音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

  

国連障害者の権利条約の実施に関する国際研究
ゼロ・プロジェクト報告書 2013
エグゼクティブサマリー(要旨)

エグゼクティブサマリー(要旨)

ボーマックス(bauMax)グループのオーナーであるエッセル(Essl)家は、長年、公私ともに社会問題にかかわってきた。2007年、マーティン・エッセル(Martin Essl)とゲルダ・エッセル(Gerda Essl)は、自分達の社会活動を一つの組織の傘下にまとめるために、エッセル財団(Essl Foundation)を設立した。2008年以降、毎年、賞金額100万ユーロのエッセル社会賞が、優れた社会起業家とその革新的なプロジェクトに授与されてきた。2010年には、エッセル財団の第二の主要事業として、ゼロ・プロジェクトが開始され、2011年には、ワールド・フューチャー・カウンシル(World Future Council)がパートナーとして加わった。

ゼロ・プロジェクト

ゼロ・プロジェクト(www.zeroproject.org)は、障害のある人々の権利を国際的に擁護する。そして、障害のある人々の日常生活と法的権利を明確に改善するモデルを共有し、開発するための基盤を築く。

毎年12月3日に、プロジェクトの研究内容と結果が、『ゼロ・プロジェクト報告書』として発表される。障害のある人々、障害者団体およびNGO、学識経験者および財団職員、統括組織および超国家的組織、行政職員、各種協会、そして、アンケートへの回答や、実践と政策のノミネート、選択プロセスへの専門的な助言と、最も革新的な解決策の最終的な選択を通じて、自発的にその専門知識を提供してくれる、その他の専門家から成るネットワークのおかげで、すべての研究を実施し、すべての結果を収集することが可能となる。ゼロ・プロジェクトのネットワークは拡大し続けており、今年度の研究には、合計374名の参加があった。

追跡調査と要約は、エッセル財団とワールド・フューチャー・カウンシルのチームによって実施された。本報告書以外に、今年度の研究は、オーストリアのコミュニティ向けにドイツ語版も発行されており、これには、高等研究所(HIS)による、障害のある人々の雇用に関する、オーストリアで利用可能なすべてのデータを分析した研究も掲載されている。研究の全容は、ゼロ・プロジェクトのウェブサイト(www.zeroproject.org)でも入手できる。2013年2月18日と19日に予定されているゼロ・プロジェクト会議では、すべての革新的な実践と政策が紹介され、ゼロ・プロジェクト・ネットワークの会員により議論が交わされる。さらに2013年3月には、国連人権理事会のサイドイベントで、ワールド・フューチャー・カウンシルおよび国連ジュネーブ本部オーストリア政府代表部との共同による最新の成果発表が予定されている。 

3つの活動分野

ゼロ・プロジェクトでは、以下の3つを活動分野としている。

1.障害者の権利条約(CRPD)の実施を評価し、比較する社会指標:フォーカルポイントによって一部使用される社会指標、独立したモニタリングのメカニズム、シャドーレポートに加えて、事例と事例証拠に基づく、調査研究と比較が容易に行える指標の追加に、最大のニーズが認められる。ゼロ・プロジェクトの指標のシステムは、議論の論拠を提供し、国内あるいは地域内でCRPDの実施に取り組んでいる人々を支援する。同様に重要なのは、データが専門家による自国の状況の評価に基づいていることである。『ゼロ・プロジェクト報告書 2013』では、以下の2セットの指標が使用されている。

a.国連障害者の権利条約(UN CRPD)の最も重要な権利(条項)の一部について、実施を評価する「標準アンケート」。23項目の指標が定められ、そのうちの20項目が、2010年の調査(「エッセル社会指標」)と『ゼロ・プロジェクト報告書 2012』に盛り込まれた。

b.特にUN CRPD第27条の雇用の権利の実施について評価する「雇用アンケート」。10項目の雇用指標が定められ、初めて報告書に盛り込まれた。

2.革新的な実践:革新的な実践(昨年度までの報告書と会議では、「グッドプラクティス」と呼ばれていた)のためのゼロ・プロジェクト・プラットフォームは、意思決定者がCRPDの実施と障害のある人々の生活の両方を改善するのを支援するとともに、革新的な実践をノミネートし、これについてコメントし、査定し、評価するさまざまな関係者と専門家を積極的に関与させる。革新的な実践は、主として「ボトムアップ型」のアプローチにより開発され、新技術、雇用モデルなどを通じて障害のある人々の状況を改善する。

今年度の研究では、ゼロ・プロジェクト専門家ネットワークにより、40件の革新的な実践が選出され、本報告書で紹介されている。それらはすべて、今年度の全体テーマである「雇用」を踏まえ、障害のある人々の雇用に焦点を絞っている。

3.革新的な政策:有望な要素を含み、現場で確認可能な改善を達成してきた革新的な政策は、UN CRPDの実施を進める世界中の多くの国で容易に模倣できる、前向きでダイナミックな変革を提示する。地域的であれ全国的であれ、革新的な政策とは、障害のある人々の雇用の権利の完全な行使を妨げる障壁となる状況を克服するための法律、規制または計画であり、ワールド・フューチャー・カウンシルによって採択され、ゼロ・プロジェクト科学諮問委員会によって選択された、未来の公正な立法のための方法論(Future Just Lawmaking Methodology)をうまく適用したものである。

