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本が広げる鉄格子の中の人々の世界
ドイツおよび世界の主要国における刑務所図書館と公共図書館の協力事例

ゲルハルト・ペシェ1)(Gerhard Peschers)

ドイツ ミュンスター 刑務所図書館促進協会

Copyright©2015 by Gerhard Peschers.
本作品は、クリエイティブコモンズAttribution 3.0Unportedライセンス(http://creativecommons.org/licenses/by/3.0/)
の条件の下で提供される。

要約

本稿では、ドイツおよびその他の国々における刑務所サービスについて説明する。特に刑務所図書館と公共図書館の協力に重点を置く。

キーワード:受刑者のためのメディア、刑務所図書館と公共図書館の協力、ドイツ、ヨーロッパ、アフリカ、アフリカ刑務所プロジェクト、アメリカ合衆国、ホルスト・ケーラー、デニス・ゴールドバーグ、バーバラ・リゾン、ヴィベッケ・リーマン

序論

私はこの国際図書館連盟(IFLA)の大会で、ドイツと広く世界の主要国における刑務所図書館サービスの現状について概説したい。特に焦点となるのが、刑務所図書館と公共図書館との協力である。2)

本稿執筆中、常に建設的な支援をしてくださった、ユネスコ生涯学習研究所のリサ・クロラック(Lisa Krolak)に特に感謝申し上げる。

まず、IFLA、ユネスコおよび欧州評議会による基本的なガイドラインと勧告をいくつか指摘したい。

IFLA受刑者への図書館サービスガイドライン(Lehmann and Locke, 2005)序論「理念と前提」のセクションには、以下の目的が記されている。

刑務所図書館は「自由な」世界の地域図書館に匹敵する資料とサービスを提供しなければならない。(中略)刑務所図書館は公共図書館を模範とし、同時に、刑務所教育と更生事業、さらには、その他の刑務所特有の必要性(法律関係の蔵書など)にかかわるリソースを提供しなければならない。

10年前、IFLA/ユネスコ公共図書館宣言(IFLA, 1994)では、すでに受刑者のための公共図書館を要求していた。

公共図書館サービスは、年齢、人種、性別、宗教、国籍、言語または社会的地位にかかわらず、すべての人の平等なアクセスを基礎として提供される。理由を問わず、通常のサービスや資料を利用できない利用者、例えば、言語的少数者や障害のある人、あるいは病院や刑務所に入っている人には、特別なサービスと資料が提供されなければならない。

ヨーロッパの場合、2006年に欧州評議会閣僚委員会によって採択された、欧州刑務所規則に関する勧告Rec(2006)2(Council of Europe, 2006)3)  が、特に重要である。この欧州刑務所規則に関する勧告は、捜査中の留置にも適用され、以下の文言を含んでいる。

28.5  すべての施設に、娯楽と教育の両方を目的とした幅広いリソース、図書およびその他のメディアを十分に揃えた、受刑者全員が利用できる図書館を設置しなければならない。

28.6  可能な限り、刑務所図書館は、地域の図書館サービスとの協力の下に運営されなければならない。

IFLA、ユネスコおよび欧州評議会が勧告する、刑務所内の人々のメディアへのアクセスに関する原則では、司法制度と公共図書館の両方の責任を謳っている。しかし、これらのガイドラインと勧告の実践は今なお例外的であり、依然として多くの国で課題となっている。

2.ドイツにおける刑務所図書館―特にノルトライン=ヴェストファーレン州とミュンスター刑務所の事例

ドイツにおける刑務所図書館の歴史は、公共図書館や図書室の歴史と似通っており、さまざまな時代の刑務所教育に対する考え方をそれぞれ反映している。

現在、ドイツには約200の刑務所があり、合計約62,000人の受刑者がいる。4) しかし、専門の刑務所図書館司書は、16のドイツ連邦州のうち、3州(ノルトライン=ヴェストファーレン、ブレーメンおよびハンブルグ)の4館でしか活動していない。2006年以降、刑務所図書館促進協会が、ドイツにおける刑務所図書館活動の開発を支援している。

