音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

世界各国の社会保障制度

ドイツ
為替レート:1.00米ドル=0.68ユーロ

老齢・障害・遺族

法的枠組み

最初の法制化:1889年(老齢、障害)施行は1891年、1911年(遺族)施行は1914年

現行法:2002年(年金保険)2007年に改正

制度の種類:社会保険制度

注:1990年10月3日のドイツ連邦共和国(旧西独)とドイツ民主共和国(旧東独)の統一を受け、旧西独の社会保障制度が有効に存続し、旧東独の制度は引き続き旧東独領内で暫定適用が続いた。1992年1月1日に旧西独と旧東独の制度が統合され、これをもって「社会法典」第4編が統一ドイツ連邦全域で発効した。下記の概要においては、新連邦州で適用される規定は目印として「E-」を頭に付してある。

適用範囲

被用者(見習いを含む)、特定の自営業者、3歳未満の子供の養育者、社会保障給付(失業給付など)の受給者、徴集兵または兵役以外の地域奉仕活動に従事する者、無給の介護労働者

海外在住のドイツ国民やドイツ在住の外国人など、16歳以上で強制加入が免除されている者は、任意加入の制度がある。

自営業者、鉱山労働者、公共部門職員(補足保険)、公務員、農業者には特別な制度がある。

財源

被保険者:月間所得の9.95%。ただし、月間所得が400ユーロ未満の場合はなし(任意加入は可能)。月間所得401ユーロから800ユーロの場合は保険料額が減額される。

ドイツ年金保険に加入の場合、保険料算定の基礎となる所得上限は、年63,600ユーロ(E-54,000ユーロ)(月額5,300ユーロ、E-4,500ユーロ)である。鉱山労働者・鉄道員・船員向けドイツ年金保険に加入の場合、78,600ユーロ(E-66,600ユーロ)(月額6,550ユーロ、E-5,500ユーロ)である。

自営業者:月間所得の19.9%。最低月間保険料は79.60ユーロ、最高は1,054.70ユーロ(E-895.50ユーロ)または定額494.52ユーロ(E-417.90ユーロ)。

事業主:給与月額の9.95%。月間所得が400ユーロ未満の被用者は所得の15%。鉱山労働者・鉄道員・船員向けドイツ年金保険に加入の場合、給与の16.45%である。

ドイツ年金保険に加入の場合、保険料算定の基礎となる所得上限は、年63,600ユーロ(E-54,000ユーロ)(月額5,300ユーロ、E-4,500ユーロ)、鉱山労働者・鉄道員・船員向けドイツ年金保険に加入の場合、78,600ユーロ(E-66,600ユーロ)(月額6,550ユーロ、E-5,500ユーロ)である。

政府:非保険型給付の費用を補う補助金

受給要件

老齢年金:2012年から2029年にかけて、通常年金受給年齢を65歳から67歳に段階的に引き上げ、5年以上の加入期間を追加する。1964年以降に生まれた者は受給年齢が67歳である。2012年から年金満額受給は、加入期間が45年以上の場合で65歳となる。

障害程度判定が50%以上で加入期間が35年以上の場合は63歳(2012年から2029年にかけて段階的に65歳に引き上げ)、加入期間が15年以上で58歳6カ月以降に52週間以上の失業期間がある場合は65歳(1952年以前に生まれた被保険者)、通常退職年齢以前に24カ月以上のパートタイム労働の被用者として15年以上の加入期間がある場合は65歳(1952年以前に生まれた被保険者)、1952年以前に生まれた女性で40歳以降に10年以上の加入期間がある場合は65歳、長期地下労働への就労で25年以上の加入期間がある鉱山労働者の場合は60歳(2012年から2029年にかけて62歳に段階的に引き上げ)

所得審査:個人所得水準に応じて、65歳未満の年金受給者に支給される。月間所得が355ユーロ未満の場合は満額、355ユーロ以上の場合は所得に応じて満額の3分の2、2分の1、3分の1のいずれかの部分年金が支給される。

早期退職年金:一定条件の下、35年以上の加入期間があれば63歳から支給

老齢年金の繰り下げ支給:65歳を超えると繰り下げ支給となる。

障害年金:稼得能力の完全損失(雇用形態を問わず1日3時間を超えて労働できない状態)または稼得能力の部分損失(雇用形態を問わず1日3時間以上6時間未満しか労働できない状態、ただし1961年1月2日以前に生まれた被保険者については通常業務またはそれに準じる業務で1日6時間以上労働できない状態)に対して支給される。被保険者は、合わせて5年の加入期間があり、過去5年間に36カ月の強制加入期間が必須である。労働災害に起因する稼得能力損失については、特別な条件が適用される。

