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まとめ

河村 宏(国際DAISYコンソーシアム会長)

きょうは大変狭い部屋ということが良かったのかもしれませんが、皆さんから自由にご意見をいただき、またいっぱい貴重な意見交換ができたと思います。それで、一点ですね、これをちょっと最後に言ったほうがいいかなと思いましたことは、教室の授業の方法が国によってずいぶん違うということを頭に置いて理解する必要があるかなと思いました。

 日本の教室ではみんなこのような座り方をして、先生が黒板の前にいて、生徒たちは先生のほうをみんな見てるという座り方をしています。それが基本形で、今だんだんグループワークを取り入れようということも始まっているように思います。私は、このことはさまざまな障害のある生徒が教室で学ぶ上に、とても重要な、アメリカやノルウェーと比較した時の日本の教室の違いだと思っています。私がこれまで見せていただいた外国の教室では、特にフィンランドである学校の全部の教室を見せてもらいましたが、基本的にはグループで、お互いに座ると向かい側には同じクラスの生徒が座っている、という座り方をしていたように思います。そして、さらに重要なことは、それぞれのグループごとに違う課題を持って勉強しているということもまれではないし、ある場合にはむしろ当たり前だったと思います。そういう教室での授業の作り方の違い、教科書の使い方の違い、そういったことを考慮に入れながら、それではノルウェーでは、日本では、アメリカではどういうふうに進めていくのが一番いいのか。お互いにこれからも意見を交換していくことが重要だと思います。

 もう一つ、重要な点は教育の目的が、それぞれの国でどういうふうにみんなで合意していくかなあ、それぞれ違うということだと思います。昨日、スーさんが講演で、アメリカの教育の目的は、一人一人が自由を手に入れる、それが目的なんだという講演をされました。そして、私の国では、国をあげて世界中の人と一緒に仕事をする力を身につけるんだということが目標になっているなということを感じました。そして、世界中の人と一緒に働く力を身につけるには、まず隣のいろんな友達と一緒に仕事をする力を身につける。それがお互いに目標になるということを感じました。そして、どこの国の人とも、またどんな友人とも一緒に仕事をできる力を身につけて、そして自分のしたいことをやる、そういう力を身につけていく。そういう自由を実現していく。それが教育の目的であるとすれば、私たちはもってと違う角度から日本での教育のあり方、あるいは障害児教育のあり方というのを見ていけるのではないかと思います。そういう大きな文脈の中で、法律のあり方、教科書のあり方、技術のあり方、これを一緒にこれからも皆さんと考えていく大変良いきっかけになったのではと思います。

 マイリンさん、マイリンさんのお母さん、そしてスーさん。きょうは大変ありがとうございました。それから、雪模様の中を会場にかけつけて、最後まで熱心に参加してくださった皆さまに厚くお礼申し上げます。そして逐次通訳の方、それから要約筆記の方、どうもありがとうございました。それでは、これをもちまして私のまとめの言葉とさせていただきます。

(拍手)

司会 以上をもちまして、「DAISY教科書によるディスレクシアなどの学習障害児の支援 アメリカとノルウェーの経験」を終了させていただきます。本日は誠にありがとうございました。

(拍手)

(了)計90分