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市民図書館はディスレクシアに照準を合わせる

文と写真:レーナ・ブークヴィスト
イェーテボリィの市立図書館とシェーブデの市立図書館は、読み書き困難な成人に向けて、新たな試みを行う団体の内の二つである。彼らは家庭でのデジタル録音図書のダウンロードと、個人的な図書館司書サービスを提供している。

プロジェクト『読み書き困難な成人は借りて聴く』の目的は、ディスレクシアの多くの成人達に録音図書を借りてもらうことである。国立録音点字図書館が行った調査によれば、これこそ図書館が最も把握しにくいグループなのである。 このプロジェクトにはボロース、ファルチェーピング、イェーテボリィ、シェーブデの市民図書館、西部地方文化図書館、それに国立録音点字図書館が加わっている。
 「私はこれが大変重要なプロジェクトだと思っています。しかし難しいプロジェクトでもあります。なぜなら読み書き困難な人々はたいてい図書館からは遠ざかっているからです。もし私達が成功したら、まさにわくわくするような出来事になるでしょう。」
プロジェクト・リーダーで西部地方文化図書館に勤めるヘイディ・カールソン・アスプルンドは言った。

個人的な図書館司書

もし貸し出し利用者が自分でデジタル録音図書をダウンロードしたら、貸し出し件数は増加するのだろうか?これはプロジェクトが調査している事項の一つである。読み書き困難な人々の中で選出が行われ、彼らは自分の家で半年間国立録音点字図書館のデジタル図書館からデジタル録音図書をダウンロードする試験を行った。またこのグループの半数は、自分の住む地域の市民図書館において、ショートメール、e-mail、または電話を通して個人的な図書館司書のサービスを受けることができた。
「私達は読書のヒントや支援を提供しました。コンタクトパーソンがいるかいないかによって、図書を借りる回数が増えるかどうかを検証するのは大変興味深い事柄でした。」
イェーテボリィの市立図書館で個人的図書館司書を務めたエリカ・オーグレンは述べた。

自分の家でダウンロード

イェーテボリィの市立図書館は大通りの南側の端に建っている。録音図書課は上の方の階にあり、明るく広々としていて、読みやすく表示がかかっている。書棚には創造性を刺激するように選ばれた録音図書が並んでいる。すてきなソファも置かれている。筆者がイェーテボリィ市民図書館を訪問した同じ日、家でデジタル録音図書をダウンロードしてみることになった人々の何人かが、インフォーメーションミーティングに参加していた。
彼らはそれぞれ自分のアカウントをもらう。それが国立録音図書館のデジタル録音図書館から直接ダウンロードを行う許可を与えるのである。
「個々のパスワードが国立録音点字図書館から各自の家に送られてきます。その後はダウンロードを自由に行うことができます。」
エリカ・オーグレンは言った。
「私達がこのプロジェクトに参加してくれる読み書き困難な20人の人々を見つけようとしたとき、余りにも多くの人々が応募してくれたので驚きました。彼らは偶然私達に出会った人々です。その後誰が個人的な図書館司書のサービスを受けることができるのか、くじ引きをしました。」

DAISYキヨスクでダウンロード

家でデジタル録音図書をダウンロードすることができない、録音図書貸し出し利用者は、図書を図書館のいわゆるDAISYキヨスクでダウンロードしてみることができる。DAISYキヨスクはこのプロジェクトに加わっている全ての図書館にある。『全ての人の為の図書館』はDAISYキヨスクを一目見るため、シェーヴデの市立図書館を訪ねた。それは来館者が利用できるコンピューターが置いてある、作業場であった。
「このサービスを利用する時には、私達からメモリーカードを借りなければなりません。カードには秘密のパスワードで、国立録音点字図書館のカタログにログインできるように導くプログラムが入っています。」
図書館司書のヨーハン・フランソンは言った。

シェーヴデでは貸し出し利用件数が増加している

貸し出し利用者はカタログから面白そうな図書を見つけると、メモリーカードにそれをダウンロードする。その利用者は家に帰る時、DAISYキヨスクと書かれた二つに折った厚い紙の梱包に入れて、メモリーカードを持って帰る。貸し出し期間は3週間で、他の一般的な録音図書と同じである。貸し出し利用者はその後メモリーカードを携帯電話、mp-3プレイヤーまたはコンピューターにセットして図書を聴く。
「自分で図書を選ぶことを好む人々はたくさんおり、利用者は増加の一途です。また彼らは今後もどんどん借りていくことになりそうです。」
読み書き困難な利用者専門支援員(läs- och skrivtekniker)のオーロフ・ヤコブソンは述べた。

マーケティングは重要である

プロジェクトは2009年1月1日から2010年6月30日まで続く。国家文化評議会はちょうど残りの期間中の、プロジェクトのマーケティングの為に300 000クローナを助成したばかりである。プロジェクトリーダーのヘイディ・カールソン・アスプルンドによればできればDAISYキヨスクを意外な場所でマーケティングできることが望ましいという。例えばショッピングセンターや大きな職場等。
「私達は人々が集まる場所で図書館のサービスを示したいのです。録音図書のマーケティングは大変重要なのですから。」
彼女は述べた。

ストリーミングで読書

貸し出し利用者はストリーミングの資料をプレクスター社の録音図書プレイヤーPTXで読む。彼らは録音点字図書館のデジタル図書館や録音新聞に接続する。ダウンロードの必要はない。これらの貸し出し利用者が録音図書を借りる場合には以前のように電話で図書館に連絡をする。
「図書館は貸し出し利用者のウェブ上の書架にデジタル録音図書を並べるのです。利用者は図書を、プレイヤーを通して読むことができるのです。」
イェーテボリィ市立図書館のIT技術者、エルヤン・ペッテションは述べた。彼とその同僚は参加者のもとを訪ねて回り、新しいプレイヤーをインストールし、この技術が機能しているかどうかを見る。

新聞2紙が含まれている

このプロジェクトにはデジタル録音図書の他、ある人物が吹き込んだ録音新聞『西部の言葉』、それに国立録音点字図書館のスクリーンリーダー、フォルケが吹き込んだ日刊紙イェーテボリィポステンが含まれる。このプロジェクトは地方図書館ヴェストライェータランドがイェーテボリィ市立図書館、プレクスター、イェートランドポステン新聞社、『西部の言葉』、DARUB、録音新聞委員会、国立録音点字図書館と協力して運営している。プロジェクトリーダーは地方図書館ヴェストライェータランドのヘレーネ・アンダションである。

●デジタル録音図書の中には、テキスト、音声、画像がついたDAISY録音図書と、音声のみのデジタル録音図書が含まれる。


原本書誌情報

Boqvist, Lena. “Folkbibliotek satsar på dyslektiker”. Bibliotek för alla. 2009, No.3, p.14-15.
http://www.tpb.se/filer/trycksaker/pdf/bfa32009.pdf (accessed 2010-05-18).