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ローマ市における図書館システム 『刑務所図書館』サービス

2009年8月25日
IFLA(国際図書館連盟)年次大会2009(ミラノ、イタリア)
特別なニーズのある人々に対する図書館サービス分科会

ファブィオ・デ・グロッシィ(Fabio De Grossi)
ローマ市立図書館
イタリア ローマ

概略

  • イタリアの法規定と私共のローマでの体験: 36の市立図書館と21の刑務所図書館、図書館単一システム
  • 読書奨励活動: 著者との会談、『ローマ図書館賞』、外国籍受刑者へのイタリア語講座
  • 刑務所図書館が考える、ソーシャル・インクルージョンへのプロセスとその計画: 各証明書、『報酬の認可』、仕事教育・養成企画、恩赦した受刑者と元受刑者が市立図書館で働く際の「仕事奨励金」
  • 刑務所図書館は標準的な公立図書館であり、所属地域の図書館職員組織の一部である。刑務所図書館職員の専門性と寄贈の『問題』

序言

まず始めにこの会議に招いてくださったことを感謝します。私は英語を話せないし、また私のフランス語はそんなに上手ではないので、言葉の問題でご迷惑をおかけしてしまうことをお詫びいたします。ですから通訳の皆様が忍耐を持って、私のフランス語をご理解してくださることを信じ、感謝いたします。

また、私が今日ここに講演者として立てることを私の同僚の皆様にも感謝します。私はこの取り組みを10年前に始めました。今は『第一線』にいるわけではありませんが、しかし新しい社会的企画、また刑務所についての試みを考案しようと努力しているオフィスに所属しています。刑務所図書館の日々の業務は、今日では業務責任者としてグランツィエッラ・スクテッラが、他に4人のすばらしい同僚と共に行っています。ルチアーナ・アルクーイ、ロザイラ・リベラトーレ、モニカ・シナトラ、ラウラ・ヴィンチです。ここで皆さんに刑務所図書館でのこれらの試みの全てを話すには時間がありません。多くの恐らくは多すぎる議題をお手元の要約に書きましたが、いくつかの点に絞ってお話しなければなりません。できるだけわかりやすく、ざっとお話します。もし最後に時間があればご質問にお答えし、何らかのことを付け加えたいと思います。

その他の情報は、私共のホームページ(http://www.bibliotechediroma.it)でご覧いただけます。

イタリアの法規定

刑務所法、憲法と補助規定、州法

イタリアでは、どんな法規定が刑務所図書館について定められているでしょうか?

イタリアでは、205の成人向け刑務所、18の未成年向けの刑務所があり司法省の直接の管轄下にあります。つまり国家行政により管理されているということです。ですから全ての刑務所生活は、国の法律により定められ(1975年より)、さらに国の司法省の法規によって定められているということです(1976年より。2000年改正)。

これらの法律や規定は、各刑務所は受刑者のために必ず図書館を一つ置かなければならないことを定め、この図書館は本部と刑務所で働く人の責任の元にあることを定めています。受刑者は自発的に刑務所図書館と協力することができ、あるいは報酬を得られる仕事として働くこともできます。しかしどのような図書館であるべきか、組織、基本サービス、とりわけ資金や財政面については何らかの指示も法規定にはありません。

イタリアには歴史ある世界的規模の図書館が多数あり、それらは本の探索、保管の役目も果たしています。また特別な専門図書館もあります。それら図書館は一般的には『国立』です。なぜなら図書館の組織は国の法規定により詳細に数多くの条項によって定められているからです。

公立図書館への援助をめぐっては、2001年のイタリア国憲法改正時によりそれが承認され、また推奨されるようになりました。規定の立法化は、国の指針により各州に委ねられています。また経営権は各市または各県にあり、また各地にこの各市・県と協力して行われるサービスシステムがあります。

刑務所図書館の抱えてきた問題はこれによりで解消されたと考えます。それにより刑務所図書館は国の機関となりましたが、また世界的な機構であるIFLA(国際図書館連盟)が主となって行った、1994年施行のユネスコ公共図書館宣言で明言されたように公共図書館でもあります。では先にいきましょう。

