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地域での取り組み-早期対応(発達障害白書1997)

大類裕司
静岡県・富士市立こども療育セソター

項目 内容
発表年月 1996年11月
転載元 発達障害白書 1997(発行者:日本文化科学社(日本精神薄弱者福祉連盟偏))

1 関係諸機関とのネットワーキング

富士市立こども療育セソターは、通園施設(定員60人)と療育相談室とを合わせた総称で、1991(平成3)年4月に発達障害児通園施設から移転改築して発足した施設である。移転改築に伴い、市民のニ一ドから医療的専門スタッフをそろえることと療育機能の充実を求められ、市行政もただ通園施設を建て替えるだけでなく、0歳から就学前の、子どものあらゆる相談に乗り、早期対応の発達支援センター的活動を標傍し親と子のニ一ドに応えるべく専門職種等を整えた施設である。なお、地域に開かれた施設として、養育講座を開催したり、おもちゃ図書館を設置して、あらゆる人に利用していただけるようにしている。

ハンディをもつ乳幼児一人ひとりの地域在宅ケアを考慮するとき、地域の橿祉行政・医療・保健・教育の関係諸機関がライフサイクル・ライフステージに応じて、横断的、縦断的に一体となって、サポートすることが必要である。それには、当センターが福祉的な立場の一環として担わなければならない基本的な役割は、子どもの発達を促し保障すること、より良い環境を整備すること等である。関係領域の各機関がネットワークを密に組み、その網の目から親と子がこぽれないようにすることが、われわれの責務と考えている。

センターを中心としたネットワークは第1図のように展開している。

静岡県富士市における障害児の発達支援・早期発見・早期療育システムとネットワーク 第1図の拡大画像表示

当センターは、地域の子どもと親のあらゆる相談に乗っている。しつけ相談から重度障害を有する子どもまで、家族からの申し込みや医療機関からの紹介がある。保健機関からは、1歳6か月児健診・3歳児精検での発達障害ケースや言葉の遅れの心配で、スクリーニングされてくる。保育所や幼稚園からは、集団になじめない子どもが紹介されてくる。電話相談で終了するケースもあれば、診断・評価を行い、症状の軽動こ応じて・相談室の専門スタッフが個別療育、集団療育に取り組むケース。また。日々通所することで療育・保育効果が認められ、通園部の療育につなげるケースと多様化している。

センターへ通うことが難しいケースは、スタッフがチームを組み、家庭訪間療育を行い、保健・医療機関へつなげている。

相談結果や療育内容により、地域の保育所・幼稚園へ通うケースでは、必要に応じ、専門スタッフや通園部職員が園訪間を行い、コーディネートやコンサルタントをこなしている。ケース内容により、送り手、受け手がケースを理解するため、関係領域職員間でケース検討会を持ったり、また統合保育の調整のために各機関の代表をメンバーとした処遇委員会を設置し、意見交換を図ったりしている。

学齢児になってもセラピーがすぐには切れないときは、教育と連携を密にし、親の了解を得て惜報交換を行っている。それは、縦へのつなぎであり、言語通級学級・普通学級・養護学校などが連携の相手となる。

超早期発見から療育へと早期対応を展開し、子どもが自主・自立へ、自己実現へ向けて動き出すには、センターだけでは良い結果は出せない。親と子を中心に各関係機関のネットがうまく張られることによって効果が現れると思慮している。しかし、まだまだネットが粗く、横と縦のすき間から時にはこぼれてしまいがちである。われわれが発達支援センターを層板とするならば、各関係機関との細かい網の目が今後とも必要と思っている。

主題・副題:
第3部 II地域での取り組み 早期対応
著者名:
1.関係諸機関とのネットワーキング 富士市立こども療育セソター 大類裕司
掲載雑誌名:
発達障害白書 1997
発行者・出版社:
日本文化科学社(日本精神薄弱者福祉連盟偏)
巻数・頁数:
60~62頁
発行月日:
西暦 1996年11月
登録する文献の種類:
(1)研究論文(雑誌掲載)
情報の分野:
(1)社会福祉
キーワード:
文献に関する問い合わせ:
静岡県富士市伝法85
富士市立こども療育セソター
電話:0545-21-9480
〒417-0801
静岡県富士市大渕3107-4 大類裕司
富士市立こども療育セソター
電話:0545-35-2284 FAX:0545-35-2284