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第1章から第8章
居宅ケアその他の入所施設以外の社会サービスにかかわるより公正な利用者負担のあり方

第1章 序

  1. 1983年保健・社会サービス及び社会保障裁決法(HASSASSA法1983)第17条は、非居住系サービスの成人利用者に利用者負担を課す裁量権を自治体に与えている。1970年地方当局社会サービス法第7条は、自治体の裁量権のもとで行うものも含めて、自治体が社会サービスを実施する際のガイダンスの発行を、政府の所管大臣に認めている。
    これらの社会サービスの実施に際して自治体は、この第7条で発行されたガイダンスを尊重しなければならない。
  2. 保健・社会サービス及び社会保障裁決法1983(HASSASSA法1983)第17条は、当該するサービスを考慮した上で合理的であると考えられる場合には、自治体は費用を回収することができるとしている。付属資料Aに、課金を徴集することのできるサービスについてのHASSASSA法の規定を掲げた。
  3. 本ガイダンスには、すべての利用料負担政策が合理的なものとなるための自治体が注意しなければならない多くの事項についての助言が含まれている。自治体は、その利用料負担政策が、異なるサービス利用者の間で公正であることを明示すること、およびサービス利用者の自立と社会統合を推進するという社会ケアの全体的な目的を稚拙な利用料負担政策によって損なうことがないようにすることの、両方を確保しなければならない。
  4. 政府はすべての自治体がいろいろな種類の非居住系の社会サービスに利用料を課すものと予測はしておらず、自治体は課さないことを選ぶ裁量権を持っている。利用者が非居住系社会サービスのコスト負担への貢献を求められる場合、自治体には追加的な収入となり、それはサービスの拡充に使われるべきである。<訳者注:利用料収入は、成人社会サービス予算を減らすために使われるべきではないとの指摘。>
  5. サービスに利用者負担金を課すと決めた場合、その仕組みをどうするかについてもまた、自治体はかなりの裁量権を持っている。本ガイダンスは、自治体の利用者負担政策が公正なものとなるよう、また、全体的な社会的ケアの目的に沿ったものとなるよう、広い枠組みを用意している。本ガイダンスは、利用者負担政策を運用するすべての自治体が達成すべき明確な目標を述べている。政府は、これらは課金が1983年HASSASSA法の見地から見て合理的であるための最低限の要請であると考えている。それぞれの地域の状況において何が合理的かを考える際、いくつかの自治体では本ガイダンスの最低要請以上に進む必要があるだろう。本ガイダンスで要請している内容以上に進んでいる利用者負担政策をすでに設けている自治体について、現行より厳しく徴集する方向での改定を求めるような記述は、本ガイダンスのどこにもない。
  6. 自治体は利用者負担政策を立案する際に、管理コストを含む運用問題についても考慮することを望むであろう。

第2章 利用者負担の対象外とされるサービス

  1. 精神保健法1983第117条によるアフターケアサービスは1983年HASSASSA法の第17条による利用者負担の対象とは認められない。
  2. サービスの利用可能性についてのアドバイスの提供、および地域ケアニーズの査定を含む査定に対しては、自治体は利用料負担をしてはならない。

第3章 いろいろなタイプのサービスに対する利用者負担

  1. 本ガイダンスは、居住施設以外のすべての種類の社会サービスに対する利用者負担を取り上げている。利用者負担の様式はいろいろなサービスの間で異なるであろうが、利用者がいくつかのサービスを利用する場合のそれらの間の関連についてもまた、考慮すべきである。
    1. 自宅での食事(配食サービス)またはデイケアでの食事
      多くの自治体では、資力(家計)調査(a means test)なしで全利用者に低額の均一料金を課している。これは通常の生活費に代わるものであるので、正当なものとされる。
    2. デイケア
    3. 家事援助
    4. 介護サービス
    5. その他の社会サービス分野のサポート(「障害者便宜補助金」によるもの以外の移動、福祉用具、住宅改造など。)