本報告書では、11件の革新的な政策が紹介されている。それらは、徒弟制度、雇用サービスおよび知的障害あるいは精神障害のある人々の支援など、ほとんどの場合見過ごされている分野に関するものである。

ゼロ・プロジェクト社会指標

ゼロ・プロジェクト社会指標(第1章 社会指標および第2章 雇用指標)は、国際的な差異をはっきりと目に見える具体的なものにすることを、特に目的としていた。ゼロ・プロジェクト社会指標は、一国の全体像を、重要なデータを使用し凝縮しているが、これを行うことで、明白かつ比較可能となるのである。これは、視覚に訴える単純な交通信号の色分けで、一層明確に示される。

緑:各国/地域で取り組まれている問題は十分に解決されている。

黄:各国/地域で取り組まれている問題は一部/一時的に解決されている。

赤:各国/地域で取り組まれている問題は十分に解決されていない。

社会指標調査

国連障害者の権利条約のさまざまな条項、特に第8条から第33条は、アンケートを使用して実施された社会指標調査の質問の根拠となっている。社会指標調査は、23項目の質問から成り、55カ国で実施された(詳細および結果については、エグゼクティブサマリーの後に掲載されている地図を参照)。以下は、特に目立った結果である。

(*訳者・掲載者注:地図は、報告書本文のサマリーの後(PDFの26枚目)に、掲載されている。ZERO PROJECT REPORT 2013 http://www.zeroproject.org/wp-content/uploads/2012/12/Zero-Report-2013-GB1.pdf

  • 現在の経済状況では驚くことではないと思われるが、「雇用されている障害のある人々の割合は2011年に増加したか?」という質問が、最も多くの「赤信号」を獲得した。55カ国中36カ国が否定的な回答をした。多くの障害のある人々が失業し、雇用支援のための資金が削減され、ほとんどの場合、障害のある人々のための雇用政策は優先事項とされてこなかった。
  • 「赤信号」の割合が極めて高かったもう一つの質問は、大学卒の障害のある人々の統計に関するものであった。大多数の国では、このような統計は利用できず、この分野における効率的な政策決定はほぼ不可能となっていた。
  • UN CRPDの実施については、非常に単純かつ安価な策ですら、多くの国で講じられていない。公式のUN CRPDを、国内のすべての公用語による音声版、手話通訳版および平易な言語版で利用できるのは、わずか4カ国にすぎない。
  • しかし、比較的楽観できるのは、58%を超える国の専門家が、一般の人々が利用できるすべての新規建築物をアクセシブルにすることが、法律によって義務付けられていると認めたことである。
  • 半数強の国が、障害のある子どもには、普通教育制度の下で、無償の初等義務教育を受ける権利があるとしている。しかし多くの意見および見解で証明されているように、すべての学校がアクセシブルであるか、あるいは、すべての子どもが実際にその権利を行使できるかは、まったく別の問題である。
  • 最後に、特に今年度の雇用というテーマに関して、障害のある人々に対する職場での配慮にかかわるあらゆる必要な行動をとる義務を雇用主に課していないのは、11の回答国のみであった。
  • 全体としては、選択されたすべての信号色のうち、「緑」は約27%にすぎなかった。非OECD諸国では、その割合は20%を下回った。すべての信号色のうち、ちょうど3分の1が「赤」で、より高度に発展しているEUおよびOECD諸国では、この数字は21-22%となっている(グラフ参照)。

社会指標調査‐回答集計

社会指標調査―回答集計

全体
緑:27%
黄:38%
赤:33%
白:2%

EU 緑:34%
黄:43%
赤:21%
白:2%

OECD 緑:34%
黄:43%
赤:22%
白:1%

非OECD 緑:19%
黄:34%
赤:44%
白:3%

雇用指標調査

UN CRPD約第27条(「労働および雇用」)」が、第一線の専門家との協議の上、雇用指標調査の質問を開発する際の基礎となった。社会指標調査と同様、雇用指標調査もアンケートを通じて実施され、信号色と追加コメントが、おもな情報提供手段として使用された。

ゼロ・プロジェクト雇用指標調査は、82カ国で実施され、2、3の例外はあるが、障害者インターナショナル(Disabled People's International)の世界的ネットワークに加盟している機関がアンケートに回答した。10項目の質問は、以下を網羅していた。

  1. 雇用プロセスにおける差別に対する保護
  2. 民間企業における雇用の促進
  3. 自営の機会
  4. 職業訓練および継続的な訓練へのアクセス
  5. 就職支援
  6. 平等な報酬に対する権利
  7. 一般の人々と障害のある人々の雇用率の格差
  8. 公共部門の雇用率制度
  9. 苦情申し立ての権利
  10. 障害のある人々の解雇に関する付則