遺族年金:故人は5年以上の加入期間があるか、死亡時点で年金受給者であること。所得審査を伴う。

小寡婦(寡夫)年金:被保険者が死亡した月の翌月から最大24カ月間、寡婦(寡夫)または生存パートナーに支給される。ただし、被保険者の死亡後、遺族は再婚または新たなパートナーシップを開始していないこと。

大寡婦(寡夫)年金:少額寡婦(寡夫)年金の受給要件を満たす、45歳以上、18歳未満の子供の養育者、あるいは障害者である寡婦(寡夫)または生存パートナーに支給される。

遺児年金:27歳に達するまで支給される。ただし、18歳を超えると所得審査がある。

2002年1月1日以降に始まった婚姻関係またはパートナーシップ、2002年1月1日以前に始まった婚姻関係、1962年1月1日以降に生まれた両配偶者には、それぞれ特別な条件が適用される。

老齢年金分割:2001年12月31日以降に婚姻関係またはパートナーシップが始まった夫婦の場合、または、2002年1月1日以前に婚姻関係またはパートナーシップが始まった夫婦で配偶者双方またはパートナー双方が1962年1月1日以降に生まれた場合、遺族給付の受給権を得る代わりに、年金分割措置を選択することができる。どちらの配偶者またはパートナーも、25年以上の加入期間があり、法定老齢年金の受給権があること。配偶者または生存パートナーは、婚姻関係またはパートナーシップの期間中に生じる年金給付受給権の分割を請求できる。

児童補足給付:大寡婦(寡夫)年金を受給し、3歳未満の子供を養育している寡婦(寡夫)または生存パートナーに支給される。

老齢給付

老齢年金:総個人所得ポイントに年金係数1.0と年金価値を乗じて算定する(鉱山労働者・鉄道員・船員向けドイツ年金保険の加入者には、特別な規定が適用される)。

個人所得ポイントは、個人の年間所得を全加入者の平均所得で除し、開始年齢係数を乗じて算定する。個人の年間所得が全加入者の平均所得に一致する場合は個人所得ポイント1.0が付与される。これより個人年間所得が多いか少ないかによって、対応する所得ポイントが1.0より増減する。

年金価値は、算定基準となる1年間の平均所得に対する給付月額で、賃金変動に応じて調整される。年金額は2007年7月1日から26.27ユーロである(E-23.09ユーロ)。

通常の開始年齢係数は1.0で、被保険者が最初に年金を受給する年齢によって増減する。

17歳から25歳までの間の就業不能、失業、全日制教育の各期間も年金算定にあたって考慮される。

法定最低年金額はない。

低所得労働者補償額:加入期間が35年以上で所得ポイントが平均0.0625未満(完全加入の場合の月数に基づいて算定)の低所得労働者の場合、全被保険者の平均所得(所得ポイント0.0625)に対する保険料の75%を上限に、1991年以前に拠出した保険料の額が1.5倍に増額される。

加入期間25年以上の者は、10歳未満の子供を養育しながら1992年以降に支払った保険料は、全被保険者の平均所得に対する保険料額を上限に、1.5倍に増額される。

早期退職年金:65歳以前に年金を受給する場合、開始時期を1暦月早めるごとに開始年齢係数(1.0)が0.003減少する。

年金の繰り下げ支給:65歳以降に年金を受給する場合、開始時期を1暦月遅らせるごとに開始年齢係数(1.0)が0.005増加する。

給付額調整:年金の価値変動に応じて毎年7月に給付額が調整される。調整の計算式には、永続性係数も反映される。この係数は年金受給者数と保険料拠出者数の比率の変化を考慮したもので、年金給付の絶対的な減少を防止する規則も含まれている。

長期障害給付

障害年金:総個人所得ポイント(個人年間所得を全加入者の平均所得で除し、開始年齢係数を乗じたもの)に年金係数と年金価値を乗じて算定する。

稼得能力の完全損失に対する年金係数は1.0である。部分損失は0.5である(鉱山労働者・鉄道員・船員向けドイツ年金保険の加入者には、特別な規定が適用される)。

年金価値は、算定基準となる1年間の平均所得に対する給付月額で、賃金変動に応じて調整される。年金額は2007年7月1日から26.27ユーロである(E-23.09ユーロ)。