    現在、デイケア、家事援助、介護サービス、福祉用具、(住宅)改造に関わる利用料負担の実際は、次章で見るように自治体により異なっている。一つのサービスを他と切り離して支払い能力を査定したり、利用料負担を課したりすることは、行ってはならない。いくつかのサービスのうちの一つのサービスへの利用料負担が利用者収入に及ぼす影響は、ほかのサービスにも利用料を課すべきか否かを査定する際に考慮されねばならない。これらのサービスの利用料負担の査定にあたっては、通常は同じ査定方法が適用されるべきである。

    次章で述べるように、利用者が一つより多くのサービスを利用している場合、均一料金制度が利用者の所得にとって不利な影響を生まないよう、特別な注意が払われなければならない。自治体は、そのような課金によって、下記のように利用者の収入が、基礎的な所得援助(Income Support)レベルあるいは年金給付の最低保障給付(the Guarantee Credit of Pension Credit)プラス25%のゆとり、という水準以下に低下することが、確実に起こらないようにしなければならない。このことは、利用者との協議やサンプル調査、そして利用しやすい再審査手続きの制定などによって、利用者負担政策の立案の最初の時点でなされなければならない。

    1. Supporting People
      <訳者注:訳は略。住宅関係の新しい補助金制度関連であり、日本ではあまり参考にならない>

第4章 サービスレベルに応じた、および/または利用者の資力を参照した、利用料負担

  1. 2000年5月の会計検査委員会報告「ケアの利用者負担」は、自治体が採用している4つの主要な利用者負担モデルを述べている。
    1. 全員に適用される均一料金(しかし通常は所得援助(Income Support)または求職者手当(所得を基礎としたもの)(JSA-IB)受給者を除く)
    2. 利用者の資力(means)を考えず、利用したサービスレベルに応じた利用料負担
    3. 利用したサービスレベルを考えず、利用者の資力に応じた利用料負担
    4. 利用したサービスレベルと利用者の資力の両方に応じた利用料負担
  2. 「ケアの利用者負担」に書かれているように、モデルbは高度なケアニーズのある貧しい利用者に特別な問題を生み出す。政府は、利用者の資力を考慮しない利用者負担モデルは認められないと考える。それは1983年HASSASSA法の見地から見て合理的とはいえない。
  3. 日常生活での支出に代わるものである自宅やデイケアでの食事の利用者負担を除いて、モデルaにも同様な問題がありえる。しかしもし、(i) 所得援助(Income Support)、年金給付の最低保障給付(the Guarantee Credit of Pension Credit)または求職者手当(所得を基礎としたもの)(JSA-IB)受給者を除くとしていて、(ii) 利用者の収入が所得援助(Income Support)あるいは年金給付の最低保障給付(the Guarantee Credit of Pension Credit)プラス25%のゆとりという基礎的なレベルより下がるのをさけるために、低額の「名目的な」貢献額に設定されているならば、その問題点は克服されよう。全く例外なしに全員に適用される均一料金制度は認められない。
  4. モデルaとcで起こりえる問題点は、サービスを拡充するために使われる利用料負担収入が少ししか集まらないということだが、これは自治体が検討するべき課題である。
  5. モデルdは2000年5月にもっとも多くの自治体が採用していたものだが、この中にも多くの相違点があり、また問題点も多くある。とくに、
    • 利用者負担額の上限を定めていない政策、及び、利用者負担後の可処分所得の額に配慮されていない政策の場合。この結果、ある利用者は基礎的な所得援助(Income Support)額以下の所得に押し下げられた。
    • いくつかの自治体の政策で使われた広範囲の所得帯<訳者注:所得区分の細分化の程度が足りないこと>は、「絶壁効果」を生むことがある。負担額の上限がない場合や負担後の可処分所得額に配慮のない場合、利用者の所得は、とくに広範囲の所得帯の底辺部の利用者の所得は、基礎的な所得援助(Income Support)または年金給付の最低保障給付(the Guarantee Credit of Pension Credit)の額以下の所得に押し下げられる可能性がある。

