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国際セミナー
「防災のユニバーサルデザインとDAISYの役割」

開会挨拶

湯澤 茂男(公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 事務局長)

皆さん、こんにちは。公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会の湯澤と申します。主催者を代表いたしまして、一言ご挨拶申し上げます。

本日は「防災のユニバーサルデザインとDAISYの役割」と題しました国際セミナーに、雨降りで足もとの悪い中、多くの方々にご参加いただきまして、厚く御礼申し上げます。

昨年3月、東日本大震災におきまして、犠牲者の多くが、移動あるいは情報と知識のアクセスが困難な障害者と高齢者だったということが、その後の被災地での調査で少しずつ分かってきました。また、大災害から生き延びたすべての人々の生活、あるいは地域での再建に必要な膨大な情報と、知識のアクセスが重要であるということが分かってきております。

今週はじめに「世界防災閣僚会議」が仙台市において開催されました。また2015年には、「国連防災世界会議」を誘致しようという話も聞いております。国外では、チリや中国、ニュージーランドと非常に大きな地震が発生いたしました。地震国といわれる日本でも阪神淡路、中越、そして東日本と、幾度となく大きな地震に見舞われました。また最近は、台風、あるいは豪雨といった災害も毎年のように発生しております。

当然のことながら、大きな災害が発生した場合の障害者や高齢者等、いわゆる災害弱者と言われる方たちですが、自立での避難が困難な人たちの安否確認、あるいは速やかな救援、また安心できる避難生活の確保など、適切な情報提供が、的確に行われることが社会的にも大きな課題となっております。

このような意味で、災害時における知識と情報のアクセスにアクセシブルな有効なツールとして、昨今の電子書籍の話題とともに、DAISYに注目が集まっております。一例といたしまして、すでに北海道の精神障害者の方が多く住むコミュニティであります浦河町でのDAISYを活用した防災活動について、ご存知の方が多くいらっしゃるかと思いますが、ここで改めてDAISYを活用してどのような防災支援ができるかについて、皆様とともに考えてみたいと思います。

さて、本日のセミナーでは、プログラムにありますように、本年4月東京で開催されました情報通信技術、ICT国連専門家会議の災害特別セッションのモデレータを務められました河村宏氏に「防災のユニバーサルデザインとDAISYの役割」と題しまして、基調講演を行っていただきます。

次に、すべての人に災害と科学の知識のアクセスを保障することをめざしてDAISY4とEPUB3の開発を進めているDAISYコンソーシアムとIDPFの両方の技術開発責任者でありますマーカス・ギリング氏に「DAISYとEPUBによる知識のアクセス —災害知識のユニバーサルデザイン—」と題しましてご講演いただきます。

また、大洪水や津波の被害を受けたタイ国でのインクルーシブな防災の取り組みの先頭に立っておられます、ご自身も全盲でタイ国の上院議員でもありますモンティエン・ブンタン氏に「タイにおける防災の取り組みとDAISY=EPUBの活用」と題しまして、ご講演いただきます。

そして、被災地の復興を支援しながら、防災のユニバーサルデザインの観点で研究をすすめられております「人と防災未来センター」の主任研究員であります宇田川真之氏に「東日本大震災の教訓と被災者への知識アクセス支援の課題」と題しまして、それぞれご講演をお願いしております。

ご参加の皆様には、質疑応答等の時間も設けておりますので、どうぞ積極的なご発言なり、ご意見を頂戴いただければと思っておりますのでよろしくお願いいたします。

最後になりますが、ご講演いただきます各講師の皆様にはこの場をお借り致しまして、感謝と御礼を申し上げますとともに、このセミナーは、「東京都民共済生活協同組合」様、「全国労働者共済生活協同組合連合会」様のご支援を得て、開催する運びとなりましたことをご報告申し上げ、また御礼を申し上げまして、開会の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。