雇用指標調査‐回答集計

雇用指標調査‐回答集計

全体
緑:38%
黄:22%
赤:40%

EU 緑:63%
黄:18%
赤:19%

OECD 緑:59%
黄:17%
赤:24%

非OECD 緑:30%
黄:25%
赤:45%

以下に、最も重要な結果をいくつか紹介する。

  • 最も際立っていたのは、自国の障害のある人々の雇用率と全体の雇用率との差(質問7)は15%以下であると述べた専門家が、ごくわずかであったことである。障害のある人々の雇用を促進するあらゆる施策にもかかわらず、ほぼすべての国で、UN CRPD第27条に定められているこの権利は、ほとんど行使できていない。
  • 有望なのは、およそ半数の国で、平等な報酬に対する基本的な権利が存在する(質問6)と専門家が認めたことである。
  • さらに、40%を超える国で、障害のある人々には、雇用のプロセスにおける差別から保護される権利(質問1)と、苦情を申し立てる権利(質問9)がある。しかし、既存の権利に対する(雇用主と政府だけでなく、障害のある人々自身の)無自覚が、非常に多くの場合、特に雇用のプロセスにおける差別に対する保護(質問1)に関して、これらの権利を行動に移す上での重大な障害となっている。
  • 極めて楽観できるのは、一部の国の民間企業における雇用を支援する施策の種類と効率性である。しかし、多くの専門家が、民間企業による雇用、自営および就職を支援する政策(質問2、3、5)の不在またはその非効率性に不満を訴えていた。
  • 職場や研修施設および公共交通機関のアクセシビリティの欠如は、しばしば、障害のある人々の雇用を支援する施策(質問4および5)が非常に非効率的であることのおもな理由の一つとして挙げられている。
  • 雇用率制度(UN CRPDの下では義務ではないが、多くの場合、効率的な差別是正措置と見なされる)は、3分の1を超える国で、公共部門の雇用に適用されており、ほとんどの場合、専門家による高い評価を受けている。
  • 障害のある人々の解雇に関する付則の存在(質問10)について質問され、専門家から「緑信号」を授与された国は多くはない(11%)。しかし、「過保護」もまた、雇用のプロセスにおける障害となり得ることから、少数の専門家が、このような付則は逆効果を招く可能性があるとの考えを示した。
  • 一般に、専門家によるすべてのアセスメントの40%は「赤信号」であった。非OECD諸国では、これは45%に上った(グラフ参照)。

40件の革新的な実践

今年度の『ゼロ・プロジェクト報告書』では、当初ノミネートされた世界各地の120件を超える事例の中から、40件の革新的な実践(2012年は25件)が発表された。これらは今年度のテーマに沿ったもので、障害のある人々と雇用に特に関連がある。「革新的な実践」の選出プロセスは多段階アプローチを取っており、すべての段階に専門家ネットワークが関与している。ゼロ・プロジェクトチームは、チームに対するこのプロセスを形にするための支援と、選考委員会に対する助言を提供してくれた機関、アショカに感謝している。

  • まず、ゼロ・プロジェクトチームは、世界各地から雇用と障害に関する専門家を探し求めた。約200名の専門家が選ばれた。
  • 第二段階として、この目的のために特別に作成された、プロジェクト候補に関する基本情報が記載されたフォームをもとに推薦候補が選ばれた。120件を超える候補がノミネートされた。
  • 200名の専門家とは別の18名の専門家で構成された選考委員会が、革新性、影響、長期的成長と成功の機会、そして最終的には拡張性という判定基準に従い、候補を評価した。

以下に、最も際立っていた結果をいくつか紹介する。

1.世界的な広がり:2012年9月に国連で開催された第5回締約国会議のサイドイベントの一つは、「グローバルサウスの声」と題し、その声が聞き入れられることの重要性に焦点を絞っていた。それゆえ、多くの実践が世界の特定地域に限定されてこなかったことは大変喜ばしい。中にはこれまでブラジル、コロンビアなどのラテンアメリカの一部の国でのみ実践されてきたものもあるが、ラテンアメリカ大陸全土で実践されてきたものもある。

オーストラリアとニュージーランドの両国でも実践例がある。ある革新的な実践は、バングラデシュ、中国、インド、リベリア、パキスタンおよびウガンダなどで展開されている。他にもインドだけで4件の異なる実践が見られる。中東では、レバノンの事例が紹介されている。カナダ、ヨーロッパ、スカンジナビアおよびアメリカ合衆国の実践に加え、東欧、ブルガリア、チェコ共和国、モルドバおよびポーランドの実践も見られる。また、インターネットベースであるがゆえに、あらゆる地理的境界を超え、真にボーダレスとなった実践もある。

2.驚くべき多様性:実施地域が広範であることは喜ばしいが、これに匹敵するのが、事例と対象とされる問題の驚くべき多様性であろう。特定の実践でそれぞれ対象とされる障害には、自閉症スペクトラム障害、知的障害および発達障害、精神障害、弱視および全盲、難聴およびろうなどがある。そのほか、障害のある人々を区別することなく、すべて対象としている実践もある。

