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「国立国会図書館法の一部を改正する法律」に伴う著作権法改正について

1.はじめに

 「国立国会図書館法の一部を改正する法律」が,第171回通常国会において,平成21年7月3日に成立し,同年7月10日に平成21年法律第73号として公布されました。同法では,附則において,著作権法について必要な規定の整備が行われています。同法の施行日は,平成22年4月1日です。

 以下,国立国会図書館法の一部改正及び著作権法の一部改正の内容について概要をご紹介します。

2.国立国会図書館法の一部改正について

 国,地方公共団体,独立行政法人等の提供するインターネット資料がこれらの機関による国民への情報伝達の手段として主要な地位を占めるに至っている状況にかんがみ,国立国会図書館が図書館資料の収集をより一層適正に行うため,これらのインターネット資料を収集するための制度が設けられました。

○ インターネット資料の記録による収集

[1] 記録による収集(第25条の3第1項)
 国立国会図書館の館長(以下「館長」という。)は,公用に供するため,国,地方公共団体,独立行政法人等の国立国会図書館法第24条及び第24条の2に規定する者(以下「国等」という。)が公衆に利用可能とし,又は当該者がインターネットを通じて提供する役務により公衆に利用可能とされたインターネット資料(※)を,国立国会図書館の使用に係る記録媒体に記録することにより,国立国会図書館の収集資料として収集することができることになりました。

※ 電子的方法,磁気的方法その他の人の知覚によっては認識することができない方法により記録された文字,映像,音又はプログラムであって,インターネットを通じて公衆に利用可能とされたもの

[2] 記録を適切に行うために必要な手段(第25条の3第2項)
 国等は,自らが公衆に利用可能とし,又は自らがインターネットを通じて提供する役務により公衆に利用可能とされているインターネット資料について,館長の定めるところにより,館長が[1]の記録を適切に行うために必要な手段を講じなければならないことになりました。

[3] 国立国会図書館への提供(送信又は送付)(第25条の3第3項)
 館長は,国等に対し,当該者が公衆に利用可能とし,又は当該者がインターネットを通じて提供する役務により公衆に利用可能とされたインターネット資料のうち,[1]の目的を達成するため特に必要があるものとして館長が定めるものに該当するものについて,国立国会図書館に提供するよう求めることができることになりました。この場合において,当該者は,その求めに応じなければならないことになりました。

[4] 適用除外(第25条の3第2項括弧書)
 インターネット資料の性質及びインターネット資料が公衆に利用可能とされた目的にかんがみ,[1]の目的の達成に支障がないと認められるものとして館長が定めるインターネット資料は,[2]及び[3]の対象となるインターネット資料から除くことになりました。

3.著作権法の一部改正について

 2.で記載した国立国会図書館法の一部改正により,国立国会図書館が国等のインターネット資料についても収集できることになったことから,その円滑な収集を図るため,著作権法について,新たに複製権の制限規定として第42条の3を設けるなど必要な規定の整備が行われました。

(1)国立国会図書館法によるインターネット資料の収集のための複製(第42条の3)
[1]  第42条の3第1項において,館長は,2.[1]により,インターネット資料を収集するために必要と認められる限度において,当該インターネット資料に係る著作物を国立国会図書館の使用に係る記録媒体に記録することができることになりました。  具体的な事例としては,(a)館長がインターネットから直接資料を収集する際に行われる記録及び(b)館長が,国立国会図書館法第25条の3第3項に基づき国等から(送信又は送付により)提供を受けたインターネット資料を用いて行われる国立国会図書館の記録媒体への記録が想定されます。

[2]  同条第2項において,国等は,2.[3]の求めに応じインターネット資料を提供するために必要と認められる限度において,当該インターネット資料に係る著作物を複製することができることになりました。  送信又は送付により提供されるインターネット資料については,提供機関が著作権を有する場合には問題ありませんが,他の者が著作権を有する場合には複製について許諾を得る必要があることから,[1]と同様に,複製権を制限することになりました。

(2)複製物の目的外使用等(第49条)
 第49条において,第42条の3第2項に定める目的以外の目的のために,(1)[2]により作成された著作物の複製物を公衆に頒布し,又は当該複製物によって当該著作物を公衆に提示した場合は,第21条の複製を行ったものとみなすことになりました。

(3)著作隣接権の制限(第102条)
 第102条において,(1)[1]及び(1)[2]の規定を著作隣接権に準用することになりました。  国立国会図書館が収集する資料については,著作隣接権者である実演家の録音権及び録画権,レコード製作者,放送事業者又は有線放送事業者の複製権が働くものが含まれることから,著作権と同様に著作隣接権についても制限することが必要なためです。

(参考資料)


本コンテンツは、文化庁長官官房著作権課の許諾を得て、下記より全文を転載しています。

「国立国会図書館法の一部を改正する法律」に伴う著作権法改正について
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/kokkai_toshokan.html