以上のことから、またこのような状況の下、私共のローマ市刑務所図書館が誕生いたしました。

ローマ市刑務所図書館での試み

ローマ市の『刑務所システム』と同市の図書館システムの誕生。他県・市との協力体制が生まれる過程についての簡単な説明。この相互援助の取決めを理解する上で必要な視点。

1990年までローマ市にはよい図書館システムがありませんでした。市の図書館は、ローマ市管轄における図書館区分により20に区分され、それぞれ配置されています。

1990年初頭、ローマ市の東にある一つの図書館が、刑務所図書館と協力を始めました。その図書館が週に一度、ある刑務所内の図書館の再編成を手伝うために刑務所に出向くというものです。図書の選別、図書目録の作成、図書の新規受け入れ、この図書館と他の図書館との図書の貸し出しについての作業などです。

1996年は「市立図書館システム機関」という単一機関が誕生した、大きく前進した年でした。市の中枢機関が直接、管轄し出資しますが、予算的にも運営も自立しています。市立図書館システム機構は、集まった蔵書目録ならびにOPAC(図書館の所蔵目録検索システム)、各図書館の間での貸し出しサービスなどの効率的な図書館システムの創設に同意しました。
ローマ市には大小6つの異なった大小の刑務所があり、この中のいくつかはイタリアでも大きいものです。成人向け刑務所が5つ、未成年向けが1つです。ですので『図書館システム』は実質的なシステムと言えます。

またローマには司法省刑務所当局の国の事務所がいくつかあります。

ですから、単一協定についての考え、市と省庁の管轄領域についての法規定を熟考する必要があり、図書館研究グループと刑務所勤務者に司法省を通じて公式の召集がありました。数ヶ月、各管轄を明瞭にする書類作成のために働くというもので、このことは刑務所当局の全国局長とローマ市長によって、1999年12月にマスコミを前にして署名されました。

刑務所当局は刑務所図書館に責任を持ちますが、全ての技術的サービスの責任は市の図書館にあるのです。図書の選定、新調、分類、目録作成、市の図書館同士での貸し出しなどです。

何人かの認可された受刑者には、整えられた、指導的にある立場の市立図書館で働き、その働きに対して時々刑務所本部から報酬が支払われます。あらかじめ予定されていたように、OPAC(図書館の所蔵目録検索システム)とオンラインがつながり、それによりすべての市立図書館と相互貸出しを行うことができるようになりました。

刑務所図書館は、市立図書館システム、即ち全く同等な立場で互いに助け合うというこのシステムに加わりました。ですから、また財政面だけでなく『予算』、また技術、組織編制についても、この相互援助システムに加わったことになります。

いくつかの活動情報、ここ10年間(19999~2009年)の成果について

今では刑務所図書館は、もはや『特別な計画』ではありません。今から10年前、区域内にある36の市立図書館とつながることにより、法的な定まったサービスを実施し、完全に足りない部分を補うことができたのです。

この10年間の間、刑務所図書館は再編成され、またはゼロから始められました。21の施設・区域図書館が活動しています。10年後、所蔵されている図書の総数は約50,000冊で、市立図書館システムであるOPAC(図書館の所蔵目録検索システム)により、現在、大部分が管理されています。

市はこの10年間に、130,000ユーロを15,000冊の新規図書購入のために費やしました。

他に7,000冊の新規納入図書を、いただいた寄贈品の中から選びました。

平均、月1,250冊の貸出: 全部で約3,500人いる受刑者が読者として、毎月、借りる本の平均数です。1冊の本が、毎月3人の受刑者に読まれているのです!

図書館相互での貸出: これは、とても重大な意味を持つことです。市の図書館システムにより、刑務所図書館の蔵書目録集積のコンピューター化が行われ、刑務所図書館の図書の補充が可能になりました。

市民が、いつも自分が行く図書館とは別の居住区域内の他の図書館から、また刑務所図書館からも図書を借りることができるように、受刑者は、現在36の市立図書館から図書を探し借りることができるのです。刑務所図書館へだけでも月に150冊以上貸出されているのです。

町の図書館は、刑務所へ!
刑務所の図書館は、町へ!

