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第9章から第20章
居宅ケアその他の入所施設以外の社会サービスにかかわるより公正な利用者負担のあり方

第9章 パートナーの収入と貯金

  1. 1983年HASSASSA法の第17条は、自治体が利用料負担の支払い能力を査定する際に、個々の利用者の資力のみを考慮すべきであると、想定している。
  2. その意味は、両親その他の成人利用者の家族員には利用料を払うよう求めてはならないことを意味する。ただしある法的な状況、例えば、家族員が利用者の収入を管理している場合などを除く。
  3. 自治体は、本人の名前ではないが本人が法的な所有権があるという収入源を個別のケースにおいて、考慮に入れるべきかどうか、検討したいと考えるであろう。この種の事態は既婚あるいは未婚のカップルに関連してもっとも生じやすい。ある場合には、自分の名前の資産ではないが、利用者がその資産の価値、例えば銀行預金など、を分け持っているかもしれない。ある場合には法的規定がそうした権利を与えている。
    その他の場合、「平等原則」として知られるものが使われてそのような権利が与えられるかもしれない。例えば、片方の名前の財産であっても、パートナーとの間で資産を共有するという、文書に書かれていない合意がある場合である。もし自治体が、最初に開示された以外の資産を利用者がもつと信じる理由がある場合、その開示を求めるのは適切なことであろう。開示がなされない場合、自治体は、利用者がサービスへの支払いをする資力がないと認めることはできないと考えるかもしれない。それぞれの個別のケースについては、自治体は自らの法的助言に基づいて考えることになろう。
  4. カップルのニーズに対して計算されるいくつかの給付の取り扱いに関して、実行性(実際的かどうかということ)と公平性の問題が生じる。利用者の資産のみが査定される場合には、その人の可処分所得のすべてが利用者負担として必ず活用できるものだと仮定してはならない。たとえば、カップルのレートで支払われた所得援助(Income Support)は、本人とパートナーの両者の支出ニーズを考慮することなしに、そのままの額を利用者負担の考慮対象としてはならない。住宅コストその他の支払いの半分を個々の利用者に割り当てることは、ある場合には、不合理な利用者負担となり得る。適切な方法でそのカップルまたは世帯の収支を考慮してみて、査定された個々の利用料負担が、そのカップルまたは世帯を所得援助(Income Support)プラス25%ゆとりのレベル以下の水準にする場合には、査定をその世帯のベースで行うべきである。
  5. 他の方法が利用者あるいは代理人によって示されない限り、共同所有の貯金は、所有者の間で平等に分けられるべきである。適用される最低貯金額は居住施設利用料ガイダンス(CRAG)に示されている基準とするべきである。
  6. 第10章で規定される利用者の勤労所得と同様に、いかなる利用料負担においてもパートナーの勤労所得は常に無視されるべきである。

第10章 就労への動機付け

  1. 政府の政策は、障害者とその介護者を含めて、就労を希望する人々を励まし就労できるようにすることである。利用者負担政策は就労への意欲を損ねないようにしなければならない。
  2. 意欲阻害には、仕事をすること自体への意欲阻害と、より長時間働いたりより多く稼ぐことへの意欲阻害があるが、どちらも認められない。この意欲阻害は、多くの社会保障給付が収入関連の制度であり、そのため均等収入が増えると給付がなくなることによって生まれよう。例えば住宅給付と自治体税給付は両方とも勤労所得が増えると停止される。自治体が下記の第75項、すなわち住宅費及び自治体税は受給できる住宅給付及び自治体税給付の額を総合して査定されるべきであるとのガイダンスにしたがうならば、これらの影響が考慮に入れられることになる。もし勤労収入が増えてどちらかの給付が停止される場合、増えた住宅費用及び自治体税の総額は支出の査定におい反映される。
  3. 就労税給付(Working Tax Credit)は2003年4月に、就労家族税給付及び障害者税給付に代わって導入された。就労への動機付けを確保するために、利用料負担の査定において就労税給付(Working Tax Credit)は収入から除外されるべきである。
  4. 所得援助(Income Support)などのいくつかの給付は一定額以上の週間の勤労収入がある場合には停止される。利用者の収入を所得援助(Income Support)プラス25%ゆとりの基礎的レベル以下に下げてはならないという要請、および障害関連支出を含めて利用者の支出に特別な注意を払うことという要請を遵守することによって、就労へのあらゆる意欲阻害、とくに低所得者の人々の意欲阻害を最小限にするべきである。
  5. 給付の喪失、所得税と国民保険料の支払い、就労に伴うコストなどを含めて全体像を考慮すると、障害者の就労へのバリアを取り除こうとするなら、利用者負担を課す範囲は限定される。したがって自治体は、非入所施設の社会サービスの利用料負担の査定において、すべての勤労所得を無視すべきであると指示することは、政府として正しいことであると信じる。これは介護者サービスの利用料負担の査定における介護者の勤労所得についても同じである。「勤労所得」は居住施設利用料ガイダンス(CRAG)の定義と同じにすべきである。
  6. 就労への動機付けを確保すべく、就労家族税給付及び障害者税給付就労税給付は利用料負担の査定における収入からは除外されるべきである。