ドイツにおける刑務所図書館の法的根拠は、16のドイツ連邦州でそれぞれ異なっており、各州が独自の刑務所制度と刑法を持つ。刑務所図書館サービスの提供は、原則としてのみ法に定められており、予算、人材および評価に関する実質的な支援はほとんど得られない。長年にわたる準備を経て、ノルトライン=ヴェストファーレンでは、刑務所における図書館サービスのガイドラインを2015年に採択することになった。

刑務所における専門的な図書館サービスの基盤が弱いことから、ドイツではこれらのサービスの開発が大いに必要とされている。専門的な刑務所図書館サービスがある3州以外では、刑務所の職員や受刑者は、寄付と自らのボランティア活動に大きく依存している。

ノルトライン=ヴェストファーレンでは、1986年以降、2人の司書が、約50館の図書館と25万点のメディア資料を活用して、約40の刑務所を対象とする図書館サービスをコーディネートしてきたが、1988年にノルトライン=ヴェストファーレンを東西に分け、2つの機関が設立された。東部のヴェストファーレン=リッペを担当する機関は、2006年以降、設立から162年経つミュンスター刑務所に置かれ、私自身が担当している。この地域活動以外にも、私の仕事の20%は、ミュンスター刑務所の刑務所図書館のコーディネートに当てられている。この図書館は約100人のドナーから支援を受けており、場所も構想も全面的に再開発された。5)2007年、ミュンスター刑務所はドイツ「2007年図書館オブ・ザ・イヤー」を受賞し、ドイツと国際社会で好評を得た。

賞金の3万ユーロは数件のプロジェクトに使用された。1つは、刑務所図書館をテーマとした国際会議の開催(数カ国のゲーテ・インスティテュートと、長年IFLAで活動してきたアメリカ合衆国のヴィベッケ・リーマン(Vibeke Lehmann)と協力)で、もう1つは、「読書がつなぐ―人権としての識字力」をテーマとするドイツ語と英語による巡回展の企画、そして最後に、2013年にグレイター(Gruyter)社により出版された、『本が広げる世界―ドイツと世界の刑務所の中の人々に対するメディアサービス(Bücher öffnen Welten: Medienangebote für Menschen in Haft in Deutschland und international)』という題名の本(Peschers and FVGB, 2013)である。現在、国際的な出版社と協力して、この本の最新版を英語で出版できないか検討している。もしこのプロジェクトに興味があれば、私に連絡してほしい。6)

3. 刑務所図書館と公共図書館の協力

3.1 ドイツにおける実践

ブレーメンとハンブルグの2つの都市では、法制度と市の公共図書館サービスとの法的拘束力を伴う協力の下で、刑務所図書館サービスが運営されている。

ブレーメンの中心的な刑務所図書館は、公共図書館の分館である。その8,000点のメディア資料は、1人の司書によって管理されており、公共図書館との合同イベントも開催されている。刑務所図書館はオスレブスハウゼン刑務所の教育棟に統合されている。7)

ハンブルグでは、ハンブルグ公共図書館サブユニットの司書2人が、1968年以降、6つの刑務所の図書館8館における資料の入手と管理をコーディネートしてきたが、現在では2,150人の受刑者(Statistisches Bundesamt, 2014, p.5)に対して、16,000点のメディア資料を所蔵している。「連携先の法務当局が、メディアの費用を負担し、それ以外のほとんどすべての費用を毎年提供している。法務当局と大都市の公共図書館システムとのこのような協力は、ドイツでは珍しい。ハンブルグの刑務所図書館で受刑者が利用できる資料の数は、380点から4,700点まで幅がある。3館の刑務所図書館では、受刑者が図書館間相互貸借を利用して、ハンブルグ公共図書館システムの170万点のメディア資料にアクセスすることができる。8)

ベルリンでは、セルフチェックアウトシステムがある革新的な刑務所図書館が、2013年にハイデリング刑務所(Heidering prison)で開館したが、公共図書館との専門的な協力は実現できなかった。

また、他のドイツ連邦州では、公共図書館と刑務所図書館との法的拘束力のある協力はほとんど見られない。しかし、数件の好ましい例外が注目に値する。

テューリンゲン州(旧東ドイツ)では、グライツの公共図書館が、極めて模範的かつ革新的な方法で、合同イベントの開催やメディアの貸借により、ホーエンロイベン刑務所と協力している。受刑者は自分の部屋で、非常に制約はあるが、公共図書館のオンライン目録など、あらかじめ設定された一部のウェブサイトにアクセスし、匿名で毎週資料をいくつか借りることができる。グライツの公共図書館は、「2014年 A*1)ドイツ読書賞」を受賞した(Deutscher Lesepreis 2014 A*2))。

