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平成20年度 DAISYを中心としたディスレクシアキャンペーン事業
~DAISY教科書提供体制の確立を目指して~

はじめに

デジタル録音図書の国際標準DAISY(Digital Accessible Information SYstem)は、情報技術の発展に伴い視覚障害者・認知知的障害者と使用者の枠を広げてきました。視覚障害者への取り組みとしては、視覚障害者情報提供施設で提供が行われ幅広い普及が行われています。認知知的障害者への取り組みとしては、平成17年4月施行の発達障害支援法により、その意義及び重要性は広がりつつありますが全国的な広がりには至っていません。

上記の流れを受け、財団法人日本障害者リハビリテーション協会では、独立行政法人福祉医療機構「長寿・子育て・障害者基金」の助成を受けて、平成18年度には「DAISYを中心とした情報支援普及啓発事業」を行い、平成19年度には「DAISYを中心としたディスレクシアキャンペーン事業」を開始し、平成20年度も継続しました。本事業は、ディスレクシアに関係する図書館関係者・教育者・当事者団体・マスコミなどの協力を得てキャンペーンを開催し、より良い支援を行うべく地域の活動やネットワークを奨励することを目的としたものです。

平成20年6月には「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」が成立し、9月には「著作権法」が改正され、平成21年1月には「文化審議会著作権分科会報告書」が出されました。いずれも、発達障害等で普通の教科書が読めないまたは読みにくいお子さんのためにニーズに合わせて教科書を複製できることを明示しています。

このような情勢を受け、また2年間に渡る「DAISYを中心としたディスレクシアキャンペーン事業」の報告を行うため、平成21年2月11日に『「DAISYを中心としたディスレクシアキャンペーン事業」成果報告会~DAISY教科書提供体制の確立を目指して~』を開催しました。当日は、多くの参加者の方にお集まりいただき、密度の濃い報告会となりました。

上記報告会で行われました各講師の方々の貴重な講演及びパネルディスカッションは、ディスレクシアに対するマルチメディアDAISYの有効性とその課題、マルチメディアDAISY版教科書の必要性とその製作提供体制の課題を明確にし、今後の活動の方向性を示唆する内容となりました。それらの成果は、平成21年度以降の新たなDAISY事業の中で生かしていきたいと考えております。

本報告書が日本における障害者の情報支援、ディスレクシアへの支援の発展、また、DAISYのさらなる広がりに少しでも貢献できれば幸いです。

平成21年3月 財団法人 日本障害者リハビリテーション協会