第5章 利用者の収入への利用料負担の影響

  1. 政府の社会的ケアの政策目的は、自立と社会的統合の推進である。利用者負担政策はこの全体的な文脈のもとで見る必要がある。最低限、利用者の収入は、利用者負担によって、所得援助(Income Support)あるいは年金給付の最低保障給付(the Guarantee Credit of Pension Credit)の額プラス25%以上のゆとり、という本ガイダンスで定義している基礎的収入レベル以下に下がることがあってはならない。
    25%のゆとりは個々の利用者の所得援助手当及び年齢、障害程度、家族状況に応じた加算給付、あるいは適当な年金給付の最低保障給付(the Guarantee Credit of Pension Credit)の上に、追加される。どのように25%のゆとりが追加されるかの例を付属資料Dに示した。このゆとりは、利用者負担政策によって利用者の生活の自立が傷つけられることがないよう、追加的な安全対策を設けたものである。
  2. 所得援助(Income Support)あるいは年金給付の最低保障給付(the Guarantee Credit of Pension Credit)の基礎的レベル以上の収入の全てを利用者負担の徴収対象と見なせると考えることは、自立生活の推進と矛盾する。ゆとり部分(バッファー)があれば、その量に応じて低所得の人には助けになる。低所得者層ではサービス利用が少ないという証拠があるので、政府はこうしたゆとりをもうけることは優先事項と見ている。
  3. 全ての利用者が、利用料負担として徴収されないある程度の収入を手元に残す事ができるようにするためのその他の方法として、自治体は、可処分所得(基礎的な所得援助(Income Support)あるいは年金給付の最低保障給付(the Guarantee Credit of Pension Credit)プラス25%を超える部分)に対する利用料負担として徴収できる最大割合(%)の設定を選ぶこともできる。全ての自治体は、全てに優先して適用される最大負担額の設定の可否と設定する場合の内容について検討し、利用者と特にこの問題について協議すべきである。これはいくつかの自治体では、地域の典型的な居住施設ケアの利用料負担の一定割合に設定されている。その理由は、利用者が自分の家を離れようとするようなまちがった経済的インセンテイヴを与えないようにすることである。
  4. 所得援助(Income Support)あるいは年金給付の最低保障給付(the Guarantee Credit of Pension Credit)の「基礎的な」レベルには、最低限、年齢、障害程度、家族状況に応じた個人対象の手当、加算あるいは適切な追加的給付金は含まれるものと理解すべきであるが、重度障害加算(SDP)あるいは重度障害に伴う給付金は含める必要はない。重度障害加算(SDP)は、下記の第6章で規定されるように、他の障害関係給付と同様なものとして扱われるので、除外してよい。介護者が所得援助(Income Support)あるいは年金給付の最低保障給付(the Guarantee Credit of Pension Credit)または求職者手当(JSA-IB)を受けている場合、「基礎的」レベルの給付には全ての種類の介護者加算を含めるべきである。標準的なケースの場合「基礎的」な所得援助(Income Support)あるいは年金給付の最低保障給付(the Guarantee Credit of Pension Credit)のレベルとはどのようなものかを示す例を付属資料Bに含めた。
  5. 所得援助(Income Support)、年金給付の最低保障給付(the Guarantee Credit of Pension Credit)あるいは求職者手当(JSA-IB)を受けている人々は、その総合的な収入がこのガイダンスで定義している「基礎的」レベルであるので、自治体は、これらの人々を利用料負担の対象から除外しなければならない。
  6. 自治体は、所得援助(Income Support)、年金給付の最低保障給付(the Guarantee Credit of Pension Credit)あるいは求職者手当(JSA-IB)を受けている人々「以外の」利用者(そのほかの理由での除外になっていない場合)に対して、利用料負担のための査定を行う必要があろうが、それは、
    1. 所得援助(Income Support)、年金給付の最低保障給付(the Guarantee Credit of Pension Credit)の基礎的レベル、プラス25%のレベルで暮らしている人が利用料負担を払わなくてもよいようにするためであり、かつ、
    2. この所得レベル以上の利用者に課される利用料負担が、利用者の所得を、所得援助(Income Support)、年金給付の最低保障給付(the Guarantee Credit of Pension Credit)の基礎的レベル、プラス25%のレベル以下に引き下げることがないように、するためである。
