q7.1  FACSガイダンスと継続ケアに関する地域合意の施行期日のタイミングは一致しないように見えます。問題は生じませんか?


A 問題は生じないはずです。地方の保健当局と自治体は2002年3月1日までに継続医療・社会ケアに関する相互の責任についての合意をするよう求められています。地方の合意に基づき自分たちの責任として引き受けたサービスの受給資格を、自治体はFACSガイダンスを使って決めるべきです。全額補助の継続ケア基準に合意するNHSの期限は、「差額移行制度」(Shifting the Balance)の変更をやり終えてNHSに渡すために、2002年10月まで延期されました。「戦略的保健当局」は2002年10月までに自治体と協力して基準に合意することが期待されています。この期限に間に合わせるために、自治体はFACSガイダンスの作業素案をNHSとのあらゆる議論において使い、FACSが全面的に実施されたら2003年4月までにその合意を微調整するべきです。


Q7.2 受給資格枠組みの「危機的」区分は、従来の合意以上に継続的保健医療ケアに自治体が深く関わるべきだということを含意していますか?


A そうではありません。2002年3月(そして2002年10月)の継続医療・社会ケアに関する合意では相互の責任を確立すべきです。「危機的」区分の内容は単に、自治体は健康問題をもつ人のニーズに適切な社会ケアサービスを提供することによって対応することを示すものです。保健医療ケアを提供するNHSの義務を軽減するものではありません。


Q7.3 退院に関するNHSとの合意はFACSの受給資格基準に優先するというのはどういう意味ですか?このことと、もっとも大きなニーズをもつ人を優先するということとどう関わりますか?


A 多くの高齢者と成人の退院はいろいろな理由によって遅れることがあります。そうした遅れによって利益を得る人はいません。例えば、患者の意欲を低下させて危険を生み出し、新規患者の入院を妨げ、地域の予算の相当な流出となります。これらの理由から、退院待ちの人を優先して支援することは完全に意味のあることです。さらに、退院待ちの人は相当なニーズをもつ人である可能性がかなり高く、退院の遅れはそうしたニーズを深刻化させ回復を脅かすだけです。


Q7.4 (新規) FACSガイダンスはNHSの機関によって提供される社会ケアサービス、あるいはそれとともに提供される社会ケアサービスにも適用されますか?


A 社会サービス機能が遂行されている、あるいは社会サービスが提供されている限りは、そのサービスは自治体の法的義務であり、FACS政策ガイダンスが適用されます。その機能・サービスがNHSに委託されているかどうか、共同出資で提供されているかどうか、NHSサービスと並行して提供されている(おそらく1999年保健法第31条によって)かどうか、は関係ありません。もしそれが自治体の法的義務であるサービスなら、受給資格はFACSに基づく受給資格基準にしたがって決定されるのです。サービスが提供されたら、FACS政策ガイダンスにしたがって、つまり初回サービスの3ヶ月後とその後は最低年に1回の見直しがなされるべきです。

FACS政策ガイダンスが述べているように、ガイダンスは継続医療・社会サービスのパッケージの受給資格基準の出発点として使うことができます。またそれは1999年保健法第31条による協力関係で動いているNHS機関と自治体によっても、共同の受給資格を定める出発点として使われるべきです。


査定


Q8.1 保健省のケアマネージメントと査定に関する1990年政策ガイダンスと1991年のその実際的ガイダンスは、FACSに代わったのですか?


A FACS 政策ガイダンスの一部は、1990年と1991年のケアマネージメントと査定に関する「人々のケア」(Caring for People)ガイダンスに追加したものです。たとえば、査定や見直し要求の一般的原則についてのFACSの節は、1990年と1991年のガイダンスを新しく直したものです。しかし同じ原則に従っています。

FACSの受給資格枠組みと受給資格決定の節は明らかに新しいものです。さらに自治体が気づいているように、近年特定のグループのために特殊で詳細な査定とケアプランの枠組みが保健省から出版されてきました。それらは、「精神保健全国サービス枠組み」(the National Service Framework for Mental Health)と小冊子「精神保健サービスでの効果的なケア調整:ケアプログラムアプローチの近代化」(Effective care coordination in mental health services - modernising the Care Programme Approach)、「高齢者のための全国サービス枠組み」(the National Service Framework for Older People )と単一の査定手順についての詳細なガイダンス、および「価値ある人々:21世紀の知的障害のための新戦略」(Valuing people : a new strategy for learning disability in the 21st century)です。

