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2011年2月26日付の世界盲人連合(WBU)による声明に対するDAISYコンソーシアムの声明

2011年3月10日

出典:
DAISY Consortium(http://www.daisy.org/
DAISY Consortium News Release

WIPOステークホルダー・プラットフォームおよびTIGARプロジェクトへの参加を一時停止するとのWBUの発表を受け、DAISYコンソーシアム理事会は、著作物のアクセシブル版の国境を越えた貸借に関する問題を解決するための拘束力のある法的枠組みを、同コンソーシアムが全面的に支援することを明確にしたい。拘束力のある法的枠組みを通じてのみ、世界各地の印刷物を読むことに障害のある人々に影響を与える書籍の不足を、持続可能な、かつ費用対効果の高い方法で解決することができる。

DAISYコンソーシアムは各国政府に対し、国連障害者権利条約にもとづく義務を果たすために必要な拘束力のある法的枠組みに迅速に同意するよう、各国のWIPO代表に指示することを強く求める。

一部の政府は、使用許諾あるいは通知の枠組みにより、十分この問題に対処できると考えている。しかし、多くの極めて重要な出版物は使用許諾契約の対象となっておらず、許容できない配信の遅れや追加費用が生じてしまう可能性もある。「平等なアクセス」とは、同時に、かつ、追加費用を負担することなく、出版物へアクセスすることを意味する。2年間の交渉の後も、拘束力のある法的枠組みの実現には程遠い状態である。

DAISYコンソーシアムは、著作権所有者の正当な権利の支持に全力を尽くす。同時に、各国政府による、国連障害者権利条約並びに国内平等法にもとづくアクセスの平等の義務を果たすための取り組みも支援していく。DAISYコンソーシアムは、ステークホルダー・プラットフォームおよびTIGARプロジェクトの活動が、国際的な著作権例外規定を確立する取り組みを損なおうとするものではないと理解し、これを信じて、これらに参加した。

DAISYコンソーシアムは、ステークホルダー・プラットフォームおよびTIGARプロジェクトが継続される場合、これらへの参加を継続する。DAISYコンソーシアムの取り組みは、条約の支持と、アクセシブルな出版物の国境を越えた安全かつ効果的な共有の促進に必要な、実践的なインフラストラクチャーに焦点を絞ったものとなるであろう。

DAISYコンソーシアムは、WIPO加盟国政府に対し、国際的な例外規定に関して速やかに合意に達するよう主張し続ける。そして、ステークホルダー・プラットフォームおよびTIGARプロジェクトに対し、国際的な著作権例外規定に関する決議が終了するまで、WBUの空席を保留することを謹んで勧告する。さらに、TIGARプロジェクト内で提案されている使用許諾契約について、権利所有者と印刷物を読むことに障害のある人々を支援している組織の両者にとって容認可能なものとするため、再協議を行うことも勧告する。

書籍の不足には終止符が打たれなければならない。DAISYコンソーシアムは、今後も出版業界、各国政府および印刷物を読むことに障害のある人々による組織、あるいはこのような人々のための組織と連携し続ける。DAISYコンソーシアムは、商業用デジタル出版業界で使用されているEPUB規格などの国際標準規格の開発を先頭に立って支援してきた。DAISYコンソーシアムは、EPUBのようなアクセシブルな出版規格が、障害のある多くの人々のニーズを満たすものと全面的に期待している。しかし、アクセシブルな出版物の国境を越えた貸借を支援する例外規定は、そのような市場から恩恵を受けることのできない人々の非常に特殊なニーズを解決するために必要なのである。