2.事業結果

(1) アンケート調査

新体系移行の取り組みを進めている事例の収集方法としては、①文献等による調査、②アンケート調査、の2種類を想定したが、本調査の趣旨をふまえ、「あまり知られていないが新体系への取り組みを前向きに進めている事業所」をできるだけ抽出する、という方針から、主にアンケート調査の結果からヒアリング対象を選定することとし、アンケート調査の設計を行った。

①文献等調査

アンケート調査票の設計、ヒアリング項目の検討などにおいて、文献等の資料を参照した。資料としては主に厚生労働省や都道府県などのホームページにて公表されている事例情報、書籍で紹介されている事例情報などを用いた。

②アンケート調査の実施

新体系に移行した全国の障害者施設(更生施設、授産施設等)すべてを対象に想定し、アンケート調査を実施した。

調査対象のデータについては、現状では全国のまとまった施設リストが存在しないことから、各都道府県に、旧体系施設から新体系に移行した事業所のリスト提供を依頼した。各都道府県の対応については、

など、さまざまであった。

1番目以外のリストの場合、新規開設の事業所や施設サービスではない事業所等も含まれるため、事務局でチェックし、可能な限り送付先から削除したが、完全に除外することは不可能だったため、依頼状に「対象外の場合は回答不要」との記載のうえで調査を実施した。

(アンケート調査の実施方法)

調査は郵送留置郵送回収法で実施した。発送については、都道府県からのデータ収集などに時間を要したため、データを入手できたところから、3回に分けて送付を行った。

◆第一次送付(11月20日発送、12月4日締切)

北海道、青森県、秋田県、福島県、茨城県、千葉県、栃木県、福井県、静岡県、愛知県、滋賀県、京都府、和歌山県、広島県、熊本県、鹿児島県、沖縄県 (計989件)

◆第二次送付(11月22日発送、12月6日締切)

岩手県、宮城県、新潟県、東京都、神奈川県、長野県、富山県、三重県、兵庫県、奈良県、鳥取県、島根県、岡山県、山口県、香川県、愛媛県、高知県、佐賀県 (計1,004件)

◆第三次送付(12月4日発送、12月14日締切)

山形県、埼玉県、群馬県、山梨県、岐阜県、石川県、大阪府、徳島県、福岡県、長崎県、大分県、宮崎県 (計712件)

合計 2,705件

(回収結果)

調査票は2,705件発送し、1,077件を回収した。したがって、回収率は39.8%となるが、上記のように送付先には新規開設の事業所など対象外の事業所が含まれており、回収率は参考値である。調査票から対象外と確認できたものを除くと1,017件であった。

なお、この1,017件の中には、単体のデイサービスセンターが相当数含まれており、旧体系施設とは分けた方がよいと考えられるが、旧体系施設区分で単体デイと回答した事業所(および旧体系施設区分が無回答の事業所)を除外すると738件となった。(アンケート集計の結果を参照

旧体系施設区分の内訳は、授産施設と法定外の小規模作業所がそれぞれ全体の1/4を占めた。また、小規模通所授産施設が約2割、更生施設が2割弱という構成であった。

図表1 アンケート結果における旧体系の施設区分(N=738)
選択項目 構成比
身体障害者療護施設 4.3%
更生施設 16.7%
授産施設 25.1%
福祉工場 3.0%
精神障害者生活訓練施設 0.9%
小規模通所授産施設 20.5%
小規模作業所(法定外) 24.1%
複合施設(更生+授産など) 5.4%

図表1 アンケート結果における旧体系の施設区分(N=738)
グラフ アンケート結果における旧体系の施設区分
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③アンケート項目

アンケート項目は、各施設における新体系移行への取り組み状況や、新体系事業を実施するうえでの工夫、移行にあたって重視したことや苦労したことなどを把握することを主眼として、以下の項目で実施した。

1)施設の概要

2)新体系移行にあたっての投資

3)新体系移行による変化

4)新体系事業の取り組み・工夫

5)新体系に対する意見等

(2) アンケート集計結果

①運営法人

運営法人の種類は、民間の社会福祉法人が7割近くとなっている。また、単独事業所の法人は約2割となっており、8割程度の法人が複数の事業所を運営している。
図表2 運営法人の種類(N=738)
選択項目 構成比
国・地方公共団体の直営 2.4%
社会福祉法人(国・地方公共団体の外郭団体) 8.1%
社会福祉法人(民間) 68.2%
医療法人 1.4%
NPO法人 17.9%
営利法人(株式会社等) 0.8%
その他 0.7%
無回答 0.5%

図表2 運営法人の種類(N=738)
グラフ 運営法人の種類
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図表3 運営法人の当該事業所以外の運営状況(N=738)
選択項目 構成比
当該事業所以外にも障害者福祉事業を運営 65.4%
介護保険・高齢者福祉事業を運営 20.2%
児童福祉事業を運営 12.7%
医療・保健事業を運営 6.5%
その他 7.2%
当該事業所以外には事業を運営していない 21.0%
無回答 3.7%

図表3 運営法人の当該事業所以外の運営状況(N=738)
グラフ 運営法人の当該事業所以外の運営状況
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②旧体系の施設区分

旧体系の施設区分は、授産施設、法定外作業所、小規模通所授産施設等が多い。

図表4 旧体系の施設区分(複数回答)(N=738)
施設区分 件数 割合
身体障害者療護施設 32 4.3%
通所更生施設(身) 2 0.3%
通所更生施設(知) 36 4.9%
通所更生施設(区分不明) 11 1.5%
入所更生施設(身) 8 1.1%
入所更生施設(知) 40 5.4%
入所更生施設(区分不明) 11 1.5%
通所・入所更生施設(身) 6 0.8%
通所・入所更生施設(知) 5 0.7%
通所・入所更生施設(区分不明) 1 0.1%
更生施設(区分不明) 3 0.4%
更生施設計 123 16.7%
通所授産施設(身) 27 3.7%
通所授産施設(知) 49 6.6%
通所授産施設(精) 19 2.6%
通所授産施設(複) 12 1.6%
通所授産施設(区分不明) 46 6.2%
入所授産施設(身) 6 0.8%
入所授産施設(知) 6 0.8%
入所授産施設(精) 1 0.1%
入所授産施設(複) 1 0.1%
入所授産施設(区分不明) 2 0.3%
通所・入所授産施設(知) 1 0.1%
通所・入所授産施設(複) 2 0.3%
授産施設(身) 1 0.1%
授産施設(知) 4 0.5%
授産施設(精) 2 0.3%
授産施設(区分不明) 6 0.8%
授産施設計 185 25.1%
福祉工場(身) 5 0.7%
福祉工場(知) 13 1.8%
福祉工場(複) 3 0.4%
福祉工場(区分不明) 1 0.1%
福祉工場計 22 3.0%
精神障害者生活訓練施設 7 0.9%
小規模通所授産施設(身) 23 3.1%
小規模通所授産施設(知) 69 9.3%
小規模通所授産施設(精) 29 3.9%
小規模通所授産施設(複) 24 3.3%
小規模通所授産施設(区分不明) 6 0.8%
小規模通所授産施設計 151 20.5%
法定外作業所(身) 9 1.2%
法定外作業所(知) 53 7.2%
法定外作業所(精) 50 6.8%
法定外作業所(複) 56 7.6%
法定外作業所(区分不明) 10 1.4%
法定外作業所計 178 24.1%
複合施設(身) 2 0.3%
複合施設(知) 20 2.7%
複合施設(精) 5 0.7%
複合施設(複) 10 1.4%
複合施設(区分不明) 3 0.4%
複合施設計 40 5.4%
総計 738 100.0%