いくつかの読書推進活動

最初の『ローマ図書館賞』受賞著者との会談

私たちの町の全ての公立図書館は、また文化活動や読書推進活動を催しています。読書会、図書の紹介、作家講演会などです。刑務所図書館で実施している試みの中には、小都市の図書館で行っているものと全く同等のサービスもあります。私共は、刑務所の中でも外部と同じことをしようと努めました。通常の公開討論会とは、図書館に通う読者が図書の著者と会談するというものです。今ではたくさんの『著者との会談』が刑務所図書館で実現され、受刑者グループと会談しています。時には、その受刑者グループは小さく10~20人ですが、とても大きなグループのときもあります。恐らく、その中でも最も大きな集まりは150人の受刑者グループが参加したアンドレア・カミッレッリとの会談でしょう。平均して、10から15人の小グループで編成されますが、しかし毎年、大規模な企画があります。

『ローマ図書館賞』は大事な章です。なぜなら、私どもの図書館の読者によって構成される『大衆審査員』による読書賞だからです。『読者サークル』によって企画され、選ばれた新しい出版物を読み、著者との会談に参加して議論し、そして投票、内密の開票後、受賞作が決まります。

この『読書サークル』ですが、数年前から再び刑務所図書館に通う受刑者の間でも開催されるようになりました。2007年は、最も多くの受刑者が参加した年でした。刑務所で5つの異なった読書クラブができ、100人以上の受刑者が参加しました。

刑務所での著者との会談は、皆の興味がわき討論の価値がある、評価の高い著者と行われます。

フィルム上映

町の私たちの図書館はまた『マスメディア』でもあると言えます。刑務所では、インターネットを開くことは許可されていません。可能なことは、小規模の映画会を開催すことで、刑務所図書館でも開催される機会がありました。また、映画のストーリー、映画の中での言葉についてのちょっとした講座も開かれました。

満員の受刑者がいるレッジーナ・コエーリ刑務所では100~150人の受刑者のために、私共は大規模ないくつかの上映会を企画しました。

『地中海映画祭』

この映画祭は、地中海を背景にした映画を扱う国際的なフェスティバルです。ローマで毎年開かれ、また若い製作者による短編映画コンクールもあります。また、このコンクールでは、何年か前から審査員の一部として刑務所にいる受刑者も参加しています。図書館内刑務所で上映し、投票に参加しています。

『私に役立つイタリア語』

これは、外国人のためのイタリア語講座サークルの名称です。市が町の郊外の図書館で開催しています。刑務所内でも、いくつかの外国人受刑者グループが受講しています。

未成年者刑務所でも

読書会や読書案内、著者との会談、外国人のためのイタリア語や読書案内、愛や友情・旅行といったような『テーマ』を持った映画の映写会などを開催しています。
映画を見た後、文学におけることばと、映画の中のことばの違いを学ぶための討論と思考の場が設けられています。

刑務所図書館が考える、ソーシャル・インクルージョンへのプロセスとその計画

―私共の証明便宜を図ること、『外での拘留』を実施するために『他の拘留法』を認めること

刑務所図書館の日常の運営は、刑務所本部が選らばれた問題のない、私ども図書館の案内人である受刑者に任せています。通常は、いくらかの期間の後、「よい働きをした」という仕事ぶりを認める証明書をこの図書館の受刑者に発行します。

このような証明書は法的には、また法律の専門家には何の効力をも持たないことは明らかです。しかし、何よりもまず『主観的』には大きな意味を持つのです。信頼できる、評判がいい人と認められること。刑務所内ではあまりにもしばしば、誤った解釈をされてしまう個人の威厳を回復させること。これらのことは具体的に自分自身を評価し、自身の将来について以前とは異なった考えを持つことができるためのきっかけとなります。

実際、よくこの証明書は意味のある物として用いられています。この証明書が受刑者についての書類に加わると、刑務所局・司法局は、この受刑者の社会復帰のプロセスを考え、評価を下します。イタリアの法律に定められている、あらかじめ便宜を図ること・・・刑務所からの外出許可、減刑、刑務所での拘禁から刑務所外拘禁、または信頼のおける社会施設での拘禁に変える、などを認めていいかを考えるのです。

他の一つの例として、先に私がご紹介した文学賞についてお話します。刑務所の読書サークルに参加した受刑者の中から選ばれた何人かの受刑者は、1度以上は公的な授賞式に参加するために刑務所から外出する許可が得られます。彼らはまた公の場、公的なイベントで話す機会を持ち、そのふるまいについての貴重な証言を得ることができるのです。とても高い評価を!刑務所の彼らの仲間を代表したことになります。

