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視覚障害者図書館および情報サービス事業の資金調達および管理システム:国際事例研究

第一部:概略報告書

視覚障害者へのサービス事業と印刷字を読めない障害がある人々へのサービス事業の関係

これは、すでに論じられた著作権に関する例外の問題にある程度左右されるのは明らかである。ここで検討されている、認知障害を著作権に関する例外に含めようという情報社会指令を実施しているデンマーク、スウェーデンおよびオランダなどのヨーロッパ各国と、同様な法律があるカナダでは、当然、点字などのいくつかのフォーマットは、認知障害者には適切ではないが、理論上は、視覚障害者と印刷字を読めない障害がある人々との間で、図書館サービスを区別することはほとんど、あるいはまったくない。実際のところ、このような認知障害者を対象としたサービス事業の資金調達先は、オランダではまだ明確にされていない。またカナダでも、視力を失ってはいないが印刷字を読めない障害がある人々を対象としたDAISYプレーヤーのための一般的な財源は何もない。回答者の中には、視力を失ってはいないが、印刷字を読めない障害がある人々に対処する上で必要な研修や意識が、図書館職員に不足している可能性を指摘する者もいた。

日本では、認知障害に対する意識は非常に低く、このような障害を抱えている人々はほとんどサービスを受けていない。イギリスでは、カリブレやNLBのような機関で、印刷字を読めない障害がある人々のためにサービスを提供することが、規約によって認められているが、視覚障害者を対象としたサービスの提供に活動を限定している慈善団体もある。たとえ各機関が両者にサービスを提供することができても、著作権が障壁となっている。

これに対してオーストラリアでは、先にあげた国々に比べて著作権の状況は明確ではないが、サービスはよりインクルーシブである。アメリカ合衆国では、RFB&Dが両者にサービスを提供しており、資格基準を満たしている者に対しては、NLSもサービスを提供している。RFB&Dの例から、ある機関が、視力を失った人々と同様にディスレクシアの人々にもサービスを提供する場合、サービスの経済性が移行されることになり、結果的に視覚障害者の利益も増加することがわかっている。

また、学習障害者にサービスを提供することは、主として教育制度の課題であるという見解もある。