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障害者権利条約発効に関する記者会見

国連
2008年5月12日

画期的な障害者権利条約の迅速な発効に一役買った連携について、同条約の実施を確保するためには、引き続きその勢いを維持していかなければならない、とKyung-wha Kang(康京和)国連人権副高等弁務官は、今朝記者団に語った。

「この条約を実現させた各国政府、障害者団体および人権機関の、強力かつ効果的な連携は、同条約によって現場に重大な変化をもたらすために、今後もその活力を維持していかなければなりません。」Kang(康)副高等弁務官は、同条約の5月3日付の発効を記念する式典に先立ち述べた。

国連本部での記者会見にKang(康)副高等弁務官とともに臨んだのは、ヨルダンのRa'ad Bin Zeid(ラエド・ビン・ザイド)王子、Claude Heller(クロード・ヘラー)国連メキシコ常駐代表、Jomo Kwame Sundaram(ジョモ・クワーミ・サンダラム)国連経済社会局(DESA)経済開発担当事務次長補、およびLex Grandia(レックス・グランディア)国際障害同盟障害者権利条約(CRPD)フォーラム会長である。

21世紀初の人権法である障害者権利条約は、署名国に対し、明確に定義された権利を持つ、法律の対象としての障害者を認めさせる、初めての法律でもある、とKang(康)副高等弁務官は語った。すでに同条約によって、障害者が置かれている状況は改善されてきている。

たとえば、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)では、すでに同条約を現場レベルで実践している。ウガンダでは、以前は障害者が階段をはって上がらなければならなったところに、アクセスのためのスロープを建設する市民連合を組織するという支援がなされた。さらに、精神科病院のモニタリングが実施され、隔離されている障害者に特に注目が集まっている。

しかし、障害者の存在は多くの社会において見過ごされており、障害者は今なお社会への完全参加を阻まれている。「ですから、私たち全員が、この障壁を取り除く法的手段としてこの条約を利用し、あらゆる働きかけをしていかなければならないのです。そうすれば、障害者が積極的に社会に参加し、地域の中で生活している姿を、より多くの人々が目にするようになるでしょう。」と、Kang(康)副高等弁務官は語った。

Sundaram(サンダラム)事務次長補は、歴史的な瞬間は記録的な速さで訪れたが、これは支援者の連携により、高いレベルの協力が得られたこと、そして多数の障害者団体が協力し合った結果であると述べた。そして、同条約は権利と開発の両面を備えている点で独特であると指摘した。また、世界に約6億5千万人いるという障害者のうち、80%が貧困生活をおくっていることから、同条約によって、ミレニアム開発目標達成のための開発プログラムが、これまで以上にインクルーシブなものとなることを期待すると述べた。

現在優先すべきことは、同条約に対する認識を高め、国家レベルでの最も効果的な実施を促進するために、できるだけ多くの専門知識を結集することであるとGrandia(グランディア)会長は付け加えた。同会長にとって、同条約の最大の成果の一つは、障害者の法的能力が認められたことであり、それはすなわち、人として真に受け入れてもらう権利、自分自身で決定を下す権利が認められたということである。

Ra'ad Bin Zeid(ラエド・ビン・ザイド)王子にとって重要な要素は、同条約が「インクルーシブな社会の創造という目標に向けて」国際社会を結びつけたことであった。王子によれば、ヨルダンではすでに同条約の実施に向けて、国内戦略の策定や法律の改正、および監視機関の設置など、積極的に活動が進められているとのことである。

同条約の実現を成功させた各国政府と市民社会の緊密な連携を強調しつつ、Heller(ヘラー)常駐代表は、同条約は障害問題に対する医学的および温情主義的アプローチの終焉を告げるものであると語った。そして、同条約および選択議定書の両方が全世界で承認されるのを楽しみにしていると述べた。

記者団からの多数の質問に対する回答の中で、会見側は、権利条約の発効から6か月以内に、当初は10人のメンバーからなる監視機関が設置されると述べた。また近い将来、国連による条約支援活動として、現場におけるすべての人権活動および開発活動に、障害問題を取り入れていくとした。

障害者の法的能力の問題は、依然論議の的となっているのではないかという質問に対しては、この問題は複雑であり、国によりさまざまな事情があると会見側は回答した。しかし、特定の障害種の人々は自己決定ができないと公言した脚注は削除されたと述べた。

条約の実施に対するその他の課題について質問を受け、Ra'ad(ラエド)王子は、障害者の権利と障害者が抱える問題に対する認識を一つ一つ築き上げていかなければならず、その道のりは遠いと答えた。さらに、Sundaram(サンダラム)事務次長補が、障害問題が他の問題に広く取り入れられてきているので、今後は他の問題と絡み合っていくようになるだろう、と付け加えた。「それが、主流に組み込まれるということなのです。」と同事務次長補は語った。

この記事は、"PRESS CONFERENCE ON DISABILITIES CONVENTION ENTRY INTO FORCE"(12 May 2008, Press Conference, Unaited Nations)http://www.un.org/News/briefings/docs//2008/080512_Disabilities.doc.htmを翻訳したものです。

記者会見の様子は、UN WebcastのArchives 2008から見ることができます。

UN Webcast Archives 2008
http://www.un.org/webcast/2008.html

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12 May 08
Press Conference: Prince Ra’ad Bin Zeid of Jordan; Ambassador Claude Heller of Mexico; Jomo Kwame Sundaram, Assistant Secretary-General for Economic and Social Affairs; Kyung-wha Kang, Deputy High Commissioner for Human Rights; and Lex Grandia, Chairman of International Disability Alliance CRPD Forum, to brief on the Convention on the Rights of Persons with Disabilities. [Webcast: Archived Video - 30 minutes ]

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