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布の本

子供たちは皆、布で作られた本が大好きであり、またそれらを「必要としている」子供たちもいる。布の本を必要としているのは、何らかの理由で、将来読み方を学ぶ条件となるスキルの開発に特別な支援が必要な子供たちである。

読むことには、目と脳、そして目と手の高度な協応が必要である。文字と絵が見えるように、ある一定の角度で本を持ち、ページをめくれなければならない。布で作られた本は、不随意運動を伴う子供や、目が見えない子供、運動機能が低い子供などには扱いやすい。一般の図書は破れやすく、よだれでだめになってしまい、またページをめくるのが難しい。本は多くの子供たちの友達である。布の本は、優しい友達なのだ。

布の本には多数の効果がある。子供たちの好奇心をかき立てるために、布の本を製作するのは良い考えである。例えば、ポケットのふたを一生懸命開いたとき、子供たちはわくわくするようなおもちゃを見つけるのだ。子供たちは身近なものに関する話が好きだが、笑わせてくれるような驚きがあったほうがよい。また、物語にあった素材を選ぶとよいだろう。フェルトを使って、物語に織り込めるような文字や数字を作ることもできる。

日本人は布の本の製作に関しては特に優れている。ターゲットグループはおもに視覚障害児である。布の本の多くは縫ったものであるが、マジックテープのような新製品のおかげで、今では針仕事をすることなく布の本を作ることができる。インドやスロヴェニアなどの他の国々でも、近年同じように製作している。

アメリカのアン・ペロウスキー(Anne Pellowski)は、多くの国でワークショップを実施しているが、そこでは参加者自身が本を作るのが特徴である。彼女はこれらのミーティングに参加した人々の創造性を見て驚いていた。

店で販売される布の本もあるが、ほとんどは少人数の子供たちを元気づけるために作られている。出版社は一般にこのタイプの図書の製作に前向きではない。それはお金がかかるプロジェクトだと考えているからである。しかし本当に良い本であれば、多くの子供たちの興味をとらえるであろう。そうすれば利益が得られる可能性も高い。

参考文献

アン・ペロウスキー(Pellowski, Anne)『子供向けの布の本の作り方-個人用の本を作るためのガイド(How to make cloth books for children - a guide to make personalized books)』
ペンシルヴァニア チルトン・ブック・カンパニー、ラドナー(Chilton book company Radnor)1992年
ISBN 0 8019 8398 3