自立生活基金

  1. 自立生活基金に支払えると査定された利用料負担額は、非入所施設社会サービスの利用料負担からは除外される。

第11章 クロイツフェルトヤコブ病

  1. 政府は、あらゆる種類のクロイツフェルトヤコブ病の患者で非居住施設系の社会サービスを利用している人に対しては、利用料負担の査定の対象とせず、自動的に課金対象から除外することを保障した。

第12章 利用者負担の水準の設定

  1. 本ガイダンスは主に、利用者の利用料負担を支払う能力の査定の公正さの範囲を設定することに関わるものである。利用料負担は合理的であることが要請され、利用者に提供されたサービスのコストに関連して何に対して負担が課せられるかが問題となる。
  2. 自治体は、サービス購入の費用(事業者との契約の経費など:訳者注)や課金制度の運用の費用を除いた、サービス提供の全額以上の額を考慮してはならない。費用への利用者からの貢献を課すべきか、それとも可能な場合には費用の全額の回収を追求するべきかは、自治体が決定すべき事項である。自治体がとくに考慮すべきである点は、優先的な利用者またはサービスに対して補助の的を絞るために利用料負担のいくつかの水準を設けるべきかどうか、また、ある利用者に全額を課すことによって入所施設ケアに向かわせるような間違った財政的動機付けを生み出すことはないかどうか、という点である。
  3. 利用者に提供されるサービスのコスト、および提供されたサービスの時間を反映した利用料負担は、広い範囲の「利用帯」を設けて(一律の)負担を課す方式より、好ましい。後者は、(施設入所を促すという)否定的な動機付けを生んだり、不公正な補助金配分を生み出すからである。
  4. 例えば事業者が異なる料金を定めているなどで、自治体の管轄地域内でサービス費用に差がある場合、自治体は料金の差を反映した利用料負担とするか、同じ資力の人には同一の仮定的な平均料金を課するか、決めることになる。この仮定的な平均料金の設定は、例えば、農村地域での不利な利用者がでないようにするために設けられるかもしれない。