※複数種類の施設を回答しているものは「複合施設」とした。また、障害種別で複数を回答しているものは(複)と表記した。(以下同様)

③移行時期

新体系への移行時期は、6割近くが今年度の上半期となっている。平成18年10月に移行した施設は1/4程度である。

図表5 新体系への移行時期(N=738)
選択項目 件数 平成18年10月 平成18年11月〜平成19年3月 平成19年4月〜9月 平成19年10月以降 無回答
身体障害者療護施設 32 12.5% 9.4% 59.4% 12.5% 6.3%
通所更生施設(身) 2 0.0% 0.0% 50.0% 0.0% 50.0%
通所更生施設(知) 36 11.1% 13.9% 69.4% 5.6% 0.0%
通所更生施設(区分不明) 11 18.2% 0.0% 72.7% 9.1% 0.0%
入所更生施設(身) 8 12.5% 0.0% 50.0% 37.5% 0.0%
入所更生施設(知) 40 12.5% 2.5% 62.5% 17.5% 5.0%
入所更生施設(区分不明) 11 27.3% 0.0% 54.5% 9.1% 9.1%
通所・入所更生施設(身) 6 66.7% 0.0% 33.3% 0.0% 0.0%
通所・入所更生施設(知) 5 0.0% 20.0% 40.0% 20.0% 20.0%
通所・入所更生施設(区分不明) 1 0.0% 0.0% 100.0% 0.0% 0.0%
更生施設(区分不明) 3 33.3% 0.0% 66.7% 0.0% 0.0%
更生施設計 123 16.3% 5.7% 61.8% 12.2% 4.1%
通所授産施設(身) 27 33.3% 7.4% 40.7% 14.8% 3.7%
通所授産施設(知) 49 14.3% 6.1% 69.4% 8.2% 2.0%
通所授産施設(精) 19 5.3% 10.5% 68.4% 15.8% 0.0%
通所授産施設(複) 12 16.7% 25.0% 58.3% 0.0% 0.0%
通所授産施設(区分不明) 46 30.4% 4.3% 54.3% 4.3% 6.5%
入所授産施設(身) 6 50.0% 0.0% 50.0% 0.0% 0.0%
入所授産施設(知) 6 0.0% 0.0% 83.3% 16.7% 0.0%
入所授産施設(精) 1 0.0% 100.0% 0.0% 0.0% 0.0%
入所授産施設(複) 1 0.0% 0.0% 100.0% 0.0% 0.0%
入所授産施設(区分不明) 2 0.0% 0.0% 100.0% 0.0% 0.0%
通所・入所授産施設(知) 1 100.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%
通所・入所授産施設(複) 2 0.0% 0.0% 100.0% 0.0% 0.0%
授産施設(身) 1 100.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%
授産施設(知) 4 50.0% 0.0% 25.0% 0.0% 25.0%
授産施設(精) 2 0.0% 0.0% 100.0% 0.0% 0.0%
授産施設(区分不明) 6 16.7% 33.3% 33.3% 16.7% 0.0%
授産施設計 185 22.2% 8.1% 58.4% 8.1% 3.2%
福祉工場(身) 5 40.0% 0.0% 60.0% 0.0% 0.0%
福祉工場(知) 13 46.2% 0.0% 46.2% 7.7% 0.0%
福祉工場(複) 3 33.3% 33.3% 33.3% 0.0% 0.0%
福祉工場(区分不明) 1 0.0% 0.0% 100.0% 0.0% 0.0%
福祉工場計 22 40.9% 4.5% 50.0% 4.5% 0.0%
精神障害者生活訓練施設 7 14.3% 0.0% 57.1% 0.0% 28.6%
小規模通所授産施設(身) 23 39.1% 17.4% 34.8% 8.7% 0.0%
小規模通所授産施設(知) 69 30.4% 10.1% 52.2% 4.3% 2.9%
小規模通所授産施設(精) 29 24.1% 3.4% 65.5% 6.9% 0.0%
小規模通所授産施設(複) 24 29.2% 4.2% 50.0% 16.7% 0.0%
小規模通所授産施設(区分不明) 6 16.7% 16.7% 33.3% 0.0% 33.3%
小規模通所授産施設計 151 29.8% 9.3% 51.0% 7.3% 2.6%
法定外作業所(身) 9 33.3% 11.1% 44.4% 0.0% 11.1%
法定外作業所(知) 53 24.5% 5.7% 66.0% 3.8% 0.0%
法定外作業所(精) 50 22.0% 8.0% 58.0% 10.0% 2.0%
法定外作業所(複) 56 16.1% 8.9% 62.5% 10.7% 1.8%
法定外作業所(区分不明) 10 30.0% 0.0% 60.0% 0.0% 10.0%
法定外作業所計 178 21.9% 7.3% 61.2% 7.3% 2.2%
複合施設(身) 2 0.0% 0.0% 100.0% 0.0% 0.0%
複合施設(知) 20 40.0% 0.0% 45.0% 15.0% 0.0%
複合施設(精) 5 60.0% 0.0% 40.0% 0.0% 0.0%
複合施設(複) 10 50.0% 20.0% 30.0% 0.0% 0.0%
複合施設(区分不明) 3 66.7% 0.0% 33.3% 0.0% 0.0%
複合施設計 40 45.0% 5.0% 42.5% 7.5% 0.0%
総計 738 24.0% 7.5% 57.0% 8.4% 3.1%

④新体系の実施事業

新体系の実施事業は、就労継続支援B型が6割以上となっている。また、生活介護が約4割である。更生施設では、約8割が生活介護を実施している。また、就労移行支援、就労継続支援B型も2割程度が回答している。授産施設では、就労継続支援B型を約7割、就労移行支援も半数以上が実施している。また、生活介護も約4割が実施している。