3.国際化:これらの革新的な実践の一部はすでに国際化されており、総合すればこれらは、すべての大陸において、上記以外にも25カ国で実施されている。以下の革新的な実践が、国境を超えて行われてきた。

  • チェンジ(CHANGE)
  • ダイアログ・イン・ザ・ダーク(Dialogue in the Dark)
  • 雇用ツールキット
  • ジェナスティン(Genashtim)
  • インクルーシブな介護福祉士養成
  • インクルーシブな高等教育
  • 生計支援センター
  • 技術を通じた米州雇用機会パートナーシップ(POETA)
  • ロータリー雇用パートナーシップ
  • サーチ(SEARCH)
  • スペシャリステルネ(Specialisterne)
  • テレノール(Telenor)

4.ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)と雇用:40件の革新的な実践では、障害のある人々の特別なスキルを特に支援する職場において、このような人々を直接雇用するものが、かなりの割合を占めている。以下にその例を挙げる。

  • チェンジ(CHANGE)
  • ディスカバリング・ハンズ(Discovering Hands)
  • ジェナスティン(Genashtim)
  • 新生精神リハビリテーション協会(NLPRA)
  • ポストパートナーズシャフト(Postpartnerschaft)
  • サブージ(Sabooj)
  • スマート(Smart)
  • スペシャリステルネ(Specialisterne)
  • ザ・シロ・グループ(The Siro Group)
  • ウィプロ(Wipro)

