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機能障害の学生について 教師及びその他の職員のためのガイドブック

ストックホルム大学 学生課
2000年10月

『機能障害のある学生について』はストックホルム大学の教師及びその他の職員のためのガイドブックであり、プロジェクト『機能障害の学生に対する、大学及びカレッジにおける地域的支援の拡大』の規範の一部として作成されました。このプロジェクトはストックホルム大学と、主導者である録音点字図書館(TPB)及び視覚障害者全国協会(SRF)が共同で行っています。またストックホルム大学の学生課も参加しています。 スウェーデンディスレクシア協会(FMLS)、聴覚障害者全国協会、スウェーデン聾者全国協会(SDR)、視覚障害者青年全国団体、ハンディキャップインスティテュートのような障害者団体がプロジェクトの立ち上げ段階において、アドバイザーの役割を果たしました。 プロジェクトのリーダーは、機能障害の学生のためのコーディネーター、ティナ・アルトネン・テリィステッドです。このプロジェクトは公的遺族基金の出資によって運営されています。

ISBN 91 7540 137 1

文:ティナ・アルトネン・テリィステッド
写真:ペッテル・エリクソン
レイアウト&デザイン:ボー・ホルムストレーム
製作:IT&メディア課
印刷:リアルトリック、2000年


目次

省略形

前書き

ストックホルム大学は機能障害の学生を歓迎します

省略形
AF 職業安定所
AFS 機能障害を持つ学生の為の活動グループ
LMC 学習教材センター
OH オーバーヘッドプロジェクター
PM シラバス
SISUS 特別教育支援の為の政府機関
SSCO ストックホルムの学生中央組織
THUT 大学教育における機能障害者の利便性
TPB 録音点字図書館

前書き
国内の大学やカレッジで学ぶ機能障害の学生の数は増加の一途を辿るが、特に近年著しく増加した。 機能障害の学生達が始めてカレッジレベルで学ぶようになったのは、早くても1970年代初頭である。その後何回か改善が繰り返され、また年月を追う毎に機能障害に対する見解が変化したことが様々な調査によって示されている。今日では全ての学生が、同じ条件で学べることが目標となっている。 それゆえにストックホルム大学は多くの機能障害の学生が、ストックホルム大学に入学申請をすることを歓迎する。そのことは当大学の多様性をも高めてくれる。 ストックホルム大学は1999年の北欧ハンディキャップ政策委員会の第一回目のコンペティションにおいて『全ての人々に対する高等教育の利用しやすさ』というタイトルの賞を受賞した。 この賞は、ストックホルム大学がこの姿勢と目標を、今後も同等の熱意を持って保持することを当大学に課し、また示している。 高学歴と労働市場における成功とは深い関係がある。知識と能力を蓄えることは、社会の一員全員が持つべき、労働に対する最も安全な保障である。特に機能障害を持つ人々にとってはそうである。 希望を述べるならば、このハンドブックが我々の目標成就を助け、当大学の学生の間で、他の人々と同じように機能障害者にとっても高等教育が当然の選択なのだという意識が高まることを願う。

学長 グスタフ・リンデンクローナ

ストックホルム大学は機能障害の学生を歓迎します
 ここに掲げられている目標は、ストックホルム大学が機能障害の学生にとって利用しやすく、彼らが勉学を遂行するにあたって他の学生と同等の可能性を持つことを意味する。 これは物理的な環境、活動の参加しやすさ、広報、サービスなどの利便性が良いことを表している。 大学の役員会によって承認されたこの目標文中では、特別な支援処置に対する学生の権利が述べてあり、学内における性別、出自、機能障害等に拘らない平等性が、追求しなければならない重要点として強調されている。 『総合的な目標として、常に学内の生活において職員や学生達の間に受容的な雰囲気が育まれていることが望まれる。 このような精神的環境において、男女間ばかりでなく職員、学生、また特別な介護を受ける権利を持つ機能障害の人々等、様々な立場の人々の間に平等性が生まれるのである。(大学役員会 1993年) 機能障害の学生にとって利用しやすい大学は全ての人々にとって良い大学である。 目標文『ハンディキャップと高等教育』は1993年3月18日に校長会によって制定され、以後効力が継続している。 この目標文は学生課のホームページに掲載されていて、閲覧できるようになっている。
アドレス:www.su.se/studentliv/funktionshinder/

ストックホルム大学への入学申請

機能障害の学生は、当大学の受講を申請するにあたり競争に勝ちえるだけの能力に達しない場合、特別な事情を考慮して入学を許可され得る。 その判定は、機能障害自体が受験生の成績レベルに影響をしているかどうかによって下される。 我々の教育にはほとんどの場合、定員よりも多数の人数が申請を出す。それゆえに選択をしなければならない。 学生達は申請者として、その能力に応じて1または複数の選択グループに分類される。その能力を示すのは、学生が送付した卒業証書および診断書である。 機能障害の学生は特別な理由または医学的な理由により、大学教育の申請の際のテストにおいて個人的試験を要求することができる。 今日、多くの学生が特別な理由による申請を行い、個人的な配慮を希望する。つまりこのグループの中で選択を行う為の前向きな特別扱いである。このようなケースでは、決め手となるのは卒業証書または大学入試試験の結果である。 機能障害の学生は入学許可の方法に拘わらず、就学期間は誰でも同じ権利を持っている。学業の場において特別支援を必要としている学生が、特別な理由による申請をするのは良いことである。例えば手話通訳が必要ならば、通常よりも早い段階でそれが配慮される。読書障害を持つ学生は、入学申請に関し前倒しの返答を必要としている可能性がある。録音点字図書館に学科の教科書を余裕を持って吹き込んでもらわねばならない。

