音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

  

障害者権利条約第7回締約国会議における吉川大使ステートメント 和文骨子

障害者権利条約第7回締約国会議
我が国発言骨子(2014年6月10日)

(冒頭)
障害者権利条約締約国会議において,初めて締約国として発言することを光栄に思う。

今次会議には,2名の日本の市民社会からの代表が政府代表団に加わり,本日この場に出席している。お一人は,13の日本の障害者団体から構成される日本障害フォーラムの藤井克徳氏。もう一人は,我が国の障害者基本計画の政策や実施状況について政府に提言する障害者政策委員会の前委員長である石川准氏。

1月20日に批准書を寄託したことは喜びであり,これにより日本はこの条約を締結した。本日,締約国として初めてのステートメントにおいて,私は三つの点を発信したい。市民社会の役割,国際協力の重要性,障害と災害である。

(市民社会の役割)
障害者権利条約が国連加盟国のみならず市民社会の参加も得て作られたこと,条約の実施が市民社会と共に進められていることを思い起こしたい。日本の市民社会も,国連の交渉に参加し,また国内の条約の実施にも取り組んでいる。

この条約を締結し,最大限実施するために,我が国は関連国内法を改正し,国・地方公共団体・民間事業者に,障害に基づく差別に対する具体的な行動をとることを法的に要求する新たな法律を策定した。

我が国は,教育や雇用等の特定の政策分野において,条約実施のための意見交換を市民社会と共に引き続き行っていく。多様な障害をもつ人々が一緒に議論する必要があり,それがインクルーシブな社会を促進する。本日,我が国が,日本障害フォーラムやポーランドと共に開催したサイドイベントでも,多様な障害をもつ人々が特定の分野について議論するという点が主要な論点であった。

(国際協力の重要性)
2点目は,国際協力の重要性である。世界の人口のおよそ15%,およそ10億人が障害者であり,その80%が途上国で暮らしている。日本はこれらの途上国に対する国際協力において,人材育成,技能訓練,意識啓発など,地域に根ざしたリハビリテーションという広い分野に重点的に取り組んできた。

1つの例として,タイのバンコクに設立された「アジア太平洋障害者センター」を挙げたい。2002年に我が国が同センターへの支援を開始して以来,アジア太平洋地域の30か国以上の国から1600名以上(その半数以上が障害者)が研修を受け,研修後,彼らの多くは自身のイニシアティブを展開した。

例えば,知的障害者自身が知的障害者の問題やその解決策を議論するワークショップを開催し,このような活動により,後にタイの知的障害者による初めての知的障害本人のグループが立ち上がった。この後,同グループの活動はミャンマーやカンボジアに広まった。

(障害と災害)
3点目は,障害と防災である。災害における障害者のニーズに応えることは重要である。特に,障害者は災害に対して脆弱である。自然災害による障害者の死亡率は,被災地全体の死亡率に比してはるかに高いことが知られている。これは,2011年3月の東日本大震災にも当てはまる。

我が国は,東日本大震災後,災害対策基本法を改正した。その中では,障害者を含め避難に支援を要する人々の名簿を作成することを義務づけている。

明日,国連経済社会局(DESA)と我が国や市民社会は,障害の視点から防災を考えるイベント・DESAフォーラムを共催するので,お越しいただきたい。

(最後に)
我が国は,この締約国会議を重視しており,他の国連加盟国及び市民社会と協力していくことを誓う。我が国は,国際協力,また障害者権利委員会に将来参加することを通じて,積極的にこの条約に貢献していく考えである。


掲載元:
障害者権利条約第7回締約国会議
我が国発言骨子(2014年6月10日)
http://www.un.emb-japan.go.jp/jp/statements/yoshikawa061014_JP.html