革新的な実践の概要

名称実施機関概要最初の実施国実施国
高等教育におけるインクルージョン:雇用への道アルバータ地域生活協会(AACL)発達障害のある人々のためのインクルーシブな高等教育の機会を、特にますます必要とされている有意義な雇用の獲得に先立つ体験として、開発するイニシアティブ。カナダカナダ、オーストラリア、アイルランド
ロータリー雇用パートナーシップアルバータ地域生活協会 発達障害のある人々のための雇用創出に、経済界の参加を得る。カナダカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ合衆国
成人期への移行支援アーク・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ(The Arc of the United States, Inc.)学校から地域社会への移行イニシアティブで、全国で模倣できる、アーク地域支部および州支部ネットワーク内の成功プログラムを明らかにし、移行計画と移行サービスの質の向上を図る。アメリカ合衆国アメリカ合衆国
中小企業および起業家精神の促進ナショナル・トラスト・イニシアティブ・オブ・マーケティング・リハビリテーション協会(ARUNIM)ARUNIMは、起業家精神を通じて生計を創造する先駆的かつ草分け的な革新活動を展開しており、特に発達障害のある人々に焦点を絞っている。インドインド
マイクロファイナンスをインクルーシブにするD-MIRO銀行D-MIRO銀行は、障害のある人々を対象とするCreer(「信頼する」という意味)と呼ばれる小口融資商品を新設した。この商品により同行は、障害のある人々への金融サービスの提供において、大いに成功を収めた。エクアドルエクアドル
職場での個別指導ベスト・バディーズ・コロンビア(Best Buddies Colombia)知的障害や発達障害(IDD)のある人々に、職場で個別指導を受け、雇用の場に統合される機会を提供する。コロンビアコロンビア
障害を活かしたビジネスの構築ビジネス・ディスアビリティ・フォーラム(Business Disability Forum)企業による障害のある人々の雇用と、障害のある人々とのビジネスを容易にし、障害のある人々の経済的・社会的インクルージョンを促進する。イギリスイギリス
高齢者向け介護者養成カリタス・オーストリア(Caritas Austria)「高齢者向け介護者養成」プロジェクトは、障害のある18歳から24歳までの若者を、老人ホームや介護施設の入所患者向け介護アシスタントとして養成し、第一次労働市場に参加させることを目的としているオーストリアオーストリア
共働雇用モデルチェンジ(CHANGE Ltd.)チェンジ(CHANGE)は、障害のある人々が中心となって運営し、知的障害のある人々を雇用している国際人権機関である。チェンジは、すべての知的障害のある人々の選択、自立および自己管理を促進する。その革新的な支援と、新たなツールと労働形態の試験的な実施により、イギリスおよびヨーロッパ全土における政策と実践に影響を与えている。イギリスイギリス、チェコ共和国、モルドバ、ブルガリア
ダイアログ・ソーシャル・エンタープライズダイアログ・イン・ザ・ダーク(Dialogue in the Dark)ダイアログ・イン・ザ・ダークは、コミュニケーションと親密な交流のための独自のプラットフォームで、視点の変化を引き起こし、そのプロセスにおいて、視覚障害や身体障害のある人々の雇用を世界中で創出する。ドイツドイツ
乳がん発見の専門家としての盲人女性ディスカバリング・ハンズ®(Discovering Hands®)ディスカバリング・ハンズ®は、全盲および弱視の人々の優れた触覚認知を利用し、乳がん早期発見のための触診の向上を図る。 ドイツドイツ
障害のある人々の主導によるキャリア開発ディスアビリティ・ライツUK(Disability Rights UK)/異なる働き方プロジェクト障害のある人々が主導する一連のプロジェクトで、他の障害のある人々が、「就職」だけでなく、自分の仕事で「成功」できるようにする。イギリスイギリス
知的障害のある人々の就労支援DZWONIセンターこのイニシアティブの目的は、一般労働市場において知的障害のある人々の職場を見つけることである。ポーランドポーランド
視覚障害のある人々の雇用支援ヨーロッパ盲人連合(EBU) EBUのジョブ・ウェブサイトは、ヨーロッパ全土の視覚障害のある人々、雇用主および政策立案者に、視覚障害のある人々が就いている広範な仕事に関する情報を提供する。これは全盲および弱視の人々の雇用について調査し、これを促進し、円滑に進めるためにEBUが実施しているさまざまな活動の一部である。ヨーロッパヨーロッパ
援助付き雇用サービス提供者への支援欧州援助付き雇用連合(European Union of Supported Employment)欧州援助付き雇用ツールキットは、障害のある人々を対象とした雇用サービスの提供者向け実践ガイドである。ヨーロッパヨーロッパ、オーストラリア、アルゼンチン、チリ
拡張可能な支援技術イニシアティブF123コンサルティング F123イニシアティブは、障害のある人々にとってアクセシブルな中小企業でのインターンシップと、その結果としての雇用の機会を提供するために、何千もの人々、企業および政府による、無償のオープンソース技術への投資を活用する。ブラジルブラジル
労働と雇用の機会の開発ファースト・ステップ・トラスト(First Step Trust)/スマート(SMaRT)ビジネスモデル「社会志向の責任ある取引」(SMaRT)ビジネスモデルにより、ファースト・ステップ・トラスト(FST)は、精神障害のある人々およびその他の障害のある人々/不利な立場にある人々のための労働と雇用の機会を開発できる。イギリスイギリス
労働市場における障害のある人々の統合インテグレーションの友協会(Friends of Integration Association)協会が運営する地域および全国キャンペーン(例「働けます」キャンペーン)の結果、障害のある人々の状況とその低い雇用率にポーランド社会の注目が集まった。ポーランドポーランド
オンライン機関におけるインクルージョンジェナスティン・イノベーティブ・ラーニング(Genashtim Innovative Learning Pte. Ltd.)障害のある人々は、障害のない職員と協力して働き、賃金に差はなく、完全に平等である。さらに、障害のない職員が障害のある管理職に報告をする。シンガポール(*訳者・掲載者注:報告書本文によると、シンガポールは、実施を始めた機関の本拠地がある国で、実施国とは異なる。) マレーシア、中国、フィリピン
反スティグマキャンペーンハンディサム& NSPH/HjärnkollHjärnkollは、スウェーデンの全国的な反スティグマキャンペーンで、200名の「大使」(独自の精神病体験を持つ人々)によって運営されている。スウェーデンスウェーデン
統合雇用モデルSPAGATIfS(Institut für Sozialdienste gemeinnützige GmbH)SPAGATは、重度の障害のある人々を雇用の世界へ統合するモデルである。SPAGATは、このような人々を支援し、彼らに寄り添って、第一次労働市場での仕事を探す。オーストリアオーストリア
障害のある学生の支援ヨハネス・ケプラー大学、リンツ/ Institute Integriert StudierenInstitute Integriert Studierenは、オーバーエスターライヒ州ヨハネス・ケプラー大学のアクセシビリティおよび支援技術教育研究機関で、障害のある学生のための支援センターでもある。オーストリアオーストリア
インクルーシブなビジネスの促進カンチ(Kanchi)/アビリティ・アワードカンチは、アビリティ・アワードを通じて、社会の好ましい変革と、障害とともに生きる10億の人々の経済的なエンパワメントの推進に重大な影響を与え、障害関連のビジネスを促進し、世界的な企業運動を生み出すことを目指している。 アイルランドアイルランド、スペイン
経済的・社会的インクルージョンレバノン身体障害者連合(Lebanese Physical Handicapped Union)/可能性の解放プログラム可能性の解放プログラムは、レバノンの障害のある人々の生活環境の改善に貢献し、職業訓練、求職者への総合的な支援、公共および民間部門における雇用の機会の提供と、所得創出の試験計画を通じて、正規雇用へのアクセスを支援する。レバノンレバノン
インクルーシブな介護福祉士養成Lebenshilfe Graz und Umgebung-Voitsbergこのプロジェクトは、学習障害のある人々を介護福祉士として養成し、社会福祉部門における就職への足掛かりを得られるようにする。オーストリアオーストリア、スペイン、ポーランド
生計支援センターレオナルド・チェシャー・ディスアビリティ(Leonard Cheshire Disability)生計支援センターは、「総合ショップ」として、研修とキャリアガイダンスを提供し、従業員と雇用主の関係づくりを行う。イギリス(*訳者・掲載者注:報告書本文によると、イギリスは、実施を始めた機関の本拠地がある国で、実施国はとは異なる。)バングラデシュ、中国、インド、フィリピン、パキスタン、スリランカ、リベリア、シエラレオネ、タンザニア、ウガンダ
平等を促進する持続的な権利擁護活動全国障害者雇用促進センター(NCPEPD)先駆的な、障害種を超えた(すべての障害を対象とする)機関で、雇用の問題に取り組むため、政策による権利擁護という手段をとる。インドインド
精神障害のある人々のための仕事新生精神リハビリテーション協会(NLPRA)精神病から回復しつつある人々に、ソーシャル・エンタープライズを通じて、新生活を提供する。中国(香港)中国(香港)
青年期移行プログラムオレゴン職業リハビリテーション 障害のある青年による、雇用や職業関連の高等教育に向けた準備。アメリカ合衆国アメリカ合衆国
障害のある従業員による自らの権利の理解を支援ピープル・ファースト・ニュージーランド(People First New Zealand Inc.)Nga Tangata Tuatahi 読みやすい個別雇用契約は、すべての雇用される可能性のある労働者と現在雇用されている雇用者による、職場における自分の権利と責任の理解を助ける。ニュージーランドニュージーランド
聴覚障害のある人々の雇用サブージ(Sabooj) ビジュアルおよびグラフィカルな創造と製作における聴覚障害のある人々の雇用。フランスフランス
雇用による自己啓発サムハルAB(Samhall AB)サムハルは、スウェーデンの国有企業で、障害のある人々の自己啓発を促進する有意義な仕事を提供する任務を担う。スウェーデンスウェーデン
援助付きインターンシップサーチ(SEARCH)プロジェクト・サーチは、知的障害および発達障害のある若者を対象とした、1年間にわたる学校から職場への独自の移行プログラムである。アメリカ合衆国アメリカ合衆国、イギリス、カナダ、オーストラリア
農村地域における労働統合ザ・シロ・グループ(The Siro Group)社会的排除の危機にある最大多数の人々、特に障害のある人々の、職場における統合。スペインスペイン
郵便局とのインクルーシブな連携オーストリア Soziale Dienste der Kapuziner (SLW)「郵便局とのインクルーシブな連携」プロジェクトは、障害のある人々の一般労働市場への参加を可能にする。オーストリア オーストリア
平等な雇用の機会スペシャリスト・ピープル財団(Specialist People Foundation)スペシャリステルネ(Specialisterne)は、高機能自閉症の人々が、どのようにすれば社会に効果的に統合され、雇用主に価値のある質の高いサービスを提供できるようになるかを示す、第一の、かつ最も重要な例として、国際的に認められている。デンマークデンマーク、イギリス、アイスランド、オーストリア、アメリカ合衆国、ポーランド、ドイツ、アイルランド、カナダ、シンガポール
雇用へのゲートウェイ:障害物を取り除き、機会をテレノール・グループ(Telenor Group)/テレノール・オープン・マインドプログラム職場への跳躍台としての役割を果たすテレノール・オープン・マインドプログラムは、移動性の低下、精神障害、聴覚障害または視覚障害のある人々に、職場参加と必要なスキルを開発する機会と、仕事での成功体験を提供する。ノルウェーノルウェー、スウェーデン、パキスタン、インド
労働におけるインクルージョンへの新たなアプローチ米州トラスト(The Trust for the Americas)‐ 米州機構/POETA技術を通じた米州雇用機会パートナーシップ(POETA)アクセシブルセンターは、障害のある人々に、技術と就職準備のための訓練を提供することにより、ソーシャルインクルージョンを拡大し、競争力を高める。グアテマラグアテマラ、アルゼンチン、ブラジル、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、エルサルバドル、ホンジュラス、メキシコ、パナマ、ペルー、プエルトリコ、ドミニカ共和国、ベネズエラ
パーソナル・ネットワークタイズ・パーソナル・ネットワーク(Tyze Personal Networks)タイズ・パーソナル・ネットワークは、個人の目標達成と夢の実現に向けた支援のために人々が連携し、協力する手助けをするオンラインサービスである。カナダカナダ、アメリカ合衆国、イギリス、オーストラリア
インクルーシブな職場の促進ウィプロ(Wipro Ltd.)ウィプロ社の機会均等政策のための「実施とガバナンスのメカニズム」インド インド、アメリカ合衆国、イギリス