60歳以前に障害が始まった場合、稼得能力損失の日から60歳までの期間は、年金算定にあたってすべて考慮される。

63歳以前に年金を受給する場合、開始時期を1暦月早めるごとに開始年齢係数(1.0)が0.003減少し、最大で0.108まで減少する。

障害年金は65歳で終了し、老齢年金に切り替わる。老齢年金受給額は、障害年金と同等またはそれ以上である。

給付額調整:年金の価値変動に応じて毎年7月に給付額が調整される。調整の計算式には、永続性係数も反映される。この係数は年金受給者数と保険料拠出者数の比率の変化を考慮したもので、年金給付の絶対的な減少を防止する規則も含まれている。

遺族給付

遺族年金:寡婦(寡夫)または生存パートナーに支給され、故人の個人所得ポイント(個人年間所得を全加入者の平均所得で除し、開始年齢係数を乗じたもの)に年金係数と年金価値を乗じて決まる。

年金係数は、被保険者が死亡後、最初の3カ月は1.0、その後は遺族が小寡婦(寡夫)年金を受ける場合は0.25、大寡婦(寡夫)年金を受けていて配偶者双方かパートナー双方が1962年1月1日以降に生まれた場合、または婚姻関係もしくはパートナーシップが2002年1月1日以降に始まった場合は0.55(婚姻関係またはパートナーシップが2002年以前に始まり、一方の配偶者またはパートナーが1962年1月2日以前に生まれた場合は0.6)である(鉱山労働者・鉄道員・船員向けドイツ年金保険の加入者には、特別な規定が適用される)。

年金価値は、算定基準となる1年間の平均所得に対する給付月額で、賃金変動に応じて調整される。年金額は2007年7月1日から26.27ユーロである(E-23.09ユーロ)。

小寡婦(寡夫)年金は2年間支給される。婚姻関係またはパートナーシップが2002年1月1日以前に始まり、寡婦(寡夫)または生存パートナーが1962年1月2日以前に生まれた場合は無制限に年金が支給される。

婚姻関係またはパートナーシップの継続期間が1年に満たなかった場合、通常、寡婦(寡夫)年金は支給されない。1977年7月1日以前に離婚した配偶者には、特別な規定が適用される。

所得審査:支給第4カ月目から、所定上限を超える遺族の純所得の40%が寡婦(寡夫)年金から差し引かれる。

老齢年金分割:生存配偶者または生存パートナーの年金は、夫婦の双方が婚姻関係またはパートナーシップの期間中に得た年金受給権を分割することによって算定する。遺族年金は支給されない。

育児補足給付:配偶者またはパートナーが子供を養育中の場合、大寡婦(寡夫)年金に追加の所得ポイントが付与される。第1子には月に2ポイントの所得ポイントが付与され、第2子以降1人増えるごとに所得ポイント1ポイントが与えられる。

遺児年金:年金係数は、半遺児の場合0.1、完全遺児の場合0.2である。被保険者の加入期間の長さと他の係数によって補足給付が支給される。遺児が18歳に達するまで満額支給される。その後は遺児の純所得が所定の基準を超えた場合、この基準を超えた遺児の純所得の40%は、年金から差し引かれる(故人が鉱山労働者・鉄道員・船員向けドイツ年金保険に加入していた場合は、特別な規定が適用される)。

給付額調整:年金の価値変動に応じて毎年7月に給付額が調整される。調整の計算式には、永続性係数も反映される。この係数は年金受給者数と保険料拠出者数の比率の変化を考慮したもので、年金給付の絶対的な減少を防止する規則も含まれている。

管理運営主体

連邦労働社会政策省(http://www.bmas.bund.de)は、総合的な監督にあたる。連邦保険庁(http://www.bva.de)は、ドイツ年金保険の管理運営機能の監督にあたる。

連邦ドイツ年金保険(http://www.deutsche-rentenversicherung-bund.de)、ドイツ年金保険の地方局、鉱山労働者・鉄道員・船員向けドイツ年金保険(http://www.deutsche-rentenversicherung-knappschaft-bahn-see.de)が制度の管理運営にあたる。

