音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

IFLAロゴマーク

「りんごの棚」物語
特別なニーズのある子供たちを公共図書館サービスの対象とするための一手段

2010年8月13日
IFLA(国際図書館連盟)年次大会2010(イェーテボリ、スウェーデン)
共同会議
“The right to read” - How to include excluded citizens in the knowledge society?
(特別なニーズのある人々に対する図書館サービス分科会/
印刷物を読めない障害がある人々のための図書館サービス分科会)

ジェニー・ニルソン(Jenny Nilsson)
スウェーデン国立録音点字図書館(TPB)

スライド1

特別なニーズのある子供たちと読書の喜び

子供は皆、本を必要としており、読書の喜びを体験する権利がある。

スライド2

しかし通常の印刷された本が、どの子供にも適しているわけではない。そこで「りんごの棚」の出番となる。
「りんごの棚」では、特別なニーズのある子供たちを対象とした、アクセシブルなフォーマットによるフィクションやノンフィクションの本をはじめ、刺激的な読み物が見つかるだろう。また大人向けには、さまざまな障害に関する文献や、親や教師に支援や創造的なアイディアを提供できるマニュアル本がある。

背景

1990年代初め、スウェーデン文化庁はスウェーデンの県立図書館職員を対象とした英国研修旅行を企画した。この研修旅行で、参加者はロンドンの「障害児図書館」で目にした活動に大いに刺激された。この図書館は、個々の子供の障害ではなく、能力に注目することを方針としていた。スウェーデンからの見学者に感銘を与えたことの一つが、言語障害のある子供たちを支援するために作られたおもちゃのりんごだった。

スライド3

帰国後、ヘルネーサンド市の図書館が同様な活動を始めたいと考え、1992年11月に館内に新たな部門を設け、「りんご図書館」と名付けた。そして一人の芸術家が、子供たちが遊ぶ家として使える、触れることのできる特大のりんごを制作した。

スライド4

数年後、ヴェストラ・イェータランド県で、これよりも規模を小さくし、どの図書館でも取り入れられるようにするという考えがまとめられた。そうしてできたのが、「りんごの棚」である。

スライド5

子供たちは「りんごの棚」で何を見つけられるのか?

スライド6

録音図書とオーディオブック

これらは「りんごの棚」にある、もっとも一般的な、そしてもっとも貸出数の多い、アクセシブルな本である。

手話による資料

手話は視覚的であるが、文字で書かれたものではない。このため手話で語られる本は、DVDに録画される。

AAC-拡大・代替コミュニケーション

耳は聞こえるが、別のコミュニケーション手段を必要としている子供たちのために、言葉の理解を助けるサインを取り入れた本が作られている。サインは手話をもとにしているが、本はスウェーデン語で書かれている。その他の一般的な代替コミュニケーション手段としては、写真、ブリスシンボル、絵文字(例 ピクトグラム)、具体的な事物などがあげられる。

読みやすい文章とわかりやすい絵の本

さし絵のある本は、概念や言葉の学習に役立てられる。子供たちは「りんごの棚」で、簡単な言葉で書かれた、わかりやすい絵の本を見つけることができる。

触れて読む本-さわる絵本

さわる絵は、認識しやすいように、さまざまな素材を使用し、色の対比を利用して描かれる。さわる絵本は、おもに視覚障害のある子供たちのために制作されるが、その他の障害のある子供たちも、これを楽しむことができる。このような本のテキスト部分には、点字や大活字も使用される。

点字図書および点訳を綴じ込んだ本

点訳を綴じ込んだ本とは、普通の絵本に、点字を打ったビニールシートが綴じ込まれている本である。点字図書のバインダーのポケット部分に、印刷された本が入っている場合もある。このようにすれば、目が見える人も見えない人も、同じ本を読むことができる。

支援技術としてのコンピューター

コンピューターを支援技術として利用することにより、特別なニーズのある子供たちは、積極的に遊んだり、学んだり、楽しんだりすることができる。コンピューターは相互交流とコミュニケーションを促進する。利用できるプログラムの数は多い。子供たちは、プログラムを借りたり、「りんごの棚」の近くにあるコンピューターで遊んだりすることができる。

