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日英NPOフォーラム-共生のコミュニティにおける民間非営利組織の役割と経営-

セッション

■萩原 では、そろそろ最後のセッションを始めますので、お席にお着きください。  これからは、フロアとのディスカッションを中心にしたいと思いますので、積極的にお手を挙げていただいて、30分ちょっとございますからぜひ実りのある討論をしていきたいと思います。  それでは皆さん、まだ山岡さんと河さんがお着きになっていませんけど。いいでしょうか。ああ、お見えになりましたね。  皆さん、お聞きになって十分おわかりになったと思いますけれども、大変内容の濃い講演とか発言が続きまして、大層多岐に渡って、しかも重要な示唆とか例示などもございましたので、このわずか30分の間でディスカッションを尽くすということは難しいと思いますが、私が当初5分間ぐらいいただいてまとめようと思っていたんですが、それはやめまして、30分フルにディスカッションしていただきたいと思います。  どなたでも結構ですが、手を挙げていただいて、それに対して我々のほうからお話をしますし、また私どものほうからもまたフロアの方々に対していろいろな質問があるかもしれません。
 では、どうぞ。すみません、時間はないんですけれど、ちょっとゆっくりとしゃべってください。

■質問者 政府と民間との協調ということが大切だというお話で、そうだと思うんですが、日本の場合、4月から市へ福祉関係が移管されてきて、日本のその市の人事という専門担当者の専門能力ということにおいては、実は教育課から来たとか、税務課から来たとかいうことで、まるっきり素人の人がぐるぐる回らないと上がっていかないということになっているわけです。たまたまトヤマで法制と現実がずれているのを知らないで、法律と違っているから始末書を出せとかいう話になって、本気でやるのかという話になったら、「いや、本気で始末書を出すとは思わなかった」なんて逃げられてしまったりして、そういうことが秋田で起こってみたりいろいろなところで起こっているわけです。行政が地方分権になって、その協同するときの行政側の担当者の専門能力という問題は、イギリスなどの行政担当者の専門能力というのはどうなんだろうと。ずっとその専門でいるのか、日本の場合はそういった状況で大変なことになっているわけですが、そこら辺のところは両国、あるいはイギリスはどういうふうにやっているんですかというところをお伺いしたい。

■萩原 では、お2人のうちのどちらか。

■質問者 たしかに人事異動があった場合、もちろんその場でその場の専門家に一応ならなければいけないわけですよね。でも私の場合は25年間警察官ということで、公務員をやっていました。それがNPOということで新たな分野に行ったわけで、私にとってはそれが一つのキャリア・デベロップメント(キャリア開発)になったわけです。ですから、たしかにそれは全然変わってしまうわけですよね。例えばスコットランド議会でも最近言われたことがあるんですけれども、やはりその専門性の問題というのは言われています。特にイギリスの場合、例えば政府と民間との間の人間の異動というのはなかなか難しいというのもあります。
 あるとき、アメリカで行われていた医療システムの一部をイギリスに導入しようというような試みがありました。もちろん、それは新しいシステムでございましたから、ではそこにどういう人を充てて担当はどういうふうな人にしようかと、当然適材適所ではないですけど、その新しいこと、新しいプロジェクトによく精通している人がいればいいんですけれども、しかしながらやはりその内容やシステム自体もどんどんイギリスに導入されるに当たって変わってくる。そうすると、ではそれに対してそのとき、そのときに十分な知識を持った人を充てるというのが大変難しくなっているというのはあります。ただ、その一方で地方分権も働いています。また、ボトムアップの寄付もどんどん活発になっています。さらにいろいろな場でトレーニングの機会も相当ふえています。ですから、そういう意味では対応策というか、例えばスコットランド議会でもこの1年半くらい、いろいろな動きを示しておりまして、例えば人を1年半ごとに入れ替えようなんていう試みまでしています。それもただ簡単に人を入れ替える、異動させるというのではなく、あくまでも、では次の職場ではこういうスキルが必要ですよと。あなたの場合は、例えばこういうギャップがある。それならば、こういうトレーニングを受けるのが適切でしょうというようなそのフォローの体制をつくってはいるようです。そして、それによって例えばシニア、相当上級の方でも新しい職場、あるいは新しい担当になればそれに必要なトレーニングを受けるようになっているというのが最近の傾向のようです。

