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東京学芸大学附属特別支援学校の図書館ができました

司書 田沼恵美子

  • 2009年7月 東京学芸大附属特別支援学校(以下、特別支援学校)において、東京学芸大附属学校司書部会(以下、司書会)および初任者研修と特別支援学校職員との合同で、マルチメディアDAISY(以下、DAISY)の研修が、(財)日本障害者リハビリテーション協会の野村美佐子氏と長田江里氏によりおこなわれた。21点のDAISYを東京学芸大学図書館運営専門委員会(以下、運営専門委員会)として購入し、附属小金井小学校に保管した。
  • 同日、布絵本研修を附属国際中等学校司書の渡辺有理子氏がおこなった。特別支援学校と運営専門委員会(保管は附属幼稚園小金井園舎)でそれぞれ26点ずつの布絵本を購入する。
  • 2009年10月に、特別支援学校において、第2回運営専門委員会と特別支援学校の合同主催で熊本県立松橋養護学校(当時名称)司書の庄山美紀子氏の講演会をおこなった。ビデオをまじえた講演の中で、障がいを持つ子どもたちに本を手渡していく様子を語り、生き生きと本に親しむ子どもたちの姿が伝わった。
  • この講演会参加をきっかけとして、小学部で、12月に語りの仲間と田沼の二人で3日間、2010年1月に、田沼一人が3日間、おはなし会をする。「手遊び」や「わらべうた」を中心に、読み聞かせ、短いおはなしを組み込んでのおはなし会をおこなった。
  • 東京学芸大学の附属学校9校には8人の学校司書(2校兼務が一人)の配置が2009年春には達成された。しかし、特別支援学校には司書は未配置であった。2009年の試みを通して、特別支援学校の図書館作りの足がかりが少しずつ整えられ、2010年度から月に1、2日の不定期な勤務ではあるが、司書が入り、特別支援学校の学校図書館作りが始まった。
  • 小学部は第2学習室にミニ図書館、中学部はランチルーム内にミニ図書館を順次作っていった。高等部は元からあった生徒会室内の図書館を附属学校司書会の司書仲間が集まって大整理をおこなった。3年ほどの時間をかけて、ほかの附属学校司書の手助けを受けながら、少しずつ環境整備が進む。
  • 21点のDAISYと、26点の布絵本も小学部のミニ図書館に配架された。
     生徒・先生方のリクエストを基に購入リストを作り、毎年少しずつ図書資料が増えていく。小学部には、絵本、大型絵本、紙芝居も揃えられた。各ミニ図書館の書架購入も進んでいった。
  • ミニ図書館それぞれのレイアウトをし、児童・生徒に楽しんでもらえるように、季節ごとのディスプレイをし、それにあわせた絵本や本の展示をする。小学部の児童はおはなし会で顔なじみになれたおかげで、休み時間に顔を見せて、絵本を読み聞かせしたり、貸し出しをしたりという時間が増えていく。また司書がいない日もミニ図書館で、児童と先生の本の時間がふえていったと聞かされる。ありがたい。
  • 貸し出しシステムは、常時司書がいない状態であるため、ブラウン方式と定めた。
    カードの出し入れだけの簡単な方法で、クラス貸し出しを中心に始まる。貸し出しボックスは手づくりの箱で、クラス単位の貸し出しから始まったが、当時の教務主任の理解と提案があり、小学部の保護者への「おうち貸し出し」も始まった。複数の保護者が熱心に本を借りに通ってくる。
  • 2011年6月、小学部の「おはなしであそぼう」という授業に司書も加わった。教員の指導案の下に大型絵本『ぞうくんのさんぽ』を司書がよみ聞かせ、パネルシアターのあとに、児童がそれぞれの動物になって、おはなしの世界で遊びながら、せりふや動作をおこなった。
  • 2011年のクリスマス会にも参加して、絵本の読み聞かせ、わらべうた、手遊びをおこなった。
  • 2012年9月、中学部の授業の中で、司書が大型絵本『はじめてのおつかい』を読む関わりを持て、その後、お金のことや、お店のことを学習した生徒たちは、実際に買い物に出かけた。
  • 2013年9月、中学部1、2年の総合学習「東京探検―水の博物館」のために各附属学校図書館から図書資料の貸し出しを受けて、司書もブックトーク「水のぼうけん」をおこなった。本やインターネットを使った調べ学習のあと、水の博物館への体験学習に行き、それぞれのまとめを保護者の前で研究発表する。中学生は本を使って調べたという生徒の人数が多かった。
  • 2013年11月、中学部、高等部からのリクエストで、図書の購入をした。図書が届き、配架をしたとき、高等部の生徒がリクエストの本を待っていたという喜びをひしひしと感じた。そして高等部においては図書委員会の「図書委員のおススメ本の展示」などの活動の一端を知った。
  • 2013年12月、初めての図書通信「ぶっくらんど」NO.1を発行できた。
    (2014年7月現在でNO.4まで発行)
  • 2014年1月、中学生の劇「ピーターパン」発表のために、各附属図書館から図書資料の貸し出しを受けて、授業支援をする。2月の学習発表会は幼稚部から高等部までの素晴らしい会で、中学部は学校図書館と関わって、まず本を読んでからの劇つくりだった。
  • DAISY図書の貸し出しは少しずつ動きが出てきてはいるが、まだ完全に利用がされていない状況なので、今後の課題として力を入れていきたい。

写真

小学部図書館

小学部図書館

おうち貸し出し用ボックス

おうち貸し出し用ボックス

中学部図書館

中学部図書館

高等部図書館

高等部図書館


転載:図書通信「ぶっくらんど」NO.3

ぶっくらんど題字

NO.3   2014年 5月23日
東京学芸大学附属特別支援学校図書館通信

あたらしい学期(がっき)がはじまって、2か(げつ)ちかくたちます。

新入学(しんにゅうがく)の1年生(ねんせい)も、学年(がくねん)が1(ねん)ずつ大きくなった上級生(じょうきゅうせい)も、あたらしいクラスに、なれましたか?

学校(がっこう)図書室(としょしつ)は3つあります。

小学部(しょうがくぶ)は、(だい)学習室(がくしゅうしつ)

中学部(ちゅうがくぶ)は、ランチルーム。高等部(こうとうぶ)は、生徒会室(せいとかいしつ)です。

今回(こんかい)小学部(しょうがくぶ)図書室(としょしつ)をしょうかいします。

絵本(えほん)大型(おおがた)えほん、(ぬの)えほん、かみしばい、マルチメディアDAISY(デイジー)があります。

小学部(しょうがくぶ)のクラス()()しだけではなく、保護者(ほごしゃ)のみなさんや幼稚部(ようちぶ)のみなさんの()()しのボックスも用意してありますので、どうぞ借りにきてください。

マルチメディアDAISYについて

 DAISYとは
 CD-BOMで制作されていて、パソコンで再生して読むことができます。パソコンで音声を聞きながら、絵や写真を見ることができます。
 読んでいるところがハイライトされたり、文字の大きさや音声のスピードを変えることもできます。読むこと、見ることのお手伝いをします。
 第2学習室に入って、左側の小さな本棚にたくさんそろえてありますので、先生方、保護者のみなさま、ぜひ子どもたちの読みや学習にお役立てください。
 Digital Accessible Information System のことで、日本では「アクセシブルな情報システム」と訳されています。

(司書 田沼恵美子)