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DAISYとEPUBはどう見られているか

EPUB形式

EPUB(イーパブ)は,国際電子出版フォーラム(International Digital Publislling Forum,IDPF)という団体により仕様が定められている国際規格です。特定の企業や団体が権利を持つ閉鎖的な規格ではないため,今後世界的に利用が広がることが期待されています。

もともと印刷物としてではなく,画面サイズの異なる様々な装置上で書籍データを閲覧することを前提として作られた規格です。画面サイズが装置によって違っていれば,文字の大きさを装置に合わせて変更することが必要です。その結果1行の文字数や,1ページの行数を流動的に変更する必要が出てきます。そこでEPUBでは,これらの変更が比較的自由にできるよう,文字の「リフロー(流し込み)」がしやすいように作られてきています。また,リフローして個々のページ構成が変更されても,読者が書籍の任意の部分に移動しやすいように,章や節などの「文書構造」が記述できる仕様になっています。

アクセシビリティについては,文字サイズなどの表示の変更がしやすいことや,章や節などに基づき文書が構造化されていることが視覚障害等のある人の利用を助けます。仕様の策定時から,障害のある人の利用も配慮した仕様となるように配慮されてきた経緯があります。

DAISY形式

DAISY(デイジー,Digital Accessible lnformation System)は,印刷物で本を読むことが困難な,障害のある人のために作られた規格です。DAISYコンソーシアムという非営利の国際団体により仕様が定められています。

もとは電子的な録音図書を製作する際に,人間が朗読した音声のデータを章や節,ページなどの文書構造に従って構造化するために作られて来た経緯があります。現在では録音音声と文字データとの同期,画像(挿絵)や数式記述言語(MathML)を取り込み,通常の印刷物を利用することが難しい障害のある人々が個々のニーズに合わせて,支援技術製品等様々な方法を使用して読書することを考慮したデータ形式として開発が続けられています。その成果はEPUBにも取り込まれており,今後EPUBとDAISYという2つの規格は統合されて行くと言われています。

(東大先端研・『あきちゃんの魔法のふでばこ』2012,p15-16)