■萩原 今のご質問というのは、私は非常に大切なご質問だと思うんですけれども、私自身はこう考えておりまして、例えば厚生省という役所、来年から厚生労働省になりますけれども、そこのシマで私は生きているわけでありますから、どこに異動になろうと社会保障の行政官という範囲は超えないわけでありますので、基本的にはある程度社会保障行政のプロであるというふうには自負しております。そういう意味で、行政という言葉を使わせていただければ、幾つか出てきた言葉よりもう少しかなり狭い意味での行政というもの、公権力の行使あるいは法律の執行、今のご質問であれば法律に合っていないからけしからんということみたいなものであるとするならば、その行政の執行にかかわる人間というのは、私は法律が読めてきちんと解釈できればいいと。別に愛情があるとか知識があるということがなくても、法律の執行を適正にする能力がある人間がやるべきでありますから、きのう農林部局にいた人間が県庁の中で福祉部局に行くということもあり得るわけでありますし、それがあっても法律というのは執行できるものというのが戦後の行政法の世界であります。
 一方、これはこれまで混然一体となっていたので議論が混同されているわけでありますけれども、例えば福祉サービスということを議論していただければ、福祉サービスということから言えば、私は福祉サービスの専門家でも何でもないわけで、ここの中で福祉サービスのご専門家はかなり多くいらっしゃると思いますけれども、私は福祉サービスの専門家では全くないわけであります。社会福祉行政の専門家ではありますけれども、福祉サービスの専門家ではないわけであります。ですから、福祉サービスについては私は本来なんら語るべきでない人間であるというふうに思っております。
 これは、自治体のほうに行きますと、非常にその混同が起こりやすいわけでありまして、例えば多摩市の福祉の仕事のうち、私は9割までは福祉サービスにかかわるお仕事が多いと思います。福祉行政、まさに公権力の行使にかかわることは、少なくとも介護保険制度とか、今回の社会福祉法のあとについては1割ぐらい、9割は福祉サービスにかかわる。すると、福祉サービスにかかわる専門家というのをどうマネージするかというのは、福祉サービスの世界というのは公務員である必然は私はないと思っておりますので、むしろ公務員以外の世界で福祉サービスというものは蓄積されていくべきだというのが私の持論であります。これについては、要は私の言葉遣いから言えば、福祉行政の専門家ということというのは、私は基本的には必要ない。福祉サービスの専門家というのは、世の中には必須であると。こういうふうに考えたときに、それでは自治体というのはどういう形で構成するのか。福祉サービスというものを多摩市の市役所のお仕事の中に入れるのか、外に出すのかということの判断をするということではないか。ただし、福祉行政の仕事というのは、これはNPOではできないことでありまして、まさに公権力の行使であるとするならば、公務員がそれに携わらなければいけない。ですから、多摩市役所の職員が携わるしかない。この2つは、私は明確に分けておくというのがこれからの時代なのではないか。
 繰り返しますけれども、福祉行政というのは法律・条例の執行でありますので、これについては条文が読めて解釈のぶれがないということがきちんとしている人間が携わる。これは、イコール公務員でありますし公権力の行使でありますから、社会福祉法人の方にも、申しわけないですけれどもNPOの方にも携わっていただくわけにはいかない。だけれども、福祉サービスの世界というのは、これはもちろん公務員が携わってもいいですし、NPOの方が携わっていただいてもいいですし、社会福祉法人の方が携わっていただいてもいいし、社会福祉協議会が携わってもいいし、企業が携わっていただいてもいい。ただ私は、その際に福祉サービスの蓄積というのが極めて大事なことであると考えておりますし、その専門性というのは日々向上されるべきだろうと思っております。
 この議論というのは、たぶん諸外国の中では国によって形態が違っているんだろうと思っておりますので、むしろサービスを割と政府機構とかあるいは自治体機構の中に取り込んでいる国々では、ある面ではそこで専門性を蓄積しないとその福祉サービスのマネージがうまくいかないわけですし、割とそれを政府機構あるいは自治体機構から外に出しているところでは、そこで専門性とかまさに技術と向上とか蓄積というのがなされていくという形を選択しているんだろうと。これはまさに冒頭に申し上げました公という部分をどういう形で担っていくかということの決断・選択でありまして、私は、今、日本では決断・選択というのをきちんとしないといけないときであるというふうに思っております。  鈴木さん、いかがですか。

