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障害を含めた開発に関する北京宣言

2012年6月6日-8日
北京フォーラム「障壁の撤廃、統合の促進」にて採択

我々、国際障害団体及び障害のある人々の団体の指導者、主要学術機関研究者、ならびに国連システム代表は、中国障害者連合会(CDPF)主催の北京フォーラム「障壁の撤廃、統合の促進」の開催に際し、2012年6月6日から8日にかけて北京に集った。

北京フォーラムでは、障害者権利条約(CRPD)の実施と、ミレニアム開発目標(MDGs)の進捗状況について、障害のある人々が直面する障壁の撤廃と、すべての人のための平等かつインクルーシブな開発の促進に焦点を絞り、議論が交わされた。

  1. 障害のある人々の権利は人権全般と不可分であり、障害のあるすべての人々の権利を実現し、その尊厳を尊重し、その価値を認識し、障害を含めた開発を促進することは、社会の共同の責務であることを再確認し、
  2. 障害のある人々の権利を促進する、過去数十年間に渡る国連の持続的な取り組みが、特に、障害者に関する世界行動計画、障害者の機会均等化に関する基準規則として実を結び、ついには、障害のある人々が開発プロセスのあらゆる側面において、主体及び受益者として認識されるCRPDへと発展したことを想起し、
  3. 障害のある人々の参加と平等、開発利益の平等な共有の促進ならびに国際協力に対する、中国政府及びCDPFの重要な貢献、特に世界初の地域障害者の十年、すなわち「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)」の提案と、CRPDの採択につながる協調行動への初の国際的な呼びかけがなされた2000年3月の世界障害者NGOサミット開催における、その触媒的な役割を高く評価し、
  4. 障害のある人々の権利の実現に向けた地域計画、すなわち「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)行動課題」と、これを強化し、障害者権利条約起草の実質的な基盤を提供した「アジア太平洋障害者のための、インクルーシブで、バリアフリーな、かつ、権利に基づく社会に向けた行動のためのびわこミレニアム・フレームワーク(2003-2012)」の革新性を想起し、
  5. さまざまな障害のある人々とその団体による、あらゆるレベルにおける意思決定への完全参加の重要性を強調し、
  6. MDGsは、重要な国際開発の枠組みを提供するが、障害については明確に言及していないことに留意し、
  7. 更に、障害のある人々が、貧困者の多くを占め、情報、物理的環境、公共交通機関、教育、雇用、リハビリテーション、社会的保護及び日常生活のその他の側面において、態度、制度及び物理的な障壁に直面していることに、懸念を持って留意し、

ここに、

1. 各国政府に対し、以下を強く要請する。

(a) CRPDの批准と実施の促進及び必要な法的枠組みと機関の設立
(b) 差別への対策、特に合理的配慮の規定の強化と、CRPDの実施を実現するための環境づくり
(c) 2015年以降、さまざまな部門における国連開発課題に、障害の側面を明確に盛り込むこと
(d) 障害を含めた開発のための適切な資金配分を、年間予算に明確に記載すること。
(e) 「アジア太平洋障害者の十年(2013-2022)」などの、地域における「障害者の十年」の促進
(f) あらゆるレベルにおける意思決定への障害のある人々の平等な参加を促進するための、障害のある人々とその団体に対する、能力構築を含む支援の強化
(g) 障害のある人々に対する、あらゆるレベルにおける開発プロセスで指導的な役割を担う機会の提供
(h) 障害を含めた政策及び計画の促進と、政府の業績評価にかかわるエビデンスを提供するため、国際比較が可能な非集計型の障害統計を改善する取り組みと、調査研究及び分析を強化すること
(i) 子供、若者、女性、高齢者、スラムや農村部及び遠隔地域、島嶼部で暮らす、さまざまな障害のある人々に特に注目すること
(j) 以下の分野に優先的に注目すること

