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TWG-DC(障害問題作業部会)

TWG-DC第10回会議(2005年7月7~8日)議事録

(財)日本障害者リハビリテーション協会

項目 内容
発表年月 2005年12月14日
備考 英語版:原文

UNITED NATIONS
REGIONAL COORDINATION MECHANISM
THEMATIC WORKING GROUP ON DISABILITY-RELATED CONCERNS

障害問題作業部会(TWG-DC)第10回部会
日時:2005年7月7日-8日
場所:国連会議場 バンコク

  1. 開会
  2. 議題の採択
  3. 2004年12月1日-2日に開催された第9回障害問題作業部会(TWG-DC)議事録の確認
  4. タスクフォースの活動報告
  5. 貧困緩和のための地域に根ざしたリハビリテーション(CBR)に関するワークショップ(2005年7月5日バンコクにて開催)、及びUNESCAPとILOの共催による、障害者と雇用に関する多国籍企業円卓会議(2005年7月6日バンコクにて開催)の報告
  6. BMF中間年評価に関する政府間会合(2007年UNESCAP主催)において採択する、「びわこプラス5年:後半5年(2008年-2012年)のより前向きな実践のための戦略」の作成プロセスの提案
  7. 2005年に予定されているAPDF総会とTWG-DC第11回部会について
  8. その他

1. 開会

第10回障害問題作業部会(TWG-DC)の様子

国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)社会問題部(ESID)のThelma Kay部長が、第10回障害問題作業部会(TWG-DC)の開会を宣言し、開会の辞を述べた。

Thelma Kay氏はまず、本作業部会の直前に終了し成功を収めた2つのワークショップに、既に多大な貢献を果たした参加者に対し、心からの感謝の意を表した。これらのワークショップは、UNESCAPの主催による「障害者の貧困緩和及びCBRに関するワークショップ」と、TWG-DCの雇用と貧困緩和タスクフォースの主催による「開かれた可能性:障害者と雇用に関する多国籍企業円卓会議」である。

Kay氏は、最新のUNESCAP決議61/8(2005年5月18日採択)について、2007年に3日間にわたって開催される、アジア太平洋障害者のための、インクルーシブで、バリアフリーな、かつ権利に基づく社会に向けた行動のためのびわこミレニアム・フレームワーク(BMF)実践中間年評価に関するハイレベル政府間会合を準備するためになすべきことを明確に示しているので、重要であると指摘した。

Kay氏は、本作業部会の主な目的は、中間年ハイレベル政府間会合に向けて、今回提案された「びわこプラス5年:後半5年のより前向きな実践のための戦略」というUNESCAPによる戦略の策定プロセスに、作業部会参加者を積極的に関与させることであると説明した。

Kay氏は「第2次アジア太平洋障害者の10年」の残りの期間、引き続き責任を持って取り組むことを再確認し、スピーチを終えた。

第10回障害問題作業部会(TWG-DC)では、国連食糧農業機関(FAO)のWim Polan氏が議長に任命された。参加者は約80名で、参加者のリストを付録Iとして添付した。

2. 議題の採択

TWG-DCは以下の議題を採択した。

A. タスクフォース会議:
a. 障害をもつすべての子どもと若者のための教育(EFA)
b. 雇用と貧困緩和
c. 情報通信技術(ICT)
d. 障害をもつ女性
e. 障害者の自助団体(SHO)
f. 提案されている障害者に関する国際条約
g. 紛争終結後の国々
B. TWG-DC本会議:
1. 第10回障害問題作業部会(TWG-DC)本会議開会
2. 議題の採択
3. 2004年12月1日-2日に開催された第9回障害問題作業部会(TWG-DC)議事録の確認
4. タスクフォースの活動報告
5. 貧困緩和のための地域に根ざしたリハビリテーション(CBR)に関するワークショップ(2005年7月5日バンコクにて開催)、及びUNESCAPとILOの共催による、障害者と雇用に関する多国籍企業円卓会議(2005年7月6日バンコクにて開催)の報告
6. BMF中間年評価に関する政府間会合(2007年UNESCAP主催)において採択する、「びわこプラス5年:後半5年(2008年-2012年)のより前向きな実践のための戦略」の作成プロセスの提案
7. その他

