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視覚障害のある人々の書籍へのアクセス促進のための「マラケシュ条約」 インドが最初の批准国に (抄訳)

原文(英語):
India Is First to Ratify “Marrakesh Treaty” Easing Access to Books for Persons Who Are Visually Impaired
http://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2014/article_0008.html

2014年6月30日 ジュネーブ
PR/2014/761

インドは、「盲人、視覚障害者およびプリントディスアビリティのある人々の出版物へのアクセスを促進するためのマラケシュ条約」の最初の批准国となった。

 

これまでに、75を超えるWIPO加盟国が、WIPOが企画、モロッコ王国が主催して、2013年6月27日にマラケシュで開催された外交会議で採択された条約に署名している。

マラケシュ条約は、20カ国による批准または加入がWIPOに通知された後、発効となる。インドは、WIPOに対し批准を正式に通知した最初の国である。

「私たちは、インドのマラケシュ条約批准を祝し、多くの国がこれに続くことを願っています。」フランシス・ガリ(Francis Gurry)WIPO事務局長は語った。「マラケシュ条約が発効すれば、世界中の視覚障害のある人々の生活が豊かになるでしょう。」

インドのディリップ・シンハ(Dilip Sinha)在ジュネーブ国際連合常駐代表は、次のように述べた。「インドは、人権と社会開発の側面からマラケシュ条約を支持します。条約の迅速な批准は、数百万の全盲の人々と視覚障害およびその他のプリントディスアビリティのある人々の出版物へのアクセスを促進するという、インドのコミットメントを反映しています。」そしてさらに、「私たちは、他の国々もすぐにインドの後に続き、マラケシュ条約が発効され、世界の全盲の人々と視覚障害のある人々のコミュニティに、真の明白な利益がもたらされることを願っています」と付け加えた。

「盲人、視覚障害者およびプリントディスアビリティのある人々の出版物へのアクセスを促進するためのマラケシュ条約」は、締約国に対し、著作権者の権利の制限や例外を通じて、点字などのアクセシブルなフォーマットで出版物を複製し、頒布し、利用できるようにすることを許諾する国内法の規定を採択するよう義務付け、「本飢餓」の解決に取り組んでいる。

マラケシュ条約は、全盲の人々、視覚障害のある人々およびプリントディスアビリティのある人々にサービスを提供する組織による、これらのアクセシブルなフォーマットの作品の国境を越えた交換についても定めている。これらの組織が国境を越えて活動できるように、制限や例外の調和が図られる。

このようにアクセシブルなフォーマットの作品を共有することにより、重複がなくなり、効率が上がるため、全体として利用可能な作品数が増える。たとえば、同一作品のアクセシブル版を5カ国で製作する代わりに、異なる作品のアクセシブル版を5カ国でそれぞれ製作することが可能となり、それらを各国で共有できるようになる。

マラケシュ条約はまた、著作者と出版社に対し、このシステムが彼らの出版物を、悪用や対象となる受益者以外の者への頒布という危険に曝すものではないと保証することも目的としている。同条約では、制限と例外に基づいて作成された作品の国境を越えた共有は、当該作品の通常の利用と矛盾しない、また、権利保有者の正当な利益を不当に損なうことのない、ある特定の場合に限定されなければならないという要件が、繰り返し述べられている。

解説

世界保健機関によれば、世界には全盲の人々と視覚障害のある人々が約2億8500万人おり、そのうちの90パーセントが開発途上国で暮らしている。2006年度のWIPO調査からは、たとえば著作権で保護されたテキストの点字版、拡大文字版またはデジタル音声版に関する、視覚障害のある人のための特別な規定を設けた制限および例外条項が著作権法に定められているのは、60カ国にも満たないことがわかった。

世界盲人連合によれば、毎年世界で出版されている約百万の書籍のうち、視覚障害のある人々がアクセシブルなフォーマットで利用できるのは、10パーセント未満である。

世界知的所有権機関(WIPO)は、好ましい変革を達成する革新力および想像力としての知的所有権の促進をめざす主要なグローバルフォーラムである。国際連合の専門機関であるWIPOは、187の加盟国による、社会の進化しつつあるニーズに合った、バランスのよい国際的な知的所有権(IP)の法的枠組みの開発を支援する。そして、複数の国における知的所有権の獲得と紛争解決のためのビジネスサービスを提供している。また、開発途上国がIPの利用により利益を得られるよう支援する、能力構築プログラムを実施している。さらに、IPに関する情報を集めた独自の知識バンクへの無料アクセスも提供している。

関連リンク
マラケシュ条約:批准、実施に向けた今後の課題(英文)

さらに詳しい情報は、WIPOメディア広報セクションにお問合わせください。

電話番号:(+41 22)- 338 81 61 / 338 72 24
ファックス番号:(+41 22)- 338 81 40
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