特別理由/医学的な理由
ストックホルム大学に申請する学生は機能障害のあるなしに拘わらず必要な資格条件を満たしていなければならない。 高校時代、または高等教育用の能力を蓄えるべき時期に学業に悪影響を及ぼすような機能障害または医学的な理由があった場合、(例えば機能障害に関連し欠席率が高くなり成績が悪くなってしまった等)特別試験を希望する理由として成績表に記すことが出来る。 ストックホルム大学は複数の学部において、各地域での入学者選考を行う。また全コースの入試対策付きの学科目録を持っている。 通常の申請用紙に特別な理由から個人的な試験を望む者が印を付ける特別な枠がある。

以下の判定基準を満たしていなければならない

  1. 申請者は基本的な資格条件及び、各コースまたは学課に入学する為の特別条件を満たす、適正能力のある者でなければならない。つまり普段の能力が成績証明書または学習判定によって示されるのである。
  2. 大学入試が講座の選抜基準となっている場合は学生が資格を得るため、あらゆる方法を使って大学入試を受けた事を証明しなければならない。 機能障害者が大学入試を遂行する為には、個人的な解決方法を利用できる可能性もある。
  3. さらに全申請者は特別枠の配慮を受ける理由を提示する文書を、実際の医師の証明書また診断書で補うべきである。
  4. 申請書が個人的な配慮を持って受理されるためには、申請者の機能障害を最も熟知する者が数行でそれを説明し、その申請に意義を持たせることが重要である。

第2 機能障害の学生に対するサービス

学生課の障害者サービス部
スウェーデンの全ての大学及びカレッジには特に機能障害の学生に関して責任を負う職員がいる。 ストックホルム大学では学生課の障害者サービス部に、職員がいる。 学生がなんらかの形態の支援を就学期間に必要としているならば、その学生の個人的な支援の必要性について話し合い、その他の必要な情報を得るために、まず早期に障害者サービス部と連絡を取るところから始めることになる。 ストックホルム大学では学生課の障害者サービス部が、経済的支援及び実際的支援処置全体部に責任を負っている。 通常は補助金を受ける為、学生が必要とする、推奨される支援処置を掲載した証明書を作成する。 この証明書は、必要な医師の証明書または診断書が確認されていることや、推奨される支援処置及びそれらの支援活動の為に特別に積み立ててある基金等について障害者サービス部が学生と話し合ったことを示している。

支援処置の必要性に合わせて
1.学生は必要な個人的な支援処置について障害者サービス部の職員と話し合い、計画を立てる。それに関連して学生は、試験官または教師が提示するように要求するであろう特別証明書を受け取ることになる。
2.学生によっては、特別支援処置のための基金やサービスが発生する前に、有効な文書によって機能障害を証明しなければならない。支援処置に対して遡って料金を請求することはできない。つまり文書を提出する前の介助に対する報酬は請求できないのである。

基金の申請
学生は就学期間の支援に必要な経費をカバーするような特別基金を申請する。これは学習に直接関わるような経費を目的としており、特別な用紙を用いて申請を行う。 機能障害の中には自分で学生課を訪れることが困難な者もいる。その時には機能障害の学生の為のコンタクトパーソンが手助けをする。上記の目的用の特別な用紙には学生が記入し、サインをした後に障害者サービス部に送られる。 障害者サービス部にはいつでも直接相談することができるのだが、 学生は上記のような場合、審査及び推奨される支援処置の基本資料として、医師の証明書を障害者サービス部に送付しても良い。この用紙は下記のホームページでプリントアウトをすることができる。
www.su.se/studentliv/funktionshinder

ストックホルム大学の障害者問題というタイトルのページを閲覧し、申請用紙サービスという言葉をクリックすること。 報酬は、視覚障害者やディスレクシアの為の参考文献録音支援介助者、肢体不自由者の個人的介助者、ノート筆記支援介助者及び補講またはガイダンスの為に発生する。 介助者、試験官、参考文献録音支援介助者、指導官は特別料金で時間給を受け取っている。 様々な理由から通常の時間にテストを受けることができない機能障害の学生の要望に応え、特別試験や口答試験等を行う教師や試験官には、特別手当が支払われる。 これは機能障害の学生が、証明書で特別指導を受けるように推奨されている場合等でも、同じである。詳細は障害者サービス部に連絡すること。

支援の届出をしない場合
就学状況において支援を希望しない、または自治体の補助金などによって専門のアシスタントが付いている為に無届、つまり大学の職員に連絡を取らない機能障害の学生も多数存在する。 学生達は機能障害があるからといって、届出の義務がある訳ではないのである。