■鈴木 先ほど私、最初に15分間お話をさせていただいたときに、非営利団体との協同に関する基本指針をつくったというお話をしたんですけれども、その中の1つに、多摩市役所の中に非営利団体の皆さんの活動のための総合窓口を1つつくってくれというお話がございました。設置が必要であるというご指摘をいただきました。私自身もそう考えております。今回、8月に組織改革というのがございまして、そこで市民活動推進室という、課よりも若干重きを置いたというつもりではいるんですけれど、その室というものをつくりました。ただ、考えてみますとこのNPOを初めとしたこういった活動の皆さんというのは、いろいろな多岐の分野に渡っておりますから、例えば防災に関してのNPOの活動の皆さん、福祉に関しての活動の皆さん、それぞれが違うわけですからどうしてもこの部署に本当のそれぞれの専門性の職員を置くということは不可能でありますから、少なくともそういったものへの振り分けといいますか、つなぎができる職員を置いたということが1つございます。ただ、これから21世紀に向けて、当然全庁的にこのNPOの活動をといったものが職員の頭の中で理解されていなければいけないわけですから、そういったトレーニングといいますか、職員の研修を含めて全庁的な体制でこれからは協同でやっていくんだということは、これから研修のプログラムにもしっかりと入れていきたいというふうに思います。
 それと1つ、これはおもしろい事例がございまして、つい最近なんですけれども、私は職員とプライベートなE-Mailのやりとりをしておりまして、これは出した相手と私しか見れないメールでございますけれども、ある職員がこの三宅島の噴火に関して私にメールを送ってきました。ぜひ向こうに出かけていきたいんだと。休暇をくれないかというお話がございました。その職員はやはりいろいろなNPO等にも参加している職員だそうでございまして、ぜひボランティア休暇をとって行ってこいというメールを返したり、あるいはその上司に「こういう意識のある人間がいるから、ぜひ支援するように」という話を早速したんですけれども、やはり職員もそういった仕事を離れた形の中でNPOに携わっている職員がいますから、そういった職員をどんどんこういった部署につけていくということも、市長として対応しなければいけない。要するに、専門性というよりも理解をしているか、このNPOの活動に対して理解しているかどうかということで、恐らく皆さんの一番身近な自治体の組織というものが評価をされるのではないかというふうに、そんなことを思っております。

■萩原 ありがとうございました。  1つの質問ではあれですから、はい。

■質問者 社会はやはり高度化していきますので、社会が高度化していったときに、今までの役人と税金だけでやっていけないという事態なんだと思うんですよ。NPOがいるというのは。その点やはり行政というのも考えていっていただきたいと思います。