  7. 収入は、あらゆる所得税、支払われる国民保険料、住宅費、自治体税の総合で(手取りで)なければならない。住宅費、自治体税は、支払われるあらゆる種類の住宅給付や自治体税給付を総合して(手取りの額で)査定されねばならない。この査定は、利用者の収入増に伴う住宅給付や自治体税給付の停止に起因する、いかなる「貧困の罠」、あるいは、就労への動機付けの阻害を最小限にするものでなければならない。いくつかの自治体は、水道料金や住宅保険などのその他の費用を考慮することを検討したいと考えるであろう。
  8. 所得援助(Income Support)、年金給付の最低保障給付(the Guarantee Credit of Pension Credit)あるいは求職者手当(JSA-IB)に「加えて」その他の収入を得ている利用者については、それらの収入を基礎的レベル以上であると見なす(通常は、介護手当(AA)や障害生活手当(DLA)などの障害関連給付だが、しかしまた、所得援助制度の重度障害加算(SDP)や年金給付制度の重度障害追加給付もこの「以上」に含む)、が、自治体は次の方法を選択できる。
     すなわち、その他の追加的な収入のある人の全てを利用者負担の対象からはずすか、あるいは、利用者負担(額)の査定で利用者の全収入を含めて検討するか、である。後者を選んだ自治体はその目的を、利用料負担が利用者の手取りの所得を、所得援助(Income Support)あるいは金給付の最低保障給付(the Guarantee Credit of Pension Credit)プラス25%を下回らないようにすることであることの確認をすべきである。この点は、次章でさらに説明される。  
  9. 所得援助(Income Support)、年金給付の最低保障給付(the Guarantee Credit of Pension Credit)あるいは求職者手当(JSA-IB)の受給者を、追加的な収入の有無にかかわらず利用者負担の対象から除外する自治体は、同様なアプローチを所得援助(Income Support)、年金給付の最低保障給付(the Guarantee Credit of Pension Credit)あるいは求職者手当(JSA-IB)を受給していない利用者にも適用すべきである。したがって障害給付やその他の収入は同じような収入レベルにある利用者にとって利用者負担の査定対象から除外されるべきである。  
  10. 利用料負担の査定に際して所得援助(Income Support)の範囲内であるとして申請される戦傷障害年金と戦争未亡人年金(2001年4月現在、1週間に10ポンド)および、戦争未亡人補足年金(これは全額控除される)については、自治体は利用料負担査定において控除対象とせねばならない。自治体は、住宅給付及び自治体税給付のための戦争障害年金および戦争未亡人年金受給者について、地方政策としてより広汎な免除規定を検討すべきである。
  11. 2003年10月6日以降、年金クレジット(給付)は60歳以上の人の場合には収入関連給付と見なすこととなり、60歳未満の収入関連給付の計算として継続する所得援助(Income Support)の場合とは多くの点で異なる。年金クレジット(給付)は最低所得保障に代わるもので、政府が設定した最低レベルの所得に上乗せをするためのものである。年金クレジット(給付)には2つの要素がある:60歳以上の人にクレジット(給付)を保障することと、65歳以上の人のクレジット(給付)を節約することである。  
  12. 適切な最低保障給付で、重度障害のための追加的な給付を含めない金額、のプラス25%のゆとりが、利用者負担によって低下する最低限の所得レベルであることを認識しなければならない。  
  13. 貯金給付額(savings credit)は利用者負担の計算において全面的に無視すべきである。  
  14. 児童税給付の導入によって、2003年4月以降、子供を持つ成人への資産調査付き支援が変更された。成人は、自らの所得援助(Income Support)、求職者手当(JSA-IB)または就労税給付と、子どものための児童税給付を受け取る。2003-2004年の移行期間には、所得援助(Income Support)受給者は引きつづき児童個人手当および所得援助(Income Support)の児童加算または求職者手当(JSA-IB)を受給できる。  
  15. 2004年4月からは、所得援助(Income Support)または求職者手当(JSA-IB)受給者は児童税給付に移行する。児童税給付は、利用者負担が支払われる場合にはその算定から除外されるべきである。それまでの間、適切な所得援助児童手当は、ひきつづき利用料負担能力の査定に際して所得援助(Income Support)プラス25%という基礎レベルの範囲内に加えられるべきである。  

