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ききょうの杜

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更新日 2008-04-11 | 作成日 2008-01-31

障害者支援施設名称:ききょうの杜

キャッチフレーズ:居住環境を重視した入所支援を提供

施設概要

所在地:京都府福知山市桔梗が丘6丁目31番地
旧体系での名称(変更した場合):むすび育成苑
運営法人の名称:社会福祉法人みつみ福祉会
運営法人の種別:社会福祉法人
運営法人の他事業運営状況:当該事業所以外にも障害者福祉事業を運営 介護保険・高齢者福祉事業を運営 児童福祉事業を運営
施設連絡先(TEL):0773-20-3111
施設連絡先(FAX):0773-20-5777
施設及び運営法人HPのURL:http://www5.nkansai.ne.jp/org/mitumihom/
事業を開始した時期(旧体系下):昭和45年9月
旧体系での施設種別:知的障害者入所更生施設
旧体系で実施していた事業:知的障害者ショートステイ
新体系へ移行した時期:平成19年8月
新体系での実施事業:生活介護,施設入所支援,自立訓練(生活訓練),就労移行支援,就労継続支援(A型),就労継続支援(B型)
キーワード:地域生活への移行をサポート(地域移行重視),生活・日中活動の充実をめざす(生活重視),仲間と安心して働ける場をつくる(就労継続重視)

施設の事業圏域

利用者の通所範囲:福知山市、丹波市

新体系事業の定員・利用者数

事業名 定員
(20年2月)
新体系移行直後の利用者数
(19年8月)
現在の利用者数
(20年2月)
生活介護 52名 52名 52名
施設入所支援 70名 70名 70名
自立訓練(生活訓練) 6名 4名 4名
就労移行支援 12名 8名 8名
就労継続支援(A型) 10名 6名 6名
就労継続支援(B型) 18名 15名 16名

職員数

常勤職員数:29名(20年4月)
非常勤職員数:19名(20年4月)

事業所全景
事業所全景
洗濯作業
洗濯作業
食事
食事

新体系事業

新事業として実施する際に留意したこと:

法人の中長期計画では、前身であるむすび育成苑(入所更生施設)を平成19年に改築する予定であったが、京都府との協議で新体系移行を条件に施設整備を前倒しで進めることになった。ただし、旧施設は市街化調整地域にあったため建築物の更新が許可されないこともあり、市とも協議しながら移転先を確保した。 移転先は、周囲に分譲されたばかりの新興住宅地があり、地域からの反対もあった。再三話しあい、移転前から地域自治会に加入して活動に参加し、バスを仕立てて既存施設の見学に来ていただくなどして、約10ヶ月をかけて地元のみなさんの承認をいただくことができた。

サービスで力を入れていること:

生活介護では、利用者の健康管理、体力維持支援とともに、より社会生活に近づけるように、日常生活能力の維持・向上に努めている。 就労移行支援については、利用者のやりがいがもてるように、また、就労先を増やし、利用者の選択肢が増えるように努めている。

取り組みの工夫:

当施設の利用者の平均年齢は約59歳と高いうえ、授産施設から就労移行や就労継続A型に移行するのと違い、更生施設からではノウハウもなく、無謀ではないかと思われた。そこで、経験豊かな人材を投入し、その経験や人脈を生かして、就労先獲得のための努力を続けている。

日中サービス、居住サービスについてのスタンス・考え方:

施設入所支援は、ユニット化となり16棟である。一般の家と同じように、ポストや呼び鈴があり、玄関、トイレ、脱衣所、お風呂、オール電化のダイニングキッチン、1名ずつの個室がある。設計時にすべての棟を渡り廊下でつなぐ案もあったが、一般の社会生活に近づけるべく、分離型にした。居住棟の中央には公園があり、あずまやや屋外トイレもある。ここで、入居者は寝起きして、朝、日中活動棟にでかけ、夕方、家に帰る。食事はすべて居住棟で行う。夜間は夜勤3名が居住棟を見回る他、2名が宿直している。 日中活動棟には、食堂や浴場、特殊浴槽があり、業務用洗濯機一式を揃えた洗濯作業場のほか、訓練や作業を行う部屋、カルチャールーム、喫茶コーナー、相談室などがある。ここで、さまざまな日中活動、機能訓練などを行っている。 看護師は現在2名体制で、口腔ケアや排泄ケア等、個別の支援対応を行っている。また、職員に清拭方法や感染症対策、機能回復訓練等も指導してもらっている。嘱託医の診察は月2回で、歯科診療もある。 「施設だから」と特別な生活リズムでよしとするのではなく、朝、入居棟から日中活動棟に「通勤」し、夕方、居住棟に「帰宅」するというリズムを作ることで、一般社会により近い形での生活訓練を行いたいと考えている。

就労移行支援、就労継続支援についてのスタンス・考え方:

