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読む権利同盟(Reading Rights Coalition)、誰もが電子書籍を利用できるよう、著作者に許諾を要請

2009年3月30日
即時発表用
問合せ先:
全米盲人連合(National Federation of the Blind)
広報部長(Director of Public Relations)
クリス・ダニエルセン(Chris Danielsen)
(410)659-9314 内線2330
(410)262-1281(携帯電話)
cdanielsen@nfb.org

読む権利同盟(Reading Rights Coalition)、誰もが電子書籍を利用できるよう、著作者に許諾を要請

作家協会(Authors Guild)本部にて啓蒙のための抗議行動実施へ

 ニューヨーク市(New York City)(2009年3月30日):印刷字を読めない障害がある人々を代表する読む権利同盟(Reading Rights Coalition)は、アマゾン社(Amazon)のKindle 2用電子書籍からのテキスト読み上げ機能削除の危機に反対し、ニューヨーク市(New York City)31East 32nd Streetの作家協会(Authors Guild)本部前で、2009年4月7日12時から午後2時まで抗議行動を実施する。同同盟には、視覚障害者、ディスレクシアの人々、学習あるいは処理の問題を抱える人々、失明した高齢者、脊髄損傷者、脳卒中から回復しつつある人々、そしてその他の多くの人々が参加しており、その誰もが、Kindle 2へのテキスト読み上げ機能の追加によって初めて、255,000冊を超える書籍への、容易かつ主流のアクセスを約束される。

 アマゾン社(Amazon)は、2009年2月9日にKindle 2電子書籍リーダーを発売した際、この機器で、テキスト読み上げ技術を使用して電子書籍を読むことができると発表した。しかし作家協会(Authors Guild)からの圧力を受け、同社はさらに、Kindle 2で利用できる電子書籍のいずれか、あるいはすべてについて、テキスト読み上げ機能を無効にする権限を、著作者と出版社に与えると発表した。

 全米盲人連合(National Federation of the Blind)代表のマーク・マウラー(Marc Maurer)博士は、次のように語った。「視覚障害者と印刷字を読めない障害がある人々は、長年、情報にアクセスし、これを読みとるために、テキスト読み上げ技術を活用してきました。技術が進歩し、ますます多くの書籍がハードコピーの印刷物から電子フォーマットへと移行するにつれて、印刷字を読めない障害がある人々は、歴史上初めて、印刷字を読める人々と対等に書籍を利用し楽しむ機会を手に入れました。Kindle 2用電子書籍のテキスト読み上げ機能を無効とする選択を行う著作者と出版社は、視覚障害者やその他の印刷字を読めない障害がある人々が、これらの電子書籍を読めないようにしてしまうのです。これは明らかに差別であり、私たちはこれを認めません。」

 高等教育と障害者協会(AHEAD)のマイク・シャッティック(Mike Shuttic)会長は述べた。「AHEADは、障害を尊重し、機会均等を具体化する教育的・社会的環境を理想としています。このAHEADのビジョンは、この同盟の取り組みと直接つながっています。現在直面する可能性のある障害や問題について、多くの発言がなされていますが、基本的な目標は、明確かつシンプルです。それは、すべての人のためのアクセスということです。ではなぜ、それを妨げるものを作るのでしょうか?」

 米国盲人委員会(American Council of the Blind)のミッチ・ポメランツ(Mitch Pomerantz)委員長は、こう語った。「テキスト読み上げ機能の削除は、何万人もの視覚障害者が、通常の印刷出版物を利用できるようにする革新的な技術解決策への扉を閉ざすものです。」

 アメリカ障害者協会(American Association of People with Disabilities : AAPD)のアンドリュー・インパラート(Andrew Imparato)会長兼CEOは述べた。「技術機器があらゆる障害者を締め出すというのは、言語道断です。AAPDは、技術におけるアクセシビリティとユーザビリティを阻むバリアの撤廃に取り組んでおり、障害者だけがアクセスのために余計な費用を負担しなければならない状況は望んでいません。電子書籍のような新技術は、障害の有無にかかわらず、すべての人が利用できるようにしなければなりません。」

 アメリカ盲人協会(American Foundation for the Blind)のポール・シュレーダー(Paul Shroeder)プログラム・政策担当副会長は、次のように語った。「印刷字を読めない障害がある私たちは、他のすべての人と同時に書籍とメディアを利用できる世界を、長いこと夢見てきました。Kindle 2は、初めてその可能性を与えてくれました。テキスト読み上げ機能は、印刷物にアクセスするための単なる代替手段であるということを、出版社と著作者の皆様にはご理解いただけますよう、お願い申し上げます。」

 シラキュース大学バートン・ブラット研究所(Burton Blatt Institute at Syracuse University)所長で大学教授のピーター・ブランク(Peter Blanck)博士は次のように述べた。「電子書籍が常識になると、ユニバーサルなアクセスの否定により、さらに多くの障害者が、教育、雇用、そして社会的な会話から外されていくことになります。私たちの社会に大きな影響をおよぼす議論に、このような人たちの参加や協力がなければ、私たち全員が困ることになるでしょう。」