2005年10月1日から特別な手続きで運営管理責任が定められ、すべての年金保険機関の間で被保険者の分配が実現している。ただし、特定の被保険者については、鉱山労働者・鉄道員・船員向けドイツ年金保険(http://www.deutsche-rentenversicherung-knappschaft-bahn-see.de)に特別な責任が残されている。

疾病金庫は、保険料を徴収し、年金保険機関に納入する。

疾病・出産

法的枠組み

最初の法制化:1883年(疾病保険)施行は1884年

現行法:1924年(出産)改正あり、1988年(疾病)改正あり、1994年(長期介護)改正あり

制度の種類:社会保険制度

適用範囲

年間最高所得が48,150ユーロ(2003年以前に民間疾病保険に加入していた被用者は43,200ユーロ)の賃金・給与労働者(被保険者の配偶者またはパートナーと18歳(学生または見習いは25歳)までの子供で自らの権利で疾病または長期介護金庫の被保険者になっていない者を含む)、年金受給者、学生、特定条件に該当する障害者、見習い、失業給付受給者

除外:自営業者

一定条件の下、以前に加入していた者を対象とする任意加入

鉱山労働者、芸術家、公共部門職員、自営農業者には特別な制度がある。

長期介護は法定疾病保険制度の全加入者と一定条件に該当する一部の層の者に提供される。民間疾病保険加入者は長期介護と同等の民間保険に加入しなければならない。

財源

疾病・出産給付

被保険者:保険料は金庫によって異なる。平均保険料は算定対象所得の7.9%だが、上限がある。月間所得が400ユーロに満たない場合、保険料はない。月間所得が401ユーロから800ユーロの範囲の場合は保険料が減額される。年金受給者は年金の平均7.9%を支払う(年金保険機関は強制保険加入の年金受給者と同等額を拠出し、任意保険加入の年金受給者には補助金を拠出する)。

学生の保険料は平均保険料の10分の7である。

保険料算定の基礎となる所得上限は、年43,200ユーロ(月3,600ユーロ)である。

自営業者:適用外

事業主:保険料は金庫によって異なる。平均保険料は算定対象所得の7%で、上限がある。月間所得400ユーロ未満の被用者の場合は13%である。

保険料算定の基礎となる所得上限は、年43,200ユーロ(月3,600ユーロ)である。

政府:出産給付と年金受給農業者の医療給付を対象とする補助金。非保険関連給付費用を補う補助金。

長期介護給付

被保険者:ほとんどの連邦州では、所得の0.85%(2008年7月1日から0.975%)、1つの連邦州のみ1.35%(2008年7月1日から1.475%)。年金受給者は年金の1.7%(2008年7月1日から1.95%)を拠出する。子供のいない23歳未満の被保険者は、所得の0.25%を追加拠出する(ただし、失業給付受給者、公務員、兵役中の者、1940年以前に生まれた年金受給者は除く)。

保険料算定の基礎となる所得上限は、年43,200ユーロ(月3,600ユーロ)である。

自営業者:適用外

事業主:ほとんどの連邦州では、所得の0.85%(2008年7月1日から0.975%)、1つの連邦州のみ1.35%(2008年7月1日から1.475%)。

保険料算定の基礎となる所得上限は、年43,200ユーロ(月3,600ユーロ)である。

政府:失業者、農業者、連邦教育支援法の下で給付を受けている学生に代わって拠出。

受給要件

現金疾病・医療給付:疾病金庫加入者に支給される。医療給付を受けるにあたって、最低限の加入期間はない。

疾病現金給付:12歳未満の病気の子供を養育する被保険者に支給される。

出産現金給付:疾病金庫の女性加入者に支給される。

長期介護給付:被保険者は過去10年間に5年以上の加入期間が必須である。給付受給権は、要介護度によって異なり、1日1回以上の介護が実質的に必要(要介護度1)、1日3回以上の介護の必要性が深刻(要介護度2)、常時介護の必要性が決定的(要介護度3)となっている。さらに、どの介護度も週数回の家事支援が不可欠である。

疾病・出産給付

疾病給付:事業主は被保険者の所得の100%を最大6週間にわたって支給する。その後は同一の疾病について3年間に最大78週間を限度に、疾病金庫が総所得の70%(純所得の最大90%まで)を支給する。

病気の子供を養育する被保険者は、1暦年に被保険者1人あたり25日を超えない範囲で、子供1人あたり最大10就業日にわたって疾病給付を受給する。ひとり親家庭では、1暦年に50日を限度に、子供1人あたり最大20就業日にわたって給付が支給される。