ラインラント=プファルツ州では、ウィトリヒの公共図書館と刑務所の間で、数年間にわたり専門的なアドバイスがやりとりされ、不定期のイベントが開催されている。

ノルトライン=ヴェストファーレン州では、刑務所図書館関連の2機関の司書2人が、公共図書館の基準に従い、刑務所図書館の開発を試みており、公共図書館との協力を促している。これについては、2015年に採択される予定の、刑務所図書館に関する新たなガイドラインに記されるだろう。

1978年以降、ゲルセンキルヘンの公共図書館は、近隣の社会療法施設との協力関係を維持してきた。この施設の入所者は、同図書館から定期的に資料を借りている。ミュンスターでは2005年以降、また、ヘルフォルトデトモルトでも2008年頃から、公共図書館と刑務所図書館の間で専門的な交流が進められており、ドルトムントでは、現在、初の公式な協力体制が確立されつつある。このような協力には、不定期なアドバイス、合同イベントの開催と特別な機会における貸出が含まれる。

3.2 海外における実践

スペースと時間の関係で、ここでは海外の刑務所図書館の実践について、ほんの2,3例しかあげることができない。9)  各国の図書館協会がこのテーマに関する専門的な論文の作成を依頼し、それらをIFLAの「 特別なニーズのある人々に対する図書館サービス」分科会(LSN)と共有できれば望ましい。以下に、私が知る各国のベストプラクティスの事例をあげる。

1991年という早い時期に、英国は刑務所図書館と公共図書館がどのように責任と職務を分担するべきかについて、法律で規制していた。図書館情報専門家協会(CILIP)は、刑務所における図書館サービスを中心となって進めている立場から、刑務所図書館グループ(PrLG)を設立し、刑務所図書館の専門的な設計と、刑務所図書館で働く司書のための年間研修をコーディネートしている。

オランダ北欧では、刑務所図書館司書は熟練した司書の監督を受けており、国内の図書館専門家との直接的なつながりが確保されている。

ヨーロッパでは、英国、オランダおよび北欧諸国において、刑務所で専門的な図書館サービスが行われていることから、IFLA受刑者への図書館サービスガイドラインの実現が最も近い。アメリカ合衆国の興味深い実践例とともに、これらは他の国々に刺激を与える最適の事例である。

2009年以降、フランスは、アドバイスの提供、テーマに関連した資料の貸出や合同イベントの開催など、できることを基本とした任意の協力関係を確立することにより、刑務所図書館と公共図書館の連携を強めてきた。

スペインでは、自治州によって異なる一貫性のない規制が、外部の図書館および図書館システムとの協力の機会を妨げている(Peschers and FVGB, 2013, p.216)。

スイスでは(この国だけに限られたことではないが)、刑務所図書館はどちらかといえば孤立している。それらを刑務所システムの内部で、また、外の世界に対しても、目に見える存在にする必要がある。その一方で、図書館側も、刑務所図書館について専門的な研究を実施し、協力の形を模索しなければならない(前掲書 p.254ff)。

日本では、刑務所図書館サービスは非常に限られており、公共図書館との協力もほとんどない。「公共図書館からの古本の寄付は一般的だが、通常の貸出サービスや専門的なアドバイスはほとんどない」(前掲書 p.332)。「協力とネットワーク構築には、双方の意欲的なパートナーが必要だが、公共図書館は受刑者との社会的なかかわりにまったく関心を示していない。日本図書館協会は、障害のある人への図書館サービスは支援しているが、不利な立場にある別のグループ、すなわち、受刑者への支援サービスの確立には、今後も取り組んでいく必要がある」(前掲書 p.333)。

アメリカ合衆国では、「50州それぞれに法務当局があり、州内の刑務所とその図書館を担当している。地方の当局と自治体が刑務所や拘置所を運営し、ほとんどの場合、公共図書館および/あるいはボランティア団体との間に、受刑者のための読書資料とその他の図書館サービスの提供に関する協定を結び」(前掲書 p.132)、利用者指向の蔵書を確保している。10)  英国と同様、アメリカ合衆国も、刑務所で読書推進プロジェクトを実施している(前掲書 p.149ff)。11)  これには、受刑者とその家族に刑務所から社会へとうまく復帰できるよう準備をさせるプロジェクトがある(前掲書 2013, p.151)。12)

