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障害者サービスの充実 ―視覚障害に留まらず、利用者拡大―

2010年6月

都立中央図書館

1.現況

2007年、日本は障害者権利条約に署名し、法の整備を進めてきた。

2009年6月19日、国会で公布された「著作権法の一部を改正する法律」が2010年1月1日から施行された。これにより、公共図書館で録音図書を製作する場合、今までは著作者の許諾を必要としていたが、その手続きの必要がなくなった。また、視覚障害に留まらず、手が不自由でページがめくれないなど、通常の方法での読書が困難な方にも、製作した音訳資料を提供できるようになった。

2.都立図書館の場合

このような情勢に鑑みて、当館でも「視覚障害者サービス要綱」を改正して、視覚障害以外の障害により読書困難な方へも、音訳資料の貸出を行うこととした。

現在は、当館HPへの掲載、都立の特別支援学校等へ当係のサービスを説明するチラシの配布等を実施している。今後とも、積極的に広報活動を行っていきたいと考えている。

3.課題

①再生機器・コンテンツの充実

当館では、既に専用のデイジー再生機、LPプレイヤーなどの音声再生ソフトをインストールしたパソコン等を配備している。今後は、視覚障害以外の障害を持つ方にとって有用な機器の配備等を検討していきたい。

また、音声のデイジーだけでなく、学習障害に有効といわれているマルチメディアデイジーやテキストデイジーは、未だコンテンツが少ない状況にあり、その製作に向けた取り組みの必要性も感じている。このことについては『財団法人 日本障害者リハビリテーション協会』が先駆的に取り組んでいるので、当館でも積極的に連携して研修していきたい。

②コンテンツの貸出方法

現行の郵便法上、視覚障害者への郵送は第4種郵便物として無料とされているが、視覚障害以外の方へは適用されない。そこで、できるだけ負担を軽減するために、貸出は『心身障害者用ゆうメール』を利用し、SDカードにデータを入れて封筒で送ることにした。しかし、SDカードを使用できる利用者であれば、データ配信制度の方が便利であり、パソコン操作での視聴も簡単なので、そちらもご紹介することとしている。ただし、パソコン操作が不慣れな利用者に対するサービスの充実が今後の課題である。

③協力貸出制度の利用

また、郵送料金の負担軽減措置として、都内公立図書館間の『協力貸出制度』の利用を検討する。公立図書館同士がお互いに協力貸出制度をうまく運用して、なるべく利用者の郵送料金の軽減につながるよう努めていきたい。

4.将来に向けて

視覚障害に留まらず、読書困難な方へのサービス提供に向かって、創意工夫しながら試行していくつもりである。

読書はあらゆる人びとに喜びを与えてくれるが障害のある人びとも同様であり、図書館はそのために努力を惜しまないでいたいと思う。


都立図書館HPアドレス
http://www.library.metro.tokyo.jp

東京都立図書館視覚障害者等サービス要綱(PDF版:116.0KB)
http://www.library.metro.tokyo.jp/Portals/0/12/pdf/shisho01.pdf

東京都立図書館視覚障害者等サービス要綱(テキスト版)
http://www.library.metro.tokyo.jp/search/braille/tabid/60/Default.aspx

パンフレット
視覚障害者等サービスのご案内(HTML版)
視覚障害者等サービスのご案内(PDF版:786KB)