アクセシビリティ

(1) 物理的環境、公共交通システム、情報通信技術及びシステム、その他の施設とサービスへの平等なアクセスを確保するため、ユニバーサルデザインの原則と国際的なグッドプラクティスに従い、法律、規則及び基準を再検討、策定及び更新する。
(2) 効果的な規制のメカニズムと強制措置及び奨励策などを通じ、アクセシブルな物理的環境と公共交通システムの建設を促進する。
(3) 情報通信技術、製品及びサービスの公共調達はすべて、アクセシブルなハードウェアとソフトウェアを十分に考慮した上で行うよう義務付ける。
(4) 一般向けのすべての情報とウェブサイトを、漸次、段階的に、完全にアクセシブルにすることを義務付ける。
(5) ユニバーサルデザインとユニバーサルなアクセシビリティの指導を、特に設計、建設及びICT関連職の高等教育と継続的な専門能力開発の主流のカリキュラムに組み込む。

教育

(6) すべての人のための、質の高い、インクルーシブな教育を実現し、障害のあるすべての学齢児の入学と学業の継続を保証するため、必要なリソース及び支援の提供と、修了率100パーセントの達成に向けた明確なマイルストーンを伴う、法律、政策及び国家行動計画の策定と実施に全力をささげる。
(7) 教員養成のための資格取得前教育及び継続的専門教育のカリキュラムに、特別なニーズ教育とインクルーシブな教育に関する研修を取り入れる。

生計

(8) 非差別法を制定する。これには職場における合理的配慮に関する規定を盛り込まなければならない。
(9) 障害のある人々のためのディーセントワークと、社会における障害のある人々とその他の人々の同等な労働力参加の達成とを共に目指し、その進捗状況を追跡するデータを得る、効果的な方策を確保する。
(10) 就労していない障害のある人々による、家族と地域社会の経済的福祉への重要な貢献を認め、これを促進する。

地域に根ざしたリハビリテーション(CBR)

(11) 世界保健機関、国際労働機関、国連教育科学文化機関、国際障害開発コンソーシアムの共同文書である『地域に根ざしたリハビリテーションガイドライン』の実施を支援する国家CBR政策及び計画を策定するとともに、農村部及び都市部における障害のインクルージョンを達成するためのサービス、開発及びエンパワメントのニーズを満たす、十分なCBR担当職員を養成する。
(12) 地域社会レベルでのニーズを満たすため、多部門による調和のとれた対応を促進する紹介制度を開発、強化する。
(13) 地域に根ざしたサービスの支援への民間部門の参加を奨励する。

社会的保護

(14) 障害のある人々のための質の高いソーシャルサービスへの平等なアクセスを提供し、社会的保護を完全に補填する十分なリソースの配分を確保し、農村部と都市部における支給格差を解消する。
(15) 広範な障害及び複数の障害のある人々が地域社会で自立した生活をおくるための支援制度を開発する。

2. 国連システム、開発協力機関、国際及び地域市民社会団体、ならびにすべての開発パートナーに対し、各国政府による地域内及び地域間の協力を通じた上記の行動の遂行を支援するよう要求する。

3. あらゆるレベルにおける障害のある人々の団体及び障害のある人々のための団体、ならびにその他の市民社会団体に対し、以下を奨励する。

(a) 政府による上記の行動の遂行を支援すること
(b) アジア太平洋障害者の十年(2013-2022)などの、地域における十年計画の実施と進捗状況の追跡に積極的に貢献すること
(c) 2015年以降、さまざまな部門における開発課題に障害の側面を盛り込むよう主張するため、一致団結して取り組むこと

我々はここに、2012年10月29日から11月2日にかけて大韓民国インチョン(仁川)で開催される、アジア太平洋障害者の十年(2003-2012)の実施について最終的に検証するためのハイレベル政府間会合と国連事務局への提出に向けて、障害を含めた開発に関する北京宣言を採択し、国連システムの支援を得た、全加盟国による障害を含めた開発を提言するものである。