図表6 新体系の実施事業(複数回答)
選択項目 件数 生活介護 施設入所支援 共同生活介護 自立訓練(機能訓練) 自立訓練(生活訓練) 就労移行支援 就労継続支援(A型) 就労継続支援(B型) 共同生活援助 無回答
身体障害者療護施設 32 93.8% 75.0% 3.1% 6.3% 3.1% 3.1% 0.0% 0.0% 3.1% 3.1%
通所更生施設(身) 2 100.0% 0.0% 0.0% 50.0% 50.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%
通所更生施設(知) 36 100.0% 0.0% 2.8% 0.0% 11.1% 5.6% 0.0% 16.7% 2.8% 0.0%
通所更生施設(区分不明) 11 81.8% 9.1% 18.2% 0.0% 27.3% 27.3% 0.0% 36.4% 0.0% 0.0%
入所更生施設(身) 8 50.0% 75.0% 0.0% 75.0% 25.0% 37.5% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%
入所更生施設(知) 40 90.0% 77.5% 35.0% 2.5% 27.5% 20.0% 2.5% 17.5% 22.5% 0.0%
入所更生施設(区分不明) 11 90.9% 90.9% 27.3% 0.0% 45.5% 45.5% 9.1% 27.3% 18.2% 0.0%
通所・入所更生施設(身) 6 33.3% 100.0% 0.0% 100.0% 50.0% 83.3% 0.0% 16.7% 0.0% 0.0%
通所・入所更生施設(知) 5 80.0% 80.0% 20.0% 0.0% 40.0% 20.0% 0.0% 20.0% 20.0% 20.0%
通所・入所更生施設(区分不明) 1 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 100.0% 0.0% 100.0% 0.0% 0.0%
更生施設(区分不明) 3 33.3% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 33.3% 0.0% 66.7% 0.0% 0.0%
更生施設計 123 84.6% 47.2% 17.1% 11.4% 25.2% 23.6% 1.6% 20.3% 10.6% 0.8%
通所授産施設(身) 27 44.4% 3.7% 0.0% 3.7% 3.7% 51.9% 11.1% 66.7% 0.0% 0.0%
通所授産施設(知) 49 42.9% 0.0% 6.1% 2.0% 20.4% 55.1% 14.3% 65.3% 2.0% 0.0%
通所授産施設(精) 19 10.5% 0.0% 0.0% 0.0% 10.5% 52.6% 10.5% 94.7% 0.0% 0.0%
通所授産施設(複) 12 41.7% 0.0% 16.7% 0.0% 8.3% 33.3% 0.0% 50.0% 8.3% 0.0%
通所授産施設(区分不明) 46 34.8% 4.3% 8.7% 2.2% 21.7% 56.5% 10.9% 69.6% 8.7% 0.0%
入所授産施設(身) 6 100.0% 66.7% 16.7% 0.0% 16.7% 50.0% 0.0% 83.3% 0.0% 0.0%
入所授産施設(知) 6 33.3% 33.3% 0.0% 0.0% 33.3% 66.7% 0.0% 66.7% 16.7% 0.0%
入所授産施設(精) 1 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 100.0% 100.0% 0.0% 0.0% 100.0% 0.0%
入所授産施設(複) 1 0.0% 100.0% 0.0% 0.0% 0.0% 100.0% 0.0% 100.0% 0.0% 0.0%
入所授産施設(区分不明) 2 50.0% 50.0% 0.0% 0.0% 50.0% 100.0% 0.0% 50.0% 0.0% 0.0%
通所・入所授産施設(知) 1 100.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 100.0% 0.0% 100.0% 100.0% 0.0%
通所・入所授産施設(複) 2 100.0% 100.0% 0.0% 0.0% 0.0% 50.0% 0.0% 100.0% 0.0% 0.0%
授産施設(身) 1 100.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%
授産施設(知) 4 50.0% 0.0% 0.0% 0.0% 25.0% 75.0% 0.0% 100.0% 0.0% 0.0%
授産施設(精) 2 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 50.0% 50.0% 0.0% 100.0% 50.0% 0.0%
授産施設(区分不明) 6 50.0% 16.7% 16.7% 0.0% 16.7% 66.7% 0.0% 66.7% 0.0% 0.0%
授産施設計 185 40.0% 7.6% 5.9% 1.6% 17.3% 55.1% 9.2% 70.3% 5.4% 0.0%
福祉工場(身) 5 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 20.0% 100.0% 0.0% 20.0% 0.0%
福祉工場(知) 13 7.7% 7.7% 0.0% 0.0% 0.0% 15.4% 92.3% 23.1% 0.0% 0.0%
福祉工場(複) 3 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 33.3% 66.7% 33.3% 0.0% 0.0%
福祉工場(区分不明) 1 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 100.0% 0.0% 100.0% 0.0% 0.0%
福祉工場計 22 4.5% 4.5% 0.0% 0.0% 0.0% 22.7% 86.4% 22.7% 4.5% 0.0%
精神障害者生活訓練施設 7 0.0% 14.3% 14.3% 0.0% 28.6% 42.9% 0.0% 28.6% 42.9% 14.3%
小規模通所授産施設(身) 23 52.2% 0.0% 4.3% 0.0% 13.0% 30.4% 0.0% 78.3% 4.3% 0.0%
小規模通所授産施設(知) 69 20.3% 0.0% 4.3% 0.0% 24.6% 30.4% 2.9% 81.2% 2.9% 0.0%
小規模通所授産施設(精) 29 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 10.3% 24.1% 0.0% 96.6% 6.9% 0.0%
小規模通所授産施設(複) 24 33.3% 0.0% 4.2% 4.2% 20.8% 29.2% 0.0% 91.7% 8.3% 0.0%
小規模通所授産施設(区分不明) 6 16.7% 0.0% 16.7% 0.0% 0.0% 16.7% 16.7% 83.3% 16.7% 0.0%
小規模通所授産施設計 151 23.2% 0.0% 4.0% 0.7% 18.5% 28.5% 2.0% 85.4% 5.3% 0.0%
法定外作業所(身) 9 22.2% 0.0% 11.1% 11.1% 22.2% 11.1% 22.2% 55.6% 0.0% 0.0%
法定外作業所(知) 53 24.5% 3.8% 7.5% 0.0% 22.6% 32.1% 13.2% 58.5% 1.9% 0.0%
法定外作業所(精) 50 0.0% 0.0% 2.0% 0.0% 8.0% 10.0% 8.0% 92.0% 12.0% 0.0%
法定外作業所(複) 56 25.0% 0.0% 3.6% 0.0% 7.1% 23.2% 1.8% 89.3% 5.4% 1.8%
法定外作業所(区分不明) 10 20.0% 0.0% 0.0% 0.0% 30.0% 30.0% 0.0% 60.0% 10.0% 10.0%
法定外作業所計 178 17.4% 1.1% 4.5% 0.6% 14.0% 21.9% 7.9% 77.5% 6.2% 1.1%
複合施設(身) 2 50.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 50.0% 0.0% 50.0% 0.0% 0.0%
複合施設(知) 20 55.0% 20.0% 20.0% 0.0% 20.0% 45.0% 5.0% 90.0% 20.0% 0.0%
複合施設(精) 5 0.0% 0.0% 20.0% 0.0% 0.0% 80.0% 20.0% 100.0% 40.0% 0.0%
複合施設(複) 10 50.0% 0.0% 40.0% 0.0% 10.0% 40.0% 10.0% 70.0% 30.0% 0.0%
複合施設(区分不明) 3 66.7% 0.0% 33.3% 0.0% 66.7% 66.7% 0.0% 33.3% 33.3% 0.0%
複合施設計 40 47.5% 10.0% 25.0% 0.0% 17.5% 50.0% 7.5% 80.0% 25.0% 0.0%
総計 738 39.8% 14.1% 7.9% 2.8% 17.1% 32.8% 7.9% 62.5% 7.7% 0.7%

新体系事業の定員、平均利用者数について、各施設の回答の平均値を見ると、施設入所支援のほか、生活介護、自立訓練(機能訓練)等の定員が多くなっている。

図表7 新体系事業の定員、平均利用者数の平均値
選択項目 定員 平均利用者数
生活介護 34.3 31.4
施設入所支援 62.9 59.7
共同生活介護(ケアホーム) 12.3 11.6
自立訓練(機能訓練) 30.3 20.8
自立訓練(生活訓練) 12.5 9.8
就労移行支援 14.2 11.8
就労継続支援(A型) 22.0 18.7
就労継続支援(B型) 21.3 16.5
共同生活援助(グループホーム) 9.4 8.1

図表7 新体系事業の定員、平均利用者数の平均値
グラフ 新体系事業の定員、平均利用者数の平均値
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⑤移行にあたり重視したこと

移行にあたり重視したこととしては、変化をできるだけ少なくすることを重視したところは約3割、既存資源・ノウハウのもとで安定的・効果的運営を目指したところが約4割、事業の強化を目指したというところが約2割という構成である。

