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著作権:障壁かチャンスか

Aleksandra Horvat(アレクサンドラ・ホルヴァート)
クロアチア ザグレブ ザグレブ大学哲学部情報科学科教授

要約

知的所有権法がこれまで以上に国際性を帯び、国内の著作権法にも同様な動きがみられる中で、その基本的な概念を再検討する必要があるという声が聞かれるようになった。著作権の概念は、芸術および文学の創作を奨励するものとして、2世紀前から発展してきたが、現在のデジタル世界においても、なお、当時と同じ論拠によって擁護されることが多い。著作権の期間と範囲は拡大され続けているため、図書館にとって、その基本的な任務である、すべての種類の利用者に情報へのアクセスを提供することと、著者の権利を保護する義務との間でバランスを保つことが、ますます難しくなっている。デジタル化はすべての著作物へのアクセスを支援し、拡大するための重要な手段であると、図書館側は考えてはいるものの、それは著作権法およびデジタル著作権管理(DRM)によって著しく妨げられる可能性がある。図書館はユーザーのために、声を大にして発言し、新たなデジタル世界においてユーザーの利益を代表できるようにならなければならない。

プロフィール

ザグレブ大学哲学部情報科学科教授で、同大学で図書館法、図書館経営学、および図書館と社会などの科目を教えている。クロアチア、スロベニア、コソボ、およびボスニア・ヘルツェゴビナ出身の理学博士号および修士号候補者の指導者。クロアチア図書館協会で積極的に活動しており、1992年から1994年まで同協会の会長を務め、情報への自由なアクセスと表現の自由の委員会の設立を支援、1998年から2001年まで同委員長を務めた。2001年よりザグレブで開催されている、情報への自由なアクセスに関する円卓会議を企画し、毎年その開催を支援している。1997年から2004年まで、IFLA/FAIFE(情報へのアクセスと表現の自由の委員会)の委員。2007年よりIFLA/CLM(著作権等法的問題委員会)の委員。国際会議に積極的に参加。専門文献の著者、編集者、翻訳者としても活躍。