11件の革新的な政策

今年度の報告書では、特に障害のある人々の雇用の権利にかかわる11件の革新的な政策(2012年度は8件)が発表されている。ゼロ・プロジェクトの政策研究は、以下の三つの段階を経て行われた。

  • 2012年4月、エッセル財団とワールド・フューチャー・カウンシルは、UN CRPD委員会、国際障害同盟(International Disability Alliance)、国際労働機関およびその他多くの障害のある人々の雇用に携わる専門家に連絡をとった。彼らの協力により、ゼロ・プロジェクトチームに、世界各地の26カ国から31件の革新的な政策の候補が寄せられた。
  • 2012年9月までにワールド・フューチャー・カウンシル(WFC)は政策研究を終了した。WFCの未来の公正な立法のための方法論を適用し、研究者らは政府、学識経験者および非政府機関の代表に対し、それぞれの政策について聞き取り調査を実施し、詳細な政策評価報告書を作成した。この方法論は、以下にあげる持続可能な開発法の7原則(2002年ヨハネスブルグ持続可能な開発に関する世界首脳会議)に基づいている。
    1. 資源の持続的な利用
    2. 平等と貧困撲滅
    3. 人間の健康の予防手段
    4. 国民の参加
    5. ガバナンスと人間の安全保障
    6. 統合
    7. 共通だが差異ある責任
  • 最終段階として、2012年9月に、ゼロ・プロジェクト国際科学諮問委員会が、11件の「革新的な政策の最終候補」について合意した。これらの候補は、ヨーロッパ、アジア、アメリカおよびオセアニアの9カ国から選ばれたものである。