3. 2004年12月1日-2日にバンコクで開催された第9回障害問題作業部会(TWG-DC)議事録の確認

2005年12月1日-2日にバンコクで開催された、第9回障害問題作業部会の議事録が若干の修正を加えた上で、承認された。

4. タスクフォースの活動報告

議題に記載されている7つのタスクフォースから、簡単な報告があった。タスクフォースの全議事録は付録IIに添付した。

(a)障害をもつすべての子どもと若者のための教育(EFA)

タスクフォースのメンバーが過去6ヶ月の間に参加もしくは着手した活動について報告した。活動にはキリスト教盲人ミッション(CBM)による津波被害評価、UNESCOのインクルーシブ教育用ツールキットの様々な言語への翻訳、及びUNESCOで現在進行中の、「学校制度に障害児を参加させるための行動マニュアル」を開発するプロジェクトなどがあった。

タスクフォースは、同タスクフォースと障害者の教育を受ける権利に関する地域フラッグシップ作業委員会とは、目標と戦略が同じと考えられるので一つにまとめるべきであると提案した。タスクフォースは更に、合併に伴って同タスクフォースの名称を変更することを提案した。しかしUNESCAP事務局は、合併は、本来制限を受けずに自由な活動をしている同タスクフォースの本質及び組織の両方に影響を及ぼすとして、これを保留した。そしてこの提案をより明確にすることが求められ、次の第11回障害問題作業部会で詳しく検討されることになった。

(b)雇用と貧困緩和

タスクフォースは、同タスクフォースが企画運営し、第10回障害問題作業部会の直前に終了した2つのワークショップ、1)障害者の貧困緩和及び地域に根ざしたリハビリテーション(CBR)に関するワークショップ(2005年7月5日バンコクにて開催)及び2)開かれた可能性:障害者と雇用に関する多国籍企業円卓会議(2005年7月6日バンコクにて開催)について報告した。

CBRワークショップには、政策決定者、CBR医療関係者及び障害者団体の代表者を含む約90名の参加者があった。参加者たちはワークショップの最後に、「障害者の貧困緩和のためのCBR及びその他の地域社会イニシアティブに関する共同声明」を承認した。この声明では、「CBRを進める過程では、地域社会における障害者の権利向上のために、規範となるモデルとピア・サポートとが不可欠かつ効果的であることを鑑み、自助グループを組織することが奨励される。」と述べられている。事務局はワークショップの成果をふまえ、UNESCAP及び中国障害者連盟(CDPF)が、2005年8月16日から18日まで、中国四川省成都にて、地域社会における草の根の障害者自助グループの能力開発に関するフィールド・スタディ及び地域ワークショップを共同で開催することを発表した。

円卓会議には、多国籍企業、障害問題に関する政策決定機関及び障害者団体からおよそ90名が参加した。参加したタスクフォースのメンバーから、円卓会議について参加者の反応や意見が報告された。そして、円卓会議で勧告されたフォローアップ活動として、障害者の雇用に関する好事例を更に数多く集めるために、引き続き参加者の間で対話と意見交換を続けるということ、複数の関係者による似たような会議を国内レベルでも開くということ、「雇用者のための方策マニュアル」を開発すること、そして雇用者の地域ネットワークを結成することがあげられた。

(c) 情報通信技術(ICT)

タスクフォースはこの分野における最近の進展と今後の活動予定について報告した。今後の活動の一つとして非常に重要視されているのは、2005年11月16日から18日までチュニジアのチュニスで開催予定の第2回世界情報社会サミットである。同タスクフォースの議長であるMonthian Buntan氏には、このサミットに参加し、サミットでの討論とその後の成果文書において、障害者の視点をこれまで以上に主流に組み込むことが期待された。

タスクフォースはまた、この分野に関連するBMFの5つの目標の実践推進に関する討議について報告した。同タスクフォースは多くの目標がいまだ達成されていないという見解に立っている。しかし同時に、この地域の多くの国々で現在独自の母国語の手話が開発されたことも確認しており、これはBMF目標19の達成といえるとした。