 DAISY(デジタルアクセシブル情報システム)コンソーシアムのジョージ・カーシャ(George Kerscher)は語った。「DAISYコンソーシアムは、印刷字を読めない障害がある人々が、余計な時間や費用をかけることなく、情報や知識に平等にアクセスすることができる世界を理想としています。著作者や出版社の皆様にも、このビジョンをしっかりと共有していただかなければなりません。人権問題が語られ、売上増加の可能性が明らかとなった今、作家協会(Authors Guild)の皆様には、テキスト読み上げ機能に関する見解を改め、あらゆる人に読書の世界を開くよう、すべての出版社および読み上げ技術開発者に対し、私たちとともに積極的に働きかけていくことを、強くお願い申し上げます。著作者の皆さん、私たちと一緒にデモに参加してください。」

 IDEALグループ(IDEAL Group Inc.)のスティーヴ・ジェイコブズ(Steve Jacobs)社長は、述べた。「テキスト読み上げ機能は、視覚障害者にとって重要なだけでなく、効果的に学ぶためにこの機能に頼っている何百万人もの若い人たちに、質の高い教育を提供する上でも非常に重要です。これには、眼だけで情報を得る能力に影響をおよぼす、自閉症、学習障害、運動障害および認知障害のある生徒が含まれます。私は、作家協会(Authors Guild)の才能ある方々が、電子書籍のテキスト読み上げ機能の削除によって起こりうる悪影響を理解し、考え直してくださることを願い続けます。」

 インターネット国際障害者問題解決センター(International Center for Disability Resources on the Internet : ICDRI)のシンシア・D・ワデル(Cynthia D. Waddell)所長は言った。「ICDRIの使命は、電子情報技術におけるバリアの撤廃と、平等なアクセスの促進を支援することです。Kindle 2のテキスト読み上げ機能は、歴史上初めて、書籍への主流のアクセスを拡大するものであり、ICDRIではこれを歓迎します。ICDRIは、作家協会(Authors Guild)がなぜこれを削除するよう要求しているのか、疑問に感じております。なぜなら、テキスト読み上げ機能が元通りに搭載されれば、さらに多くの書籍が売れることになるからです。この機能は障害者のためになるだけでなく、英語が母国語ではない人々にとっても役立ちます。モバイル化がますます進む社会において、コンテンツへのアクセスの柔軟性は、すべての人の生活の質を向上させます。」

 ナレッジ・エコロジー・インターナショナル(Knowledge Ecology International)のジェイムズ・ラヴ(James Love)代表はこう語った。「誰もが目が見えるわけではないことを十分理解した上で、作家協会(Authors Guild)は、見てもらう権利は求めていますが、聞いてもらう権利は求めていないのです。アマゾン社(Amazon)にKindle 2の技術を変更することをいじめっ子のように迫れば、作家協会(Authors Guild)は、障害者のアクセスを拒否したり、障害者の経済的な負担を増やしたりすることになるでしょう。そしてこのような方法で障害者を攻撃することにより、作家協会(Authors Guild)は、ともすれば障害者コミュニティがもたらすことができる貢献から利益を得られるすべての人々を攻撃しているのだといえます。」

 全米学習障害センター(National Center for Learning Disabilities)の ジェイムズ・H・ウェンドルフ(James H. Wendorf)所長は語った。「文字で書かれた言葉へのアクセスは、教育と民主主義の基礎を成すものです。新技術は障害者の邪魔をするのではなく、障害者のために役立てられなければなりません。家庭と学校、そして最終的にはこの国の経済の行方が、過去の差別的な慣習や信条ではない、未来に向けた支援にかかっているのです。」

 Kindle 2は現在、視覚障害があるユーザーにとってアクセシブルではないが、アマゾン社(Amazon)は最近になってKindle 2 のブログを通じ、この機器のナビゲーション機能を視覚障害者にアクセシブルにするよう取り組んでいるところであると発表した。

 同連盟の参加団体は以下の通り:アメリカ障害者協会(American Association of People with Disabilities)、米国盲人委員会(American Council of the Blind)、アメリカ盲人協会(American Foundation for the Blind)、高等教育と障害者協会(Association on Higher Education and Disability)、バゼロン精神保健法センター(Bazelon Center for Mental Health Law)、バートン・ブラット研究所(Burton Blatt Institute)、DAISY(デジタルアクセシブル情報システム)コンソーシアム(DAISY Consortium)、障害のある人の権利教育・援護基金(Disability Rights Education and Defense Fund: DREDF)、IDEALグループ(IDEAL Group Inc.)、インターネット国際障害者問題解決センター(International Center for Disability Resources on the Internet)、国際ディスレクシア協会(International Dyslexia Association)、国際ディスレクシア協会ニューヨーク支部、ナレッジ・エコロジー・インターナショナル(Knowledge Ecology International)、米国学習障害協会(Learning Disabilities Association of America)、全米学習障害センター(National Center for Learning Disabilities)、全米障害者権利ネットワーク(National Disability Rights Network)、全米盲人連合(National Federation of the Blind)、NISH、および全米脊髄損傷協会(National Spinal Cord Injury Association)

 4月7日のニューヨーク市(New York City)における抗議行動に加え、同同盟では、4月25日・26日のロサンゼルスタイムズ・ブックフェスティバル(Los Angeles Times Festival of Books)にも参加を予定している。