一般に、自治体はまずFACSガイダンスを参照し、ついで近年の特定のグループのための査定とケアプランのガイダンスを参照すべきです。適当な場合には自治体は、より完全な情報を得るために1991年の実際的なガイダンスを便利に参照することができます。


Q8.2 もし自治体が査定のための受給資格基準を設定できず、受付用の低いハードルをもうける場合、その自治体はたくさんの査定を抱え込むことになりませんか?


A いいえ、もし自治体が両方使うならば、つまり、FACSガイダンスの査定の一般原則に従い、かつ特定のサービス利用者グループのためのガイダンス、たとえば、「精神保健全国サービス枠組み」、「高齢者のための全国サービス枠組み」や知的障害者のための「価値ある人々」の査定の一般原則に従うならば、いいえです。

査定の一般的原則は、個々人のニーズと状況に応じて査定がなされるようアドバイスしています。例えば単一の査定手順は、確認されたニーズに応じて査定のレベルと複雑さを押し上げるような査定枠組みを提供しています。

自治体が運用しているスクリーニング制度は、ニーズが確認されないまま人々を追い払ってしまうことがあるというかなりの証拠があります。いくつかの自治体はさらに、高機能自閉症やアスペルガー症候群の人など特定の人々を支援しないと宣言して、自治体が行うべきニーズ査定を試みようとしないこともあります。これは認められません。しばしばこれらのスクリーニング制度は査定やケアマネージメントの制度とは関連しておらず、役立ちません。自治体はつねに、支援を求めて社会サービス窓口に来るほとんど全ての成人は、必要だと感じたときにのみ来るのだと言うことを心にとめておくべきです。


Q8.3 政策ガイダンス全般と、受給資格枠組みにリストされている特定の要素とは、専門職が問題を他と分離してみるように促していますか?


A そうでないことを願っています。というのは、そうすると貧しい実践になるだろうからです。しばしばニーズは相互に関連し、個々のニーズの組み合わさった影響によって、それぞれが単独で作用している場合に比べてより大きく自立を脅かす事があります。政策ガイダンスの第37項は、専門職に、毎日(の生活)とより長期(の生活)とにおけるその問題の大きさ、不安定さ、および影響可能性を考慮するように求めることによって、この点を取り上げています。

同項はまた専門職が、問題を生み出したり、悪化させたりしている外的、環境的な因子を考慮すべきだとしています。同項は専門職に、個々人が直面している問題の数と、それらの問題の相互関連を考慮するよう促しています。こうして専門職は、例えば、貧しい住居、不十分な地域施設、地域の就労・学習・レジャー機会が、個々人の身体的・精神的安寧と自立に与えている影響を探求できます。


Q8.4 当分の間のニーズや予防可能なニーズを確認しそれらに対応できるよう、専門職が効果的なリスク査定を行う上で、どのような支援がありますか?


A この問いへは簡単な答えはありません。まず出発点として、専門職は予防特別補助金(後に自立促進補助金)を支援するために発行されたLAC(99)13とLAC(99)14を参照すべきです。<訳者注、LAC: Local Authority Circular, 政府から自治体への通知・告知。>

専門職はまた、FACS政策ガイダンスの第37項(前質問でも参照した)と第42項を見ることができます。第42項では、確認されたニーズは、そのニーズがもたらす、自律、健康と安全、日常生活をやりくりする能力、そしてより広い地域社会の生活への参加へのリスクに照らして評価されるべきであると、示しています。

このようなガイダンスの助言は、能力、経験、および健康面と社会的ケアの状況がどうしばしば発展するかについての理解が非常に高いレベルの専門職にとっては、単に情報に基づく専門職の判断をサポートするだけです。


Q8.5 サービス費用を支払う資力のある人についても自治体による査定をすべきですか?また自治体はさらにサービスの調整(手配)まですべきですか?