タスクフォースは、この分野に関連するBMF目標の実施について正確に評価するために、情報及び通信へのアクセスに関する地域調査を実施すべきだという考えを述べた。そしてこの調査結果が、2004年からUNESCAPによって実施されているBMF調査から得られる情報を補足するものになるとした。この提案を受けて、UNESCAPと日本障害者リハビリテーション協会(JSRPD)及び同タスクフォースは同調査を共同で実施することになった。この提案は本会議において満場一致で採択され、以下の要領で実施されることになった。

1.タスクフォースのメンバーが質問票を作成する。

2.UNESCAPが地域の政府/NGOに質問票を配布し、回答はJSRPDに設けられた中心拠点に送られる。

3.JSRPDはデータの分析及び調査報告書の作成に責任を負う。

(d)障害をもつ女性(WWD)

タスクフォースは主に3つのテーマ、すなわち、障害をもつ女性の問題をジェンダー運動の主流に組み込むこと、提案されている障害者の権利に関する国際条約、及びこの分野に関連するBMF目標の実施に関する討議について報告した。

タスクフォースは、女子児童の教育におけるUNICEFのイニシアティブに関してUNICEF代表が発表したことを報告し、障害をもつ女子児童及び女性が、UNICEFの活動に適切に組み込まれるべきであるとの見解を示した。

BMF目標5に関しては、タスクフォースからESIDのThelma Kay部長へ宛てて、障害をもつ女性の問題を、ESIDのジェンダーと開発課が運営する女性の地位向上と男女の共同参画に関する作業部会で採り上げるよう求める公式な文書を送ることが決定した。更に、タスクフォースが、今年後半にパリで開かれる予定のUNICEF会議に対し、障害をもつ女性の視点を採り入れるよう勧告を提出することが決定した。

現在進行中の障害者に関する国際条約策定プロセスについては、タスクフォースは草案文書の中に障害をもつ女性に関する独立した条文を設けるよう強く主張した。

数人のタスクフォースメンバーが、この分野に関連するBMF目標の達成について報告した。たとえばバングラデシュでは、障害者運動団体全国フォーラム(NFOWD)という障害分野におけるNGO連合が、障害をもつ女性を活動の主流に組み込むという方針をとっており、それを適切に実践し続けている。また、1995年に制定された中国の香港における障害者差別禁止条例は、障害をもつ女性についてもカバーしており、同法には十分な法的強制力がある。タスクフォースは、障害をもつ女性に関する非差別政策の制定というBMF目標3は、既に中国の香港では達成されていると考えている。

(e)自助団体(SHO)

今回初めてサモア及びソロモン諸島の代表が会議に参加し、それぞれの国における最近の事情について報告した。ソロモン諸島では障害に関する国内政策(2005年から2010年まで)の草案作成が終了し、関連法案の草案作成が開始されたと伝えられた。

タスクフォースは、自助団体(SHO)に関するBMFの優先領域1の目標の実施について検討した。UNESCAP事務局は、2006年に予定されているBMFに関する地域ワークショップでは特にこの分野に焦点を当てることになっていると伝えた。

(f)提案されている障害者に関する国際条約

タスクフォースはまず今後UNESCAPによる開催が予定されている2つの条約会議について報告した。それは、障害者の権利及び尊厳の促進及び保護に関する国際条約にむけての第5回特別委員会地域フォローアップ及び第6回同特別委員会準備ワークショップ(2005年7月26日-27日バンコクにて開催)と、第6回特別委員会開催中に開かれる国際協力に関するサイド・イベント(2005年8月11日)である。

タスクフォースは第5回特別委員会における進展と第6回特別委員会で予定されている討議内容について報告した。第7条から15条までについての政府間折衝は終了したので、第6回特別委員会では、第16条から第25条までについての折衝が行われる予定である。タスクフォースは更に、条約草案の作成が終了する時期と、国連の組織改革が草案の内容に与える影響に関して不安が広がっていると報告した。