企業から工賃をいただく以上、正確性、確実性を求められるので、担当職員が企業内実習をして仕事を覚え、利用者に教えて確実にこなせるようになってから、企業側と協議し、金額や条件を承諾してもらっている。 A型では、近くの工業団地や市内の企業・福祉関係事業所の清掃、除草作業などの事業を行っている。工業団地センターの会議等にも出席し、団地全体エリアの清掃作業や環境保全管理を提案するなど、事業拡大につながる努力も続けている。 B型では、シーツ類やおしぼりの洗濯事業を行っている。その他、釣り用の部品加工、事務用品の加工、アルミホイルの再生ための仕分けなどの作業を行っている。現在、工賃は、自立支援法に基づき工賃アップを目指している。 今後、ビニールハウス農園や地域の方と契約して農産物を販売したり、子どもに人気のある昆虫を養殖したいと計画推進している。また、近隣の企業にお願いして、実習および就労先として計画している。その他、企業の一角を借りてのグループ就労の道も進めている。

投資内容と成果

投資の具体的内容:

日中活動棟1棟、居住棟16棟、駐車場等、総敷地面積は約7千平方メートル。日中活動棟は特殊浴槽、業務用洗濯設備一式導入。居住棟は16棟でバス、トイレ、ダイニングキッチン設備一式、オール電化。 その他事務作業効率化のためのシステムを導入し、職員の増員、職員研修等を行った。

おおまかな投資額:

土地取得額も含め、約6億2千万。うち4億7千万円が国、京都府、福知山市からの補助金。

利用者の変化:

居住棟および日中活動棟について、バリアフリーとなっており高齢・重度化を迎えた利用者にとっても生活しやすい空間となり、危険性も軽減され利用者も落ち着いた生活ができるようになった。

サービスの質の向上におけるポイント:

移行前は生活介護サービスが主で、就労支援や収益金等、あまり考えてこなかったが、移行後は考えるようになるとともに、サービスメニューが広がった。利用者の要望にこたえて、働きたい人は就労して工賃を得る、生活介護利用者も農園で農作物を育て、販売し、お金を得る喜びを味わうことができるようになった。 移行して半年、施設入所支援と日中活動支援等、各事業の違いを認識しながら取り組んでいる。職員も「われわれも事業としてやっていかなければならない」と意識が変わってきている。このように意識が変わったのは、古くから障害者施設に関わってきた人ほど意識が変わりにくい面があり、移行前から1年ほどかけて何度も説明をくりかえしてきた結果でもある。

運営面の状況、運営の安定におけるポイント:

経営面では非常に厳しい状況だと思う。ユニット化になり、日中活動支援と夜間支援が明確に区切られたこともあり、職員数が多く必要となり、個々の職員の業務量も増えた。当然、人件費も増加した。

関係機関や地域等との連携

行政、医療機関など専門機関との連携状況:

行政・医療機関には頻繁に出かけ、担当者との懇談を重ねて、各種情報を収集し、アドバイスを受けるように心がけている。

企業や学校等との連携の状況:

特別支援学校、技術専門校を訪問し、各担当者との交流を通じて、作業、実習、人材紹介等情報交換に努めている。 企業窓口を訪問し、情報交換やPRに努めている。時には、周辺の企業担当者会議に出席させていただくほか、複数企業と事業契約を交わしているので、口コミを含め、ネットワークークづくりを進めている。

地域の交流・連携の状況:

もともと、地元優先で、地域と共生できる施設を目指している。移転前は空き地で、近くの中学校の通学路脇であるにもかかわらず街灯がなく、丈の高い草が生え、不法投棄されるなど安全・環境面で不安な点があったが、移転にともない周辺が明るく安全に整備され、地元からも喜ばれている。職員や利用者で周囲の環境美化に努めている。 地元優先の考えのもとに、施設完成前から地域自治会に加入し、自治会会議に出席したり、行事に参加したりして、交流や連携を図っている。毎月数回、周辺道路の清掃活動を実施しているほか、農作物の販売も行っている。また、地域ボランティアによるいけばな教室を開催している。

課題等

社会福祉法人はサービス業であることを意識し、ニーズに合わせた施設利用の多様化、また、新しいサービスメニューに取り組んでいきたい。どうせやるなら気持ちよく、利用者も職員も夢をもって、実現に向けた活動を続けていきたい。 自立支援法の趣旨に賛同するが、日額制は厳しい。高齢者が多く、平均年齢が高い当施設では長期入院者が多い。またさまざまな緩和策を講じられているものの、該当しない利用者もある。移行すると収入減になるため、期限ぎりぎりまで待っているなどと聞くことがあるが、早く移行したところにはなんらかの優遇策がとられるなどの対応があってもよいのではないか。魅力があれば、皆こぞって移行する。移行が早期に進まないのは、運営の難しさ、人材の枯渇など、福祉現場の閉塞感が大きいからだと思われる。