『本からやり直そう』

受刑者たちの養成と仕事への対応、刑務所図書館の所蔵図書目録のデータ化

これは私が直接、巻き込まれ苦心した、私共のローマでの仕事の一つです。『挑戦』、つまり刑務所図書館を整備し、町の図書館が持つ蔵書目録データシステムとネットでつなげることです。さらにこれは、受刑者たちに仕事を与える、新たなチャンスでもあると考えます。

今日は技術的な問題はここでは話しません。省も技術を持ってこの問題に多く取り組み、共に解決してきました。

ここでは、この大きな仕事について、それを始めた理由についてご説明申し上げたいです。私共は一方で、刑務所に整備した図書館サービスと同一のサービスを持つ町のすべての公立図書館とインターネットでつながることを願いました。それによって、インターネットにアクセスすれば、合意された図書館間の相互サービスによって共有のオンライン蔵書目録を集積できます。あくまでも同等の立場で同じ論理を持って、です。 『町の図書館は刑務所のものであり、刑務所の図書館は町のものである』。 このスローガンを私共は何度もあらゆる機会で表明し、大切にして説明してきました。

他方、刑務所とその抱える問題について考え始めた人は皆、仕事の可能性は拘留されている受刑者たちにとっては重要な緊急を要する課題であることに気がつきます。仕事を探しても、実際ほんの少ししかありません。

最初の2年間の仕事のあと、町の司法関係の6つ団体からふさわしい所を紹介しました。私共は既に『興味のある仕事ができる』20弱の図書館を抱えていました。受刑者たちは図書館や書籍の周囲で仕事を始めます。また注目すべきことは、交代制のため常にたくさんの数の受刑者たちが登録していました。図書館の事務員たち(すなわち、刑務所が報酬を支払う)、ボランティアとしてしばしば図書館の仕事を助ける(すなわち無償)、熱心な図書館利用者や読者、ときおり企画される様々な活動に参加する人たちなどでした。

その後、刑務所図書館の蔵書が、新しくしたり、再度整備したり、新規図書を受入れたりする内にもはや30,000冊を超えてしまいました。早かれ遅かれ、このような訳で私共のOPAC(図書館の所蔵目録検索システム)により分類されなければなりませんでした。

私共の前に、ですからとても大きな問題が立ちはだかったのでした。本当に私共の力を超えたことでした。が、たくさんの数の受刑者たちを使い、しばらくの間は『教えながら』、目録作成・書架整理を始めました。書籍の貸出し、予約、蔵書目録調べなどの業務です。私共は敢えて、こうすることを決めたのでした!

このように誕生した私共の特別な計画を、『本からやり直そう』と名付けたかったのです。市立図書館と刑務所図書館をすべてオンラインでつなぐことの実現、受刑者の蔵書目録作成者のための養成講座の企画、刑務所図書館の目録作成作業を受刑者に任せることなどです。

この計画は2002年8月に同意を終えられ、始められました。最初の融資130,000ユーロのお陰です。私共は、約3年間、この業務に従事しました。

こうしてオンラインの集積は、ローマのすべての施設に追いつきました。

3つの大きな施設で養成講座を計画しました。レッジーナ・コェーリ、レッビッビア・ヌオーボ・コンプレッソ、レッビア・フェミナーレで、です。各コースは受刑者20人、教官による60時間の授業の他に、50時間のカタログオンライン・システムの実施練習です。

このコースを受講したのは60人の受刑者ですが、その半以上が最後まで終えることができました。コース終了後、私共は刑務所図書館の書籍目録のデータ化の仕事を、熟練した目録作成の専門家の元このように養成された受刑者たちに任せました。2004年から2005年の1年ちょっとの間、少なくても20人の受刑者がこのような方法でこの長くも短くもない期間、作業したのです。約18,500冊の書籍が目録に掲載され、今日では確かに私共のOPAC(図書館の所蔵目録検索システム)となっています。

出所後

この計画は望ましい結果を生み続け、またその後も刑務所から出る人によい結果を与え続けました。

  • 2006年~2007年
    刑務所図書館に割り当てられた本は、私共のコースによって刑務所内で養成された元受刑者たちにより、目録が作成されました。また、社会協同組合からも本を引き受けました。
  • 2007年~2009年
        何人かの元受刑者が私共の図書館に「奨励金付の仕事」として、また養成のための研修として迎えられました。 (奨励金は2006年の恩赦後は、省庁の予算より出資されました。その後、ローマ市が負担しています。)
  • 2007年~2009年
        町の図書館のように、私共は刑務所内でもアルファベット順による情報処理基本講座を企画しました。今日(2009年5月)までに既5回実施され、2009年 6月から7月には第6回目が開催される予定です。