3.3  アフリカにおける実践

このたび私は初めてアフリカを訪れた。ここには、ウガンダと南アフリカの刑務所図書館を視察し、IFLAに参加するために来た。私はアフリカの刑務所図書館について話ができる立場にはないが、このテーマについて私が初めて洞察を得るに当たり、力を貸して下さるすべての方々に感謝申し上げたい。残念ながら、法務当局やアフリカの図書館協会によって書かれた、アフリカの刑務所図書館に関する論文は持ち合わせていない。皆さんから役に立つ論文を提供していただければ、大変ありがたい。

とはいえ、アフリカ出張に向けて調査していたときに見つけた、アフリカ刑務所プロジェクト(APP)については、皆さんに紹介しておきたい。13) これは、イングランド出身で当時18歳のアレクサンダー・マクリーンズ(Alexander McLeans)によって始められたもので、彼が2004年にウガンダでボランティアとして経験したことに基づいている。2007年以降、このプロジェクトは慈善活動として認められるようになった。そして、刑務所運営陣と協力し14)、アフリカ主要国の受刑者の健康、教育、正当な扱い、再統合の促進に向けて協力するために、外部の支援を確保することができた。その中心となっているのが読書の推進で、これまでに刑務所図書館が10館設立された。

4. 結びの言葉

刑務所図書館の国際比較というテーマについて、このような短いプレゼンテーションで総合的に紹介するには、このテーマに関する私の知識も使える時間もあまりに限られている。本稿では、受刑者が利用できるメディアの提供の多様性について、その全体像を断片的に反映させることしかできない。それでも、アイディアや行動を刺激することはできるだろう。

ここで、アメリカ合衆国の刑罰システムの中で長年司書として働き、IFLAでも国際的に活動してきたヴィベッケ・リーマンの経験を検討するべきだろう。刑務所図書館には、国の基本姿勢が社会というプリズムを通して反映される、と彼女は言う(Peschers and FVGB, 2013, p.9ff参照)。したがって、それぞれの国が、受刑者にどのようなメディアサービスを提供したいかを、自らに問いかけてよいのだ。

ブレーメンの公共図書館長で、IFLA運営理事会のメンバーであるバーバラ・リゾン(Barbara Lison)は、次のように述べている。「刑務所図書館は、非常に特殊な、しかし、同時に非常に伝統的でもある方法で、公的活動への参加を可能にすることにより、公共図書館の真の使命を実現する」(前掲書 p.7)。

IFLA受刑者への図書館サービスガイドラインは、「読み、学び、情報へのアクセスを持つという受刑者の基本的な権利に関する方針声明」の一種である(前掲書 p.8)。

ドイツ連邦共和国元大統領ホルスト・ケーラー(Horst Köhler)博士は、在任中、特にアフリカ支援に取り組み、受刑者へのメディアサービスの向上が、「世界における人道促進への投資」であると述べた(前掲書p.4)。15)

これに関連して、グギ・ワ・ジオンゴ(Ngugi wa Thiong'o)、ウォール・ソインカ(Wole Soyinka)、ネルソン・マンデラ(Nelsen Mandela)などの投獄されていたアフリカ出身の著者や著名人が、刑務所におけるメディアの重要性について、どのような経験を伝えることができるか、あるいは、伝えることができたかを知ることは興味深いだろう。彼らが獄中にあった頃から、何が変わっただろうか? 例えば、ネルソン・マンデラの仲間で、ドイツ刑務所図書館促進協会の名誉会員である、ケープタウン出身のデニス・ゴールドバーグ(Denis Goldberg)は、私に以下のように伝えてきた。

