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情報へのアクセスと開発に関するリヨン宣言

*掲載者注:国際図書館連盟(IFLA)が年次大会において発表

2014年8月に出されたリヨン宣言は、英語で記されている。したがって、英語版を普及させることとする。

国際連合は、ミレニアム開発目標に続く新たな開発課題の策定を進めている。この課題は、人々の生活を向上させるアプローチについて、すべての国に指針を示し、2016年から2030年までに達成すべき一連の新しい目標の概要を説明するものとなる。

我々、下記署名者は、情報通信技術(ICT)の利用可能性に支えられた、社会全体における情報および知識へのアクセス増進が、持続可能な開発を支援し、人々の生活を向上させると信じている。

それゆえ我々は、国際連合の加盟国に対し、すべての人が持続可能な開発と民主的な社会の促進に必要な情報へのアクセスを持ち、これを理解し、共有できるようにすることを目的とした、2015年以降の開発課題の採用という国際的なコミットメントを示すよう要求する。

原則

持続可能な開発では、あらゆる場所での長期的な社会経済的繁栄と人々の幸福の確保が追求される。この達成には、政府、国会議員、地方自治体、地域社会、市民社会、民間部門および個人の、十分な情報を得た上で意思決定する能力が不可欠である。

このような状況において、情報を得る権利は変革をもたらすものとなる。情報へのアクセスによって、人々、特に社会の主流から取り残されている人々と貧しい生活をしている人々に以下の権限が付与され、開発が後押しされる。

  • 市民的、政治的、経済的、社会的および文化的権利の行使
  • 経済的に活動し、生産的かつ革新的な存在になること
  • 新たなスキルを身に付け、適用すること
  • 文化的アイデンティティとその表現の強化
  • 意思決定への参加および市民社会への積極的な関与
  • 開発にかかわる困難な課題に対する地域に根ざした解決策の創造
  • 説明責任、透明性、優れたガバナンス、参加と権利拡大の確保
  • 持続可能な開発に関する官民のコミットメントの進捗状況の評価

宣言

ポスト2015年開発アジェンダに関するハイレベル・パネル、国連開発計画(UNDP)ポスト2015年コンサルテーションおよびオープン・ワーキング・グループ重点分野報告書は、いずれも開発支援において情報へのアクセスが果たす極めて重要な役割を明らかにするものであったが、これらの結果を踏まえ、我々、下記署名者は、以下を承認する。

1.貧困は多面的であり、貧困撲滅の進捗状況は、さまざまな分野における持続可能な開発の確保と結び付いている。

2.持続可能な開発は、人権に基づく枠組の中で行われなければならない。その枠組では、
 a) 女性、先住民、少数派、移民、難民、障害のある人々、高齢者、子どもおよび若者を含む、社会の主流から取り残されている集団のエンパワメント、教育およびインクルージョンにより、不平等が軽減され、
 b) 教育への平等なアクセスを通じた、女性および少女のエンパワメントにより、完全な社会的、経済的および政治的参加とともに、ジェンダーの平等の大幅な強化が可能となり、
 c) すべての人の雇用と働きがいのある人間らしい仕事へのアクセス確保により、尊厳と自律の強化が可能となり、
 d) 情報への平等なアクセス、表現の自由、結社および集会の自由と、プライバシーが、個人の自立の中心として、促進され、保護され、尊重され、
 e) すべての人が、生活向上に必要な変革に自ら責任を負えるよう、市民参加が確保される。

3.高い識字率に支えられた情報および知識へのアクセス増進は、持続可能な開発に不可欠な柱である。質のよい情報とデータの利用可能性を高め、その創造に地域社会の関与を得ることで、より完全な、かつ、透明性の高い資源配分を行うことができる。

4.図書館、文書館、市民社会団体(CSO)、地域社会の指導者およびメディアなどの情報仲介機関は、政府、各機関および個人による、開発に不可欠なデータの伝達、整理、構築、理解を支援するためのスキルとリソースを備えている。これらの機関は、以下の手段により、このような支援を行うことができる。
 a) 地域社会および地域の人々の自己開発における指針として役立てられる、基本的な権利と資格、公的なサービス、現在の状況、保健、教育、就労の機会、公共支出に関する情報を提供する。
 b) ある集団に関連のある差し迫ったニーズと問題を明らかにし、それらに注目する。
 c) より大きな影響を与えるために拡大可能な開発関連の解決策に関する意見交換とコミュニケーションの促進に向けて、地域、文化およびその他の障壁を超えて、ステークホルダーを結び付ける。
 d) 国立図書館・文書館およびその他の公共文化遺産施設の管理者を通じて、文化遺産、政府の記録および情報への一般の人々による継続的なアクセスを維持し、確保する。
 e) 公開討論の場と、広く市民社会が意思決定に参加し、関与する場を提供する。
 f) 最も役に立つ情報とサービスへのアクセスと理解を助ける訓練およびスキルを提供する。

5.ICTのインフラストラクチャーを改善することにより、コミュニケーションの拡大、サービス支給の迅速化、特に遠隔地のコミュニティにおける重要な情報へのアクセスの提供が可能となる。図書館およびその他の情報媒介機関は、国家政策と地域での実践との格差を埋め、開発の恩恵をすべてのコミュニティに届けることを確保するために、ICTを利用することができる。

6.我々、下記署名者は、それゆえ、国際連合の加盟国に対し、情報へのアクセスとそれを効果的に利用するスキルが、持続可能な開発に必要であることを認め、これを2015年以降の開発課題において、以下の方法により承認することを要求する。
 a) 個人のプライバシーの権利を尊重しつつ、情報およびデータへの一般の人々によるアクセスの権利を認める。
 b) 実施の手段として、地方自治体と情報媒介機関、ICTおよび開かれたインターネットなどのインフラストラクチャーの重要な役割を承認する。
 c) 政府による継続的な資金援助、整合性、情報の保存と提供、人々による情報へのアクセスを確保するため政策、基準および法制度を採用する。
 d) 情報およびデータへのアクセスの影響に関する評価を可能にする目標と指標を開発し、目標達成の進捗状況を、『開発と情報へのアクセス(DA2I)』報告書で毎年報告する。

署名の要請

それゆえ、『情報へのアクセスと開発に関するリヨン宣言』で示された構想に同意するステークホルダーに対し、既に同宣言に署名した国に加わるよう要請する。

連絡先

Dr. Stuart Hamilton
International Federation of Library Associations and Institutions (IFLA)
PO BOX 95312
The Hague
Netherlands
Email: Stuart Hamilton or IFLA HQ


Lyon Declaration on Access to Information and Development
http://www.lyondeclaration.org/