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マルチメディアデイジー教科書普及のために「すべき」こと「できる」こと

井上 芳郎(埼玉県立坂戸西高等学校 教諭)

スライド1
(スライド1の内容)

今ご紹介いただきました井上です。

「普及のためにすべきこと、できること」と、上から目線的なタイトルです。「すべき」ということは、主語がないのですが、要するに義務教育であり、教科書は使用義務がある訳ですので、しっかりと行政の方の責任で、これは本来きちんとやってほしい。しかしそうは言ってもそれをいつまでも待っているわけにはいかない、目の前のお子さんたちはどんどん成長していくわけですから、できることはやっていきましょうということです。特にDAISY教科書の製作ボランティアの方たちは、非常に矛盾した気持ちで日々仕事をされていると思います。要するに、「すべきである」ということは主張しつつ、「できることはやっていきましょう」という、そういうつもりで書きました。

スライド2
(スライド2の内容)

2010年の6月頃からですが、全国各地の自治体で、DAISY教科書の利用促進に関わる意見書が続々と出てきました。地方議会の法律がありまして、政府に対して意見書を提出できるのですね。たいてい議会の全会一致で、超党派で出すようです。意見書が採択されないまでも、議会等での質疑で、DAISY教科書は必要だという議論もされているところが増えています。

私は、昨年の年末あたりからインターネット検索をして調べてみたのです。この地図は少し見づらいですが、もともとはグーグルマップで作ってあります。URLがここに書いてありますのでアクセスしていただければ、現物に到達できますのでご覧ください。多分、漏れがあるとは思いますけれど。日本全国に広がっていて、東北地方に空白が多いのが気になりますが。

スライド3
(スライド3の内容)

スライド4
(スライド4の内容)

これは促進の意見採択をした自治体です。県議会レベル、政令指定都市、中核市、いろいろあります。これは拡大したところです。これは北海道。首都圏、関西圏などは人口密度が高いせいか多いです。これは関西、九州四国、西日本です。詳しくはグーグルマップでご覧になってください。

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(スライド5の内容)

スライド6
(スライド6の内容)

スライド7
(スライド7の内容)

スライド8
(スライド8の内容)

要は何が言いたいかというと、自治体というものはどうしても「横並び志向」がありまして、逆にこれを良い方向に使って、例えばうちの市ではなぜDAISY教科書が導入されないのか、隣のどこそこ市ではやっているのに、というような話に使っていただければ良いのではないかと私は思っています。たしかに横並び志向というのはありますね。私も学校に勤めていますから横並びの一員なのですが、前例にないことはなかなかやらない。その代わり、それを逆に使うと、すぐ隣の町ではこういうことをやっているとか、ではうちの町でもやるかとなる。そういうことに使えるのかなと思っています。

この一連の動きの発端は、2010年4月10日、国会でのある質疑からでした。実は著作権法が改正されてすぐのことですが、法律は改正されましたが、実際にはなかなか使いづらい。ある議員さんが質問をされて、当時の鈴木文科副大臣が、「趣旨が徹底されていなかった」とおっしゃった。「DAISY教科書をもっとしっかり使うべき」というような答弁をしたわけです。議事録では「提供可能です」と書いてあるのですが、実は文科省が提供するのではないのです。ボランティアの方が一生懸命作っているので、そこはちゃんと国会答弁でも言ってほしかったです。

スライド9
(スライド9の内容)

スライド10
(スライド10の内容)

これは非常によくできている静岡県議会の意見書です。詳しくはお読みください。最後に「予算措置を講ずるように強く要望する」と書いてあります。当たり前のことだと思います。

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(スライド11の内容)

しかし自治体ごとで、大きな温度差がございます。全部で100いくつかの自治体を調べて、統計をとりかけたのですが途中でやめました。大雑把に言うとレベルとして3段階くらいあるのです。この大阪の熊取町はかなり先進的です、町ぐるみで取り組んでいらっしゃる。たまたま知り合いに聞いたら、教育委員会にキーパーソンとなる方がいらっしゃって、学校でももちろんですけれども、自治体全体で取り組みを始めているということです。

スライド12
(スライド12の内容)

上田市。ここはどちらかというと学校から先に導入された。上田養護学校というところです。私はどのような学校か詳細は知りませんが。そこから教育委員会に声が上がり、これは使えるなということで、今後研修会をやりましょうということです。

スライド13
(スライド13の内容)

残念ながら平均的なのは、このX県のY市のようなところです。東北地方の県なのですが、実際にはこのような取組みが多いのです。「専門機関において読み書きが困難だと診断された児童・生徒の報告はない」ということですが、これはおかしいですね。文科省調査では何パーセントと数字を出しています。Y市では診断された児童・生徒が出てきたらやりましょうということのようです。「先進自治体の事例をもとに研究してまいりたい」。これはよくあるパターンです。先進的な自治体があるのですから、ぜひそこに学んでやってほしいなと思っています。

スライド14
(スライド14の内容)

それから国立特別支援教育総合研究所。久里浜にありますが、そこで研究を始めたのですが、よく見るとデジタル教科書のガイドライン策定ですね。まだガイドライン作りの段階なのですね。こんなゆっくりしたスピードでいいのかなと思いますけれども。

スライド15
(スライド15の内容)

お隣の韓国ではもうこういう状況で進んでいます。

スライド16
(スライド16の内容)

日本でも2013年度に佐賀県では県立高校生全員に、携帯端末を導入するようです。来週、佐賀県の先生にお会いする予定になっていますが、その方が詳しいようなので、いろいろ聞いてみたいと思っています。

スライド17
(スライド17の内容)

次に「できること」。それでは自分自身としては何をやっているのか。やるのか。

今、私は少々バーチャルの世界に入り浸りになっています。「みんなのデジタル教科書教育研究会」というのがありまして、片山さんという新潟県の先生がツイッター上でつぶやいたのがはじまりらしいです。今やフェイスブックでは二百五十数名のメンバーになっています。Wikiのページもあります。

スライド18
(スライド18の内容)

スライド19
(スライド19の内容)

スライド20
(スライド20の内容)

実は去年の11月、野村さんと河村さんに来ていただいて、私が仕掛け人というわけでもないのですが、この研究会でDAISYとEPUBの話をして頂きました。そのときの内容はすべてウェブに記録してありますので、あとでゆっくりご覧ください。私がこれを作りました。アクセシブルなページかどうかわかりませんが、ご覧になってください。

ツイッターやUStreamなど、こういうものが今非常によく使われていまして、DAISY関係に限らず、情報がいっぱい飛び交っています。私も河村さんも時々つぶやいていますけれども、いろいろな人が見ています。国会議員の方が見ていたり、この前は韓国の方が見ていまして、韓国と日本のデジタル教科書の交流会をしたいという希望のようです。

バーチャルな世界なので、いろいろ問題はありますけれども、実際にこういうものをきっかけにどんどん普及をしていく。とにかく知ってもらわないといけませんので。そして実際に研究会などをリアルな場で開いていき交流する。これらをセットにして、普及していけたらと思っています。以上です。

スライド21
(スライド21の内容)

スライド22
(スライド22の内容)

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(スライド23の内容)