布の絵本からのメッセージ
~人権・環境・平和の実現を ひと針に託して~
A すべての子どもに ことば(母語)の喜びを!
資料①
(1)人間育ちの原点を確認
- 人間の特徴 ~ 脳(思考) 手(作る 創る) 心(感情 感性)
- ことばかけ・子守唄・わらべ唄=対面育児の回復、家族の会話を豊かに。
- 優しさの世界 「手づくり布の絵本」
(2)言語の世界と読書
- 「聞く」 「話す」・・・音声言語=言語の土台づくり~「読み聞かせ時代」
- 「読む」 「書く」・・・文字言語=言語のビル建設~「活字読書」
(3) 絵本は「心の栄養」 (体の栄養=食事)
心の三大栄養素
- 自然とのふれあい~直接体験
- 人とのふれあい~直接体験
- 絵本とのふれあい~間接体験
B 0歳児と絵本の出会い (二つの全国運動とIFLA乳幼児へのガイド)
(1)ブックスタート (NPOブックスタート 2000年~)
(2)健やか親子21運動 「絵本と出会う・親子ふれ会い事業」(厚生労働省2001年~) (1)(2)の詳細は「ことばの喜び・絵本の力」(P154~)
(3)IFLA「乳幼児への図書館サービス ガイドライン」 IFLAダーバン大会発表2007 日本図書館協会 児童青少年委員会 訳 2009・6 発行
- 乳児:生後12ヶ月までのこども
- 幼児:12ヶ月から3歳までの子ども(P8)
- 乳児用の絵本は、さわる絵本など、さまざまな種類の布でできているものが望まれる(P14)
- 参考資料:ユニセフ「世界子供白書」2001 「幼い子どものケア」(出生から3歳まで)
C 布の絵本の役割 視点「子どもの権利条約」 「児童憲章」 「読書推進法」
資料②
- 布の絵本とは 「絵本+遊具・教具性」をもつ布製の手づくり絵本である。
- 絵の部分の具体物が、粘着テープ、ボタン、スナップなどで着脱ができる。
(1)布の絵本を使う子どもたちの側面から(生まれた地域で育ち・学び・生きる権利あり)
① 「ことば・母語を促す」 聞く力を育み、母語の音声のひびきを楽しみながら、ことばの獲得とコミュニケーションの喜びを身につける。
② 「物の認識」 衣・食・住を中心に、日常生活に必要な物の名前、動作のことばと意味を知る。
③ 「色、形、数の認識」 コミュニケーションに必要な情報の獲得
④ 「ことばを話す」獲得したことばから日常会話ができるようになり、やがて印刷絵本の世界へ
⑤ 「着脱衣の練習」を楽しみながら促す。ボタンはめ、スナップ止め、ファスナー、紐むすび等、自立に必要な着脱の基本が育つ=生きる自信・希望に。
⑥ 「布の絵本の遊具性」 繰り返し遊びながら子どもの「自発性、主体性、集中力、観察力」等々が発揮され、結果において、どんな子にも自立に必要な「作動能力」や「言語能力」を身につけることができる。
(2)布の絵本の作り手たちの側面から(21世紀に求められる 新しいボランテイア活動)
① 大量生産、大量消費、大量廃棄の時代に「手づくり」という人間ならではの基本の営みを回復。
② 布の絵本ボランティアを通して「社会参加」の喜び=高齢化社会での人生充実。
③ 地域コミュニケーション喪失の現代、新しい「人間関係の回復」の場に。
④ リサイクルによる作品制作は、「環境問題」を意識した創造の喜びに。
⑤ 子どもたちへの布の絵本制作は、ひと針に心こめた「次世代育成」の活動。
⑥ 布の絵本の「普及のために」、図書館の制作ボランティア活動のみならず、講師活動も同時進行(子育て支援センター、高齢者施設、小中高学校教育・クラブ活動、働く女性の講習会など、さらには海外でのワークショップも)
(3)図書館・地域の視点から
- 公共図書館にとっては名実ともに「すべての子どもへの図書館サービス」実現。 障害のあるなしに関係なく、すべての0歳児からの利用可能な図書館として。在住外国の子ども達の母語・日本語獲得のためにも布の絵本は機能する。
- 図書館利用者の「心のバリアフリー」実現のために。
(4)現代社会の視点から
人権・環境・平和の実現は、一人一人のひと針の行動から。
(5)これからの課題、問題提起~手づくり制作者は、従来のボランテイアに+刑務所内の作業所に布の絵本制作を。布の優しさは受刑者の社会復帰のためにも。
東京布の絵本連絡会 渡辺順子