出産給付:疾病金庫の女性加入者で雇用契約のある場合、過去3カ月間の平均純所得の100%相当額の給付(疾病金庫から1日あたり最高13ユーロ、残りは雇用主が支払う)であり、出産の予定日前6週間と予定日後8週間に支給される(未熟児または多胎児の場合は合計12カ月間)。他の金庫の加入者は、疾病給付と同一額を受給する。純所得が出産給付最高額を上回る場合、事業主は補助金としてその差額を支払わなければならない。

疾病金庫に加入していない女性被用者の場合、連邦州が月210ユーロを限度に出産給付を支給する。

長期介護手当:自分自身の介護計画を作成する被保険者には、介護者手当が支給される(例えば、親族による介護など)。手当は要介護度と介護頻度に応じて、月205ユーロ、410ユーロ、665ユーロのいずれかとなる。

介護者手当は、専門のケアワーカーによる現物給付(後述の医療給付の在宅介護給付を参照)と組み合わせることができる(請求された現物給付に応じて介護者手当は減額される)。

介護者のための社会保障保険料:在宅介護を必要とする者に対して週14時間以上の介護を無給で提供し、週30時間以上の有給雇用者でない親族に代わって、長期介護金庫から老齢年金保険に保険料が支払われる。支払われる保険料は要介護度によって異なる。労働災害の保障も付与される。介護が終了したときは、元介護者は再就職を促進する生計費手当の受給権が与えられる。

労働者医療給付

疾病金庫と契約している医師、病院、薬剤師から患者に提供される。給付内容には、総合的な医療・歯科医療、予防検査・措置、臨床検査、助産師・医師による出産、入院、手術、医療器具、処方薬が含まれる。

費用分担:特定の給付(医薬品、医療器具、通院医療、入院、交通費)は共同負担が必要であるが、困窮状況にある場合はこの限りではない(資力審査による)。

長期介護(在宅介護給付):給付内容には、専門のケアワーカーによる在宅介護・家事、外来治療、医療器具、技術支援(自宅改修など)、日帰り介護・夜間介護(介護施設が提供する一部サービスを含む)、短期施設介護、被保険者が計画を立てた介護が一時的に利用できない場合の在宅介護(前述の長期介護給付を参照)が含まれる。各種サービスごとに最高給付額が規定されている。

在宅介護の現物給付は、要介護度に応じて、384ユーロ、921ユーロ、1,432ユーロ、1,918ユーロがある。

長期介護(施設介護給付):介護サービスの費用は最高額まで適用対象となる。被保険者は、部屋代と食事代を支払う。

扶養家族医療給付

医療給付:疾病金庫と契約している医師、病院、薬剤師から患者に提供される。給付内容には、総合的な医療・歯科医療、予防検査・措置、臨床検査、助産師・医師による出産、入院、手術、医療器具、処方薬が含まれる。

費用分担:特定の給付(医薬品、医療器具、通院医療、入院、交通費)は共同負担が必要であるが、困窮状況にある場合はこの限りではない(資力審査による)。

長期介護(在宅介護給付):給付内容には、専門のケアワーカーによる在宅介護・家事、外来治療、医療器具、技術支援(自宅改修など)、日帰り介護・夜間介護(介護施設が提供する一部サービスを含む)、短期施設介護、被保険者が計画を立てた介護が一時的に利用できない場合の在宅介護(前述の長期介護給付を参照)が含まれる。各種サービスごとに最高給付額が規定されている。

在宅介護の現物給付は、要介護度に応じて、384ユーロ、921ユーロ、1,432ユーロ、1,918ユーロがある。

長期介護(施設介護給付):介護サービスの費用は最高額まで適用対象となる。被保険者は、部屋代と食事代を支払う。

管理運営主体

疾病・出産:連邦厚生省(http://www.bmg.bund.de)は、総合的な監督にあたる。

連邦保険庁(http://www.bva.de)は、連邦健康保険機関と長期介護金庫の管理運営にあたる。

監督業務は、指定の州当局が州レベルで担当する。

疾病金庫は保険料と給付の管理運営にあたる。国レベル、場合によっては州レベルでは、連合体内に個別に疾病金庫が組織されている。金庫の日常の管理運営は、通常、被保険者と雇用主の代表で構成する管理運営委員会によって選任された理事会が担当する。