このプロジェクトについて教えてくださってありがとうございます。「受刑者のための図書館プロジェクト」の賛同者となるよう、ご招待いただきましたことを大変嬉しく思いつつ、お引き受けいたします。反アパルトヘイト活動のために、南アフリカで22年間にわたり投獄された際に、それがいかに重要であったかを思い出し、喜びがこみ上げてきます。刑務所図書館には蔵書が少なく、私たちは読みたい本を選ぶことができませんでした。本はただ送られてくるだけでした。幸いにも、通信教育で大学レベルの勉強をすることが許されていました。南アフリカ大学には、豊富な蔵書を抱える図書館があり、勉強用に送られてくる本は、私と仲間たちが近代思想に常に注目し、これを理解するために極めて重要でしたし、言葉の勉強用の小説も何冊か送られてきて、とても楽しみました。私たちは16年間、新聞やニュース雑誌を入手することが許されなかったので、本は特に重要でした。本は現実生活に代わるものとなり、周囲の世界との関係と関心を持ち続けるための、すばらしい手段でした。16)

デニス・ゴールドバーグは1964年から1985年まで投獄されていた。南アフリカの受刑者に対するメディアサービスは、そのときからどれだけ進歩しただろうか?

「アフリカ刑務所プロジェクト」は、刑務所の境界壁の上に育つ本の木という私の夢の具体例で、2008年以来ずっと私を駆り立ててきたが、多くの人とこの夢を共有したことで、"Libertree - Bücherbäume überbrücken Mauern"17)  という巡回展とウェブサイトを実現するに至った。

私はここで、刑務所の境界壁を打ち破るために、対話と統合を支援する独自の方法―例えば、受刑者へのメディアの提供など―を見つけることを、刑務所図書館というテーマに関心のあるすべての人にお願いしたい。

さらに詳しい情報と、ドイツの刑務所図書館に関する情報交換を求める方は、ポスターセッションの際に私を訪ねてほしい。そこでは、拙書『本が広げる世界 ドイツおよび世界の主要国における刑務所図書館の考察(Bücher öffnen Welten)』と、私の勤務先であるミュンスターの刑務所図書館の活動について紹介することができる。

5. 参考文献およびウェブサイト

専門的な文献

Council of Europe, Committee of Ministers. 2006. Recommendation Rec(2006)2 of the Committee of Ministers to Member States on the European Prison Rules.
https://wcd.coe.int/ViewDoc.jsp?id=955747

IFLA (International Federation of Library Associations and Institutions). 1994. IFLA/UNESCO Public Library Manifesto.
http://www.ifla.org/publications/iflaunesco-public-library-manifesto-1994

Köhler, H. 2010. Schicksal Afrika - Denkanstöße und Erfahrungsberichte. Reinbek: Rowohlt. 381 p. [アフリカの運命―ヘニング・マンケル(Henning Mankell)、タボ・ムベキ(Thabo Mbeki)、フォルカー・シュレンドルフ (Volker Schlöndorff)、アスファ=ヴォッセン・ アサラーテ(Asfa-Wossen Asserate)などによる記事を掲載]

Lehmann, V.; Locke, J. 2005. Guidelines for Library Services to Prisoners. The Hague, IFLA, 3rd edn. 24 p.
http://www.ifla.org/files/assets/hq/publications/professional-report/92.pdf

Lehmann, V. 2011. Library and Information Services to Incarcerated Persons: global perspectives. In: Library Trends, 59(3). Baltimore, USA. [カナダ、英国、ドイツ、フランス、アメリカ合衆国、イタリア、ポーランド、スペイン、日本の刑務所図書館に関する記事]

Peschers, G. and FVGB (Förderverein Gefangenenbüchereien e.V.) (eds.) 2013. Bücher öffnen Welten. Medienangebote für Menschen in Haft in Deutschland und international. [本が広げる世界 ドイツおよび世界における受刑者へのメディアサービス]. München, De Gruyter. 417 S. (Bibliotheks- und Informationspraxis, 54) [Library Trends, 59(3) の記事のドイツ語訳に、オランダ、スイスのさらに詳しい事例研究 と、アルゼンチン、ブラジル、ペルーおよびパレスチナにおけるゲーテ・インスティテュートのプロジェクトが追加された。]

Statistisches Bundesamt 2014. Bestand der Gefangenen und Verwahrten, Stand 2014 [2014年現在のドイツの受刑者に関する統計]
https://www.destatis.de/DE/Publikationen/Thematisch/Rechtspflege/StrafverfolgungVollzug/BestandGefangeneVerwahrte.html

Sutter, Th. 2015. Lesen und Gefängen-Sein, Gefangnisbibliotheken in der Schweiz. [読書と投獄生活:スイスにおける刑務所図書館]. Springer VS. XII, 479 p.