障害の社会モデルの促進

ほとんどの革新的な政策は、障害のある人々が一般労働市場で直面する環境面および社会面の障壁に取り組んでいることは確かである。

権利に基づいていること

有望なのは、オーストリアの職業訓練法など一部の政策で、障害のある人々の法的権利が確立されていることである。しかし、マレーシアの職場復帰プログラムなど、その他のプログラムでは、いまだに法定給付金が支給されていない。資金不足の場合、あるいは、イギリスの個別就労支援の事例のように分権型組織に実施を依存している場合、政策の全国的な普及に問題が生じる。

主流化を基本としていること

選択された法律の一部(特にスウェーデン雇用保護法)は、主流化を基本としているため、とりわけ興味深い。

革新的な政策について

革新的な政策は、有望な要素を含み、現場で確認可能な改善を達成し、国連障害者の権利条約(UN CRPD)の実施を進める世界中の多くの国で容易に模倣できる、前向きな変革のダイナミクスを提示する。しかし、あらゆる革新と同様、政策の中には、不完全なものや、最大限の影響を与えるために他の開発に依存しているものがあり、また、いかに前向きであっても、古い考え方の要素も含んでいる場合がある。UN CRPDの実施は、すべての国で現在進行中の取り組みであるため、古い考え方の要素が含まれているという理由だけで、それらの要素が革新の総合評価から除外されることはない。

障害者団体との協議

障害者団体によるロビー活動や、障害者団体との協議の直接的な結果として、最終的に8件の政策が生まれた。

研究に基づいていること

ほとんどの政策は、最終的に専門家によって評価され、一部については、実施機関や障害者団体による費用便益研究が行われた。たとえば、イギリスの「仕事へのアクセス(Access to Work)」プログラムでは、1ポンドの支出につき、国庫に1.48ポンドの純収益がある。