地方の医師会は、医療費支払いに関して金庫連合会と毎年契約する。

医師会は疾病金庫が参加医師に支払う総額を割り当てる。

長期介護:連邦厚生省(http://www.bmg.bund.de)は、長期介護の総合的な監督にあたる。疾病金庫と民間の疾病保険金庫が組織する個別の長期介護金庫は、給付の管理運営にあたる。連邦州は、長期介護機関の建設費を負担する。

労働災害

法的枠組み

最初の法制化:1884年(災害保険)施行は1885年、1925年(職業病)

現行法:1996年(災害保険)施行は1997年、改正あり

制度の種類:社会保険制度

適用範囲

自営業者、自営業者の一部の区分、任意加入の事業主、見習い、学生、保育所に通園する児童か公認保育士の世話を受けている児童、農業手伝いの家族、献血・ボランティア・災害支援など指定非営利活動に携わる者、健康保険または年金保険の負担で病院によるリハビリを受けている者、その他被用者に準じる立場の者

除外:自営業者のほとんどの区分。

公務員と公共部門職員には特別な制度がある。

財源

被用者:なし

自営業者:適用外

事業主:保険料は危険度判定に応じて変わる。平均保険料は給与の1.32%(2006年)。

政府:農業災害保険の補助金、学生・保育所児童、指定非営利活動従事者の保険料(非営利活動従事者の保険料は、非営利団体の拠出分、総保険料収入、税収のいずれかでまかなわれる)

受給要件

労働災害・職業病給付:受給に必要な最低加入期間はない。

一時障害給付

継続的な賃金支給の権利が停止後(ほとんどの場合は6週間後)は、災害保険金庫が給付を支給する。労働災害または職業病による障害が始まった翌日から回復または年金受給開始まで、給付が支給される。回復の見込みがなく職業上の社会復帰が不可能な場合、最大78週間、給付が支給される。給付額は被保険者の最後の総賃金の80%相当額であるが、最後の純所得を超えない。

職業リハビリの期間中は移行給付が支給される。

18歳以上の被保険者の場合、給付額算定の基礎となる所得下限は、年17,892ユーロ(E-15,120ユーロ)である。

給付額算定の基礎となる年間所得の上限は災害保険金庫によって異なるが、50,400ユーロ以上、84,000以下とする。

長期障害給付

長期障害年金:被保険者が完全障害(100%)と判定された場合、年金年額は前年所得の3分の2相当額である。

部分的障害:稼得能力損失の判定が20%以上の場合、判定に応じて年金満額の一定割合が支給される。

重度障害補足給付:稼得能力損失の判定が50%以上で被保険者が就労しておらず、他の年金を受給していない場合、基礎年金の10%が加算される。被保険者が失業中の場合、最大2年間年金が増額される。

常時介護手当:月297ユーロから1,186ユーロ(E-257ユーロから1,029ユーロ)が支給される。

給付額調整:前述「老齢・障害・遺族」の項にある年金に変更が加えられたときには、その内容に応じ給付も同時に調整される。

労働者医療給付

給付内容には総合医療、医学的・職業的・社会的リハビリ、医療器具、家事支援が含まれる。

遺族給付

遺族年金:故人の最後の所得の3分の2相当額が最大3暦月間支給される。その後は、寡婦(寡夫)が45歳以上か障害者か子供1人以上養育中の場合、故人の最後の所得の40%相当額が支給される(大寡婦(寡夫)年金)。大寡婦(寡夫)年金の受給権がない寡婦(寡夫)の場合、故人の所得の30%相当の年金が最大24暦月間支給される(小寡婦(寡夫)年金)。

遺児年金:18歳(学生または訓練中の場合は27歳)未満の遺児1人ずつに故人の所得の20%相当額が支給される。完全遺児の場合は30%。

所得審査:所定上限を超える所得の40%が18歳を超える遺族への年金から差し引かれる。

寡婦(寡夫)・遺児給付:遺族に遺族年金の受給権がなく、50%以上の深刻な稼得能力の損失が故人にあった場合、故人の所得の40%相当の一時金が支給される。この給付は遺族間で均等に分割する。

他の受給資格のある遺族(資力審査あり):ひとり親と祖父母は、故人の所得の20%が支給される(夫婦の場合は30%)。

離婚した配偶者(受給資格を満たしている場合)は遺族年金を受け取ることができる。年金は、生存配偶者と離婚した配偶者が故人と婚姻関係にあったそれぞれの期間に応じて分割する。