図表8 移行にあたり重視したこと(N=738)
選択項目 構成比
利用者・職員にとって従来からの変化ができるだけ少なくなることを重視した 30.4%
旧体系では実施が難しかったが、利用者や地域のニーズ等があった事業、施設としてやりたかった事業を組み込む(増強する)ことを重視した 16.8%
自施設の既存資源・ノウハウのもとで、より安定的・効果的に運営(経営)できる事業形態とすることを重視した 43.6%
その他 5.8%
無回答 3.4%

図表8 移行にあたり重視したこと(N=738)
グラフ 移行にあたり重視したこと
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サイズ:79KB (683×335)

旧体系の施設種別で見ると、小規模施設で事業強化の割合がやや高くなっている。また、安定的・効果的運営の割合も高い。

図表9 移行にあたり重視したこと[旧体系施設種別](N=738)
選択項目 更生系施設 授産系施設 小規模施設 全体
利用者・職員にとって従来からの変化ができるだけ少なくなることを重視した 32.9% 33.6% 27.4% 30.4%
旧体系では実施が難しかったが、利用者や地域のニーズ等があった事業、施設としてやりたかった事業を組み込む(増強する)ことを重視した 12.3% 16.8% 19.1% 16.8%
自施設の既存資源・ノウハウのもとで、より安定的・効果的に運営(経営)できる事業形態とすることを重視した 41.9% 39.3% 46.5% 43.6%
その他 9.0% 4.7% 5.5% 5.8%
無回答 3.9% 5.6% 1.5% 3.4%

図表9 移行にあたり重視したこと[旧体系施設種別](N=738)
グラフ 移行にあたり重視したこと[旧体系施設種別]
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サイズ:106KB (686×518)

※「更生系施設」は身障療護施設および更生施設、「授産系施設」様は授産施設、福祉工場等、「小規模施設」は小規模通所授産施設および法定外作業所(以下同様)

旧体系施設の障害種別で見ると、身体、知的に比べて精神で事業強化を目指した割合が高くなっている。

図表10 移行にあたり重視したこと[障害種別](N=738)
選択項目 身体 知的 精神 全体
利用者・職員にとって従来からの変化ができるだけ少なくなることを重視した 30.6% 29.7% 31.0% 30.4%
旧体系では実施が難しかったが、利用者や地域のニーズ等があった事業、施設としてやりたかった事業を組み込む(増強する)ことを重視した 17.4% 14.2% 22.1% 16.8%
自施設の既存資源・ノウハウのもとで、より安定的・効果的に運営(経営)できる事業形態とすることを重視した 44.6% 45.3% 38.9% 43.6%
その他 5.8% 6.8% 6.2% 5.8%
無回答 1.7% 4.1% 1.8% 3.4%

図表10 移行にあたり重視したこと[障害種別](N=738)
グラフ 移行にあたり重視したこと[障害種別]
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サイズ:106KB (686×518)

⑥職員数

職員数は、正職員、正職員以外ともに10人未満というところが多い。なお、デイ・無回答を除く施設の平均は正職員8.1人、正職員以外15.0人となっている。

図表11 正職員数(N=738)
選択項目 構成比
5人未満 35.8%
5〜9人 33.7%
10〜19人 16.7%
20〜29人 5.7%
30人以上 6.8%
無回答 1.4%

図表11 正職員以外の職員数(N=738)
選択項目 構成比
5人未満 42.3%
5〜9人 24.8%
10〜19人 15.3%
20〜29人 6.0%
30人以上 3.8%
無回答 7.9%

図表11 正職員数(N=738) / 正職員以外の職員数(N=738)
グラフ 正職員数 / 正職員以外の職員数
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サイズ:89KB (779×341)

⑦新体系移行にあたっての投資

移行にあたって8割程度の事業所が何らかの投資をしており、特に職員数の増強をあげるところが多い。その他、設備・機材の整備・増強、職員研修なども比較的実施されている。

図表12 新体系移行にあたっての投資(複数回答)(N=738)
選択項目 構成比
新たに施設整備や場所の購入・借り上げ等を行い、事業スペースを確保した 27.9%
事業用の設備や機材等の整備・増強を行った 35.9%
事務作業の効率化のためのシステム導入やアウトソーシング化などを行った 28.3%
職員数を増やした 48.0%
事業のために従来雇用していなかった職種(専門人材)を確保した 20.9%
事業のための職員研修等(研修費等の支出を伴うもの)を行った 32.1%
ジョブコーチやグループ就労などの外部サポートを導入した 4.5%
その他 4.9%
特に投資はしていない 17.1%
無回答 2.2%

図表12 新体系移行にあたっての投資(複数回答)(N=738)
グラフ 新体系移行にあたっての投資
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サイズ:76KB (735×628)

専門職種の確保について回答したところに、その種類を聞いたところ、「その他」の割合が高くなっている。内訳はほとんどが「看護師」である。

図表13 確保した専門職種の種類(複数回答)(N=154)
選択項目 構成比
PT 9.1%
OT 7.1%
ST 0.0%
社会福祉士 10.4%
介護福祉士 9.1%
その他 79.9%
無回答 3.2%

図表13 確保した専門職種の種類(複数回答)(N=154)
グラフ 確保した専門職種の種類
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サイズ:30KB (686×269)

旧体系の施設種別で見ると、全体的に小規模施設で投資している傾向がうかがえる。一方、更生系施設では投資をしていないところも比較的多い。

図表14 新体系移行にあたっての投資(複数回答)[旧体系施設種別](N=738)
選択項目 更生系施設 授産系施設 小規模施設
新たに施設整備や場所の購入・借り上げ等を行い、事業スペースを確保した 19.4% 20.6% 36.2%
事業用の設備や機材等の整備・増強を行った 24.5% 31.8% 43.8%
事務作業の効率化のためのシステム導入やアウトソーシング化などを行った 27.7% 18.2% 33.4%
職員数を増やした 40.0% 38.8% 57.1%
事業のために従来雇用していなかった職種(専門人材)を確保した 11.0% 19.6% 24.6%
事業のための職員研修等(研修費等の支出を伴うもの)を行った 29.7% 31.3% 33.1%
ジョブコーチやグループ就労などの外部サポートを導入した 2.6% 7.0% 3.0%
その他 1.9% 6.1% 5.5%
特に投資はしていない 27.7% 19.2% 11.2%

図表14 新体系移行にあたっての投資(複数回答)[旧体系施設種別](N=738)
グラフ 新体系移行にあたっての投資[旧体系施設種別]
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サイズ:104KB (740×630)

サービスの質の向上についての回答状況により、投資に違いがあるかどうかを見る。全体的に、サービスの質が向上したと回答しているところでは多く投資がなされており、特に人材に関する投資で差が大きくなっている。

図表15 新体系移行にあたっての投資(複数回答)[サービスの質の向上程度別](N=738)
選択項目 向上した どちらとも言えない 低下した
新たに施設整備や場所の購入・借り上げ等を行い、事業スペースを確保した 32.9% 21.1% 24.4%
事業用の設備や機材等の整備・増強を行った 42.9% 26.0% 35.6%
事務作業の効率化のためのシステム導入やアウトソーシング化などを行った 34.4% 21.5% 20.0%
職員数を増やした 59.3% 35.5% 24.4%
事業のために従来雇用していなかった職種(専門人材)を確保した 27.8% 13.2% 6.7%
事業のための職員研修等(研修費等の支出を伴うもの)を行った 38.5% 26.4% 15.6%
ジョブコーチやグループ就労などの外部サポートを導入した 6.1% 2.6% 2.2%
その他 6.8% 2.3% 4.4%
特に投資はしていない 8.0% 29.8% 28.9%

