ディスレクシア? 図書館へようこそ!
ディスレクシアの人のための図書館サービスに役立つヒント
ディスレクシアガイドライン チェックリスト プリントアウト用PDF
2001年、国際図書館連盟(IFLA)は、『ディスレクシアのための図書館サービスのガイドライン』(IFLA専門報告書第70号)を発表しました。
それ以来、ディスレクシアの人に対する態度は変化し、印刷物を読み、正確に書く訓練を、多くの場合、無駄に終えるのではなく、解決策と別の読み書き方法を示す支援が行われています。
この「ディスレクシアガイドライン」の改訂版が、IFLAによって作成されました。これは、「特別なニーズのある人々に対する図書館サービス分科会(LSN)」と「印刷物を読むことに障害がある人々のための図書館分科会(LPD)」という、類似した活動を行っている2つのセクションによる共同事業となりました。
図書館に備えるべき蔵書と機器
![]() オーディオブック |
![]() DAISY録音図書 |
![]() 読みやすい図書 |
![]() フィクション および ノンフィクション |
![]() さまざまな難易度の資料 |
![]() 娯楽用: 映画、音楽、ゲーム |
![]() デジタル版 |
![]() 電子書籍と 電子書籍リーダー |
![]() 読み上げツール (DAISY再生ソフトウェア、 DAISYプレーヤー、 DAISYアプリなど) |
![]() 拡大鏡付定規 |
スペースと配架
- 資料とIT機器は、受付カウンターに近い中央部に
- 館内ビデオ
- 館内のすべてのコンピューターで読み書きができるように、プログラムをインストール
- オーディオブックと読みやすい資料の近くにコンピューターを配置
- わかりやすい表示とピクトグラム
- 利用者の読書意欲を刺激する、読みやすい図書コーナー
- 資料と棚には、読みやすい表示、ピクトグラムとラベル
- 図書とその音声版・DAISY版を同じ場所に配架
- 図書やDVDは、表紙やジャケットが見えるように配架
図書館スタッフとパートナーシップ
受付(利用者と最初に接するスタッフ)から上級図書館司書(戦略・意思決定者)にいたるまで、図書館で働くすべての人の意識向上が重要
ディスレクシアの利用者へのサービスを専門に行えるスタッフの養成。利用者と最初に接するのはこのような専門のスタッフかもしれませんが、すべてのスタッフが基本的な利用案内を行えるようにしましょう。
利用者が「担当司書」を予約できる仕組み。自分を担当してくれる司書がいれば、来館しやすくなり、安心感も生まれます。
図書館内外での、知識の共有と協力!
ディスレクシアの利用者にも、図書館サービスの企画に参加してもらいましょう。
統合型アプローチを、すべての図書館サービスで数年間継続する必要
資料、スタッフ、マーケティングキャンペーン、
その他の必要事項をカバーする、十分な資金の調達
マーケティングの方法
案内冊子:読みやすくて役に立ち、印刷版でもデジタル版でも利用できる、図書館内外で配布される冊子
アクセシブルなウェブサイトと図書目録
技術支援や、ディスレクシアに関する専門知識がある図書館スタッフと会う機会が得られる、「立ち寄りカフェ」をたびたび開催しましょう。この種のイベントを通じて、利用者は自分と同様な困難な課題を持つ人と話す機会を得られます。
地元の新聞への、図書館サービスに関する記事の投稿
さまざまなテーマに関する研修や活動、読書クラブ、デジタル版ニュースレター、今月の読みやすい本の紹介、宿題の支援、あらゆるタイプのイベントの開催
フェイスブック、ポッドキャスト、YouTubeなどのソーシャルメディアの活用
図書館外のイベントに参加しましょう!
ディスレクシアの人に会いに行きましょう。
DYSLEXIA(ディスレクシア)
<ギリシャ語>
DYS:劣っている、不十分な
LEXIS:単語、言語
ディスレクシアは、神経学的な原因による障害
本人の知的レベル、努力、社会経済的地位は、ディスレクシアの存在とは無関係(ヨーロッパディスレクシア協会:EDA)
ディスレクシアでは、識字能力の弱さが最も目立つが、識字能力だけに関係しているわけではない。それは、情報を処理し、保存し、検索する方法、記憶の問題、処理速度、時間の感覚、組織化および順序付けにも影響を与える。(英国ディスレクシア協会:BDA)
このような読者を一様な集団と考えることはできませんが、共通する特徴はいくつかあげられます。
- 読む速度が遅い。
- 特定の単語や節を2、3回読まなければならない。
- ページの途中で「迷子」になってしまい、読んでいた文を探さなければならなくなる傾向がある。
- 単語レベルでの読みに大変苦労するので、文章全体を読む所までたどりつけない。
ディスレクシアの人が体験する可能性がある、読みの困難以外の問題
- 考えを言葉にする/質問を(書き言葉や話し言葉で)明確に組み立てるのが困難
- 言葉を見つけるのが困難
- 2つの課題を同時に行う(聞きながらメモを取るなど)のが困難
- 時間制限がある作業をするのが困難
- 書字が苦手
- アルファベット順の情報を探すときの問題
- 建物の中で迷子になってしまう問題
ニューヨークの全米学習障害センター(NCLD)は、約15%の人にディスレクシアが認められると発表
ディスレクシアや、特異的な学習方法の違いが見られる欧州市民は、全人口の5〜12%を占め、おもに「障害」のない者にやさしい世界で、苦労して生きている。(ヨーロッパディスレクシア協会:EDA)
読みでは言語と正書法が重要な役割を果たすため、ディスレクシアのレベルは国によって異なります。アルファベットを使用する言語の中には、「浅い正書法」を持つものもあれば、「深い正書法」を持つものもあります。書字システムにおける文字と音の対応が一対一に近いのが、「浅い正書法」です。ディスレクシアの人には、「深い正書法」の方が難しく感じられます(例えば、英語の、"He met her there."には、'e'が5つありますが、すべて発音が異なります。)
ディスレクシアの人の問題克服には、早期発見と適切な介入および支援が役立ち、これにより、好ましい対処方法を見つけ、読みと学習の代替方略を身に付けることができます。
ディスレクシアの著名人
![]() ジェイミー・ オリヴァー |
![]() リチャード・ ブランソン |
![]() アガサ・ クリスティー |
![]() ジョン・ アーヴィング |
![]() スティーブ・ ジョブズ |
![]() キーラ・ ナイトレイ |
![]() ジョン・ レノン |
![]() アルバート・ アインシュタイン |
![]() パブロ・ ピカソ |
![]() イングヴァール・ カンプラード |
『ディスレクシアのための図書館サービスのガイドライン』は、www.ifla.org/lsnからダウンロードできます。
International Federation of Library Associations and Institutions
翻訳・編集:(公財)日本障害者リハビリテーション協会