■萩原 それでは、そのほかにフロアからございませんか。質問は。はい。

■質問者 山岡先生にお尋ねしたい。私どもの会は、まだ正式に登録していません。したほうがいいのか、マイナス面も、結構やりにくい問題が。やりにくい問題の一番は、やはり資金的な問題が大きいかと思います。約10年主宰していますが、その中で先ほど従来の助成団体で利用してはどうかと、あのままで話が終わっているのでちょっと心配になって質問しました。それは何かというと、従来あるからあれで十分だと言われる意味なのか、私どもはかなりの団体と助成申請をやっていますけど、これほどひどい国だとは思わないというのが正直なところです。新しいところは、ほとんど通りません。なぜかというと、ほとんど議員さんもくっついていて、従来の人で枠組みが取られています。ですから、私どもはむしろそう言いながら2年連続で申請はだめとは平気で言っていますが、よく見ると限られた人の中でローテーションを組んでいる。ですから、そういう意味ではNPOの現状の把握というのは、皆さんと私ども一般市民とでは多少違うかなと。ことに神戸の大震災のときにある程度関与してやった形から言うと、それまでNPOという発想がほとんどなかったといってもいいかもしれない。私ども、そのころは慈善団体とか、何かこの言葉、非営利という言葉自身の意味合いも違うし、それからボランティアという意味も違う。NPO、この意味も理解が十人十色とそれぞれ解釈が違う。その中で官のほうでというか、従来の財団というところが、何かもう少し新しい形で心通った助成をすればいいんですけども、そうではなくて従来の形にのっとってほとんどそこの役人の世界ということで、その中で私がむしろ先生に期待したのは、今までの従来の財団はそれまでやらせておいて、新しいNPO助成財団をつくるというぐらいのあれを言っていただきたかったなと、こういうふうに思います。

■山岡 日本は、そうやって死屍累々とたくさんの財団があって使い勝手ならない。それは全部税金でやられていますから、私は、我々は、NPOは、既存のものを変えていくんだという力を持たないと、それは大変ですよ。既存の団体は我々のことを想定せずにできていますから、我々が「社会は今こうなっているんだ」というので必死になって、1人で言ってもしょうがないですからネットワークで既存の基金や財団の使い方をオンブズマンになったつもりでやっていくんですよ。これをやらないで、それはそれで置いておいて次と、みんな税金ですから、だからぼくはやはり既存のものを変えていくんだと、行政が悪かったら、つまらない役人がいたらもう1人役人を雇おうというのではなくて、その役人を変えていくんだというそのスタンスを持たないと、死屍累々さまざまな要求をした者のために我々は税金を今捨てていっているんです。だから、そういうオンブズマン、助成金の使い方のオンブズマンに皆さんになってもらいたい。私はそのつもりでいろいろ使って苦労しています。苦労していますけども、そのことによって変えていく。
 私はトヨタ財団にいましたから、本当にその助成、今、何が必要かということで、僕らは次々に財団の助成のやり方を変えてきた。ところが、ほかの団体は大体最初にスタートしたときに決めた通りでやっていますから、20年前の社会常識で使っているのが多いんですね。だから、それはNPOの側から働きかけて変えていかないと、それこソーシャル・キャピタルの無駄使いになると思います。

■萩原 1分だけ。まず1つは、いろいろな基金というのが全部税金だというのは、山岡さん、訂正されたほうがいいと思うので、3分の2以上は民間の拠出金でなされているわけでありますから。ただ、今のご意見は、私はこれも何十年の経験みたいなおじん臭いことを言わせていただきますと、そういうことを言い続けて常に何も世の中を変えられなかったというのが、これまでの歴史だったんだと思いますので、だから僕はむしろ山岡さんがおっしゃっているほうが正統だと思います。福祉の世界だけを例にとれば、先人たちがやったことを批判するということだけで満足されている方たちが常にあって、そういう方たちの存在そのものが、まさに先ほど申し上げたような福祉事業の世界の問題を解決するものの阻害要因になっていたと私は思っておりますので、むしろその点については僕は山岡さんのご意見に賛成であります。その中で変えていくということをやらなければ、また別のところで自分たちのシマをつくって喜ぶというのだったら、また既得権をつくって喜んでいるだけの話でありますから、そこはむしろ私どもを含めてでありますけれども今の既存のものを少しでも変えていくというのと、また新しく積み上げるということをやるべきだと思っております。  どうぞ。

