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認知知的障害、特にディスレクシア(読み書きのLD)に関する支援方法の有効性

クリニック・かとう 加藤醇子

 知的遅れがないにも関わらず、且つ、怠けているからでもなく、読み書きの苦手さを持つLD(学習障害)児に対しては、欧米では、標準化された評価があり、その評価結果の特徴に基づく指導法が開発されているが、日本には確実な評価も指導方法もなく、国際的にも遅れた状態にある。先進的な指導を行っている欧米においても、指導による改善には限界があり、さまざまな情報化技術を用いた支援方法が広がりを見せている。中でもDAISYソフト(通称)はその中心的役割を担うべきものと思われる。実際に、2005年11月にフィラデルフィアで開催された国際ディスレクシア協会の学術会議の展示などで、DAISYの技術を用いたCDROMが配布されている。この技術では、書籍や教科書など大量の文書を好きな速度で読み上げ、マルチメディア化により、レベルにあった理解が可能であり、上記のような困難さを持つ子どもの教育には重要な位置を占める可能性がある。
 今後の問題点及び方向性としては、従来から問題が指摘されている著作権問題の解決、DAISY化著作物の作成団体(NPO法人ひなぎくのような団体)の育成・拡大、作成技術者の育成、携帯電話など身近な情報ツールでの利用への方向性、現存する様々な情報支援ツール技術をもつ人達との協力であろう。現存する他の支援ツールとしては、教科書会社の国語デジタル教科書及びその英語版、弱視児童用の録音テープ化された図書(著作権問題が解決済みのもの)、視覚障害者用辞書、携帯電話による辞書問い合わせサイトなどが考えられる。
 恐らく、DAISYによる図書作成技術者の養成と作成団体の広がりが、DAISY化図書の利便性を拡大し、それが著作権問題などを解決していくであろうし、他のツールとの協力も可能とするであろう。