音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

「変革の担い手:「BMFプラス5」にむけて、障害者の自助団体、家族・親の会、女性障害者の自助団体に関するワークショップ」での「BMFプラス5」作業経過報告

富士 海
(財)日本障害者リハビリテーション協会 情報センター

日時:2006年10月18日-20日

開催地:タイ バンコック 国連国際会議場

「BMFプラス5」採択へのプロセスの一環としてワークショップを開催

ワークショップ会場の前、国連加盟国各国の国旗が掲げられている。

国連ESCAPは2006年10月18日-20日タイ、バンコック国連国際会議場において「変革の担い手:「BMFプラス5」にむけて、障害者の自助団体、家族・親の会、女性障害者の自助団体に関するワークショップ」を開催し、アジア・太平洋域内の障害者関係NGO、政府関係者および国際機関の関係者が集まった。同ワークショップでは2007年9月に採択予定の「BMFプラス5」(びわこミレニアム・フレームワーク後半5年の戦略文書)作成のプロセスに焦点をしぼり報告をする。

「BMFプラス5」は、アジア太平洋地域内の障害者に関わる政策課題を示している「びわこミレニアム・フレームワーク」(BMF)を補足する文書として、2007年9月に国連ハイレベル政府間会合で採択される予定である。本ワークショップでは、BMFに定められ解決が急がれる優先7領域のうちの2領域 (障害者の自助団体、家族・親の会)(女性障害者)の5つの目標について各国のBMF実践状況報告および討議が行われた。 期待された「BMFプラス5」に含める文章についての具体的な討議は次の場へ持ち越された。

「BMFプラス5」文書作成プロセスの日程

ワークショップ会場の前、国連加盟国各国の国旗が掲げられている。

ESCAPハイレベル政府間会合までの文書作りのプロセスについて、大崎敬子国連アジア太平洋社会経済委員会 人口・社会統合課 課長より説明があった。ESCAPは、文書作りプロセスの一貫として「第2回BMFの実践に関するアンケート調査(2006-7年実施)」への自助団体、家族、親の会、女性障害者への積極的協力を要請した。日程は以下の通りである。

「BMFプラス5」文書作成プロセス日程

  • 2006年11月~翌年1月アンケート調査実施
  • 2007年2月 ESCAP専門家会議・第二回BMF関係者調整会議
  • 2007年5月BMFプラス5初稿(各国政府レベルでの検討用)
  • 2007年7月BMFプラス5草案
  • 2007年9月 ESCAPハイレベル政府間会合でBMFプラス5採択

アンケートはESCAPから域内の各国政府と国際NGOに配布され、BMFの実践を評価し「BMFプラス5」文書作りに役立てられる予定である。アンケート調査実施方法に関して、会議参加者より非英語圏に対しては調査票を英語から各言語に翻訳すること、知的障害者には絵やマンガを入れるなど簡易版調査票を用意してほしいなどの要望が出された。ESCAPは、調査のためにESCAPのホームページの中に調査用の特別ページを用意すると発表した。

アンケート調査
「アジア太平洋障害者のための、インクルーシブで、バリアフリーな、かつ権利に基づく社会に向けた行動のための、びわこミレニアム・フレームワーク(BMF)」の実施中間評価に関するアンケート

尚、ESCAPは2004年にもBMFの実践に関する1回目のアンケート調査「びわこモニタリング」(2004年)を実施している。アンケート調査についての報告はびわこモニタリングの取り組みで報告されている。
日本障害者リハビリテーション協会は、BMFの定める優先領域f.(情報通信技術及び支援技術を含む情報と通信へのアクセス)でのBMFの実践に関してESCAPの調査のICT分野を補完する目的で調査を現在実施している。アンケート用紙や詳細は・アジア・太平洋地域における障害者のICT調査で入手可能である。
「BMFプラス5」の文書作成プロセスは進行中であり、政府だけでなくNGOからも積極的にインプットすることが望まれる。そして、ESCAP専門家会議・第二回BMF関係者調整会議に参加することが求められている。

本ワークショップの共同声明

障害者の自助団体に関する議論は多岐にわたり、その結果は「びわこミレニアム・フレームワークおよび障害者の権利条約促進のための変革の担い手に関する共同声明」としてワークショップ最終日に採択された。主な内容は国連障害者権利条約が採択されたことを確認し、各国での批准促進を支持すること、開発援助機関は障害を開発に含めることを奨励する、障害統計の必要性、農村部と都市部の自助団体との連携の必要性などである。

(英語)WorldEnable 「びわこミレニアム・フレームワークおよび障害者の権利条約促進のための変革の担い手に関する共同声明」
http://www.worldenable.net/agents2006/jointstatement.htm

障害者の自助団体に関する議論は多岐にわたり、その結果は「びわこミレニアム・フレームワークおよび障害者の権利条約促進のための変革の担い手に関する共同声明」としてワークショップ最終日に採択された。主な内容は国連障害者権利条約が採択されたことを確認し、各国での批准促進を支持すること、開発援助機関は障害を開発に含めることを奨励する、障害統計の必要性、農村部と都市部の自助団体との連携の必要性などである。

DINFではアンケート等の日本語訳、ESCAP専門家会議・第二回BMF関係者調整会議などの日程などの情報を随時掲載していく。「BMFプラス5」文書作りにより多くの障害当事者の声を反映するためには調査票の各国言語への翻訳の実現、各国のESCAPへの協力が不可欠である。今回のワークショップの詳しい日程や配布資料等は下記WorldEnableホームページより入手可能。

(英語)WorldEnable「変革の担い手:「BMFプラス5」にむけて、障害者の自助団体、家族・親の会、女性障害者の自助団体に関するワークショップ」
http://www.worldenable.net/agents2006/Default.htm

参考資料:BMF優先領域a) b)の5つの目標(びわこミレニアム・フレームワーク)

びわこミレニアム・フレームワークからの抜粋

a)障害者の自助団体および家族・親の会における目標

  • 目標1:各国政府、国際融資機関、そして非政府組織(NGO)は、2004年までに、すべての分野の障害者自助団体の結成と発展を推進するため、特 にスラム街や農村に住む人々に焦点を当て、適切な資源配分措置を伴った政策を採用するものとする。また、政府は2005年までに、地方レベルにおける親の 会の設立を保障するため方策を策定し、2010年までには国レベルの連合組織を結成するものとする。
  • 目標2:各国政府と市民社会組織は2005年までに、障害者の生活に直接、あるいは間接的に影響を与えるような計画の策定と実施に関する意思決定過程に、障害者団体を完全に組み入れるものとする。

b)女性障害者における目標

  • 目標3:政府は2005年までに、必要とされる分野において女性障害者の権利を守る反差別施策をとるものとする。
  • 目標4:各国の障害者自助団体は、2005年までに、組織の運営、研修・訓練、主張活動を含む諸活動への女性障害者の完全参加と平等な代表権を促進する方針を採用するものとする。
  • 目標5:障害をもつ女性が2005年までに国の主要な一般女性団体に含まれるものとする。