マラケシュ条約の批准に向けたカナダの動向
情報へのアクセス改善:カナダによるリーダーシップ
出典:
The DAISY PLANET
2015年6月号 DAISYコンソーシアム ニュースレター
Improving Access to Information: Canada's Leadership
http://www.daisy.org/planet-2015-06
情報へのアクセス改善:カナダによるリーダーシップ
現在、約100万のカナダ人が、全盲や弱視などのプリントディスアビリティを持ちながら暮らしている。また、一部のカナダ人は、運動面の問題から、ページをめくったりカーソルを合わせたりすることができない。これらのカナダ人にとって、アクセシブルで利用しやすい教科書やオンライン情報などの資料の入手が難しい場合がある。
ジェームズ・ムアー(James Moore)産業大臣は、つい先日、プリントディスアビリティを持ちながら暮らしている人々に不可欠な形式の印刷物へのアクセスを拡大する新たな法案を、カナダ議会に提出した。この「プリントディスアビリティのあるカナダ人支援法(The Support for Canadians with Print Disabilities Act)」により、視覚障害者等の発行された著作物へのアクセスを促進するためのマラケシュ条約に、カナダが加盟できるようになる。さらに詳しい情報は、 公式なプレスリリースに掲載されている。
この法律により、カナダはG7諸国で初めてマラケシュ条約を実施できる国の1つとなる。
また、この措置は、プリントディスアビリティのあるカナダ人のさまざまな集団に、以下のような恩恵をもたらすものとなる。
- 学生:印刷物へのアクセスの改善。研究継続の支援。
- 高齢者:視覚障害の率が最も高いこの集団の、読み物へのアクセスの改善と、生活の質を維持する機会の増加。
- 少数派言語集団出身のカナダ人:さまざまな言語による図書へのアクセスの改善。
プリントディスアビリティのあるカナダ人を対象とした活動をしている学校、図書館および慈善団体は、アクセシブルな作品を重複して製作することが減るという恩恵を受ける。
これまでに8カ国がマラケシュ条約を批准した。条約の発効には、20カ国による批准が必要である。
参考文献および情報
カナダ政府ウェブサイト上の早わかり情報(Quick facts)および引用(Quotes)
上記サイトより引用:
「このたびカナダが重要なリーダーシップを発揮してくれたことを、世界盲人連合を代表して祝福したい。カナダは、マラケシュ条約に対するこのようなコミットメントを掲げ、最初の主要な条約批准国の1つとなり、世界中の国々を後押しする重大な一歩を踏み出すであろう。これは、全盲および弱視の人々の本不足(book famine)を終結させる重要な一歩である。」―世界盲人連合 ペニー・ハーティン(Penny Hartin)会長
- カナダ全国盲人協会(CNIB)ダイアン・バージェロン(Diane Bergeron)へのインタビュー音声「新たな条約は視覚障害のある人の読書量増加をどのように支援できるか」〔カナダ放送協会(CBC)〕
- 動画および記事: 「盲人に図書を提供するための条約にカナダが署名」〔オタワ・シチズン(Ottawa Citizen)〕
- 「世界知的所有権機関(WIPO)マラケシュ条約、2016年初頭までに発効か? 今や、国際連合のより大きなプロセスの一部に」〔IPウォッチ〕
ヴァージュ・ルシーノ(Varju Luceno)による記事