すべての遺族給付の合計額は、故人の所得の80%を超えてはならない。

死亡給付:4,260ユーロ(E-3,600ユーロ)が支給される。

給付額調整:前述「老齢・障害・遺族」の項にある年金に変更が加えられたときには、その内容に応じ給付も同時に調整される。

管理運営主体

連邦保険庁(http://www.bva.de)は、連邦災害保険機関の監督にあたる。

連邦労働社会政策省(http://www.bmas.bund.de)は、予防分野の監督にあたる。

社会保険を管轄する最高位の州管理当局または地方政府が指定する当局は、州の災害保険機関の監督にあたる。

事業主と被保険者から選出された代表によって運営される災害保険金庫(非農業、農業、公共の各当局)が制度の管理運営にあたる。

農業災害保険は、重要な農作業を保証するための支援を提供する。

医療給付は災害保険金庫が支給する。

失業

法的枠組み

最初の法制化:1927年(職業紹介、失業保険)

現行法:1997年(雇用促進)改正あり

制度の種類:社会保険・社会扶助制度

適用範囲

家事労働者、見習い、訓練生を含む被用者。他のグループ(職業訓練制度参加者を含む)も条件によって対象となる。

一定条件の下、自営業者は任意加入

除外:非正規雇用の者

財源

被保険者:対象となる所得の1.65%

保険料算定の基礎となる所得上限は、年63,600ユーロ(E-54,000ユーロ)である。

自営業者:月当たりの基準額の3.3%。月当たり基準額は2,450ユーロ、E-2,100ユーロ。

事業主:対象となる所得の1.65%

保険料算定の基礎となる所得上限は、年63,600ユーロ(E-54,000ユーロ)である。

政府:無拠出型の失業給付の費用と赤字分を補填する融資または補助金

受給要件

失業給付:被保険者は、過去2年間に保険対象となる就労期間が12カ月以上あり、職業安定所に登録し、労働の能力を有し、就労可能な状態にあり、積極的に就労を求めていることが必須条件である。

条件によっては、失業給付の受給権が一時停止されることがある(最大12週間)。

無拠出制失業給付(資力審査あり):15歳から65歳までの困窮状態にある失業者に支給される。拠出制失業給付の受給資格がないか受給権が消滅していて、職業安定所に登録されており、労働の能力を有し、就労可能な状態にあり、積極的に就労を求めていることが必須条件である。支援環境で労働可能な困窮者とともに生活する者にも支給される。

受給要件に違反した場合、給付が減額または停止されることがある。

短期労働給付:景気に対応して職場が実施するリストラ策の結果、労働時間が減少した労働者に支給される。

天候不順手当:天候不順のために作業が休止している建設労働者に支給される。

失業給付

失業給付:子供のいる失業者の場合、被保険者の純所得の67%相当額である。子供がいない場合は60%である。保険対象となる雇用期間と請求者の年齢によって、6カ月間から18カ月間支給される。55歳を超える失業者で対象雇用期間が30カ月以上の場合は、15カ月間支給される。対象雇用期間が36カ月の場合は18カ月間支給される。

給付額調整:前述「老齢・障害・遺族」の項にある年金に変更が加えられたときには、その内容に応じて毎年7月に給付額も調整される。

無拠出制失業給付(資力審査あり):独身者またはひとり親には標準定額給付の100%相当額が支給される。2007年以降、347ユーロの標準定額失業給付が原則としてドイツ全土で適用されている。請求者のパートナーが19歳以上の失業者の場合、標準定額給付の90%(1人当たり月312ユーロ)が追加分として支給されることもある。15歳から18歳の子供がいる場合には80%(月278ユーロ)、15歳未満の子供がいる場合には60%(月208ユーロ)が支給される。

さらに、暖房・住宅費の補助もある。

期間に制限はない。

資力審査:受給権者の所得のうち、月100ユーロを超える分は、給付から差し引かれる(100.01ユーロから800.00ユーロの所得の20%、800.01ユーロから1,200.00ユーロ(子供がいる場合は1,500.00ユーロ)の所得の10%)。