第13章 利用料負担政策の立案上の論点の要約

  1. まとめると、自治体は利用料負担政策の立案に際して、次の諸点を考慮すべきである。
    1. 第13項で取り上げたように、均一料金あるいはサービスレベルによる差をつけない利用料は限られた状況下でのみ認められる(しかし、家庭やデイケアでの食事に対しては、これが日常的な支出の代替であることから、より一般的に認められる)。利用者の収入が所得援助(Income Support)プラス25%のゆとりという基礎的水準以下に下がらないようにするために、利用料の水準は低く設定される必要がある。自治体は協議を通じて何が合理的水準であるかを設定する必要があろう。しかし(家庭での食事サービス以外では)、所得援助(Income Support)または求職者手当(所得を基礎としたもの)(JSA-IB) の利用者については、その総合的な収入が定義による基礎的水準と等しいので、利用料を課してはならない。同様な収入レベルの人々も同様である。
    2. より複雑なものとなると予想される、大多数の自治体の利用料負担政策は、利用者の手取りの収入が所得援助(Income Support)プラス25%のゆとりという基礎的水準以下に下がらないことを確実にするにはどうするか(所得援助(Income Support)の受給者であると否とに関わらず)、考慮すべきである。所得援助(Income Support)または求職者手当(所得を基礎としたもの)(JSA-IB)プラス25%という基礎的水準以上の収入のある利用者に対して、自治体は利用者の手取り収入額への影響を考慮に入れた利用料負担の査定を行うべきである。
    3. 査定において障害関連給付が収入として見なされる場合には、すべての障害関連支出を考慮しなければならない。障害関連給付が収入として見なされない場合に、障害関連支出をどこまで考慮すべきかについて、自治体は検討し、特に協議する必要があろう。
    4. バッファー(ゆとり)部分は所得援助(Income Support)の個人手当と加算に25%以上を上乗せするものと定めるべきである。これは、利用料負担政策のために損なわれる生活の自立を防衛する追加的な安全策となる。
    5. 第16項から18項までで説明したように、自治体は総合的な利用料上限額を設定するかどうか、またどのように設定するか、検討し、とくに利用者と協議すべきである。
    6. 自治体は利用料負担政策の決定に際して、それがどのように管理費用とスタッフ体制につながるか考慮することを望むであろう。利用者の支出についての詳細な査定を含む利用料負担モデルでは、スタッフの採用と訓練を含む初期コストがかかるであろう。そのような政策を行っている自治体によれば、査定のための専門的な経理スタッフの採用は、より正確で早い査定を可能にし、ケアマネージャーがその直接の専門の仕事に自由に従事できるようにするので、総合的にはコスト削減になることを示している。
    7. 所得は、支払っている所得税や国民保険料、および住宅費や自治体税を考慮した手取り総額で査定されるべきである。住宅費や自治体税はいかなるものであれ支払われている住宅給付や自治体税給付を差し引いた手取りで評価されるべきである。これは、利用者の収入が増加して住宅給付や自治体税給付が停止されることに伴う、「貧困の罠」効果、あるいは就労への意欲阻害を最小限にとどめる助けとなる。いくつかの自治体は、水道料金や家庭保険などのコストを考慮することを検討しようとするだろう。
    8. 自治体は、第8章と第9章で議論したように、利用者の貯金と資産およびパートナーの貯金と資産をどのように取り扱うべきか、考慮する必要があるだろう。
    9. 就労への意欲阻害を避けるため、収入の査定から勤労収入は除外すべきである。
    10. 自治体は、利用者に提供されるサービスのコストに関連して利用料負担の水準をどう決めるか、考慮する必要があるだろう。
    11. 政府は、すべての自治体が、利用料負担政策に関する利用者・介護者との協議の一部としてこれらの論点を取り上げて説明することを期待する。

第14章 介護者

  1. 利用者は自らに提供されたサービスに対してのみ利用料負担を求められ、介護者は介護者および障害児法2000年によって介護者に提供されたサービスに対してのみ利用料負担を求められることがある。自治体は、利用者が利用料負担から除かれている、あるいは利用者が介護者より査定対象収入が低いという理由のみで、介護者はサービス受給者であり、したがって利用者負担の対象であると決めてはならない。
  2. 利用者と介護者が配偶者あるいはパートナー同士で、両方ともサービスを受けている場合、第9章のガイダンスに従うべきである。本ガイダンスの他の部分もすべて介護者に提供されるサービスの利用料負担に当てはまる。
  3. インフォーマルな介護者によって生まれた支出に関して特別な問題点が出てくる。2000年介護者および障害児法によって介護者に提供されたサービスについて、自治体は次のようなコストを考慮しなければならない。
    • 例えば、介護から短時間離れるため、あるいは介護者が就労を維持したり親としての義務を果たすために、介護を個人的に購入すること、
    • 例えば、障害者が介護者の家に転居する場合に、介護者の家を改造すること、
    • 介護者が長時間家を離れられないためにやむを得ずかかる、タクシーなど追加的な交通その他のコスト、
    • 掃除、衣類、洗濯その他第42項に含まれる事項の追加的な支出の範囲で、介護者が支払っている場合。
  4. 障害のある利用者に提供されるサービスについても、インフォーマルな介護者によって生まれる支出に考慮する必要があろう。第9章に記したように、自治体は、そうしないと不合理な利用者負担額となるような場合には、世帯の収入と支出を考慮すべきである。
  5. 自治体は、障害者介護手当(ICA)を受けている場合、これを利用料負担の査定対象の一部として、介護者の収入に含めるかもしれない。しかしそうすべきであると言うことではない。手取り収入を所得援助プラス25%の基礎的水準未満にしないこと、および、勤労収入を無視するという要請からみて、大多数の障害者介護手当(ICA)受給者はいずれにしても利用料負担を払う責任がありそうにない。

第15章 ダイレクトペイメント

  1. 個々の人にパッケージケアのコストへの財政的貢献を要請するかどうか、する場合にどのような内容とするかを検討する際に、自治体は、ダイレクトペイメント利用者を、彼らがその自治体の利用料負担政策の元で同等のサービスを受けていると仮定して取り扱うべきである。利用料負担はすべての面で本ガイダンスに従って査定され課されるべきである。
  2. 自治体は、ダイレクトペイメントの金額をいろいろな支払いに際して手取り額とするのか支払総額とするのかを含めて、ダイレクトペイメントに関しての特別なガイダンスのために、「コミュニテイケア(ダイレクトペイメント)政策および実践ガイダンス」を参照すべきである。

