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障害者権利条約および選択議定書発効記念特別イベントにおける国連事務総長潘基文氏の祝辞

ニューヨーク国連本部
2008年5月12日

諸閣下、ならびにご列席の皆様

この歴史に残る日に、皆様に向けてお話しできますことは、大変光栄でございます。障害者権利条約ならびに選択議定書の発効は、障害者福祉のための戦いにおける、新たな夜明けの到来を告げるものです。この戦いは、普遍的な人権という基本原則に根ざしています。

私たちは、かつてない連携によるたゆまぬ努力を通じて、この重要な節目の日を迎えました。7年前、メキシコのVicente Fox(ビセンテ・フォックス)大統領が総会で、「障害者の権利および尊厳を促進し、保護する、包括的かつ総合的な条約」を検討するよう求めました。大統領の要求は、貧困の解決、社会統合の促進、そして公正で平等な社会の創造という、より広い文脈の中にこの条約を位置づけることになりました。

その日から、国連とその加盟国、そして市民社会団体と数え切れないほど大勢の障害者とが、このビジョンを実現するために、休むことなく活動してまいりました。今日、私たちはその成功を宣言できるのです。

国連人権宣言の60周年記念を祝福する2008年に、このような宣言ができるのは、特に時宜を得ているといえましょう。この60周年記念のテーマは、「私たちすべてに尊厳と正義を」です。障害者権利条約の発効以上に、このスローガンに意義を与えるよい方法はありえません。

条約を作成する私たちの旅は終わりを告げましたが、それよりもさらに困難な道が目の前に広がっています。今、私たちは条約のビジョンを、地上における現実の勝利へと変換するために、具体的な一歩を踏み出さなければなりません。そして、障害者が経験しているまぎれもない不平等の解決に取り組んでいかなければなりません。私たちは、差別と偏見に立ち向かわなければなりません。そして真にあらゆる人々にとっての発展を実現させなければなりません。私たちは、ますます多くの国や組織、人々が、この運動に参加するよう、説得しなければなりません。

私は、条約を批准したすべての国々はもちろん、批准に向けて取り組んでいる国々にも、お祝いの言葉を申し上げます。また、まだ批准していない国々には、条約と選択議定書を、できるだけ早く批准することを検討するよう、強くお願い申し上げます。そして、条約の精神と字義とを行動に移すことに、すでに熱心に取り組んでいる多くの市民社会団体に対し、称賛の拍手をお送りします。

国連では、経済社会局と国連人権高等弁務官事務所が陣頭指揮をとり、システムとして、条約の目的と原則を促進するための対策を講じています。私たちの野心あふれる行動計画を成功させるには、あらゆる人々の情報と、アイディアと、エネルギーが必要です。

何よりも、私たちは皆様とともに、インクルーシブな社会の建設に立ちあがることができ、光栄でございます。それは、障害者が多種多様な方法で貢献できるようにし、またそうすることを励ましていく社会です。障害者の参加は、私たち皆を力づけ、その才能は、すべての人にとってよりよい、より豊かな世界を実現するために、国際社会で役立てられるでしょう。

ご静聴ありがとうございました。

この記事は、"Human Rights, Development and Social Progress for All, Secretary-General Mr. Ban Ki-moon "(12 May 2008, United Nations Commemorative Event for Entry into Force of the Convention on the Rights of Persons with Disabilities and Optional Protocol, Unaited Nations)http://www.un.org/disabilities/default.asp?id=562を翻訳したものです。