「りんごの棚」の将来

スライド7

現在、スウェーデン各地の図書館に独自の「りんごの棚」が設置されている。「りんごの棚」はさらに、ノルウェーなどの他の国々にも広がっている。スウェーデン国内においては、特別なニーズのある子供たちやアクセシブルな本に対する認識が高まったが、これに「りんごの棚」が貢献したことは間違いない。児童図書館司書は、すべての子供が公共図書館での活動に参加できるようにしなければならないということを、今では十分認識している。しかし、今後も子供たちや親、教師らに、「りんごの棚」について広く知らせていかなければならない。そのためには、マーケティングが「りんごの棚」成功の鍵となる。読書の喜びは、想像力さえあれば、多種多様な形で伝えることができる。

ウェブサイト
www.appelhyllan.se

英語版パンフレット(PDF)(外部ページリンク)


参考資料

「The Apple Shelf(りんごの棚)の」パンフレット

テキストのコピーライト:Kultur i Vast

「The Apple Self(りんごの棚)の」パンフレット表紙

【日本語訳】
<表紙>

りんごの棚
特別なニーズのある子供たちに読書の喜びを

「りんごの棚」について、もっと詳しく知りたいですか?
どうぞ、ご連絡下さい!

担当者名:
図書館名:
電話番号:
メールアドレス:

デザイン ダン・グライダー(Dan Greider)2007年

りんごの棚 特別なニーズのある子供たちに読書の喜びを本文

<本文>
りんごの棚
特別なニーズのある子供たちに読書の喜びを

子供は皆、本を必要としており、読書の喜びを体験する権利があります! けれども、すべての本がすべての子供にふさわしいわけではありません。そこで「りんごの棚」の出番となります。「りんごの棚」では、特別なニーズのある子供たちのための、フィクションやノンフィクションの本や、わくわくするような読み物が見つかるでしょう。 大人の皆さんには、さまざまな障害に関する文献や、職場で、あるいは親として利用できる、支援や創造的なアイディアを提供してくれるマニュアル本があります。 読書の喜びは、想像力さえあれば、多種多様な形で伝えることができるのです。 どうぞ、「りんごの棚」をご利用ください!

読みやすい文章とわかりやすい絵の本
さし絵のある本は、概念や言葉の学習に大いに役立てることができます。「りんごの棚」では、簡単な言葉で書かれた、わかりやすい絵の本を見つけることができます。

触れて読む本-さわる絵本
さわる絵は、理解しやすいように、さまざまな素材や色を使って描かれます。さわる絵本は、おもに視覚障害のある子供たちのために制作されますが、それ以外の障害のある子供たちでも楽しめます。テキスト部分には、点字や大活字も使用されます。

点字図書および点訳を綴じ込んだ本
点字は指先で読みます。点訳を綴じ込んだ本とは、普通の絵本に、点字を打ったビニールシートが綴じ込まれている本です。点字図書のバインダーのポケット部分に、印刷された本が入っていることもあります。このようにすれば、目が見える人と見えない人の両方が、同じ本を読むことができるのです!

録音図書とオーディオブック
たくさんの本がテープに録音されています。オーディオブックは、テープに録音された、すべての子供たちのための本です。読むことが難しい、ディスレクシアや視覚障害のある子供たちは、録音図書も借りられます。読む練習用の特別な録音図書や、知的障害のある子供たちのための特別な録音図書もあります。

手話による資料
手話は視覚的なものですが、文字で書かれたものではありません。このため手話で語られる本は、ビデオやDVDに録画されます。児童図書館には、子供たちが手話を使って本を紹介している映像がたくさんあります。

AAC-拡大・代替コミュニケーション
耳は聞こえても、別のコミュニケーション手段を必要としている子供たちのために、言葉の理解を助けるサインを取り入れた本が作られています。サインは手話をもとにしていますが、本はスウェーデン語で書かれています。そのほかの一般的な代替コミュニケーション手段としては、写真、ブリスシンボル、絵文字(例 ピクトグラム)、具体的な事物、文字などがあげられます。

支援技術としてのコンピューター
特別なニーズのある子供たちは、コンピューターを支援技術として利用し、積極的に遊んだり、学んだり、楽しんだりすることができます。コンピューターは相互交流とコミュニケーションを盛んにします。数多くのプログラムが利用できます。

図書館にお問い合わせください
障害のある子供たちの本は、皆さんが利用されている図書館の「りんごの棚」で見つけることができます。何かお探しの本がありましたら、また読書に関するお手伝いや本の紹介をご希望でしたら、どうぞお問い合わせください!

ウェブサイトをごらんください
皆さんの役に立つ本に関する情報やリンク先が見つかるでしょう。
アドレスは、www.appelhyllan.seです。

図書館でお会いしましょう!