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関連する法律条文の抜粋

障害のある人の権利に関する条約 川島聡=長瀬修仮訳(2008年5月30日付)より情報アクセシビリティに関する条文を抜粋

第2条 定義

この条約の適用上、

「コミュニケーション〔意思伝達・通信〕」とは、筆記〔文字言語〕、音声装置、平易な言葉、口頭朗読その他の拡大代替〔補助代替〕コミュニケーションの形態、手段及び様式(アクセシブルな情報通信技術〔情報通信機器〕を含む。)とともに、言語、文字表示〔文字表記〕、点字、触覚による意思伝達、拡大文字及びアクセシブルなマルチメディア等をいう。

「言語」とは、音声言語及び手話その他の形態の非音声言語等をいう。

「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のいかなる分野においても、他の者との平等を基礎としてすべての人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、合理的配慮を行わないことを含むあらゆる形態の差別を含む。

「合理的配慮」とは、障害のある人が他の者との平等を基礎としてすべての人権及び基本的自由を享有し又は行使することを確保するための必要かつ適切な変更及び調整であって、特定の場合に必要とされるものであり、かつ、不釣合いな又は過重な負担を課さないものをいう。

「ユニバーサルデザイン」とは、調整又は特別な設計を必要とすることなしに、可能な最大限の範囲内で、すべての人が使用することのできる製品、環境、計画及びサービスの設計をいう。「ユニバーサルデザイン」は、特定の範囲の障害のある人向けの機能を備えた補装具〔補助器具〕が必要とされる場合には、これを排除するものではない。

第9条 アクセシビリティ

1 締約国は、障害のある人が自立して生活すること及び生活のあらゆる側面に完全に参加することを可能にするため、障害のある人が、他の者との平等を基礎として、都市及び農村の双方において、物理的環境、輸送機関、情報通信(情報通信技術〔情報通信機器〕及び情報通信システムを含む。)、並びに公衆に開かれ又は提供される他の施設〔設備〕及びサービスにアクセスすることを確保するための適切な措置をとる。このような措置は、アクセシビリティにとっての妨害物及び障壁を明らかにし及び撤廃することを含むものとし、特に次の事項について適用する。

(a) 建物、道路、輸送機関その他の屋内外の施設〔設備〕(学校、住居、医療施設〔医療設備〕及び職場を含む。

(b) 情報サービス、通信サービスその他のサービス(電子サービス及び緊急時サービスを含む。)

2 締約国は、また、次のことのための適切な措置をとる。

(a) 公衆に開かれ又は提供される施設〔設備〕及びサービスのアクセシビリティに関する最低基準及び指針を策定し及び公表すること、並びにこれらの最低基準及び指針の実施を監視〔モニター〕すること。

(b) 公衆に開かれ又は提供される施設〔設備〕及びサービスを提供する民間主体が、障害のある人にとってのアクセシビリティのあらゆる側面を考慮に入れることを確保すること。

(c) 障害のある人が直面するアクセシビリティに係る問題についての訓練をすべての関係者に提供すること。

(d) 公衆に開かれた建物その他の施設〔設備〕において、点字表示及び読みやすく理解しやすい形式の表示を提供すること。

(e) 公衆に開かれた建物その他の施設〔設備〕のアクセシビリティを容易にするためのライブ・アシスタンス〔人又は動物による支援〕及び媒介者(案内者、朗読者及び専門の手話通訳者を含む。)のサービスを提供すること。

(f) 障害のある人が情報にアクセスすることを確保するため、障害のある人に対する他の適切な形態の援助及び支援を促進すること。

(g) 障害のある人が新たな情報通信技術〔情報通信機器〕及び情報通信システム(インターネットを含む。)にアクセスすることを促進すること。

(h) 早い段階において、アクセシブルな情報通信技術〔情報通信機器〕及び情報通信システムに関する設計、開発、生産及び分配を、それらを最小の費用でアクセシブルにするようにして促進すること。

第21条 表現及び意見の自由並びに情報へのアクセス

締約国は、障害のある人が、他の者との平等を基礎として、第2条に定めるあらゆる形態のコミュニケーションであって自ら選択するものにより、表現及び意見の自由(情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。)についての権利を行使することができることを確保するためのすべての適切な措置をとる。このため、締約国は、特に次のことを行う。

(a) 障害のある人に対し、適時にかつ追加の費用の負担なしに、様々な種類の障害に適応したアクセシブルな様式及び技術〔機器〕により、一般公衆向けの情報を提供すること。

(b) 障害のある人が、その公的な活動において、手話、点字、拡大代替〔補助代替〕コミュニケーション並びに自ら選択する他のすべてのアクセシブルなコミュニケーションの手段、形態及び様式を用いることを受け入れ及び容易にすること。

(c) 一般公衆にサービス(インターネットによるものを含む。)を提供する民間主体が、情報及びサービスを障害のある人にとってアクセシブルかつ使用可能な様式で提供するよう勧奨すること。

(d) 大衆媒体〔マス・メディア〕(インターネットで情報を提供する主体を含む。)が、そのサービスを障害のある人にとってアクセシブルなものとするよう奨励すること。

(e) 手話の使用を承認し及び促進すること。

第29条 政治的及び公的活動への参加

締約国は、障害のある人に対し、政治的権利の享有及びこの権利を他の者との平等を基礎として行使する機会を保障するものとし、次のことを約束する。

(a) 特に次のことにより、障害のある人が、直接に又は自由に選んだ代表を通じて、他の者との平等を基礎として、政治的及び公的活動に効果的かつ完全に参加することができること(障害のある人が投票し及び選挙される権利及び機会を含む。)を確保すること。

(i) 投票の手続、施設〔設備〕及び資料が適切であること、アクセシブルであること並びに理解し及び利用しやすいことを確保すること。

(ii) 適切な場合には、支援技術〔支援機器〕及び新たな技術〔機器〕の使用を容易にすることにより、障害のある人が、選挙及び国民投票において脅迫を受けることなく秘密投票により投票する権利、選挙に立候補する権利、並びに政府のすべての段階において効果的に公職に就き及びすべての公務を遂行する権利を保護すること。

(iii) 選挙人としての障害のある人の意思の自由な表明を保障すること。このため、必要な場合には、障害のある人の要請に応じて、障害のある人自身により選ばれた者が投票の際に援助することを認めること。

(b) 障害のある人が、差別なしにかつ他の者との平等を基礎として、政治に効果的かつ完全に参加することのできる環境を積極的に促進すること。また、障害のある人が政治に参加することを奨励すること。政治への参加には、次のことを含む。

(i) 国の公的又は政治的活動に関係のある非政府機関及び非政府団体に参加すること、並びに政党の活動及び運営に参加すること。

(ii) 国際的、国内的、地域的及び地方的な段階において、障害のある人を代表するための障害のある人の団体を結成し、及びこれに加入すること。

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)

(行政機関等における障害を理由とする差別の禁止)

第7条 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。

2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。

(事業者における障害を理由とする差別の禁止)

第8条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。

2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。

なお、より具体的には、「文部科学省における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」や「文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」などが定められている。