展示とウェブサイト

英語:
UNESCO: Effective Literacy Practice: Münster Prison Library (Germany) http://www.unesco.org/uil/litbase/?menu=9&targetgroup=15&programme=110

African Prisons Project (APP) http://www.africanprisons.org/

ドイツ語:
Ausstellung: "Lesen verbindet - Alphabetisierung als Menschenrecht"[展示「読書がつなぐ-人権としての識字力」]
http://www.raus-blick.de/ansprache/ausstellung-lesen-verbindet.html

Ausstellung: "Libertree - Bücherbäume überbrücken Mauern" [展示「Libertree - 本という木でつなぐ架け橋」] http://www.libertree.eu

Förderverein Gefangenenbüchereien e.V. [ドイツ刑務所図書館促進協会]
http://www.fvgb.de

Gefangenenbücherei der JVA Münster [ミュンスター刑務所図書館]
http://www.jva-muenster.nrw.de/aufgaben/freizeit_der_gefangenen/buecherei/index.php

Hamburger Bücherhallen, Abteilung Justizanstaltsbüchereien (JAB) (ハンブルグ公共図書館、刑務所図書館部)
https://www.buecherhallen.de/justizanstaltsbuechereien

Stadtbibliothek Greiz [グライツ公共図書館]http://www.greiz.de/bibliothek

Stadtbibliothek Bremen [ブレーメン公共図書館] http://www.stabi-hb.de/Suche.html

注釈

1)
ゲルハルト・ペシェは、神学と図書館学の学士号を持つ。1992年よりノルトライン=ヴェストファーレンで司書として刑務所サービスに従事してきたが、現在では成人向け(20施設)と青少年向け(3施設)の更生施設における図書館30館を担当している。1995年以降、ドイツ図書館協会(DBV)刑務所図書館課の広報を担当しており、2006年にはドイツ刑務所図書館促進協会(Förderverein Gefangenenbüchereiein e. V.)を設立、会長を務めている。また、2003年からは、ミュンスター刑務所の図書館(JVA Münster)の日々の運営にも直接責任を負っている。

2) ドイツにおける刑務所図書館の活動は、2003年ベルリンで開かれた「アクセスポイントとしての図書館」をテーマとするIFLA世界図書館・情報会議(WLIC)で、ノルトライン=ヴェストファーレン(NRW)の例をあげて、初めて世界に発表された。ヘルシンキでのIFLA WLIC2012では、ドイツの「2007年図書館オブ・ザ・イヤー」を受賞したミュンスター刑務所の刑務所図書館がポスターセッションで紹介され、「IFLA2012最優秀ポスターセッション賞」を受賞した。

3) 欧州評議会 2006年https://wcd.coe.int/ViewDoc.jsp?id=955747(最終アクセス日は2015年6月4日)

4) Statistisches Bundesamt, Bestand der Gefangenen und Verwahrten, Stand 2014, p. 5
https://www.destatis.de/DE/Publikationen/Thematisch/Rechtspflege/StrafverfolgungVollzug/BestandGefangeneVerwahrte.html (最終アクセス日は2015年6月4日)

5) このために、また、ドイツの刑務所図書館サービスの開発のために、刑務所図書館促進協会が2006年のクリスマス前の月曜日に設立された。現在同協会には110名の会員がいる。名誉会員の中には、ギュンター・クネルト(Günter Kunert)、2014年からケープタウン出身のデニス・ゴールドバーグ(Denis Goldberg)―プレトリアで22年間投獄されていたネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)のかつての仲間であり友人、そして1936年にユダヤ人としてドイツから南アフリカに移住したが、ジャーナリストと作家の立場からアパルトヘイト制度に対して批判的な態度をとったために争いに巻き込まれたルース・ワイス(Ruth Weiss)がいる。彼女は好ましからざる人物とされ、南アフリカを去らなければならなかった。彼女はジンバブエとイングランドで暮らしたのち、2001年に再びドイツに居を構えた。