第6章 障害関連給付の取り扱い

  1. 障害生活手当(DLA)の移動部分は、法律によって利用者負担の検討から除外される。自治体は、障害生活手当(DLA)の移動部分と類似したものとして扱うべきなので、戦争年金者の移動加算を収入査定から除外するべきである。
  2. この章で問題となる障害関連給付は、所得援助(Income Support)の重度障害加算(SDP)、介護者手当(AA)、障害生活手当(DLA)1)、恒常的介護者手当(CAA)、および特別重度障害加算(ESDA)2)である。
    注1)ここでの障害生活手当(DLA)は介護部分を指し、移動部分は除く。以下の障害生活手当(DLA)も同じ。
    注2)CAAとESDAは労災障害給付及び戦争年金制度による。これらはAAやDLAの代わりに支給される。
  3. これらの給付は、利用者の収入の一部と見なすことができるが、自治体はこれらを除くこともできる。これらを収入と見なす場合、自治体はより上位の原理にしたがわねばならない。すなわち、
    • 利用者負担が、利用者の手取り収入を所得援助(Income Support)の基礎的レベルプラス25%以下に下げないこと、
    • 利用者負担によって、障害に起因するその他の必要なケア、援助その他の費用を払えなくなるような結果にしないこと。
  4. この目的は、利用者の収入と支出の両方を査定する利用者負担査定によってもっとも良く達成できる。その際、支出にはあらゆる障害関連支出を含めるべきである。自治体には、とくに障害関連の給付を収入としてカウントするすべての利用者について、障害関連支出を査定することが望まれる。自治体はまた、障害関連支出があるかもしれない他の利用者のためにこの査定をする利用者ととくに協議をするべきである。
  5. いくつかの自治体は、障害給付の標準的な要素をすべての受給者の収入から除外する方法を採用するかもしれない。この場合、収入及び支出の査定には、個々の利用者の障害関連支出がその除外額以上であるかどうかの査定が含まれなければならない。

デイケアとナイトケア

  1. ある人が昼と夜の介護ニーズをもつ場合、高額の介護者手当(AA)が支払われ、昼または夜の介護ニーズをもつ場合、低額が支払われる。
  2. ある人が昼と夜の援助を必要とする場合、最高額の障害生活手当(DLA)の介護部分が支払われる。昼または夜の援助が必要な場合、中等度の額が支払われる。昼間の一部にある程度の援助が必要な場合(しかし、中等度の額のレベルには至らない場合)、あるいは16歳以上で主食の調理に援助が必要な場合、最低額が支払われる。
  3. 恒常的介護者手当(CAA)として4区分の額のどれかが支払われる。日の一部、全日、中間、および例外的区分である。中間、および例外的区分では、夜間のケアニーズに対応するための金額が常に含まれている。ある程度の夜間ケアのニーズは、全日区分にとって不可欠ではないが、それを可能にする条件である。特別重度障害加算(ESDA)の額は1つの区分のみで、もっぱら恒常的介護者手当(CAA)の上位2区分と合わせて支給される。
  4. 最近の裁判例(R氏対コンベントリー市、2000年11月)では高等裁判所は、夜間ケアのために支払われた障害生活手当(DLA)の合計額を、昼間のケアに使える収入として取り扱った自治体に対して、違法で不公正であると判断した。
  5. 自治体は、介護者手当(AA)または障害生活手当(DLA)の介護部分がどの区分で支払われているか、その区分は夜間ケアに関連するものかどうか、注意する必要がある。昼間のケアに関連して追加的な要素が支払われていることが明白でない限り、介護者手当(AA)の高額区分と低額区分の間の差や、障害生活手当(DLA)の介護部分の最高額と夜間ケアのために支払われる中等度の額との差を考慮することは、通常は合理的なことである。
  6. 恒常的介護者手当(CAA)における中間と例外的区分・全日の額の差は、通常は夜間ケアのために支払われたものとして取り扱うべきである。ある場合には、自治体は、全日区分のどの部分が夜間ケアのために支払われたかを査定する必要があろう。特別重度障害加算(ESDA)では常に夜間ケアの要素を含んでおり、恒常的介護者手当(CAA)の中間と例外的区分と一緒に給付される。
  7. 判例によると夜間とは「各世帯が隠れた時間帯に入るような不活動の期間または不活動の主要な期間のことで、その始まりは各世帯が夜に向けて閉じた時である」。また朝着ることや寝る前に脱ぐことは日中の活動であると判断されている。(R氏対国民保険委員会、社会サービス担当大臣。1974)