給付額調整:前述「老齢・障害・遺族」の項にある年金に変更が加えられたときには、その内容に応じて毎年7月に標準定額給付額も調整される。

短期労働給付:直前所得と現在所得の差の67%(子供がいない場合は60%)相当額が最大6カ月間支給される。

天候不順手当:11月1日から3月31日の間の休業が100時間を超えると支給される。直前所得と現在所得の差の67%(子供がいない場合は60%)相当額が支給される。

管理運営主体

連邦労働社会政策省(http://www.bmas.bund.de)は、総合的な監督にあたる。

連邦雇用庁(http://www.arbeitsagentur.de)は拠出制給付の管理運営にあたる。

地方の職業安定所は、就職斡旋、キャリアガイダンス、給付管理運営を担当する。他の機関と69の地方自治体は無拠出制給付の管理運営を担う。

疾病金庫は保険料の徴収にあたる。

家族手当

法的枠組み

最初の法制化:1954年(児童手当)施行は1955年、1985年(養育手当)

現行法:2004年(養育手当)、2005年(児童手当)、2007年(育児給付)

制度の種類:国民皆・社会扶助制度

適用範囲

子供のいる親

完全遺児と、親と音信不通の子供

財源

被保険者:なし

自営業者:適用外

事業主:なし

政府:総費用

受給要件

児童手当:対象となる子供は18歳未満(失業の場合は21歳未満、全日制教育機関に在学中か徒弟希望者か非営利活動従事者の場合は27歳未満、障害者の場合は制限なし)であること。18歳未満の子供の場合、子供自身に7,680ユーロを超える年間所得がある場合、給付は停止する。

児童手当(資力審査あり):25歳未満の子供がいる親で、自らの必要性を満たすことはできても子供の必要性まで満たせない場合に支給される。児童手当受給権があり、所得が規定の下限と上限の範囲内になければならない。資力審査を伴う他の給付を受けている者は、受給権がない。

児童養育手当(資力審査あり):2007年1月1日以前に生まれた2歳未満の幼児を養育する親に支給される。親の受給条件は、非被用者、職業訓練中の者、または労働時間が週30時間を超えず、所得も所定の年間上限を超えないこと。

希望があれば、給付額が高い月払い給付を1年間受給することも可能である。

子供1人の夫婦の場合、最初の6カ月の年間所得上限は30,000ユーロ(1年間の給付を選択した場合は22,086ユーロ)、子供1人のひとり親家庭の場合は23,000ユーロ(1年間の給付を選択した場合は19,086ユーロ)である。6カ月経過後の年間所得上限は、子供1人の夫婦の場合16,500ユーロ(1年間の給付を選択した場合は22,086ユーロ、子供1人のひとり親家庭の場合は13,500ユーロ(1年間の給付を選択した場合は19,086ユーロ)である。

子供が1人増えるごとに所得上限は3,140ユーロ増加する。

育児給付:14カ月未満の子供を養育している親に支給される。非被用者、または労働時間が週30時間未満の者でなければならない。両親のどちらかは、出産後、最大12カ月間養育手当を受給できる。夫婦は合わせて最大14カ月間にわたって受給権を共有でき、2カ月以上はもう一方の親に支給される。

家族手当給付

児童手当:月154ユーロが第1子、第2子、第3子に支給される。第4子以降は1人増えるごとに179ユーロが加算される。

児童手当(資力審査あり):子供1人当たり最高140ユーロが最大36カ月支給される。複数の子供に手当が支給される世帯の場合、合算した手当が支給される。子供自身の所得がある場合は、手当から減額されることがある。

児童養育手当(資力審査あり):2歳までの子供1人当たり月最高300ユーロが支給される。希望があれば、1歳までの子供1人当たり月最高450ユーロの支給を受けることも可能である。

育児給付:月1,800ユーロ(未就労の場合は300ユーロ)を上限に、給付を請求する親の純所得の67%以上の額が支給される。

管理運営主体

連邦家族・高齢者・女性・青少年省(http://www.bmfsfj.de)は総合的な監督にあたる。

連邦中央税務庁(家族金庫)(http://www.bzst.bund.de)は連邦雇用庁(http://www.arbeitsagentur.de)の地域・地方労働事務所を通じて児童手当の管理運営にあたる。

公共部門職員向けの児童手当は、給与支払い事務所を通じて管理運営される。

連邦州は、連邦児童養育法と育児給付法の実現に責任を負う。制度の管理運営は児童養育センターが担う。

管理運営費用は連邦政府から償還される。