■質問者 また思いはいろいろあるんですけれども、NPOがやはりこれからはまちづくりの担い手になるという認識は、やはりまだまだ少数派の一握りの奇特なお方集団で今動いているような感じがするわけです。それで、やはりこれは社会的な認知をされない限り、NPO法ができて一つ社会的な位置づけができたとは言われていますけれども、NPOという言葉はほとんど知らない人が多い中で、行政や国もそうなんですけれども、これからNPOというのが非常にまちづくりに大事なポジションをとっているということを認識すれば、もう少しNPOキャンペーンをお金をかけてはってほしいと思うわけです。それによって財団も何もかもやはり助成する対象としてこれから考えてくるかなというふうに思います。イギリスでのキャンペーンは、もう1つ、2ついった次のキャンペーンというところはあるんですけれども、日本ではまずNPOというのはこういうふうな使命があって、それぞれの思いはあるんですけれどもこれから市民が事業をして担っていく部分というのは、市長さんのお話の中でスポーツ団体とか何かがやっかんでいるような話がありましたけれども、そんな対じする問題ではなくて一緒にやっていってお互いに暮らしが豊かになる、そういうような要素なんだというところをまず定着させなければいけないということと、私たちもいろいろなグループを見ますと、NPOでやっている本当に少数派の人たちは、今、本当に資金ぐりで非常に困っているわけです。それで特にボランタリーで活動する人たちは委員で透け、それを回す事務局とかそういう機能が、事務局の報酬といったらすずめの涙でよくやっていられるなというふうに思うわけなんですけれども、そこをもう少し魅力のある職、若い人が大学を卒業してぜひNPOに就職したい、そういうふうな状況をつくっていくというのがやはりこれからの一つの社会のあり方を変えていく要素になるのではないかと思っています。
 そういう意味で、お金のかけ方というのは公とそれこそもちろん自律、自分たちで工夫して事業展開していく部分はあるとは思いますけれども、もう少し行政のほうと、いわゆる公の部分のお金の使い方というのを、大事だというふうに思わせるようなところにぜひお金をつかって投入していただきたい。それがこれから21世紀の社会づくりの展望をつくっていくのではないかというふうに思っていますので、そのあたりをぜひ積極的に取り組んでいただきたいんですけれども、よろしくお願いします。

■萩原 それでは、今、実際にNPOで活動されている新井さん、ご意見をいただければと思いますが。

■新井 まさに言いたいことを言っていただいたという感じなんですけれども、実は今、先ほどちょっと時間がなくて大慌てでお話ししたんですけれども、日本にはまだNPOに対する税制優遇制度というものが全くなくて、NPO法ができたときに「2年以内に考えましょう」ということで付帯決議がついて、その期限が11月なんですね。それで一生懸命やっているわけなんですけれども、そのNPO自体がNPOに寄付控除をしろと、税の優遇制度をしろと言っても、なかなかインパクトがないといいますか、自分たちにやってくれと言っているわけですから。それで、今、シーズでは「寄付、YES、99人委員会」というのをつくって、NPOに今寄付をしているちょっと有名な人にアピール文をもらうということで、99人のその方たちの声を集めて、NPO以外でもこんなにNPOへの寄付の控除が必要と訴える方がいるんだよということで大蔵省とか自民党の方なんかに持って行こうと思ってやっているわけですが、ぜひ例えばこちらにいらっしゃる多摩市長もそうですし、河さんもNPOは非常に大切だという認識では一致していると思うので、そういうところに対する働きかけや意見書を出したり、あるいは国のほうへ直接働きかけていただいたりして、NPOを支える制度とささやかな制度だと思うんですが、それすらない現状というものを変えていくために大きなうねりというものを、NPOだけが言っているのではなくてやはり周りでそう言っていくということをぜひやっていただきたいというのは、強く感じています。いかがでしょうか。