<訳者注:42、43は訳省略。いずれも夜間ケア費用の取り扱い関連>

障害関連支出の査定

  1. 適法的に請求できる障害関連支出の完全な総合的リストを示すことは不可能である。自治体は本ガイダンスに沿って自らの政策を作成する必要がある。考慮すべき支出の主要な種類の例を42項<訳者注:46項の間違い>に示した。障害関連支出を明らかにする全体的な目的は、障害者の自立生活に必要な合理的な支出を可能にすることである。生活の自立を維持するために支払う以外に全くあるいはほとんど選択の余地がないような費目は、通常は認められるべきである。
  2. 多くの利用者は少数の項目を申請しそうである。障害関連支出の項目の査定と請求のプロセスは、不適切に複雑なものとすべきでなく、とくに高度のケアニーズのない利用者にとってこのことがいえる。説明なしであり得る全項目リストを示しても利用者は混乱するだけなので、このプロセスは、主に紙上で、あるいは郵送で行われるべきではない。このプロセスは、個々の利用者のニーズの違いに対応すべく十分柔軟になされなければならない。しばしば利用者は、どう申請したらよいかについて個人的な援助と助言を必要とする。障害関連支出を含む査定は、したがって通常は利用者自身の自宅における対人的なインタビューによって行われる。進め方は、利用者の生活の自立を支援し、かつ利用者負担が合理的なものとなるよう、できるだけ利用者による自己査定を支援し、利用者の財政と個人的なニーズについての全体的な評価を行う。通常、利用者には査定の一部として受給アドバイスが提供されるべきである(下記参照)。専門的査定担当者は障害関連支出の請求の査定のための特別な訓練を必要とする。高度のケアニーズを持たない大多数の利用者にとっては このプロセスは単純で直線的なものだが、同時に、多額の障害関連支出を要する利用者がこの請求をすることができるよう全面的に支援がなされなければならない。その他のアドバイスは別の実践的なガイダンスで取り上げられる予定である。
  3. 障害関連支出の査定に際して、自治体は次のものを含めるべきである。
    • 地域警報システムへの支払い(2003年以降は住宅給付あるいは住民支援補助金に統合)
    • レスパイトサービスを含め、私的に調達したあらゆるケアサービスのコスト
    • 障害による全ての特別項目の費用、たとえば、
      • 特別な洗剤や洗濯
      • 病気や障害により必要な特別食のための追加的コスト。利用者は、疑問のある場合には家庭医に問い合わせる許可を求められるかもしれない。
      • 例えば特別に製作する必要があるなどの特別な衣類や履き物。あるいは障害による衣類や履き物の追加的な消耗。
      • 例えば失禁による寝具類の追加的出費
      • 年齢、医学的な状態あるいは障害に伴い必要とされる、暖房費や水道料金のその地域と家屋タイプの平均以上のコスト
      • 庭の基礎的な管理、清掃、家事などの合理的な費用で、個々人の障害により必要となり社会サービスで対応していないもの
      • 就職や就労の維持に必要な用具や交通を含め、障害関連の用具の購入、維持、修理。ここには障害によって必要とされる場合のコンピューターのコストが含まれる。自治体からの用具の供給を待っている間の、用具の適正なレンタル代金も含まれよう。
      • 家事その他の利用者の必要な費用を含め、個人的援助の費用。
      • DLAの移動部分を超える額のデイセンターへの通所の費用がある場合など、病気や障害により必要とされるその他の交通費。自治体が用意したデイセンターまでの交通手段などのより低額の手段があるにもかかわらずそれを使わない場合など、いくつかの例では、自治体はその交通費の請求を考慮しないということも合理的であるかもしれない。
      • そのほか、より安い料金で適切な代替手段が利用できる場合には、自治体が費用を認めないことに合理性がありえる。例えば、失禁パッドはNHSから利用できるので、個人的に購入した費用は認めないという自治体の方針をとることもあり得る。
  4. 何がケアや支援に必要とされるかを判断する上でのガイドとして、通常は利用者のケアプランが使われるが、ある程度の裁量も必要となろう。例えば、用具の必要性が総合的に詳しくかかれていない場合とか、ケアプランが書かれる前に私的にケアや支援が購入されていた場合など。
  5. 考慮されるべき支出は、必要なケアや支援にのみ限定されるべきではない。例えば、通常はケアプランには書き込まれていないが、平均的な暖房費以上のコストも含まれるべきである。その人の障害に関連して必要となる追加的な支出は全て考慮されるべきである。購入頻度の高くない用具の費用は通常は適当な買い換え期間を考慮して1年間の費用に再計算され、さらに週間の費用に換算される。
  6. 一定限度において、自治体は洗濯代などのコストについて標準的な額を設定することも可能であろう。しかしその際、自治体は設定した水準が正当なものであることを示す必要があり、より高い費用負担をしていないかどうかを最初の査定において利用者とともに調査すべきである。
  7. 自治体の判断により、実際の支出の証拠が求められることがある。領収書が残っていない場合、自治体は次回の支出時には保存するよう依頼するかもしれない。自治体が、請求された項目が実際に購入されたかどうかを確認することは、とくに異例な項目や高価な支出の場合には、正当なことである。
  8. 自治体は、例えば、平均以上の暖房費の請求を査定するために、その地域の不動産の種類ごとの典型的な暖房費に関する情報を保持する必要があろう。その地域の家事援助費用についても同様である。障害関連支出の査定に関するその他の自治体への助言は、別冊の実際的なガイダンスに書かれている。