図表15 新体系移行にあたっての投資(複数回答)[サービスの質の向上程度別](N=738)
グラフ 新体系移行にあたっての投資[サービスの質の向上程度別]
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サイズ:99KB (737×629)

経営状況の安定についての回答状況により、投資に違いがあるかどうかを見る。全体的に、経営が安定したと回答しているところでは多く投資がなされており、特に職員数の増員で差が大きくなっている。

図表16 新体系移行にあたっての投資(複数回答)[経営安定程度別](N=738)
選択項目 安定した どちらとも言えない 悪化した
新たに施設整備や場所の購入・借り上げ等を行い、事業スペースを確保した 29.3% 26.1% 29.4%
事業用の設備や機材等の整備・増強を行った 42.4% 30.3% 34.5%
事務作業の効率化のためのシステム導入やアウトソーシング化などを行った 32.0% 26.6% 27.1%
職員数を増やした 59.9% 43.2% 37.9%
事業のために従来雇用していなかった職種(専門人材)を確保した 24.9% 16.6% 20.9%
事業のための職員研修等(研修費等の支出を伴うもの)を行った 35.0% 31.1% 31.6%
ジョブコーチやグループ就労などの外部サポートを導入した 4.4% 3.3% 6.8%
その他 4.7% 4.6% 5.1%
特に投資はしていない 11.8% 21.2% 20.3%

図表16 新体系移行にあたっての投資(複数回答)[経営安定程度別](N=738)
グラフ 新体系移行にあたっての投資[経営安定程度別]
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サイズ:101KB (737×629)

⑧利用者数の変化

移行の前後での利用者の変化について聞いたところ、変わらないというところが約4割となっている。減ったところより増えたところの方が多い。

図表17 移行の前後での利用者の変化(N=738)
選択項目 構成比
大きく(2割以上)増えた 14.9%
若干増えた 27.1%
あまり変わらない 42.4%
若干減った 10.7%
大きく(2割以上)減った 2.8%
無回答 2.0%

図表17 移行の前後での利用者の変化(N=738)
グラフ 移行の前後での利用者の変化
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サイズ:59KB (686×337)

旧体系の施設種別で見ると、小規模施設で増えたというところが多い。一方、更生系施設では、変わらないというところが多くなっている。

図表18 移行の前後での利用者の変化[旧体系施設種別](N=738)
選択項目 更生系施設 授産系施設 小規模施設 全体
大きく(2割以上)増えた 5.2% 14.0% 20.7% 14.9%
若干増えた 21.9% 27.1% 28.9% 27.1%
あまり変わらない 59.4% 42.5% 35.3% 42.4%
若干減った 7.1% 10.7% 10.9% 10.7%
大きく(2割以上)減った - - - -
無回答 - - - -

図表18 移行の前後での利用者の変化[旧体系施設種別](N=738)
グラフ 移行の前後での利用者の変化[旧体系施設種別]
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サイズ:90KB (686×455)

増減の理由は、移行とは関係がないというところが約4割と多くなっている。「その他」の回答が多くなっているが、ほとんどが「定員の増減」である。移行によるサービスの変化、利用者負担の変化を理由としてあげるところは、いずれも1割程度となっている。

図表19 移行の前後での利用者の変化の理由(N=738)
選択項目 構成比
新体系移行により、サービス内容が向上(低下)したから 13.6%
新体系移行により、利用者の各種負担が減った(増えた)から 8.0%
新体系への移行と利用者数の増減は関係がない 41.3%
よくわからない 3.0%
その他 25.9%
無回答 8.3%

図表19 移行の前後での利用者の変化の理由(N=738)
グラフ 移行の前後での利用者の変化の理由
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サイズ:68KB (686×338)

⑨サービスの質の変化

移行によってサービスの質がどう変化したかを聞いたところ、向上したというところが多くなっている。低下したというところはわずかである。

図表20 移行によるサービスの質の変化(N=738)
選択項目 構成比
かなり向上したと思う 8.1%
ある程度は向上したと思う 47.8%
どちらとも言えない 35.9%
どちらかというと低下したと思う 4.5%
かなり低下したと思う 1.6%
無回答 2.0%

図表20 移行によるサービスの質の変化(N=738)
グラフ 移行によるサービスの質の変化
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旧体系の施設種別で見ると、小規模施設で向上したというところが多くなっている。

図表21 移行によるサービスの質の変化[旧体系施設種別](N=738)
選択項目 更生系施設 授産系施設 小規模施設 全体
かなり向上したと思う 3.2% 3.7% 13.4% 8.1%
ある程度は向上したと思う 34.2% 45.8% 55.3% 47.8%
どちらとも言えない 46.5% 41.6% 27.1% 35.9%
どちらかというと低下したと思う 7.7% 5.6% 2.4% 4.5%
かなり低下したと思う - - - -
無回答 - - - -

図表21 移行によるサービスの質の変化[旧体系施設種別](N=738)
グラフ 移行によるサービスの質の変化[旧体系施設種別]
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サイズ:91KB (686×433)

サービスの質が向上したというところに、その理由を聞くと、移行を機に基盤整備や職員の意識改革を行った、新体系のメリットを活かしてニーズにマッチした事業を展開した、といった回答が多くなっている。

図表22 サービスの質が向上した理由(複数回答)(N=413)
選択項目 構成比
新体系のメリットを活かして利用者や地域のニーズにいっそうマッチした事業展開ができたから 46.2%
利用者負担が出たことにより、利用者からよりよいサービスを求める意見が出るようになったから 12.8%
新体系サービスを想定した職員研修など、職員の意識改革等の取り組みを行ったから 51.3%
新体系への移行を機に、新たな設備投資や職員体制の強化などサービス基盤の整備を行ったから 54.2%
新体系への移行を機に特別支援学校や企業、地域、関係機関等との連携が進み、インフォーマルサービスも含めてサービス基盤が充実したから 21.5%
国・地方公共団体やコンサルタント、先進施設等からの助言や支援を得て、サービスの見直しや体制強化を行うことができたから 6.1%
その他 9.4%
無回答 0.7%

図表22 サービスの質が向上した理由(複数回答)(N=413)
グラフ サービスの質が向上した理由
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サイズ:94KB (812×635)

⑩経営状況の変化

経営の安定については、安定したというところが多くなっているが、悪化したというところも2割以上ある。

図表23 移行による経営状況の変化(N=738)
選択項目 構成比
かなり安定したと思う 8.1%
ある程度は安定したと思う 32.1%
どちらとも言えない 32.7%
どちらかというと悪化したと思う 14.2%
かなり悪化したと思う 9.8%
無回答 3.1%

図表23 移行による経営状況の変化(N=738)
グラフ 移行による経営状況の変化
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サイズ:62KB (686×337)

旧体系の施設種別で見ると、小規模施設では6割近くが安定したと回答している一方で、更生系施設、授産系施設では3割弱にとどまっており、差が大きい。

図表24 移行による経営状況の変化[旧体系施設種別](N=738)
選択項目 更生系施設 授産系施設 小規模施設 全体
かなり安定したと思う 5.2% 2.8% 13.1% 8.1%
ある程度は安定したと思う 20.0% 23.4% 44.4% 32.1%
どちらとも言えない 40.0% 38.3% 25.2% 32.7%
どちらかというと悪化したと思う 16.8% 18.7% 9.4% 14.2%
かなり悪化したと思う 12.9% 13.6% 6.1% 9.8%
無回答 5.2% 3.3% 1.8% 3.1%