(g)紛争終結後の国々

今回タスクフォース会議は開かれなかったが、東チモールの障害者団体(NGO)であるKATILOSAのLaurentino Guterres氏が同国の国内政策に関する最近の事情について発表した(プレゼンテーションのコピーは付録IIIを参照のこと)。本会議では、USAIDの資金援助を受けたコンサルタントの助けを借り、また同国の複数の政府機関、市民社会団体及び13地域すべてから代表として選出された障害者との協議の上で、政策の開発が行われたことが報告された。この過程に参加した障害者は全参加者の40パーセント以上を占めていた。政策の草案は承認を得るため、現在内閣諮問委員会に提出されている。

5. 貧困緩和のための地域に根ざしたリハビリテーション(CBR)に関するワークショップ(2005年7月5日バンコクにて開催)、及びUNESCAPとILOの共催による、障害者と雇用に関する多国籍企業円卓会議(2005年7月6日バンコクにて開催)の報告

雇用と貧困緩和タスクフォースによる報告に引き続き、本会議参加者が更に2つのワークショップの内容とフォローアップ活動に関して情報と意見の交換を行った。本会議は2つの会議がともに成功したとの見解を示した。

6.BMF中間年評価に関する政府間会合(2007年UNESCAP主催)において採択する、「びわこプラス5年:後半5年(2008年-2012年)のより前向きな実践のための戦略」の作成プロセスの提案

事務局は、BMF中間年評価に関する政府間会合(2007年)において採択する、「びわこプラス5年:後半5年のより前向きな実践のための戦略」の作成プロセスの提案を行った(プレゼンテーションのコピーについては付録IVを参照のこと)。

まず事務局は2007年に予定されている3日間のハイレベル政府間会合の重要性を繰り返した。2005年5月18日のUNESCAP決議61/8で決定されたこの会合は、後半5年の戦略を策定する折り返し点となるであろう。その後、事務局はTWG-DCの参加者たちに、オンラインでの同戦略の草案作成プロセスと、今後2007年までの間に実施されるであろう数々の再評価プロセスに積極的に関与することを提案した。事務局は、参加者がブレーンストーミングできるよう、準備してあった一連の重要課題を記載した文書を発表した。また、同戦略の特定の局面に取り組む4つの作業部会の結成があわせて勧告された。

本会議は満場一致で、提案された作成プロセスと作業部会の結成を承認した。既に本会議の参加者数名が作業部会のメンバーとして名乗りを上げた。UNESCAP事務局はこの同意事項について、TWG-DCの全メンバーにオンラインで連絡し、作業部会のメンバーを広く募り、2005年10月19日から21日まで開催される、次回の障害問題に関する国内行動計画に関する地域ワークショップにおいて、最初の検討を行うよう奨励することになった。

7.2005年に予定されているAPDF総会とTWG-DC第11回部会について

APDFの代表として、ディスアビリティ・オーストラリアのGraham Smith氏が2005 年11月にオーストラリアのメルボルンで開催予定のAPDF第2回総会について、最 新の計画を紹介した。

報告によれば、19日から21日にAPDFの総会が開かれる予定である。TWG-DC第11 回タクス・フォース会議は、総会の議事日程に組み込まれることになっており、TWG-DC 第11回本会議は2005年11月22日に行なわれることになっている。

5で前述の通り、TWG-DCの参加者は総会の後に、議題の一部にBMF再評価と 修正の会議を加えることに合意した。

8.その他

アジア太平洋障害フォーラム(APDF)の代表として、J.B.Munro氏が、APDF第2回総会に関し、最近の進捗状況を報告した。Munro氏によれば、同総会は様々な政府機関と、ディスアビリティ・オーストラリアなどのNGOの支援を受け、2006年6月24日から27日までオーストラリアのメルボルンで開かれる予定である。この会議はTWG-DC本会議と同時に開催される。

今後2005年の間はTWG-DCの本会議は開催しないということが発表され、承認された。したがって、次の第11回TWG-DC本会議は、オーストラリアにおいて上記総会とともに開催されることとなる。