「すべての人のための図書」財団(Books for Everyone)
2009年8月17日
IFLA 印刷物を読むことに障害がある人々のための図書館サービス分科会(LPD)主催
P3(People:人々 Publishers:出版社 Public Libraries:公共図書館)会議
アン・マリット・グーダル(Anne Marit Godal)
CEO
「すべての人のための図書」財団(Leser soker bok)
オスロ ノルウェー
「すべての人のための図書」財団(Books for Everyone)
ノルウェーにおける読字スキル
ノルウェーにおける読字能力調査結果
- 読むことができない
- 読字に関する重大な問題がある
- 読字に関する些細な問題がある
- 読むことができる
成人人口の30%が、通常の図書の内容理解に問題を抱えている。
「すべての人のための図書」財団の考え方
「すべての人のための図書」財団は、読むことに問題を抱えているあらゆるタイプの人々にアクセシブルな質の高い図書を提供することを目的として、2003年に設立された。
人が問題なのではない-本に問題があるのだ。
啓発への道を歩む中で、私たちはこう考えるようになった。
- 通常の図書がどうしても読めるようにならない人はいるが、「読むのが苦手である」ことは必ずしも恒久的な診断ではなく、また、質の低い図書しか利用できないということが、誰にもあってはならない。
- 読むことに慣れていない人々に図書を提供することにより、私たちは文化的民主主義に向けて努力している。
- 著作者および出版社による本の執筆と開発を支援することにより、私たちはこれまで主流の出版業界から忘れられていた読者に働きかけている。
目標
質の高い書物をすべての人にとってアクセシブルにすること読字能力に影響されることなく読めるように
誰もが読める図書が、最高の著作者、イラストレーター、そして出版社によって製作されるよう、力を尽くす。
「すべての人のための図書」財団
「すべての人のための図書」財団は、20の組織からなる連携機関として結成された。会員には、書店組合、著作者協会、出版社協会、およびターゲットグループを代表するさまざまな組織が含まれる。財団は、図書流通関係者全員の責任を強化する。
活動内容
著作者およびイラストレーターに対し財政支援を行うとともに、さまざまな方法で読みやすく改変された図書の製作方法に関するアドバイスを提供し、協力する。
ノルウェーの書籍市場で読みやすく改変された図書の出版に取り組んでいる出版社と協力する。
これらの実施方法についての理解を深めるために、著作者および出版社向けのハンドブックを開発した。
活動内容
毎年、15-20人の著作者および15-20の図書の出版を支援している。
例:
ノルウェーでもっとも有名な作家数名に連絡を取り、言葉づかいは簡単だが内容は通常と変わらない文章の執筆を依頼した。 その後、大手出版社の1つに、シリーズとして出版してもらった。
おもな改変点:読みやすくする
文章はすべて、ある程度は難しいものである。 著作者の中には、他の著作者よりもアクセシブルな言葉で書く者もいる。 もっとも簡単な文章が、単純に一番良い場合もある。 読みやすい図書を作るということは、言葉が内容の理解を妨げるものとならないようにするという意味である。
「すべての人のための図書」財団の読みやすい図書は、通常の文章を読むことに問題のある人々(ディスレクシア、ADHD、少数言語使用者)のための、素晴らしい選択肢である。
もう一つの改変点:わかりやすくする
この種の図書は、読みやすく、かつ、わかりやすい。 文章量はさまざまだが、ほとんどが、挿絵を付けて読みやすく改変されている。
このような図書は、知的障害者や、行間の意味を読み取ることを望まない人に適している。
さまざまな改変点
さらに、以下の図書の開発も支援している:
- 大活字
- 点字+触る絵
- ブリス(BLISS)またはピクトグラム
- 手話
BOKSOK.NO
それぞれの読者が適切な図書を見つけられるようにすることが、大きな課題である。
インターネット検索ガイド:Boksok.no
図書をどのように改変する必要があるか、年齢、テーマ、言語などを選択する。 すべての適切な図書と、それらがどの図書館にあるか、どこで買えるかがわかる。
すべての人のための図書の販売
図書の販売:
書店を通じての販売は困難
インターネットによる販売
+今秋開始
「読書クラブ」
-読みやすく改変された図書を読むクラブ
図書館との協力
目標:あらゆる種類の読字障害を抱える読者に対し、すべての図書館が良いサービスを提供できるようにすること
- 425館の地域図書館のうち145館
- 19館の州立図書館のすべて
- 7館の刑務所図書館
- 1館の学校図書館
支援、図書、アドバイスおよび共通ネットワークを提供
読書指導員
図書館は「すべての人のための図書」財団と提携し、読書指導員も配置する。これは、自力で読むことができない人々に朗読をしてくれる人である。
800人の読書指導員
認知症や失語症に苦しむ人々、脳卒中患者、高齢者または知的障害者に、大いに歓迎されている試み
ノルウェー視覚障害者図書館
財団とは別の機関:その役割は、全盲、弱視などの視覚障害者と、読字障害や通常の印刷物を読むことができなくなる一般的な疾患のあるその他の人々に、図書館サービスを提供することである。
「すべての人のための図書」財団の図書館ネットワークとの連携
成功への鍵
- ボトムアップのイニシアティブ
図書流通に関わるあらゆる部門を全国レベルで統括 - 組織内の図書流通関係者全員の責任を強化
- すべての分野における活動-構想から製作、情報提供、販売および図書館サービスの提供まで。情報の流れ、権限、版権、そして、すべての人のための図書製作に対する熱意の確保
www.lesersokerbok.noをごらんください。