図表24 移行による経営状況の変化[旧体系施設種別](N=738)
グラフ 移行による経営状況の変化[旧体系施設種別]
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サイズ:93KB (686×443)

移行後のサービス利用人数の変化で、経営安定の程度を見ると、人数が増えたところでは安定したところが多くなっており、利用人数の増減と経営の安定に関連のある様子がうかがえる。

図表25 移行による経営状況の変化[利用人数の変化別](N=738)
選択項目 大きく(2割以上)増えた 若干増えた あまり変わらない 減った 全体
かなり安定したと思う 18.2% 8.5% 6.1% 4.0% 8.1%
ある程度は安定したと思う 40.9% 41.5% 28.1% 17.0% 32.1%
どちらとも言えない 20.9% 31.5% 40.3% 29.0% 32.7%
どちらかというと悪化したと思う 12.7% 8.0% 15.0% 28.0% 14.2%
かなり悪化したと思う 5.5% 8.5% 9.9% 18.0% 9.8%
無回答 - - - - -

図表25 移行による経営状況の変化[利用人数の変化別](N=738)
グラフ 移行による経営状況の変化[利用人数の変化別]
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サイズ:89KB (686×443)

経営の安定とサービスの質の向上についてみると、サービスの質が向上したというところでは、経営も安定しているところが多い。

図表26 移行による経営状況の変化[サービスの質の向上程度別](N=738)
選択項目 向上した どちらとも言えない 低下した 全体
かなり安定したと思う 11.4% 3.8% 4.4% 8.1%
ある程度は安定したと思う 40.0% 25.7% 4.4% 32.1%
どちらとも言えない 30.0% 40.0% 22.2% 32.7%
どちらかというと悪化したと思う 12.3% 16.2% 24.4% 14.2%
かなり悪化したと思う 5.8% 11.7% 37.8% 9.8%
無回答 0.5% 2.6% 6.7% 3.1%

図表26 移行による経営状況の変化[サービスの質の向上程度別](N=738)
グラフ 移行による経営状況の変化[サービスの質の向上程度別]
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サイズ:91KB (686×445)

経営が安定したというところに、その理由を聞くと、移行による利用者増や報酬アップという回答が多くなっている。

図表27 経営が安定した理由(複数回答)(N=297)
選択項目 構成比
新体系への移行に際し、これまでの運営(経営)の評価や新事業のシミュレーション等を通じて適切な移行計画を組み立て、実行したから 36.0%
新体系に移行することで、従来の経営資源をベースにして利用者の増加や報酬アップによる収入増が得られたから 64.6%
新体系への移行を機に、新たな設備投資や職員体制の強化などサービス基盤の整備を行い、それが利用者の増加や報酬アップによる収入増につながったから 35.4%
新体系サービスを想定した職員研修など、事業運営に対する職員の意識改革等の取り組みを行ったから 25.3%
新体系への移行を機に特別支援学校や企業、地域、関係機関等との連携が進んだから 10.4%
国・地方公共団体やコンサルタント、先進施設等からの助言や支援を得て、事業運営(経営)の体制強化を行うことができたから 4.7%
その他 9.4%
無回答 1.3%

図表27 経営が安定した理由(複数回答)(N=297)
グラフ 経営が安定した理由
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サイズ:99KB (799×649)

中長期的な見通しについて聞いたところ、当面はうまくいったが今後は厳しいというところが約4割、今後もプラスであるというところが約3割となっており、考え方が分かれている。

図表28 経営の中長期的な見通し(N=297)
選択項目 構成比
旧体系に比べて新体系はメリットが多く、今後も事業運営上プラスであると思う 31.0%
当面の移行はうまくいったが、今後の事業展開は旧体系と比べて厳しくなってくると思う 42.1%
新旧体系の差は少なく、それほど事業運営に影響はないと思う 3.4%
今後のことはよくわからない 18.9%
無回答 4.7%

図表28 経営の中長期的な見通し(N=297)
グラフ 経営の中長期的な見通し
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旧体系の施設種別で見ると、小規模施設で事業運営上プラスとするところが多くなっている。一方、授産系施設では、当面うまくいったが今後は厳しいと言うところが多い。

図表29 経営の中長期的な見通し[旧体系施設種別](N=297)
選択項目 更生系施設 授産系施設 小規模施設 全体
旧体系に比べて新体系はメリットが多く、今後も事業運営上プラスであると思う 20.5% 21.4% 37.6% 31.0%
当面の移行はうまくいったが、今後の事業展開は旧体系と比べて厳しくなってくると思う 48.7% 62.5% 33.9% 42.1%
新旧体系の差は少なく、それほど事業運営に影響はないと思う 7.7% 3.6% 2.1% 3.4%
今後のことはよくわからない 23.1% 8.9% 20.6% 18.9%
無回答 0.0% 3.6% 5.8% 4.7%

図表29 経営の中長期的な見通し[旧体系施設種別](N=297)
グラフ 経営の中長期的な見通し[旧体系施設種別]
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サイズ:101KB (686×500)

⑪新体系事業での工夫・取り組み

新体系事業において工夫や取り組みの状況を聞いたところ、就労継続支援の商品開発や工賃アップ、利用者個々の状況に応じたサービス提供の工夫、日中活動や自立訓練、就労訓練等の場所の確保・メニュー充実等の回答が多くなっている。

図表30 新体系事業での工夫・取り組み(複数回答)(N=738)
選択項目 構成比
特別支援学校の卒業生などの新規利用者や重度障害者等を受け入れるための取り組み 27.8%
地域における障害者支援ネットワークの構築のための取り組み 26.2%
日中活動や自立訓練、就労訓練等の場所の確保・メニュー充実などの取り組み 35.4%
就労移行支援における一般就労促進の取り組み 27.1%
就労継続支援における商品開発や工賃アップの取り組み 38.5%
地域生活への移行のための取り組み 21.3%
利用者個々の状況に応じたサービス提供の工夫などの取り組み 37.9%
その他の取り組み 11.0%
特に取り組みはしていない 8.9%
無回答 16.1%

図表30 新体系事業での工夫・取り組み(複数回答)(N=738)
グラフ 新体系事業での工夫・取り組み
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旧体系の施設種別で見ると、更生系施設では日中活動等の工夫や地域移行支援、授産系施設では就労移行支援、小規模施設では就労継続支援が比較的高い割合となっている。

図表31 新体系事業での工夫・取り組み(複数回答)[旧体系施設種別](N=738)
選択項目 更生系施設 授産系施設 小規模施設
特別支援学校の卒業生などの新規利用者や重度障害者等を受け入れるための取り組み 29.0% 26.6% 28.0%
地域における障害者支援ネットワークの構築のための取り組み 28.4% 25.7% 24.3%
日中活動や自立訓練、就労訓練等の場所の確保・メニュー充実などの取り組み 42.6% 33.2% 32.5%
就労移行支援における一般就労促進の取り組み 15.5% 38.8% 23.7%
就労継続支援における商品開発や工賃アップの取り組み 13.5% 33.2% 52.0%
地域生活への移行のための取り組み 35.5% 16.4% 17.3%
利用者個々の状況に応じたサービス提供の工夫などの取り組み 38.7% 31.3% 41.9%
その他の取り組み 12.3% 12.1% 9.7%
特に取り組みはしていない 12.3% 8.9% 8.2%

図表31 新体系事業での工夫・取り組み(複数回答)[旧体系施設種別](N=738)
グラフ 新体系事業での工夫・取り組み[旧体系施設種別]
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各項目における主なコメントは次の通りである。