第16章 財源移譲のための権限使用

<訳者注:訳省略。地方自治体と保健当局との間の財政責任分担と費用徴収の関連>

第17章 1999年保健法パートナーシップ

<訳者注:訳省略。この章も前章同様イギリスの特殊な制度事情。>

第18章 中間ケア

  1. 中間ケアに対する利用料負担については別のガイダンスがHSC 2001/01/LAC 2001/01として発行されている。中間ケアの期間限定パッケージに非入所施設型社会サービスが含まれている場合には、自治体はそのガイダンスを考慮すべきである。HSC 2001/01/LAC 2001/01の要点は、非入所施設型社会サービスがこの文書で定義されている中間ケアの期間限定パッケージの不可欠の部分である場合には、その社会サービスは利用の際には無料とすべきであるということである。

第19章 利用料負担とその政策の管理

  1. 本章では利用料負担とその政策の管理についていくつかの課題を要約する。それらのアドバイスは、会計検査委員会の研究「ケアの利用料負担」(2000年5月)および前郡自治体協会および首都圏自治体協会発行のアドバイス(自由裁量の利用料負担:推奨実践例ハンドブック、1996年6月)から引用した。
  2. 利用料負担政策の開発がよく情報提供され、その自治体の利用者に理解され、受け入れられるためには、自治体は主要なプロセスを正しく進めることが重要である。「ケアの利用料負担」にあるよい実践のためのチェックリストは、政策の企画デザインとその運用面の両方を取り上げているが、それを付属資料Cに採録した。

利用料負担に関する情報

  1. 利用料負担とその査定方法に関する明確な情報が、事前に利用者と介護者に提供されるべきである。地方の「よりよいケア、より高い標準」憲章には、この情報が含まれるべきである。この情報は利用者のケアニーズが査定される時に利用できるようになっていなければならない。
  2. 利用者のケアニーズが査定され、提供されるべきサービスが決定されたら、速やかにその人の利用料負担能力の査定がなされ、支払えると査定された利用料とそれがどう計算されたかに関する情報が速やかに文書で伝えられる必要がある。通常これは最初の請求書が送られる前になされなければならない。利用料査定が利用者に伝えられる前には利用料の課金がなされてはならない。しかし利用者が査定に協力しなかった場合にはこのことは不可避となるかもしれない。かなり以前の期間のサービスについての利用料負担の最初の請求がなされる場合には不必要な不安を引き起こし得る。利用料のいかなる増額も知らされるべきで、その知らせの前に増加額の課金がなされることがあってはならない。

ケアへのアクセスと、利用料負担能力の査定

  1. ある人のケアニーズの査定は、利用料負担能力の経済面の査定と混同されてはならない。ある人がサービスを必要としていると一度査定されたら、その人が利用料負担を払うことを拒否しているという理由でそのサービスを停止すべきではない。自治体はその利用者の負債を、もし必要なら民事訴訟を通じて、回収することを追求しつつ、サービスを継続すべきである。もし利用者が利用料負担の査定のための情報提供を拒否するなら、全額を支払うよう請求することが合理的であるかもしれない。

協議

  1. 利用料負担政策及び利用料負担の増額や変更に関する利用者や介護者との協議は、たとえば全国利用者協議会の「利用者参加:地方自治体の公共サービス提供の改善」などの良い実践アドバイスを参照して行うべきである。この協議は、地方自治体のサービスの「最適評価」に基づく見直しの指針となるべき主要原則の一つである。
  2. 利用料負担政策の変更がある利用者にとって利用料の相当な増加をもたらす場合、そのことはとくに説明され、協議の一部とされるべきである。

