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平成19年度 DAISYを中心としたディスレクシアキャンペーン事業
シンポジウム DAISYを中心としたディスレクシアへの教育的支援 報告書

講演2:配布資料

ディスレクシアに対する教育的支援の現状とニーズ

2008.01.08 (財)日本障害者リハビリテーション協会主催

教育ジャーナリスト・内閣教育再生会議委員
品川裕香

1.はじめに

ディスレクシアとは知的能力は普通なのに、聴覚情報処理・視覚情報処理がスムーズにいかないことから、「字」という記号と 「音」が結びつきにくくなり、読んだり、書いたりするのが困難になったり、またその流暢性に課題が残る機能障害のことを言う。 ADHDなどと違い、薬を飲めば一時的にでも機能が回復するというようなことはない。

ディスレクシアはわが国では読み書きのLD、読み書き障害、読字・書字障害などという呼称で一般的には知られている。

2.課題

2007年の日本LD学会横浜大会のテーマが「ディスレクシア」だったことが象徴するように、最近、ようやく専門家や一部の教育者の 間にディスレクシアという言葉が知られるようになってきた。

だが、その内容は「言葉を耳にしたことがある」レベルがほとんどだ。たとえば通常学級の教師の中に、あるいは脳科学者や小児科医、 眼科医、管理栄養士、司法関係者などの異分野の専門家の中にディスレクシアについての知識を持っている人がどれくらいいるのか。 皆無とは言わないまでも、まだまだ圧倒的に少数派だといわざるを得ない。

実際、教育者の中には「ディスレクシアという言葉は知っていても、どのように指導したらいいかわからないから、結局、子ども・若者に 対して何ら具体的な指導はできない」と口にする人が少なくない。また、医療従事者や心理職の中には、ディスレクシアのことを知らないた め、読み書きができないのはADHDなどほかの発達的な課題のためだと考える人もいる。

診断を受けた子どもたち・若者たちがどういう思いを抱えているのか解説しながら、こういった理解不足・知識不足の背景に何があるのか 分析する。

3.今すぐにできること

専門家によるディスレクシアに特化した実態調査がなされていない、標準化された評価方法が確立していない、それゆえに効果的な指導 方法も確立されていない・・・・・・など「ないないづくし」の中で何ができるのか、何をしなければならないのか。

大阪医科大学LDセンターや向井義元広島少年院首席専門官ら国内の先進的な取り組み、および、英国・米国・香港など諸外国のケースを 紹介しながら、ディスレクシア児・者のためにできることを短期的・中期的・長期的な視野に立って検討する。