A コミュニテイケアの査定の実施と完了は、サービスがケアホームで提供されるものでも自宅で提供されるものでも、その人がケアサービスの費用支払いができるか否かということに依存しません。査定の後、サービス利用者に代わって居住施設ケアを調整する件についてはFACS政策ガイダンスの第71、72項が扱っています。在宅でサービスを受ける人に関しては、自治体はサービス利用者の資力や能力にかかわらずそのサービス調整を、もし利用者が自治体に行ってほしいと希望する場合には、行うべきです。1948年国民扶助法第29条によるサービスを受ける人で、自治体の管轄地域の通常の居住者である場合、その自治体はその人に代わってサービス調整をする義務があります。


Q8.6 職責担当者またはその他の第一線職員は支援対象者を決定することができますか?


A 自治体は国民保健サービス(NHS)第47(1)および1990年コミュニテイケア法(Community Care Act 1990)のもとで、コミュニテイケアサービスを必要としていると見られる人にコミュニテイケアの査定を行う義務があります。コミュニテイケアの査定が行われたら、自治体はサポートを提供するかどうかの決定をする必要があります。ケアサービスの受給資格の決定は、十分な査定情報が集められ適切に評価された場合にのみなされるべきです。自治体の専門職員でコミュニテイケアの査定が必要であるかどうかの決定と受給資格を決定する者は、有能な者で受給資格を決定する職責ポストにいる者でなければなりません。これらの課題を遂行する専門職が第一線の(窓口の)職員であるか、その他の場所に勤務しているかは問題となりません。有能でありさえすれば、資格を持っているかどうかも問題とはならないでしょう。(査定とケア調整に関して能力や資格がどのように記述されているかの例を、単一査定手順に関する2002年1月のガイダンスの付属資料Gで参照してください)


Q8.7 ときどき人々は査定を長期間待たねばならず、これは公正なアクセスを否定されているのと同じです。ガイダンスでは査定の待機期間についてどう述べていますか?


A 政策ガイダンスは自治体に、査定はすべての人にタイムリーに行われるべきだと注意しています。「よりよいケア、より高い基準」(Better Care, Higher Standards、BCHS)ではさらに、査定までにどのくらい待たねばならないか、査定に要する時間はどの程度かを、個々人に知らせるべきであると加えて記しています。

BCHSがはっきり述べているように、在宅にとどまるためまたは自立するためのサービス(ホームケア、配食、リハビリテーション、障害補助器具、住宅改造など)に関するアドバイスは、迅速に提供されるべきです。より詳しい事項はその地域のBCHS憲章に記載されるべきです。

加えて、高齢者のニーズについてのすべての査定に関する新しい目標が2002年7月23日の高齢者サービスに関する声明の中で、保健大臣から公表されました。2004年12月までには、すべてのそうした査定は48時間以内で開始され1ヶ月以内で完了すべきであるとしています。


Q8.8 このガイダンスは地方自治体告知「盲ろう児者の社会ケア」(Social Care for Deafblind Children and Adults、LAC(2001)8)とどう適合するのでしょうか?


A LAC(2001)8は1970年地方自治体社会サービス法第7条によって発行されました。そこでの、盲ろう児者のニーズ査定はそのために特別に訓練を受けた人かチームによって行われるべきであるという規定は、FACSの影響を受けません。同様に、盲ろうの成人へのサービス提供のためのLAC(2001)8の規定も、FACSの影響を受けません。一般的にLAC(2001)8の規定は、FACS政策ガイダンスに記されている事項と良好に共存しており、両者はともに、盲ろうの成人によるより容易な申請、査定、サービスを推進し続けるべきです。


Q8.9 ガイダンスではあまり介護者(carers)の査定と支援受給資格について触れていません。その理由は?


A FACSガイダンスは介護者にもふれてはいますが、自分のケアニーズのために支援を求める個々人に主な強調点を当てていることは事実です。このことは、介護者の問題はより重要性が低く、自治体はこれを二次的な関心事として扱うべきだと言っているということを意味しません。全く違います。

FACSガイダンスは、 介護者の影響は支援を求める個々人の自立と安寧にとって非常に重要であることを認識し、その人の査定とケアプランにあたっての介護者の適切な参加を促しています。

介護者自身が独自のニーズをもつ場合、あるいは介護役割の継続に関して懸念がある場合、それらの事項は「2000年の介護者及び障害児法:介護者の査定に関する実践家向けガイド」の枠組みの中で査定されるべきです。