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DAISYコンソーシアム 文書への構造的なアクセス デジタル録音図書とその未来

ジョージ・カーシャー
レコーディング・フォー・ザ・ブラインド・アンド・ディスレクシア(RFB&D)、DAISYコンソーシアム

項目 内容
会議名 特別なニーズのある人々を支援するコンピューターに関する第8回国際会議(ICCHP)
発表年月 2003年7月11日

DAISY: デジタル・アクセシブル・インフォメーション・システム

 DAISYのデジタル録音図書は、単にデジタル音声によって録音された図書ではない。それは視覚障害者や一般の印刷物を読むのに障害のある人々の為に、目が見える人々が印刷された図書を利用するのと同じように、或いはそれ以上に利用しやすくまとめられた、構造的な図書なのである。DAISYコンソーシアムは1996年に設立され、創設以来主な目的は、アクセシブルな情報の国際的な標準規格を開発することと、その標準規格を世界的に広めることであった。制約の多い一次元的なアクセスしかできないアナログカセットテープから、読者が見出しやページ、パラグラフ、或いは単語レベルで同期化されたDAISY図書が作られれば単語によってさえも検索できる、DAISYデジタル録音図書へと移行する時代がやってきたのだ。

DAISYコンソーシアム内におけるコミュニケーションと情報交換は基本的な課題である。情報提供の中心的役割を果たしているのが、ウェブサイトで、ホームページアドレスはhttp://www.daisy.orgである。アクセシブルな図書とその制作、再生機器に興味を持つ人なら誰でも、このサイトでコンソーシアムとDAISYデジタル録音図書に関する情報を得ることができ、当サイトはDAISYデジタル録音図書の標準規格とその適用に関する最良の情報を提供する総合的なセンターとなっている。

各ページの一番上にあるグローバルナビゲーションバーは、“About Us (DAISYについて)”、“Publications (出版物)”、“Support (サポート)”及び“Tools (製品、プロジェクト&仕様書)”等へとリンクしており、さらにそれぞれの分野のローカルナビゲーションバーによって特定のトピックや興味のある分野へとリンクすることができる。ゲストユーザーはグローバルナビゲーションバーからすべての分野にアクセスすることができるが、ローカルナビゲーションバーを使ってアクセスする分野の中には、DAISY会員や賛助会員だけにアクセスが制限されているものもある。

“About Us (DAISYについて)”では、DAISYコンソーシアムの歴史と最新情報を提供しており、“Publications (出版物)”は、仕様書、標準規格、ガイドライン、研修資料やその他の関連出版物へとリンクしている。FAQ (よくある質問)、Knowledge Base (知識ベース)、HelpDesk (ヘルプ)は“Support (サポート)”の部分に設けられており、これは会員だけに利用が限られている重要な分野である。

コンソーシアムの重要な目的には、DAISYを制作する機器の使用方法や制作過程に関する研修を行うことがあげられる。会員となっている機関は研修の実施を要求することができ、DAISYコンソーシアムはこれに応じて、資格と高い技術を持つトレーナーを派遣する。研修ではさまざまな情報が得られるが、ウェブサイトやディスカッションリストの利用によって更に詳しい情報を入手することができる。

ここ2,3年の間、DAISYコンソーシアムはNISO(National Information Standards Organization 全国情報標準組織)の標準規格に沿ったDAISY 3の開発に深く関わってきた。この作業はアメリカ合衆国のLibrary of Congress (国会図書館)及びLibrary Services for the Blind and Physically Handicapped (視覚障害者及び身体障害者向け図書サービス機関)との協力の下に進められてきた。また、DAISY 3を、正式にはANSI/NISO Z39.86として知られているANSI/NISO標準規格に準じた規格へと修正する作業も行った。将来はこれを更にISOの標準規格に準じた規格へと修正することを計画中である。現在のDAISY2.02は、XHTMLとSMIL1に基づいているが、新しい標準規格は、XMLとSMIL2に基づくものとなっている。

DAISY2.02は、SMIL(Synchronized Multimedia Integration Language)ファイルによって、XHTMLによるコンテンツとデジタル音声とを結びつけたもので、XHTMLのリンクの機能を利用して、図書のさまざまな部分へと音声を使ってナビゲートする仕組みになっている。DAISY図書はオリジナルの録音図書として制作することもできるし、既存のアナログによる図書をデジタルへと変換することによって制作することもできる。DAISY 3もこの方針に従って作られているが、テキスト、ナビゲーション、同期化のすべてにおいて、XMLを基盤としている。DAISYのXMLファイルは、点字(印刷された点字、コンピューター上の点字の両方)、拡大印刷された活字、デジタル化された人の声、合成言語などを作成するのに使うことができる。つまり、ファイルは一つでも、多数のアウトプットの手段を選択することができるというわけだ。どのような手段を選んでも、アクセシブルな情報という点では結果は同じである。

DAISYコンソーシアムはまたDAISY標準規格を既存の仕様に従って設定することができるよう、W3C, OeBF (Open eBook Forum 公開電子書籍フォーラム)のような他の標準規格設定機関と緊密な関係を持ちながら活動している。戦略的には、DAISYコンソーシアムは今後できる限り多くの分野で標準規格を一本化していく予定で、DAISY標準規格を音声及び電子出版の主流へと位置づけていくことを望んでいる。

皆さんにも是非DAISYコンソーシアムのウェブサイトを訪問し、私達の活動に参加していただきたい。