■鈴木 今の新井さんのお話は、私はその通りだと思います。ご質問へのお答えというふうになるかどうかわからないんですけれども、PRというお話もございましたけれども、私は一つには、今、あなたがやっているその活動はNPO活動だよというふうに認識をしていただくPRというのも大切だと思うんですね。さっき、体協の例をお話ししましたけれども、これからもちろんさまざまなNPOあるいは法人格取得にかかわらずどんどん出てくると思うんですけれども、今、相当いろいろな団体が動いている、皆さん方もその一員なんだよという、そういう認識を広めていただく行政としてのPRの方法というのも私は必要になってくると思います。そのことで非常に大きな輪になり、大きな力になってくると。当然、やはりそういうことがなければ体協での発言のようなそういったお話も出てきてしまうというふうに思っております。当然、そのいろいろなPRにしても、例えば多摩市のNPOセンターの皆さんへのさまざまな委託の費用にしても、行政の税金が1円でも出るような事業になれば議会からのチェックというのが当然入るわけで、当然市民の税金でやっているわけですから、そうなってくるとまたさまざまな逆の意味でのNPOの皆さんの枠がかけられてしまうとか、活動が制約されてしまうということが、あってはいけないんですけれどもやはりそのチェックをする中でのさまざまな圧力ですとかプレッシャーというものも、あるいは出てくるかもしれません。それをいかに行政として議会にきちんと説明していくかということも大切だと思っておりますし、もちろん議員の皆さんも最近はNPOの活動に対しても理解してきていただいておりますから、そういったものの歴史の浅さというのは否めない事実ですから、そういったことへの働きかけ等もしていく中で、もちろんその行政エリアの中ではそういう対応をしながら、先ほど新井さんがおっしゃったような東京都に対して、あるいは国に対してのNPOの皆さんが活動しやすいような状況をつくるというのは、我々自治体の役割、PR、あるいは意見書等を出していきながらやっていかなければいけない分野なのではないかなと、そんなことを感じております。

■質問者 さっきの話と重複するんですが、私は地方公共団体というのはさっきの9割の部分は住民クラブ事務局だと思っております。住民クラブ事務局をどうマネージするかという長が市長さんだと思うわけでありますけれども、一方住民クラブ事務局というのはこうマネージすればいいということを1人が言ったらその通りにするべきであるならば、民主主義というのは持たないわけであります。そうであるとすると、私はNPOのようにある面で同士的結合ということから始まって、それの広がりを持とうとする方たちこそ、やはり51%をとる努力をするべきだと。
 それに対して、先ほどちょっとあえて申し上げたのは、先人の人たちを批判するというのは51%を減らすための行動をして5%に真理があるというような行動をNPOの方たちがなさるとしたら、私はこれは自己矛盾だと思っているわけであります。だから、やはり常に今、新井さんがおっしゃったように、51%をとる努力をするということからNPO活動のいろいろな課題というのを解決するべきでありまして、同士で結合ですからいろいろ思いが違ったとしてもそれがあえて一緒にやるということができないならば、常に1%の人たちが自分の言う通り世の中を動かせと言っているだけの話になってしまう。私は、先ほどの新井さんのご意見に非常に賛成であります。

■萩原 議論のつきないところなんですけれども、ここを5時に明け渡さなければいけなくて机の整理もありますものですから、残念ながらこれで終わりにしたいと思います。事務局のほうからこのあとレセプションがございまして、ぜひ皆さんに参加していただいてそこでまた個々に議論を深める機会にもなればと思いますので、お忙しくない方はぜひご参加ください。余り費用はかからないんでしょう。費用は3,000円かかるそうですけれど。
 では、長い間本当にありがとうございました。大変有意義なディスカッションを続けることができまして、司会を担当している者としては大変ありがたく思います。それぞれ話の内容につきましては皆さんの中で十分におまとめいただいて、それぞれの今後の活動のお役に立っていただければ望外の喜びというところです。
 25日の法政大学の百周年記念館でもう1度といいますか、これは学生が対象ですけれどもございます。25日の1時からですね。そこでもお二方はまたお出になりますので、お時間がおありの方はぜひご参加いただきたいと思います。
 では、どうも長い間、ありがとうございました。

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