考察

刑務所図書館は、一つの公共図書館である。図書館の専門家は刑務所内にいる。

まず、『刑務所図書館は標準的な公共図書館である』という力強い考えが、明言されるべきだと思います。これは考えられなければならないことです。また、法的に呼称をつけるとしたら通常、国立図書館です。他のたくさんの国の図書館のように、イタリアでもそうです。英語で言うところの一つの『Public Library』なのです。また、区域の図書館システムの一部でなければならず、このことは図書館に力強さと合法性、質の高いサービスをもたらすと言えます。

ですからここで、刑務所図書館の専門職についての問題が生じます。

刑務所図書館がうまく機能するかしないかは仕事ができる人が刑務所図書館に助けの手を差し伸べてくれることにかかっているのです。人的資源、専門家の活用、経済的資源は明らかに永遠の課題なのです。

刑務所で働いている人は、図書館を運営するように育成されていません。教育者たちは育成されていて、そしてたくさんの他の仕事のするために給料が支払われています。特に図書館ではより重要で緊急なこととして、受刑者の教育者を必要としているのです。教育者は常にいつも必要とされていますが、しかしほんの少しの教育者がこれらたくさんの他の仕事をしているのが現状なのです。

その結果、とても多くの刑務所図書館が必然的に行き場がなくなり、または存在しなくなってしまうのです。私はこの目で、通路の奥にほこりにまみれ、鍵もかからない鉄の戸棚が置かれている、ある刑務所の『図書館』を見ました。

幾人かの受刑者が長い刑期であるとき、彼の文化的レベルが悪くないとき、その刑務所図書館の状況はよくなっていきます。受刑者は自分で考えることに熱心になり、前向きに自分の意見を持つことを認められます。

また、外部からの具体的な支援があることはよりよいことです。ボランティア、提携、公立協会からの派遣、またできれば大学図書館からの派遣など。理想的な状況は外部の、こうした所属地域にあり図書館サービスを行う、法的に定められた公立協会に属する人が来てくれることです。

こうしたことによって、たくさんのことが可能になりました。イタリアの法規定のある分析以降、私が最初に申し上げたように様々な解決が可能となりました。

ローマでは、町の図書館情報が刑務所に導入されました。刑務所にたくさんの図書館サービス情報がもたらされたのです。ネット上のことや、サービスなど足りない部分を補足してくれています。

他の州(例えばエミリア・ロマーナ州)で存続している刑務所図書館は、誰でも・・・受刑者、国家公務員、ボランティア協会などの人々・・は運営に加わることができます。刑務所図書館が、近くにあるこれらの施設の同等システムと一緒になるだけなのです。県の図書館システや州のシステムは、経済資源、専門性、人的育成、経済援助、専門家、基本的なサービスなどの必要不可欠な支援と管理を提供しています!

寄付

刑務所図書館は大きな問題を抱えています。寄付です!実はとても大きな問題なのです。寄贈者や『気前のいい』市民は古い本を捨てたくはありません。ですから通常は刑務所の司祭の元に贈ります。司祭はそれらを図書館に持って来ます・・・。しかし、他の人々があまり読みたくない本を受刑者たちが喜ぶと思いますか? 私はたくさんの受刑者たちの気持ちについて、また場所が大きな問題であることを語ってきました。ですので、どうか受刑者たちも手に取りたいと思う本を見つけること、それを維持することの難しさをご理解ください。刑務所内、さらに刑務所図書館ではスペースが大きな問題なってくるのです。ある図書館はとても読者の関心を引く書籍を少量置いています。ある図書館は、また良書を置いていますが、あまり良くない、役に立たない書籍の間にそれらが隠れてしまっています。後者の図書館では読者となる可能性のある人々を逃がしてしまいました。収集した書籍を選択し入れ替えていくことは、公立図書館での典型的な問題です。書籍を所蔵するのが図書館ではなく、もし私の表現に同意してくださるのならば、『使われる図書館』であるべきです。このことは、刑務所でも当てはまることです。


原文はこちらに掲載されている。

Le Service ≪ Bibliothèques en Prison ≫ dans le Système Bibliothécaire de la Commune de Rome(仏語)
http://www.ifla.org/files/hq/papers/ifla75/134-grossi-fr.pdf