驚くべき事実と功績

  • デンマークの特別なニーズのある青少年中等教育法(2007年6月第564号)では、普通教育を修了できない特別なニーズのある青少年が、初等・中等教育の後、3年間の青少年教育を通じて、個人的能力、社会的能力および職業能力を獲得できるようにする。2012年には、5,000人を超える人々がすでに青少年教育に登録していた。これまで青少年教育を修了した1,300人の障害のある若いデンマーク人のうち、20%が仕事を見つけ、あるいは、さらに教育を受けている。
  • 職業訓練制度を多くの若者にとってより利用しやすいものにするために、オーストリア職業訓練法(1969年)(特に§8b-c)が2003年に改正され、長期にわたる資格認定や部分的な資格認定が可能となった。2011年には、7,014人がおもに長期にわたるインクルーシブな職業訓練を受けており、そのうち約20%に障害があった。およそ61%は企業内で研修を受けており、インクルーシブな企業内職業訓練の修了生のうち、約70%が4年後も雇用されていた。
  • オーストラリアにおけるジョブアクセス(JobAccess)プログラム(2006年)は、反差別法を補完し、助言と助成金を通じて職場における障壁の撤廃を促進する一方、障害のある人々には、仕事を見つけたり続けたりするための手段と支援を提供している。2006年以来、驚くほど多くの問い合わせ(12万件)と資金援助の申請(1万7千件)があり、利用者の満足度は90%で、プログラムは真のニーズに対応していた。極めて模倣しやすいジョブアクセスは、国連公共サービス賞を獲得した。
  • イギリスの「仕事へのアクセス」プログラム(1994年)は、障害のある人々と雇用主に、障害が原因で生じる仕事関連の支障を克服するための助言と支援を提供しており、平等法(2010年)を補完している。2009年から2010年までに「仕事へのアクセス」は37,300人の障害のある人々を支援したが、そのうち45%は、支援が無ければ失業していた。国庫の純収益は、1ポンドの支出につき1.48ポンドである。2012年には、イギリス政府が1,500 万ポンドの資金を投資するという意向を表明した。
  • 援助付き雇用は、高い支援ニーズを持つ人々が有意義な雇用を獲得できる効果的な手段であるとの認識から、スペインでは2007年7月2日、援助付き雇用プログラムのための規則に関する王令第870号が発令された。現在、約500人のジョブコーチが約5,000人の障害のある人々を一般労働市場で支援している。援助付き雇用のおかげで、1995年から2008年までで14,159人の障害のある人々が就職した。
  • 作業分析、ジョブコーチングおよび同僚によるフルタイムのサポートから成る、カナダのニューファンドランド・ラブラドル州におけるジョブ・トレーナー・サポート・プログラム(1986年)は、知的障害のある人々のために、少なくとも最低賃金が支払われる、統合された場での有意義な雇用を促進する。2011年には、1,075人の知的障害のある人々が、統合された雇用の場でジョブ・トレーナーの支援を受け、水準以上の賃金を得た。多くの人々が、自分で事業を始めることに成功している。
  • イギリスでは、精神保健サービスの利用者の大多数は、有給の仕事を見つける支援を受けていない。すべての人は一般労働市場で働く能力があるという論拠に基づき、個別就労支援プログラム(IPS)(1998年)では、従来の継時的リハビリテーションアプローチとは異なり、雇用の専門家を臨床治療チームに組み込み、臨床治療と雇用支援を並行して実施している。精神障害のある人々の約61%が、IPSを通じて就職することができた。
  • ニュージーランドでは、障害者雇用促進法を廃止する法律(2007年第11号)が制定され、シェルタードワークショップの運営者に対する、最低賃金と休暇および病欠に関する法律の包括的適用除外という差別的条項が無効となった。この結果、隔離された職場環境において雇用されているニュージーランド人の数は、2001年の5,400人から2007年には1,202人へと減少した。同時に、雇用サービスを利用している人々の数は、300%以上増加した。
  • スウェーデン雇用保護法(1982年第80号)によれば、病気や障害の獲得による能力の低下は、解雇の客観的な理由にはならず、雇用主は被雇用者を引き続き雇用するために、あらゆる相応の努力をしなければならない。この結果、スウェーデンにおける健康に問題のある人々または障害のある人々の雇用率は62%(2010年)となり、労働能力の低下を伴う人々の約50%が雇用されている。2009年には、労働条件の改善が必要な従業員の圧倒的多数が、必要な支援を受けた。
  • 総合的な身体・職業リハビリテーションを提供する、マレーシアの復職プログラム(2007年)では、従業員の回復と復職の支援に個別のケースマネジメントを採用している。プログラム開始以来、4,842名の被雇用者が復職した。復職者のうち84%(2010年は65%)が、同じ雇用主の下で働き続けていた。その利益は費用をはるかに上回っている(比率にして1.43:1)。
  • 2008年には、オーストリアのオーバーエスターライヒ州で、ソーシャル・プロフェッション法(2008年)(特に§45-47)に基づき、ピアカウンセリング制度が設立された。このような措置は国際的にも珍しい。ピアカウンセラーは、障害にかかわる直接的な体験を持ち、同様な障害の影響を受けている人々に対し、自らの人生をコントロールできるように助言を提供する。総合的な資格認定では、基本的な資質として、さまざまなタイプの障害の体験が重視される。現在、54名のカウンセラーが、週に750時間から1,000時間のカウンセリングを行っている。

今後に向けて:ゼロ・プロジェクト 2013

エッセル財団の資金提供を受け、ゼロ・プロジェクトは、財団と長期にわたる連携関係を結んだワールド・フューチャー・カウンシルとともに、UN CRPDの持続的な実施を今後も促進していくことができるであろう。

2年目となる2012年、報告書の発行とウェブサイトの立ち上げ、および同年1月の第1回会議開催の経験を踏まえ、ゼロ・プロジェクトは改善され、洗練された。

年間のテーマとして初めて雇用が選ばれ、革新的な政策と実践は、このテーマを中心とするものとなった。特に雇用を対象としたさらなる調査も追加された。

2013年2月の会議は、従来の1日ではなく2日間に及ぶものとなり、革新的な政策と同じレベルで革新的な実践も取り扱われる。

ウェブサイトは、ゼロ・プロジェクトの内容を掲載した百科事典的データベースへと変更され、すべての人が利用できるようになる。ゼロ・プロジェクトは、特に2012年1月にウィーンで開催された第1回会議の成功を受けて、大いに知名度が上がった。この会議には、30を超える国から250名の代表が参加した。さらに、ゼロ・プロジェクトのアクセシビリティに関する研究成果は、2012年6月に、欧州議会議員のアダム・コーサ(?d?m K?sa)博士(欧州議会障害インターグループ代表)の主導による、ワールド・フューチャー・カウンシルおよび欧州障害フォーラム(European Disability Forum)との共同会議で紹介され、パンフレットも作成された。2013年3月には、ジュネーブにおける国連人権理事会のサイドイベントで、ワールド・フューチャー・カウンシルおよび国連ジュネーブ本部オーストリア政府代表部との共同による、ゼロ・プロジェクト最新成果発表が予定されている。

ゼロ・プロジェクトは、障害のある人々と障害者団体、NGO、各種財団、学識経験者および意思決定者の拡大しつつあるネットワークとともに、UN CRPDによって促進される権利に従い、障害のある人々のために障壁を撤廃するという目標に、重点的に取り組み続ける。しかし、同時に柔軟性も保ちながら、新たな課題と目標を明らかにしていくこともいとわない。


原文: ZERO PROJECT REPORT 2013 : Executive Summary http://www.zeroproject.org/wp-content/uploads/2012/11/Executive-Summary_e_2013.pdf

Zero Project http://www.zeroproject.org/