(特別支援学校の卒業生などの新規利用者や重度障害者等を受け入れるための取り組み)

(地域における障害者支援ネットワークの構築のための取り組み)

(日中活動や自立訓練、就労訓練等の場所の確保・メニュー充実などの取り組み)

(就労移行支援における一般就労促進の取り組み)

(就労継続支援における商品開発や工賃アップの取り組み)

(地域生活への移行のための取り組み)

(利用者個々の状況に応じたサービス提供の工夫などの取り組み)

(その他の取り組み)

⑫事業計画

事業計画については、策定しているところが多いが、事業シミュレーションなど具体的な検討をしているところは1割程度である。事業計画を策定していないというところも約3割見られる。

図表32 事業計画の策定状況(N=738)
選択項目 構成比
事業シミュレーションなどを行い、具体的な施策等も含む事業計画を策定している 13.0%
具体的な施策等までは検討していないが、中長期の目標などを定めた計画を策定している 40.8%
特に事業計画は策定していない 31.6%
無回答 14.6%

図表32 事業計画の策定状況(N=738)
グラフ 事業計画の策定状況
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⑬自由意見

移行にあたって苦労したことなどを自由意見として聞いた。さまざまな意見が寄せられている。苦労したこととしては、事務手続きの煩雑さ、情報がなかなか得られなかったこと、報酬体系が変わることによる影響などが多くあげられている。

また、制度そのものに対する意見も多く、障害程度区分の問題や報酬体系に関する要望等が多くなっている。

(苦労したこと)

(制度等への要望)

(移行のプラス面など)

(3) ヒアリング調査

①アンケート結果からのヒアリング対象の抽出

アンケート調査結果からのヒアリング対象の抽出にあたっては、

①新体系移行に対するスタンス(前向きの取り組み)

②旧体系の施設区分のバランス

③地域バランス

の観点に留意した。

①については、アンケートで、移行に際して新しい事業の取り組みや投資などを実施していると回答しているところ、既存資源を活用して適切に移行したと回答しているところ、移行によりサービスの質あるいは経営状況がよくなったと回答しているところを中心に抽出を行った。

②に関しては、更生施設と授産施設(福祉工場、小規模通所授産施設など含めた授産系施設)において、移行における状況が異なっていると考えられたが、アンケートでは授産施設や小規模通所授産施設、法定外作業所の割合が高く、①のみを重視して抽出した場合はほとんど授産系の施設で占められる可能性があった。したがって、更生施設や身体障害者療護施設などをできるだけピックアップするように留意し、事例数が更生系と授産系でおおむね半々となるようにした。その結果、下記のような配分となった。

図表33 ヒアリング対象の旧体系施設区分による配分
選択項目 件数
身体障害者療護施設 3箇所
更生施設(授産との複合も含む) 12箇所
授産施設 6箇所
その他の授産系施設 9箇所

③については、基本的に①と②の観点を優先し、可能であれば地域バランスにも配慮するものとした。結果的には、特定の地域にヒアリング対象が集中するといったことはなく、おおむね全国各地の事例を収集することができた。

②ヒアリング対象

ヒアリング対象は、基本的にアンケート結果からの抽出により、前述の観点をふまえて決定した。ただし、一部は事例紹介等を受け、アンケート調査と並行して予備調査を兼ねて実施した。対象は以下の通りである。

図表34 ヒアリング対象(身障療護・更生系)
事業所名称 旧体系施設区分 所在地
雪の聖母園 知的障害者更生施設 北海道樺戸郡月形町
サンワーク六郷 知的障害者更生施設
身体障害者授産施設
秋田県仙北郡美郷町
障がい者サポートセンター 知的障害者更生施設 福島県双葉郡楢葉町
大樹の家 身体障害者療護施設
知的障害者更生施設
埼玉県狭山市
かしの木ケアセンター 身体障害者療護施設 埼玉県入間郡三芳町
レインボーハウス明石 知的障害者更生施設 東京都中央区
みだい寮 知的障害者更生施設 山梨県韮崎市
浜松協働学舎根洗寮 知的障害者更生施設 静岡県浜松市
彦根学園 知的障害者更生施設 滋賀県彦根市
ききょうの杜 知的障害者更生施設 京都府福知山市
知的障害者更生施設 京都府城陽市
博由園 身体障害者療護施設 兵庫県明石市
のぞみ 知的障害者更生施設
知的障害者授産施設
鳥取県米子市
しずたに 知的障害者更生施設 岡山県和気郡和気町
つばき学園 知的障害者更生施設 熊本県熊本市

図表34 ヒアリング対象(授産系)
事業所名称 旧体系施設区分 所在地
帯広ケア・センター 精神障害者授産施設 北海道帯広市
山形コロニー就労サポートセンター 身体障害者福祉工場 山形県山形市
こころや 他 精神障害者地域生活支援センター 福島県西白河郡泉崎村
あかね園 知的障害者授産施設 千葉県習志野市
よつば就労センター 精神障害者小規模通所授産施設 千葉県柏市
就職するなら明朗塾 知的障害者授産施設 千葉県八街市
どんまい福祉工房 知的障害者福祉工場
精神障害者福祉工場
東京都杉並区
げんきの家 身体障害者小規模通所授産施設 福井県福井市
エコーンファミリー 知的障害者授産施設 長野県長野市
手作り工房あゆみ 身体・知的・精神障害者小規模作業所 三重県四日市市
福祉の店アミーチ 知的障害者小規模作業所 山口県山口市
大牟田恵愛園 身体障害者授産施設 福岡県大牟田市
愛和社会復帰センター 精神障害者授産施設 福岡県行橋市
ライフサポートハル・ワークスペースKAN 他 知的障害者小規模作業所 佐賀県佐賀市
まんさく園 知的障害者小規模通所授産施設 熊本県八代市

③ヒアリング項目

ヒアリングにあたっては、事例データベースの作成を想定し、統一的な項目において情報を把握する形とした。また、ホームページでの公開をふまえ、検索等の利便を考え施設の特色を一言で表す「キーワード」を選んでもらったほか、掲載用の写真提供などを依頼した。

1)施設の概要

2)新体系事業で力を入れていること、実施の工夫

(身障療護施設・更生施設)

(授産系施設)

3)新体系移行に向けた投資や、移行前後での変化

4)関係機関や地域等との連携

5)その他

6)キーワード

(4) ヒアリング結果の概要

①新体系事業で力を入れていること、実施の工夫

(身障療護・更生系)

身体障害者療護施設や更生施設においては、利用者の個別支援、「ユニット」や「班」といったグループ活動によるメニューの充実などに力を入れている施設が多かった。新体系移行により、サービスが日中と夜間に区分されたため、特に日中活動を、利用者のニーズをふまえて多様化する方向に工夫がされている。

日中活動においては、重度障害者も含めて創作活動など多様なメニューが実施されているが、就労支援に力を入れているところも少なくない。重度障害者の就労活動に力を入れているところもあった。また、利用者が外に出て、多くの人と接することを重視している施設が多く、駅前など便利な場所に分場をつくり、地域の人との交流などを進めているところもある。

夜間については、グループホームやケアホームを整備して、地域移行を進めているところも多いが、施設入所支援についても、新たに施設整備を行ったところでは、一般の家のようなつくりにすることに留意し、居住性を重視した施設としているところもある。多くの施設では、日中と夜間が区分されたことで、利用者にも生活のリズムができ、日中サービスのメニューの多様化にもつながっており、よかったという認識がされている。