6) この本はまだ全編が翻訳されていないので、引用部分はすべて本稿のために英訳されたものである。

7) http://www.jva.bremen.de/sixcms/detail.php?gsid=bremen127.c.1840.de
[2015年6月5日アクセス] 公共図書館のホームページでも、ブレーメンの刑務所のホームページでも、刑務所図書館のサービスについて紹介していない。

8) http://www.buecherhallen.de/justizanstaltsbuechereien
参照[2015年6月5日アクセス]

9) ここにあげた例はPeschers and FVGB(2013)の中の各国の広範な事例研究から抜粋したもので、一部はPeschers and FVGB(2013)の事例研究を評価したトルシュテン・アーレンス(Thorsten Ahrens)(2015)の未公開論文から引用した。Ahrens, T. 2015. Bücher öffnen Welten. Gefangenenbüchereien in Frankreich, Großbritannien, Japan und den Niederlanden im Vergleich anhand der IFLA-Richtlinien für Gefangenenbüchereien, [本が広げる世界:IFLA受刑者への図書館サービスガイドラインを使用した、フランス、英国、日本およびオランダの刑務所図書館の比較] 未公開論文

10) 「アメリカ合衆国の刑務所図書館は公共図書館をモデルに開発されているため、公共図書館で利用可能なメディアと同じものを提供することを理想としなければならない―ただし、これは利用可能な資金に左右される。しかし、研修を受けた刑務所図書館司書は、情報への自由なアクセスを与える倫理規範と、現在または今後想定される刑務所における読書メディアへのアクセスに関する既存の制限との間で葛藤している」(Peschers and FVGB, 2013, p.146)。

11) 「本を通してバリアをなくす(Breaking Barriers with Books)」(BBWB)は、ウィスコンシンのオシュコシュ刑務所で大いに成功を収めた家族向け識字プログラムで、受刑者の子どもたちの参加を得、14年間実施され、成果を上げた」(Peschers and FVGB, 2013, p.149)。
「メリーランドの『家族識字@図書館(Family Literacy@Your Library)』プログラムは、刑務所図書館と公共図書館の優れた協力事例である。刑務所図書館の職員は、ハワード郡図書館とイーノック・プラット図書館[ボルチモア]の児童担当司書から専門的な支援を受けている。刑務所図書館プログラムのコーディネーターが、資料選択と読書推進の方法について研修を受けるのだ。受刑者らは、自分に読み聞かせをしたり、自分の子どもたちのための活動を一緒に計画したりして準備する。寄付を増やすために、イーノック・プラット図書館は、所蔵する児童書の貸出を行っている」(Peschers and FVGB, 2013, p.150)。

12) 「コロラド州立図書館の施設図書館開発部は、受刑者とその家族の再統合に非常に有効なガイドラインを開発したが、これには公共図書館が受刑者を地域社会に再統合する方法が含まれている」(Peschers and FVGB, 2013, p.151)。「2008年には、コロラド刑事司法改革連合の同じチームの協力を得て、『20年間にわたる服役を終えたあとの生活:刑務所から地域社会への移行を成功させる図書館資料(Life after20-to-Life: Library materials for a successful transition from prison to the community)』と題した公共図書館向けプレゼンテーションと、『出所後の生活:図書館にどのような支援ができるか(Out for Life: How Your Library Can Help)』と題した受刑者および元受刑者向け動画を作成した。この動画はYou Tubeで配信されている」(Peschers and FVGB, 2013, p.151)。

13) http://www.africanprisons.org/参照

14) APPはウガンダ刑務所サービスの公式パートナーの1つ。http://www.prisons.go.ug/参照。

15) ケーラー博士はミュンスターの刑務所と刑務所図書館を2012年3月17日に訪問した。この際、彼は『アフリカの運命(African Destiny)』と題する本を読み、アフリカ出身者数名を含む受刑者らと話をした。彼はこのテーマに関する本をドイツ語で編集した(Köhler, 2010)。

16) デニス・ゴールドバーグからゲルハルト・ペシェに送られた2014年11月28日付の未公開メール

17) Libertree -本という木でつなぐ架け橋 http://libertree.eu/参照。


掲載者注

*1)原文は2015年だが、http://www.microsofttranslator.com/bv.aspx?from=&to=en&a=http%3A%2F%2Fwww.deutscher-lesepreis.de%2Faktuelles%2Fによると2014年

*2) 上記同様

原文はこちら(英語)