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スティービー・ワンダー氏、書物への全盲の人々および視覚障害のある人々によるアクセスを高める画期的なWIPO条約を称賛

マラケシュ/ジュネーブ
2013年6月28日
PR/22013/742

音楽界の巨匠スティービー・ワンダー氏はこの日、マラケシュ条約採択にかかわった国際条約交渉担当者らを祝福した。(写真:WIPO/ベロッド)

動画(*WIPOサイト内の動画へのリンク)
http://www.wipo.int/export/sites/www/multimedia/en/dc2013/marrakesh_stevie_wonder_speech.swf
文字起こし(*WIPOサイト内の英文テキストへのリンク)
http://www.wipo.int/dc2013/en/news/2013/news_0016.html

音楽界の巨匠スティービー・ワンダー氏はこの日、書物への視覚障害のある人々によるアクセスを容易にする新たな条約を締結した国際条約交渉担当者らを祝福し、各国の議員に対し、条約を迅速に批准し、世界中の何億人もの全盲の人々、視覚障害およびプリントディスアビリティのある人々に、その恩恵を解き放つことを強く訴えた。

ワンダー氏は、条約の採択を祝うために、交渉が行われているモロッコのマラケシュを訪れると、今週初めに約束していた。ワンダー氏は、金曜日に交渉担当者に向けて演奏する予定である。

「私たちの中で最も弱い立場にいる人が助けを必要としているとき、現状を改善するために、鋼のように堅い決意と、揺るぎない勇気をもって、皆さんがその求めに応じて下さったことを知り、謹んでお礼を申し上げます。」その前日、条約に署名し、採択した代表者らに、ワンダー氏は語った。「今日、私たち全員が、この世の中と未来とを、一人のためではなく、すべての人のために、よりよいものにする闘いに参加している兄弟姉妹なのです。」

世界知的所有権機関(WIPO)の186の加盟国から集ったおよそ600人の代表者らは、モロッコ王国における条約採択に向けた議論に参加した。モロッコ王国は、出版物への視覚障害のある人々およびプリントディスアビリティのある人々によるアクセスを促進する条約の締結に向けた外交会議を主催した。

ワンダー氏は代表者らに対し、母国に戻り、条約を確実に批准することを求めた。

「この条約の署名は、歴史に残る重要な一歩ですが、私はすべての政府および国家に対し、この条約が皆さんのそれぞれの国において国法となるよう、この条約の批准を優先することを、敬意をこめて、至急お願いいたします。」ワンダー氏は、2013年6月17日から28日まで開催された、視覚障害者のためのWIPO外交会議の閉会式で語った。この会議は、モロッコ王国の主催により、マラケシュで開かれた。

出版物への全盲の人々、視覚障害またはその他のプリントディスアビリティのある人々によるアクセスを促進するマラケシュ条約は、締約国に対し、著作権保有者の権利に対する制限および例外を通じ、アクセシブルなフォーマットでの出版物の複製、頒布および利用可能化を許可することを定めた国内法の採択を義務付けることにより、「本不足(Book Famine)」に取り組む。

「視覚障害のある3億の人々にとって、この新たな条約は、点字、大活字テキストおよびオーディオブックなどのフォーマットによる著作物、すなわち、基本的な著作物へのアクセス獲得に向けた重要な一歩です。本への渇望と本不足は、終わりを迎えつつあります。」とワンダー氏は述べた。

WIPO事務局長フランシス・ガリ(Francis Gurry)氏は、閉会の辞の中で、条約は、著作権制度の国際的な構造を尊重しつつ、「私たち全員が、ここマラケシュに集うことになった問題に、前向きかつ具体的な影響を与えるものとなるでしょう」と述べた。そして、条約が「その問題に取り組むための、単純で実行可能な、効果的な枠組みを提供し」、それによって、全盲の人々および視覚障害のある人々の期待に応えると語った。

ガリ氏は、加盟国と受益者および権利保有者の「コミットメントと関与」を称賛した。そして、条約はこのプロセスにおける最初の一歩に過ぎないが、条約の批准と、世界中のニーズのある受益者の間で、アクセシブルなフォーマットによる著作物を移動させる実践的なシステムの開発により、そのプロセスは継続していくと述べた。

外交会議の議長を務め、閉会式でもスピーチをしたモロッコ情報大臣兼政府報道官のムスタファ・カルフィ(Mustapha Khalfi)氏は、「10日前、私たちは皆さんをマラケシュにお迎えし、この歴史的な外交会議の作業を開始しました。この地で開かれたことが歴史的であり、また、知的所有権と人権とを結びつける作業であったことが歴史的なのです」と述べた。カルフィ氏は、条約について、「非常によくできています」と説明し、広く100を超える加盟国と60の非政府機関の参加を歓迎した。

世界盲人連合(WBU)会長のマリアン・ダイアモンド(Maryanne Diamond)氏は、「皆さんは私たちに条約を授けてくれました。しかもすばらしい条約を」と語った。それは、何百万もの人々の生活を変えることになる条約である。ダイアモンド氏は、条約の最初の提案国であるブラジル、パラグアイおよびエクアドルに向けて、その「支援と、真の決意およびパートナーシップ」に対し礼を述べ、感謝の意を表した。ダイアモンド氏は、全盲の人々と視覚障害のある人々の生活は、「この条約が実施されるときにのみ、変わるでしょう」と語った。そして、各国政府に対し、優先事項としての条約の批准を強く訴え、「今日は歴史に記録される日です」と締めくくった。

国際出版社協会(IPA)会長のY.S.チー(Chi)氏は、条約の成功は、加盟国が条約を批准し、効果的かつ積極的に実施するか否かにかかっていると述べた。「プリントディスアビリティのある人々のコミュニティも出版社も、この条約だけで本不足が解決するとは信じていないことは明らかです。この問題は、出版社が新たな技術を採用し、アクセシビリティを通常の製作プロセスに統合することによって解決されるでしょう。それまでは、私たちはセーフティネットに取り組んでいきます。この条約は、そのようなセーフティネットの一つです。」

2013年6月28日、51の加盟国が条約に署名し、129カ国が最終文書に署名した。外交会議の最後に行われる条約の署名は、必ずしも各国に条約の規定を強制するものではない。しかし、それは、条約に加盟するという署名国の確固たる意思を示すものである。条約は、20カ国による批准が得られた時点で発効する。

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原文:
Stevie Wonder Hails Landmark WIPO Treaty Boosting Access to Books for Blind and Visually Impaired Persons
Marrakesh/Geneva, June 28, 2013
PR/2013/742
http://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2013/article_0018.html