第7章 受給アドバイス

  1. 自治体は、利用料負担の査定の時に、居住施設サービス以外の社会サービスと介護者サービスの全利用者に対して適切な受給アドバイスを確実に提供しなければならない。第41項で示したように、利用料負担の査定は利用者の全体的な財政的個人的ニーズに焦点を当てねばならない。通常それは利用者の自宅での適切な技能を持ったスタッフによる面接で行われる。このサービスには、利用者の希望によって、利用資格に関する助言、給付請求の実行への支援、およびフォローアップが含まれるべきである。
  2. 利用料負担の査定時に受給アドバイスを確実に提供するために、福祉の受給権サービスをどう提供するかを決めるのは自治体である。多くの場合、利用料負担査定と受給アドバイスを訓練されたスタッフが同時に行うことは、利用者にとって便利であると同時に費用面でも効果的である。
  3. 一部の利用者は福祉の権利のアドバイスを独立した機関から得たいと考えるかもしれず、可能な場合にはこの選択肢を提供すべきである。
  4. 独立機関によるアドバイスが利用される場合、利用者の許可の元で、利用料負担の査定との間での情報交換の調整がなされるべきである。
  5. 別冊の実践ガイドは、担当者の訓練、必要とされる技能、サービス基準など、利用料負担査定と同時に行われる受給アドバイスの提供に関する実際的な議論を含んでいる。

第8章 貯金と資産

  1. 自治体は資力査定において利用者の貯金またはその他の資産を考慮することができるが、そうすることが義務ではない。この章では貯金の扱いにおける最小限の必要事項を取り上げる。自治体は個々の利用者が特別な貯金のニーズをもつ可能性のある状況を含めて、貯金(第94項)に関する政策を検討し、とくに協議する必要がある。
  2. 税制上の収入を計算するときに、LAC(99)9の居住施設利用料ガイダンス(CRAG)に示されているのと同じ基準で、貯金を考慮することができる。定められた上限以上の貯金のある利用者は、サービスの全費用の支払いを求められるかもしれない。この貯蓄レベルはCRAGの変更に応じて自動的に更新される。自治体は、より高い貯金額水準を定めたり、より柔軟な利用者負担政策を定めることができるが、より少額の上限を定めてはならない。
  3. 利用者が居住する主要住居の価値は、非居住施設系の社会サービスの利用者負担の検討において考慮してはならない。しかしその他の形の資産についてはCRAGの規定に従って、考慮しても良い。
  4. CRAGのガイダンスにしたがって、極東戦争受刑者への恩恵的給付およびワクチン接種被害者への給付は全面的に考慮対象から除外されるべきである。
  5. 貯金が利用者負担によって使い果たされるような場合には、利用者負担が定期的に見直されるような規定が定められる必要がある。