見直しと審査請求

  1. 1983年保健・社会サービス及び社会保障裁決法(HASSASSA法)第17条3項は、利用者が自治体に対して、もし払えないと考えるときには、査定された利用料負担額を見直すよう求める権利を与えている。この法令のもとでは自治体は、利用料負担額を減額するか保留することを決める前に、その利用料を支払うには利用者の資力が不足しているということを、確認しなければならない。
  2. 利用料負担を見直してほしいという要求はどんなものでも注意深く考慮されることが大切である。利用料負担の公正さは、個々人の財政的状況に照らして、また、他の利用者や利用料負担納入者の立場との関連で、考慮されねばならない。見直しにおいては、査定された利用料負担が自治体の政策の条件と一致するかどうかという点の検討を越える必要があるかもしれない。というのは、政策が考えられる限りの個人的状況のすべてに対応する規定を設けることができるということはありそうにないからである。真剣に考慮されるべき見直し要求には、個々の利用者の障害に関連する用具の購入などの必要上、貯金額の上限をある期間ゆるめてほしいというものも含まれるかもしれない。
  3. 利用料負担を支払う人への情報では、査定のどの部分についてでも不満があれば、査定された利用料負担の見直しを求めることもできるし、あるいは公式の不服審査を請求することもできると、明確に示すべきである。自治体は、どうしたら見直しのための便宜がもっとも利用しやすくなるか、またどのように決定に一貫性を持たせるか、考慮する必要があろう。有益なアドバイスが、前郡自治体協会および首都圏自治体協会発行の「自由裁量の利用料負担:推奨実践例ハンドブック」にふくまれている。
  4. 利用料負担政策の戦略的な取り扱いの一部として、自治体は利用料負担を管理するコストを考慮する必要がある。この問題は、利用料負担政策の企画初期に考慮すべき点である。自治体は管理コストの情報を集め、これをモニターすべきである。管理コストの比較は、利用料負担政策に関する「最適評価」に基づく見直しの一部とすべきである。
  5. 不服審査請求の検証と詐欺対策の手続きは利用料負担政策の企画段階で考慮すべきであり、利用料負担の査定と管理の中に組み込むべきである。

利用料負担政策の戦略的管理

  1. 「ケアの利用料負担」は利用料負担政策のよい戦略的管理の必要性を強調している。利用料負担政策は自治体のサービス政策と一致したものであるべきである。それは自立生活と社会的統合を推進するという政府の社会的ケアの政策予定に反して行われてはならない。利用料負担政策の考慮は単に予算ベースのみで考慮されてはならず、サービスニーズが考慮されねばならないということが重要である。利用料負担政策のデザインは多様な利用者の状況とニーズに敏感なものである必要がある。利用料負担政策が策定される方法にも注意が必要であり、利用者と介護者の参加が必要である。
  2. 利用料負担政策の戦略的管理の必要性とは、例えば利用料負担のためにサービスの一部または全部を拒否している利用者や、滞納に陥っている利用者などの、モニタリングの必要性を意味する。サービス担当者はこの情報を得られるようにすべきである。
  3. 「ケアの利用料負担」は、自治体が利用者のニーズに確実に対応するために、サービスと利用料負担を管理するのに役立つ、実行面の情報の5つのカテゴリーを示している。
    • クライエント番号とサービス水準
    • 利用料負担のためにサービスを減らしたり拒否したりしているクライエントあるいは利用料負担の見直しを求めているクライエント
    • 滞納のレベルと理由
    • クライエントの収入の水準、とくに各種の給付の受給
    • 収入に占める利用料負担徴収額の割合
  4. 保健省は、別の実践ガイダンスの中に徴収コストの記述を含めるために、利用料負担の滞納の程度と徴収コストに関する情報収集の可能性を探る。同じ目的のために労働・年金省と協働して、各種給付の利用状況に関する情報を収集する。
  5. 利用料負担政策の見直しに当たって、自治体は付属資料Cの「よい実践チェックリストC」にあるさらなるアドバイスを考慮すべきである。

第20章 実施

  1. 実施は2段階でなされる。
    1. 2002年10月1日:自治体は遅くともこの日までに、所得援助(Income Support)または求職者手当(JSA-IB)受給者(これらの人々は総所得が定義された基礎的レベルと同じである)およびこれにプラス25%のゆとりの額の水準までの収入の人には利用料負担が課せられないことを明確にすべきである。毎週10時間を越えるホームケアを受けている人で、DLA, AA, SDP, CAAまたはESDAの給付が収入額の査定に含まれている人は、同様に2002年10月1日までに個別に障害関連支出の査定を受けるべきである。毎週10時間以下のホームケアを受けている人の場合には、自治体は経過措置として、DLA, AA, SDP, CAAまたはESDAに関する従来の利用料負担政策を継続することができる。
      本ガイダンスの発行日以降、その他の利用者について、利用するサービス量にかかわらず、自治体はDLA, AA, SDP, CAAまたはESDAをはじめて査定対象に含めるような新たな利用料負担政策を、個別の障害関連支出の査定を行うことなしには、導入してはならない。勤労収入は、2002年10月1日以降は収入として考慮されてはならない。
    2. 2003年4月1日:本ガイダンスの他の部分は2003年4月1日までに実施されねばならない。
  2. 本ガイダンスの実行状況は、2002年春・秋のSSIモニターの一部に含まれる予定である。