移行にあたって、複数施設を運営している法人の場合、法人全体で移行に取り組んだというところもあった。施設単体で移行を考えるより、法人全体であればサービス資源の活用なども可能性の幅が広がるため、移行がやりやすいという認識である。例えば、旧体系の更生施設で、入所者に就労ニーズのある人がいた場合、施設入所支援を受けながら、日中は同じ法人の旧体系授産施設に通所するといった形である。人材面でも、旧体系の更生施設で、就労サービスの強化のために、同じ法人の旧体系授産施設から就労のノウハウのある人が異動するといった例もあった。

その他、特に重度障害者の多い施設では、職員を多く配置し、サービス体制を強化したという施設もあった。また、自閉症への対応を強化しているところも見られた。

(授産系)

授産系の施設においては、多くの施設で、従来からの取り組みを強化し、一般就労への支援や魅力ある授産製品の開発、販路の拡大、利用者が意欲を持って働きたくなる施設づくりなどが目指されている。特に、就労移行支援については、このサービスに特化して「専門店」を目指すというところがいくつかあった。

新体系については、就労という目標がはっきりすることで、利用者の意欲の喚起にもつながり、効果があったというところが多い。

工賃については、利用者のやる気にもつながり、工賃アップを目指しているところが多いが、ポイントはいかに「売れる」商品をつくることができるか、という点である。作業の下請け的な仕事では収入増は難しく、収入増には新商品が不可欠なため、商品として魅力ある授産製品の開発に取り組んでいるところも少なくない。食品、工芸品など内容はさまざまだが、企業や行政等とのネットワークを活用して、商品開発に取り組んでいるところもある。また、商店街と連携してアンテナショップなどの取り組みを行っているところもある。

その他、喫茶店などの接客業は、障害者の就労ニーズも高く、新体系移行を機に新設やリニューアルを行い、ニーズに対応したというところもあった。働きたくなる施設づくりが重視されている。

②新体系移行に向けた投資、移行前後での変化

(投資の状況)

新体系移行に向けた投資としては、多くの施設で職員数が増強されている。特に多機能化にあたって必要な職員体制を強化したというところが多い。

また、医療ケアの充実に向けて、看護師や理学療法士などの専門職を新たに雇用したという施設もある。新規雇用ではなく、職員を看護学校に送り、看護師として育成したというところもあった。職員の資格取得に取り組んでいるところもある。

就労サービスの関係では、就労支援にノウハウのある人を雇用し、それが就労移行支援などのサービス向上につながったというところもあった。

施設・設備への投資はさまざまであり、まったく投資をしていないというところから、施設自体の建て替えを行ったというところまである。多くの施設では、多機能化やサービス規模の拡大に伴い、ある程度の作業場所の拡大や新設などが行われているようである。また、施設外にグループホームやケアホームを整備・確保したというところもある。

(利用者数の変化)

利用者数については、規模の大きな施設の場合はそれほど変化していないというところが多いが、規模の小さい施設では、新体系移行による多機能化などによりサービス定員が増え、利用者数が増えたというところが多くなっている。

(経営面の変化)

経営面については、規模の大きな施設の場合、新体系移行で厳しくなったというところが多くなっている。その要因としては、特に報酬が日額払いになったことにより、利用者が休んだ場合に収入が得られないという点をあげる施設が多い。また、事業実施にあたって職員数を増強したことにより、人件費がアップしたというところも少なくない。

ただし、規模の大きな施設はすべて経営が悪化しているわけではなく、特に重度の障害者の多い施設では報酬が増加したところもある。障害程度区分の認定状況が収入に直結するため、移行前に利用者の障害程度区分のシミュレーションをしたという施設がある。経営がある程度安定している施設は、移行を機に経営を見直し、移行前に経営シミュレーションをしたり、経費削減の努力を行ったというところが多い。

一方、旧体系での小規模通所授産施設や、法定外の作業所など、規模の小さな施設の場合は、経営が安定したというところが多くなっている。新体系への移行前は補助金を頼りにした不安定な経営だったものが、移行を機に安定した報酬による収入となり、また、事業規模の拡大による利用者増を通じて、収入が増えたというところが多い。収入が増えたことにより職員の増員なども可能になったという施設もあった。

③関係機関や地域等との連携

(行政、企業等との連携)

行政との連携については、各施設でさまざまであり、ほとんど関係がないというところから、密に連携をしているというところまで多様な状況である。また、地域自立支援協議会の事務局を受けたり、就労支援をサポートする人材の育成などで行政に協力しているという施設もあった。

企業との連携については、各施設とも、一般就労先や授産の取引先、就労訓練の場などを通じて、さまざまな連携をしている。また、企業に対して施設のPRを積極的に行っているという施設も多かった。人脈づくりとして、地域の中小企業団体への加盟や、異業種交流会などに参加しているというところもあった。

(地域との交流)

多くの施設が、地域との交流を重視している。ふだんから地域との交流を心がけ、地域の人に利用者の顔を覚えてもらうように努めているというところもある。また、施設の分場をつくり、地域の人にも使ってもらえるようにしているという例もあった。その他、地域の清掃への参加や地域行事への参加、あるいは施設の行事に地域の人を招待するなど、さまざまな取り組みが行われている。

施設が就労支援として運営している喫茶店などが、地域の交流拠点として活用されているというところもある。整備にあたって、地域にとって魅力ある拠点とするために、地域の人に前もって意見を聞いたり、相談をしたという例もあった。

その他、施設のことをよく知ってもらうために、施設の広報紙を地域に配布しているというところもある。

④その他

新体系の制度については、各施設からいろいろな意見や疑問点なども聞かれた。また、移行にあたって苦労をしたことも多い。

制度に関しては、特に報酬の日額制への意見が多かった。また、障害程度区分への意見も多い。これらは施設の経営にも直結する問題であり、対応に苦労しているところが多いようである。

就労移行支援のサービスについては、2年という期限について、利用者によっては短すぎるという意見、移行後に定員を確保できるかどうかという不安、特に精神障害の場合に期限を限定してプレッシャーをかけることはよくないといった意見など、実際の運営の難しさについての意見が多く聞かれた。

新体系の制度にはいろいろと問題もあるものの、移行はサービスを考え直すきっかけになったという意見があった。また、特に規模の小さい施設においては、規模の大きな施設に並ぶチャンスでもあり、積極的にチャレンジしていくべきではないかという声も聞かれた。

(5) データベースの作成

データベースは、事例情報の項目に合わせて構造とインターフェイスの設計を行った。データベースの公開は日本障害者リハビリテーション協会のホームページにおいて実施した。

(データベースの名称・URL)
名称:新体系移行参考事例データベース
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/resource/jiritsu-DB/index.html

(データベースの構造[サイトマップ])

新体系移行事例一覧(トップページ)
検索機能を使用することで事例絞り込みが可能
事例番号クリックにより事例詳細ページへリンク
事例詳細
 30事例の詳細情報の紹介ページ
アンケート集計結果
アンケート調査の集計結果をPDF及びHTMLで掲載
報告書
当調査研究事業の報告書をPDF及びHTMLで掲載
調査研究事業
当調査研究事業の概略について紹介するページ
http://www.normanet.ne.jp/~jiritsu-project/へのリンク)
新体系サービス
『障害者自立支援法の円滑な施行に向けて』(厚生労働省/全国社会福祉協議会)を参考に、旧体系サービス、新体系サービスについて説明するページ
リンク集
当調査研究事業に関連する外部サイトのリンク集

図 データベースの構造[サイトマップ]